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源氏の物語 2 読まれたのは、昭和の活字本

2015-11-21 | 源氏のものがたり
源氏物語を、げんじものがたり と読み慣わしている。むかしは、源氏のものがたりであったとする、の をいれて、源氏の物語とするのが、古代での読みであるとされることがある。書名を作者がそう書いて残したわけではない、いつしか、源氏 と呼ばれたかもしれないが、それを、げんじ と作者自筆で書いたものがあるわけでもない。なかには、ひかるげんじのものがたり と、物語中に語られるところから、その書名を名称としてとらえなおすこともかんがえられる。源氏物語と活字にしての日本古典文学大系、岩波文庫本に、そして戦後すぐにも、朝日古典全書がそれまでの明治大正期の活字本にされた源氏物語の名称を引き続き書名にしたことで、源氏物語と書かれて、それをそのままに、書名として源氏物語になっている。表記すれば、『源氏物語』と書けば、いわば昭和なかば以降の活字の本を指すことになる。古代の名称をとれば「げんじ」「源氏の物語り」であって、それを表記して「源氏物語」と書くことになる。この表記には「源氏物語」の呼称ですると、その写本の一群をすべてさし示すことになる。

げんじのものがたり とすれば、それは、光源氏の物語となって、伝えられた皇子の話となる。その物語を伝えて注釈書が著わされ、書写されて、いつしか源氏物語となったわけであるが、そう確かに言うようになった年代を特定しても、それはもとの本にある、そのままの書名でもないことは、たどってみると、明治以前に人々にはどう受け止められていたか、ということにもなる。それは、注釈書をつけている源氏物語の本という形式であるから、その書名に、首書源氏物語、読みが、かしらがき、また、そのまま、音読して、しゅしょ、であるが、これ以後の、絵入源氏物語、源氏物語湖月抄という流布本にある名称に表わされている。つまり、源氏物語はその本文とともに、源氏の本としての名称で、首書であり、絵入であり、湖月であったのである。源氏物語が人々に読まれるようになったのは、この中でも湖月抄であったのだろう。源氏はその読者に子女を迎えたとされる。その時代が平安朝以来、明治のころに至ってなお、高等女学校の教科に用いたと想像される。湖月を読むとしたころ、その後には、岩波の文庫本が出て読みやすくなった。貴族、公家の文学を経て、宮廷女性教育、文学研究者、そして一般読者を得るのは1950年代の末である。



首書源氏物語
一竿斎編、1673年刊行、源氏物語の本文54巻に系図1巻・年立1巻を加えた全56巻。


湖月抄
北村季吟著、源氏物語注釈書である。延宝元年(1673年)成立。全体で60巻。
源氏物語55巻、若菜、上下と、雲隠、を共に数えるため
発端1巻、系図1巻、年立2巻、表白1巻からなる首巻で構成。


昭和の初期まで
塚本哲三による「友朋堂文庫本」友朋堂書店(1930年)

島津久基による「(旧)岩波文庫版源氏物語」(1927年)
1891年(明治24年)4月16日 - 1949年(昭和24年)4月8日、国文学者
『源氏物語』岩波文庫版で、本文の傍らに主語を記する方式

『源氏物語 1-4』 岩波文庫教科書版 、1932
『釈評源氏物語』巻1-5、中興館、1930-1942


日本古典全書 源氏物語
出版社 朝日新聞社
発行年 S.21 1946年


日本古典文学大系 14 源氏物語 1 1958年1月発行 山岸徳平
日本古典文学大系 15 源氏物語 2 1959年11月発行
日本古典文学大系 16 源氏物語 3 1961年1月発行
日本古典文学大系 17 源氏物語 4 1962年4月発行
日本古典文学大系 18 源氏物語 5 1963年4月発行


日本古典全書 源氏物語1~7 計7巻
出版社 朝日新聞社
発行年月日 1976年(昭和51年)初版


『源氏物語』日本古典全書(全7巻)池田亀鑑著(朝日新聞社、1946年(昭和21年)~1955年(昭和30年))
『源氏物語』日本古典文学大系(全5巻)山岸徳平(岩波書店、1958年(昭和33年)~1963年(昭和38年))
『源氏物語評釈』(全12巻別巻2巻)玉上琢弥(角川書店、1964年(昭和39年)~1969年(昭和44年))
『源氏物語』日本古典文学全集(全6巻)阿部秋生他(小学館、1970年(昭和45年)~1976年(昭和51年))
『源氏物語』新潮日本古典集成(全8巻)石田穣二他(新潮社、1976年(昭和51年)~1980年(昭和55年))
『源氏物語』完訳日本の古典(全10巻)阿部秋生他(小学館、1983年(昭和58年)~1988年(昭和63年))
『源氏物語』新日本古典文学大系(全5巻)室伏信助他(岩波書店、1993年(平成5年)~1997年(平成9年))
『源氏物語』新編日本古典文学全集(全6巻)阿部秋生他(小学館、1994年(平成6年)~1998年(平成10年))


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