概念意味と聴覚音象徴を言語記号で図式にしたのは大学講義の受講者たち、そして弟子による書き加えであったと、草稿本のイラストから説明をする、ソシュールの一般言語学講義である。言語記号のその図には内円に絵が描かれている、円形の半分上部にクリスマスツリーの原木に似た絵柄があり、その下には仕切られた半円の中にバーでくくって、/arbor/と、ラテン語音韻が書き込まれている。円の両側、左右のサイドに矢印の上向きと下向きが添えられて、その上下の半円は行き来している。これが言語記号の模式図である。しかし講義では円に半円となる仕切り線だけが板書で示されたようで、概念と音韻による語は説明のものであったらしい。所記と能記と、小林英雄訳の難しさに、それを読みこなしたのであった。 . . . 本文を読む
>史的言語学
してきげんごがく
historical linguistics
いかなる言語も時間とともに変化するが,その言語の変遷を研究する学問を史的 (歴史) 言語学という。分野別に分けるときには,史的音韻論 (音韻史) ,史的文法論 (文法史) ,史的意味論などという。 19世紀には,H.パウルにその典型をみるように,史的言語学のみが科学とみなされていたが,20世紀に入ってソシュールにより共時言語学の独立,それと通時言語学との峻別が提唱され,さらに R.ヤコブソン,N.トルベツコイ,A.マルティネらによって構造的史的言語学が打立てられた。これにより,以前のような個々の言語要素の変遷ではなく,言語の体系・構造の変遷がより全体的にとらえられるようになった。なお,史的言語学を共時 (記述) 言語学から区別するのは,あくまでも言語そのものの総合理解のための方法であって,言語そのものが2つの面に分裂していることを主張するものではない。 . . . 本文を読む
漢字には語義がある。漢字は文字であり詞であるから、、字音と字形にある字義として捉えている。それに対して、意味はとなるとどうか。日本国語大辞典で17世紀から用例を載せているが、それには、含蓄を指す、言外の意味という用法である。また、>楊載‐敗裘詩「意味存鶏肋、寒涼視馬毛」、元代中国の詩人の例を載せている。これはコトバンクでの精選版 日本国語大辞典の解説の用例の出し方は、引用がないのでわかりにくい。字通で検索していると、熟語の項に、>【意味】いみ おもむき。宋・朱熹〔論語序説〕子曰く、頤(い)、十七より論語を讀む。~之れを讀むこと(いよいよ)久しくして、意味の深長なるを覺ゆ。 と、見える。 . . . 本文を読む
文字の義と言えば、漢語の形音義による。語すなわち文字そのものが持つ意義である。意味と言えば、この漢語の意義を意味という言い方ですると、意義と意味とはどう違うのかと、使い分けを意識することがあるかどうか、まして、言葉の意味と言って、意味を使う方が多い。この区別についてサイト検索をすると、意味の範囲が広い説明がある。意と義と、本来の語構成を対立的に捉えれば、意の範囲が広くなり、それこそ意味のようになる。文脈的意味、場面的意味と、日本語の捉え方に意義はこの文脈、場面での用法は、あまりない。意味が一般的になったのは、かつて、もとの語にある義が、どのように文脈、場面で現れるかを説明することによる。漢字の字形をもって理解することが日本語の社会では難しい。 . . . 本文を読む
語彙の論で語と意味を述べる。意味論には哲学の議論があり、意味とは何か、あるいは伝統形式論理学での問答、それに倫理学的意味、道徳論など、そして心理、認知における意味を、21世紀になって明らかにしてきている。言語についての意味は歴史言語で語の用法と意味変化を議論し、語の形式と内容を捉えてきた。現代言語学では記号論理学、コンピュータのプログラミングに意味理論の応用が行われている。意味論の項目で、フリー百科事典ウキペディアではつぎの課題を挙げている。 . . . 本文を読む
語彙の議論で語の意味を扱うと、語と意味という問題を考える。語にある意味とは何か、そも語に意味はあるのか、そのスタートに言語学の意味論で、語を記載する辞書は辞書義に過ぎず、臨時の意味を持つ、文脈によってうまれる、したがってもともと語に意味はないという捉え方がある。語を形式としてその内容にあるのは指示物であったり、概念を指していたり、あるいは語と語が、語と場の関係性で捉えられたりする。連想による、比喩による、そしてつねに、語に生まれるその用法が意味をつくっているとすることができる。漢字語の形音義の意義とは意味とどう違うか。ひらがなを用いて、仮名、かりな、かんな、とは音表記で意味を理解するのか、カタカナは原語とどのように意味内容が一致するのか、などなど、日本語と意味の捉え方には漢語による概念と、仮名文字による音韻のことがらが重要な議論となる。 . . . 本文を読む
カタカナ表記の語彙には、表記にカタカナを用いる外来語、外国語、動植物の学術名、そして、オノマトペアなどがある。表記により語彙とするのは形式のことだけになる。日本語の語彙は本来語と外来語に分けると、在来する語は何かという類わけの困難さがある。記録にあるのは漢字渡来とともに在来語の表記を漢字で始めた日本語だからである。したがって、漢字を本来の語にするかどうかはもちろんのこと、それを和訓として読む語にも本来はどうであったかということになる。そこを、固有語と借用語と、おおざっぱにとらえて、さも言語学的にこうであるというような説明をすることになると、借用語には漢語と外来語として、それ以外の固有語は平仮名表記の語であるとする、表記の種類で語彙を分けている。語種で述べる通りであるが、それを借用語の歴史として見直していくと、すべて国語として歴史を持つことになる。外来語とするのも、16世紀の西欧言語の影響に、貿易などに言語とともに渡来した言葉を日本語訳してきたものを、その音訳のままにカタカナで伝来物として、漢字翻訳をしなかったものもを語として用いてきている。外来語は幕末明治初期までの特徴を持つ語となった。カタカナであり、漢字であり、そこには国と地域別に多様さを見せている。 . . . 本文を読む
形音義による漢字の説明は中国から伝来した音義書によるものである。仮名文字を工夫して、文字に形音だけを表したから、その文字の組み合わせは漢字の訓に用いられた。もちろん日本語として語を意識するものであったが、仮名文字にして一字にあらわす語もあった。しかし一音一義は限られたことであった。文字の分類は語の分類でもあったが、それは漢語に倣うものであった。文字に写した言葉を文法によって分類をしたのは時代が下がって近世である。品詞の意識は翻訳の概念とその命名によって確かにするが、西洋文法の影響で、近代以前、幕末のころにまで下がってくる。いずれも和歌の技法、句の用法に根差す国語の捉え方で、文法に拠る分類を明治以降、大槻文彦、山田孝雄などにみる。 . . . 本文を読む
位相語 若者語 流行語 位相語は国語学者の用語である。職業や集団による語彙、いわば仲間うちの符牒であるが、一般用法と隔絶するということから特殊をなすものなおで注目される。位相という語そのもののわかりにくさ、そう思うのはわたしだけか、この語用法で指し示し語彙の採集は今も変わらずに、若者語となったり、ギャル語、うちら語など、また、流行語の現象として現れる。さきの分類、語種、そして、この位相による語というのは国語による伝統分類であるから、語彙の意義分類とともに社会言語学の調査研究の対象となる。メール語あるいはスマホ語という話しことばの特化した用法、ブログの日本語にもその傾向を見ることができるので、いわば、話し言葉でも書きことばでもないような言語の現象を語彙とする必要がある。むずかしい日本語、やさしい日本語、コミュニケーションのための日本語に分類がほどこされるべきである。位相についての拡大解釈が行われているため、位相語という捉え方が、わからなくなっている要因を知るべきである。
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語の分類は、語彙分類表、日本語辞書に意義分類を項目としたもの、類語辞書などのモデルがある。日本語の分類は国語を漢語に倣って、釈儀を記す記述を行った辞書があり、和名を記載している。意味の分野での捉え方は、その工夫によって伝統的であった。意義分類体辞書と呼ぶ。和名類聚抄という、漢籍の伝来に漢語辞書を参照した、和語読みするものである。現代語の語彙に語種を立てて分類をした国語の考え方は、外来語に象徴的であった。漢語は借用語として日本語の取り入れたものであるから、同様にポルトガル語、オランダ語、英語などを日本語の語彙にとり入れる現象が語の分類を出自によるとした国語の分析である。漢語、外来語、和語として対比し、そこには混種としての複合、さらに表記による区別でカタカナ語も語種になろうとしている . . . 本文を読む