登山道探しから始まった居鞍岳
居鞍岳は榛名湖西岸の国民宿舎から吾妻側に下る県道28号沿線にポツンとある山で、湖畔から良く見える掃部岳・烏帽子岳・鬢櫛山などに比べるといまいち知られていない。第一に登山口がわからなかった。
(1) 登山口探し
過去の登山記録をインターネットで見ると、登山口は1.020mの鞍部付近で近くに「掃部の水」と言う名水があると記録されていた。しかし、この28号の吾妻側は長い期間拡張整備工事中であり、現在はその工事が完了して、国民宿舎から三キロ付近からの左側は崩落止めにコンクリートで固められ、昔の様相が一変してしまって居る。勿論「掃部の水」も今は無いし、登山口と思われる場所は車から見る限り唯の壁だけである。吾妻町の役場に問い合わせても登山口はある筈としか言わないので、役場で1/25000の地図を売ってもらった。この地図によるとやっぱり1.020mの鞍部から居鞍山を通過して掃部岳まで確かに
道がついている。ここは送電線の鉄塔が並んでいることから、どうやら東京電力の管理道路があるらしい。
そこで28号の下り道を非常点滅灯を付けながら時速10㌔で走りながら左側の登山口探しをした。
烏帽子橋までの間に左への道は5本もあった。最初のは「榛名湖ふれあいの郷」入り口で中は複雑な別荘地帯で思いがけない掃部岳の吾妻側登山口が見つかったが、居鞍岳とは関係は無かった。次の道は同じくふれあいの郷の別口で未だ入り口は遮断されていた。その少し下に車も入れそうなやや広い道があるがこれは100㍍程で行き止まり。
その先、教育林に入る右折道の反対側に駐車スペースが大きくあり、「掃部の大クリ」という看板がある。ここを登ると500㍍で看板どおりの栗の巨木があったが道はそこで行き止まり、先へは進めない。更に下って3.8㌔地点の右側に教育林から別れた林道が再び28号に出てくるところに駐車スペースがあった。地図上ではこの辺りが1.020mとあるので、ここに車を置き徒歩で登山道探しをした。左側の防災壁を眺めながら少し下るとこの辺りの壁は2㍍ぐらいの高さになっている。約50㍍のところで壁が僅かに幅1㍍ほど切れていてそこに小さな木切れに「居鞍岳」と書いてあった。入り口は草が茂り、これでは車で見つけようとしても先ず気付かないのも無理はない。
(2) 尾根の判らぬ居鞍岳
私のような俄かハイカーの登る山は登山道が大方はっきりしている。綺麗な登山道が無くても踏み跡を辿れば、或いは誰かが付けた目印さえ見つかれば必ず山頂に着くという安心感がある。尤も榛名湖周辺の低山、例えば五万石・三峰山・蛇ヶ岳などは登山口がわかっても余り人が入らないので踏み後も見つからない。しかし、低山で尾根が低いので遮二無二、尾根の方向に藪漕ぎをすれば必ず尾根に出られるという確信が経験上生まれている。
しかし、この居鞍山は勝手が違った。確かに登山道はあるがそれは登山愛好者のためではなく、電力会社の送電設備保守管理のための巡視路であつた。従ってその道をいくら行っても送電線鉄塔を巡るだけで尾根には行かれない。どこからか尾根に登る経路を発見しなくてはならなかった。
28号から崩落止めの僅かな隙間から入ると驚いたことに直進2㍍先は崖である。転落防止の柵も無い。周囲を見まわすと入り口から直ぐ左の防壁に沿って草に覆われた木の階段がある。上を見ると手摺が延々と続いている。この階段は右に大きく迂回しながら100段もある。ここを過ぎるとダラダラ登りで二つの小さな渓流を越えながら今度は900段のプラスチックの登り階段がある。全て鉄塔管理用の巡視路である。
道は山の縁を伝いながらくねくねと廻って行き、やがて第一の鉄塔を過ぎる。山に入ってしまうとどの尾根が目指す山なのかは全くわからない。山の姿がはっきり判るのはかなり距離をおいて見た場合であって一旦山に入ると目印だけが頼りなのである。
左手の尾根を眺めながら更に進むと第二の鉄塔がある。道は変わり無く造られているので尚、先に進む。暫くすると巡視路は下りになる。何となく不安になりながら又登りになるだろうと思いながら進んでも行く手は下るばかりで左手尾根もどんどん遠くなる。ここで始めて間違いを自覚した。確かに尾根への道を探しながら来たのであるが、見つからないままに下りに入ったのであるから尾根への道は無く、尾根へ藪漕ぎをしようと思った。それには尾根が低くなる地点を探さなければならない。再び来た道を尾根の高さを確かめながら戻る。戻るに従って尾根は段々低くなり、第一の鉄塔付近で巡視路まで垂れ下がって来た。そこから直接尾根を目指して潅木の林に分け入ることにしたら、何と直ぐ脇の小さな木に風雨に晒され一見して枯葉と見間違うような色あせたリボンが付けられているのを発見した。誰かが付けておいてくれたらしい。勇気を出して藪を掻き分けて斜面を登り始めると何となく踏み跡らしいものがあつた。約200㍍上ったところの大岩を回るとそこには石祠が二つあった。更に進むと少しの広場に三角点と居鞍岳と書かれた手製の頂上標識があった。帰り道、第一の鉄塔のところに登山口というマークをつけて後で来た人が同じ目に会わないようにしておいた。この山は入り口探しに苦労させられ尾根道探しに苦戦させられたが、尾根の見極めさえつけば道が無くても稜線に出られることを実感した。
居鞍岳は榛名湖西岸の国民宿舎から吾妻側に下る県道28号沿線にポツンとある山で、湖畔から良く見える掃部岳・烏帽子岳・鬢櫛山などに比べるといまいち知られていない。第一に登山口がわからなかった。
(1) 登山口探し
過去の登山記録をインターネットで見ると、登山口は1.020mの鞍部付近で近くに「掃部の水」と言う名水があると記録されていた。しかし、この28号の吾妻側は長い期間拡張整備工事中であり、現在はその工事が完了して、国民宿舎から三キロ付近からの左側は崩落止めにコンクリートで固められ、昔の様相が一変してしまって居る。勿論「掃部の水」も今は無いし、登山口と思われる場所は車から見る限り唯の壁だけである。吾妻町の役場に問い合わせても登山口はある筈としか言わないので、役場で1/25000の地図を売ってもらった。この地図によるとやっぱり1.020mの鞍部から居鞍山を通過して掃部岳まで確かに
道がついている。ここは送電線の鉄塔が並んでいることから、どうやら東京電力の管理道路があるらしい。
そこで28号の下り道を非常点滅灯を付けながら時速10㌔で走りながら左側の登山口探しをした。
烏帽子橋までの間に左への道は5本もあった。最初のは「榛名湖ふれあいの郷」入り口で中は複雑な別荘地帯で思いがけない掃部岳の吾妻側登山口が見つかったが、居鞍岳とは関係は無かった。次の道は同じくふれあいの郷の別口で未だ入り口は遮断されていた。その少し下に車も入れそうなやや広い道があるがこれは100㍍程で行き止まり。
その先、教育林に入る右折道の反対側に駐車スペースが大きくあり、「掃部の大クリ」という看板がある。ここを登ると500㍍で看板どおりの栗の巨木があったが道はそこで行き止まり、先へは進めない。更に下って3.8㌔地点の右側に教育林から別れた林道が再び28号に出てくるところに駐車スペースがあった。地図上ではこの辺りが1.020mとあるので、ここに車を置き徒歩で登山道探しをした。左側の防災壁を眺めながら少し下るとこの辺りの壁は2㍍ぐらいの高さになっている。約50㍍のところで壁が僅かに幅1㍍ほど切れていてそこに小さな木切れに「居鞍岳」と書いてあった。入り口は草が茂り、これでは車で見つけようとしても先ず気付かないのも無理はない。
(2) 尾根の判らぬ居鞍岳
私のような俄かハイカーの登る山は登山道が大方はっきりしている。綺麗な登山道が無くても踏み跡を辿れば、或いは誰かが付けた目印さえ見つかれば必ず山頂に着くという安心感がある。尤も榛名湖周辺の低山、例えば五万石・三峰山・蛇ヶ岳などは登山口がわかっても余り人が入らないので踏み後も見つからない。しかし、低山で尾根が低いので遮二無二、尾根の方向に藪漕ぎをすれば必ず尾根に出られるという確信が経験上生まれている。
しかし、この居鞍山は勝手が違った。確かに登山道はあるがそれは登山愛好者のためではなく、電力会社の送電設備保守管理のための巡視路であつた。従ってその道をいくら行っても送電線鉄塔を巡るだけで尾根には行かれない。どこからか尾根に登る経路を発見しなくてはならなかった。
28号から崩落止めの僅かな隙間から入ると驚いたことに直進2㍍先は崖である。転落防止の柵も無い。周囲を見まわすと入り口から直ぐ左の防壁に沿って草に覆われた木の階段がある。上を見ると手摺が延々と続いている。この階段は右に大きく迂回しながら100段もある。ここを過ぎるとダラダラ登りで二つの小さな渓流を越えながら今度は900段のプラスチックの登り階段がある。全て鉄塔管理用の巡視路である。
道は山の縁を伝いながらくねくねと廻って行き、やがて第一の鉄塔を過ぎる。山に入ってしまうとどの尾根が目指す山なのかは全くわからない。山の姿がはっきり判るのはかなり距離をおいて見た場合であって一旦山に入ると目印だけが頼りなのである。
左手の尾根を眺めながら更に進むと第二の鉄塔がある。道は変わり無く造られているので尚、先に進む。暫くすると巡視路は下りになる。何となく不安になりながら又登りになるだろうと思いながら進んでも行く手は下るばかりで左手尾根もどんどん遠くなる。ここで始めて間違いを自覚した。確かに尾根への道を探しながら来たのであるが、見つからないままに下りに入ったのであるから尾根への道は無く、尾根へ藪漕ぎをしようと思った。それには尾根が低くなる地点を探さなければならない。再び来た道を尾根の高さを確かめながら戻る。戻るに従って尾根は段々低くなり、第一の鉄塔付近で巡視路まで垂れ下がって来た。そこから直接尾根を目指して潅木の林に分け入ることにしたら、何と直ぐ脇の小さな木に風雨に晒され一見して枯葉と見間違うような色あせたリボンが付けられているのを発見した。誰かが付けておいてくれたらしい。勇気を出して藪を掻き分けて斜面を登り始めると何となく踏み跡らしいものがあつた。約200㍍上ったところの大岩を回るとそこには石祠が二つあった。更に進むと少しの広場に三角点と居鞍岳と書かれた手製の頂上標識があった。帰り道、第一の鉄塔のところに登山口というマークをつけて後で来た人が同じ目に会わないようにしておいた。この山は入り口探しに苦労させられ尾根道探しに苦戦させられたが、尾根の見極めさえつけば道が無くても稜線に出られることを実感した。
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