品詞と翻訳し、その名称を詞としたことを思うと、詞の捉え方があったものを、翻訳概念に合わせようとした、となると、詞に対する辞があったのだから、そこには、詞辞の2大分類があったということである。そこに品々が分類されて、品詞の名のもとにテニヲハを加えた経緯がある。そこに後詞とする名称は詞を用いていたものであるから、すでにテニヲハあるいはオランダ語の影響で日本語を分析していた九品の詞のような用語を編み出していた。
世界大百科事典内の辞の言及
【品詞】より
…この3分類は,十分に文法機能のうえから考察した結果ではなかろうが,17世紀初めのJ.ロドリゲスの《日本小文典》は,日本人が全品詞を〈名,ことば,てには〉の3語に包括していると述べている。〈てには〉は助辞,〈ことば〉は動詞(現在の用言。形容詞,形容動詞を含む),〈名〉はその他のいっさいである。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
品詞
ひんし
文法上の記述、体系化を目的として、あらゆる語を文法上の性質に基づいて分類した種別。語義、語形、職能(文構成上の役割)などの観点が基準となる。個々の語はいずれかの品詞に所属することとなる。
品詞の名称はparts of speech(英語)、parties du discours(フランス語)などの西洋文典の術語の訳として成立したもの。江戸時代には、オランダ文法の訳語として、「詞品」「蘭語九品」「九品の詞」のようなものがあった。語の分類意識としては、日本にも古くからあり、「詞」「辞」「てにをは」「助け字」「休め字」「名(な)」などの名称のもとに語分類が行われていたが、「品詞」という場合は、一般に、西洋文典の輸入によって新しく考えられた語の類別をさす。
問題点
parts of speechというとき、partは、印欧語ではほとんど語に一致する。ところが日本語では、「私は山に登った」の場合、文を構成する直接の部分は、「私は」「山に」「登った」という句(あるいは文節)となる。つまり品詞分類と語分類との間にあるギャップが生じてくる。助詞・助動詞および連体詞・副詞・接続詞・感動詞などの位置づけが問題となるゆえんがここにある。[鈴木一彦]
《和蘭詞品考》(読み)おらんだしひんこう
世界大百科事典内の《和蘭詞品考》の言及
【志筑忠雄】より
…彼は東洋最初のニュートニアンである。またオランダ語の文法を明らかにした《和蘭詞品考》は,1814年(文化11)門人馬場佐十郎が《訂正蘭語九品集》として出版,蘭語研究に画期的な貢献をした。
明治以降日本語の文法用語の成立と品詞分類表
https://www.kci.go.kr/kciportal/ci/.../ciSereArtiOrteServHistIFrame.kci?...artiId...
明治以降日本語の文法用語の成立と品詞分. 類表. 1). 矢 澤 真 人 *. 0. はじめに ―現行の品詞分類表の構造―. 現在、日本の国語教育で一般的に用いられている品詞分類表は、橋. 本進吉(1938)をもとにしたものである。これは、図①に示したよう.
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洋学流文典では,英文法のpropositionをもとに,「後詞(ごし,こう
し)」4)という品詞を立てる。古川(1871)では,propositionに対応するよ
うに,名詞に後続する助詞(格助詞類)をあげるにとどまっていたが,
中根(1876)では,格助詞のほかに,名詞に後続する副助詞や係助詞,
複合助詞も含むだけでなく,「動詞所属の後詞」として,「ば」「ど」「て」
「で」なども組み込んでいる。
大槻(1890)は,「後詞」を「てにをは(天爾遠波)」とよびかえ,名詞の
みにつく「第一類」(格助詞類),「各種の語を受けて其意を下の動詞・形
容詞などに通じさせる」ものである「第二類」(係助詞・副助詞類),「上
下ともに動詞や形容詞,助動詞に接する「動詞の天爾波」と呼ぶべき」
ものである「第三類」(接続助詞類)に分類している。大槻(1897)は,(23)
のように「此書の新案」であるとしているが,英文法に準拠して格助詞
のみを認めた古川の段階から,格助詞に副助詞と係助詞を拡張し,さ
らに動詞接続の接続助詞相当のものも認定した中根の段階,それを格
助詞相当の第一類,副助詞・係助詞相当の第二類,接続詞相当の第三
類と明示的に区分した大槻の段階というように,順を踏んで適応が進
んでいることが知られる。ただし,大槻(1980)の段階では,終助詞相
当のものは設定されず,感動詞や助動詞に混在させていた。
(20) 古川(1871) 「第六 あとことば(後詞(ごし)ともいふ)」
あとことばとは,が,の,に,を,へ,と,より,から等のごと
く,すべて なことば または かへことばのあとにつきて,それと
あとのことばとの なかだちになることばなり。…(中略)…ことぐ
にのことばにては,みぎのたぐひのことばは,みな,なことばの
まへに つきけるがゆゑに,かのふみをよむときは,これを まへ
ことば(前詞(ぜんし))といふべし。」初編下10裏~11表)
(21) 中根(1876) 「後詞は名詞および其の他の詞に陪して以種々の意味
を形す者なり。」(巻下30表)
「(単用後詞) は,ば,に,へ,と,ど,を,から,が,より,だ
に,だも,そ,ぞ,など,ながら,なん,の,のみ,や,や
ら,まで,こそ,て,で,さへ,も,すら等」
「(重用後詞) には,にぞ,にて,にも,とは,とに,とを,と
ぞ,との,とて,とも,ども,をば,をぞ,をも,ぞと,の
は,のに,のと,のを,のが,のも……,にては,にてぞ,に
ても,とには……やはとて」(以上,巻下30裏~31裏)
(22) 中根(1876) 「以上,無数の後詞中に,ば,ど,て,での四語は,動
詞にのみ接する者にして,他の詞に接することは非らざるな
り。因りて之を動詞所属の後詞と云ふ」(巻下31裏)
(23) 大槻別記(1897) 「弖爾乎波の用法意義は,紛絲の如し,学ぶ者,
其緒を索むるに苦しむ,今,此に,用法に因りて三類に大別せ
しは,此書の新案なり。」(第五版p.71)
日本語教育の文法8 ことば
2018-06-04 23:56:17 | 日本語教育
日本語教育の文法8 ことば
ことばをどこできるか。言の葉とは、どういう単位であるか。品詞から見る。
品詞は単語を指している。その分類で自立語、付属語と大別をして、その語の働きを見ると、付属する品詞は語と言えるかどうか、付属するのは接辞にあたる。それについて、文を表して語を捉える作用として、付属辞が自立語に膠着するので、文中の語として分けるのは難しい。つまり品詞が文法的働きをもって語の機能をするために、それ単独で自立しているとみるのがよい。
そのために付属する単語を品詞としてきた助詞、助動詞は、文法機能を持てば、それは助辞であり、あるいは活用して、また品詞の語尾として付いていることがわかる。語と、語ではないが、語に膠着する辞の形式を認めることになる。品詞とは文を分けて得られる単語、単語に相当するものである。
品詞論 parts-of-speech theory は、名詞がくる主語と、その対応する述部に分けることから成り立つ。
日本語は、
と言い出せば、それは主題でいうと、日本語は とあり、続くのは述部の部分となるから、
日本語は 述語になる動詞(形容詞、名詞)に 主語が係る 言語である、
というふうに聞くことになる。この分析をさらに、
日本語は 述語になる 動詞(形容詞、名詞)に 係る 言語である
と、分けていけば、
日本語は (動詞、形容詞、名詞が) 述語になる (その)動詞、形容詞、名詞に 主語が 係る 言語である
→ 日本語は 主語が 動詞、形容詞、名詞に かかる 言語で ある
という文を聞いている。
これによれば、話部、すなわち話の部分とする考え方ができる。