90 すみません、には、ありがとう、の意味があるの
すみません の語に、ありがとう の意味があるかどうか。
その用法を問うか、語そのものの意味を問うか。
すみません を、ありがとう を用いる場面で使えば、その意味の用法で共通する。
その逆の、ありがとう を、すみません の場面で用いれば、その意味は共通して、どちらの語をそのような場面で使ってもよいことになる。
そうするとこの語のふたつの区別がなくてもよいことになるから、その意味は場面によって検証される。
いまは、問いにより、すみません の語に、ありがとう の意味があるかどうかである。
さきの逆の、すみません というところで、ありがとう を使うことができない場面は容易に想像できる。
それが謝罪であるときに感謝するという場にそぐわないことであるからである。
そう考えてくると、この問いは、すみません という語が、その謝罪と感謝を、その用法に併せ持つかどうかが問われていることを確かめる。
すみません というのは、本来、相手に済まないことをした、という場面で用いる。
その済まないことに、みずからの起こした、相手に迷惑のかかることで、あやまる言葉である。
それはまた、自らの行為ではなくて、相手の迷惑が、こちらにほどこされた恩恵である場合があって、それを受け取るときがある。
すみません に、感謝の意味が含まれるのは、こちらに向かった行為、それは恩恵であることから、あなたにとっては迷惑なことで済まないことであったが、その好意を受けるときに用いることになる。