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語彙概念構造 LCS

2016-10-26 | 語彙論
語彙概念構造 という専門語は、Lexical Conceptual Structure 略して LCS と用いる。Jackendoff によって提案された。概念意味論 Conceptual Semantics による。生成意味論。この理論では、動詞の概念的な意味を基本的な意味構造に分解し、いくつかの限られた述語、項、付加詞から構成される表現形式で表わす。これを語彙概念構造と呼ぶ。また、語彙概念構造で用いられる基本的な意味構造は階層的に分類されている。


Jackendoff 1983, 1987, 1990, 1991, etc.

Jackendoff  1990 
意味理論一般の基礎的課題として提示、
 意味の問題 (The Problem of Meaning)
 対応の問題 (The Problem of Correspondence)

Jackendoff  1991
語彙意味論 Oexical semantics


http://www.lang.osaka-u.ac.jp/lc/research/enclc
研究
言語文化学事典

語彙意味論 Lexical Semantics

語彙意味論の目的は単に語彙の意味を精緻に記述することではなく,むしろ語の意味の中からその語が現れ得る統語構造や形態を決定する意味特性を抽出し,それを適切に表示することを主眼とし,さらに,その意味表示と統語構造,あるいは統語構造を決定する項構造や事象構造との対応を一般化することをめざすものである。当然その前提として,語彙,特に動詞の意味が文の構造を決定する重要な要因であるとする考え方がある。古くはFillmore, C.J.の格文法において項の意味役割とその統語構造上の位置との対応関係を一般化しようとする試みがなされ,またその後の生成文法では意味役割を用いた統語分析も多くなされたが,そもそも意味役割という概念は動詞の意味に根ざすものであるにもかかわらず,あたかも個々の項に何らかの意味が付与されているかのように扱ったことに問題があった。現在の語彙意味論では動詞の統語的性質を決定する意味特性をCAUSE, BECOME, BEといった述語関数意義素として抽出し,それらを用いた語彙概念構造*を動詞の語彙記述の基盤とし,構文交替や語形成の分析をおこなうのが一般的である。1990年代以降,Levin, B. & M. Rappaport, を中心とする構文交替に関わる研究やそれとは独立に進められたJackendoff, R.による概念意味論,また,国内では影山を中心とする日本語の動詞意味論や語形成論が,語彙意味論の発展の推進力となったといえる。

概念構造 Conceptual Structure

動詞の意味のうち,その動詞がどのような構文に現われ得るか,どのような構文交替を起こすか,あるいは,どのような語形成規則が適用できるか,といった形態統語的性質の決定に関わる主要な要素を意義素として抽出し,それらを用いて動詞の意味を分解し階層的に表した意味表示を語彙概念構造(Lexical Conceptual Structure =LCS)と呼び,これを基盤として構築される意味表示を概念構造と呼ぶ。語彙意味論*の意味表示として定着しているが,これと類似した意味表示は古くは生成意味論に遡り,生成文法的アプローチによる統語論でも様々な形でしばしば利用されている。意義素としては,使役関係を表すCAUSEや変化を表すBECOME,状態を表すBEのほかに移動に対してMOVE,状態維持に対してSTAYなど,動詞の中核的意味を構成する意義素と,AT, TO, FROM, INのような前置詞で表される項の性質を決定するものとがある。前者は,動詞のアスペクト素性を表すものでもあり,いわゆるVendlerの動詞の4分類も明確に表示することを可能にする。後者は,言語表現の基本が空間的位置関係にあるとする「場の理論」を前提とし,空間的な意味以外にも拡張して用いられている。たとえば,対象物の変化を引き起こす典型的な達成動詞の概念構造は,[x CAUSE [BECOME [y BE [AT z]]] のように表されるが,put のように物体の位置変化を引き起こす場合は,zが移動先の場所を表す項であり,freezeのように物体の状態変化を引き起こす場合は,zはFROZENという語彙に固有の意味である定項によって表される。先述のとおり,厳密には,単語の意味を表すのが語彙概念構造で,それを基盤にして構築された句や文の意味表示を概念構造と呼ぶが,Jackendoffの概念意味論では,両者を含む意味表示をすべて包括する概念レヴェルをConceptual Structureとし,認知システムの一部門として位置づけている。彼のモデルにおいては,概念構造は統語構造と音韻構造それぞれに対応規則によって関係付けられ,いずれとの間にも派生関係は認められていない。概念構造は,推論や前提を明示的に表すものでもあり,統語構造からは自律した原理体系において構築されるものだと考えられている。


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