概念意味と聴覚音象徴を言語記号で図式にしたのは大学講義の受講者たち、そして弟子による書き加えであったと、草稿本のイラストから説明をする、ソシュールの一般言語学講義である。言語記号のその図には内円に絵が描かれている、円形の半分上部にクリスマスツリーの原木に似た絵柄があり、その下には仕切られた半円の中にバーでくくって、/arbor/と、ラテン語音韻が書き込まれている。円の両側、左右のサイドに矢印の上向きと下向きが添えられて、その上下の半円は行き来している。これが言語記号の模式図である。しかし講義では円に半円となる仕切り線だけが板書で示されたようで、概念と音韻による語は説明のものであったらしい。所記と能記と、小林英雄訳の難しさに、それを読みこなしたのであった。。
ウイキペディアより
>
シニフィアン(signifiant)とシニフィエ(signifié)は、フェルディナン・ド・ソシュールによってはじめて定義された言語学用語。
シニフィアンは、フランス語で動詞 signifierの現在分詞形で、「意味しているもの」「表しているもの」という意味を持つ。それに対して、シニフィエは、同じ動詞の過去分詞形で、「意味されているもの」「表されているもの」という意味を持つ。日本語では、シニフィアンを「記号表現」「能記」(「能」は「能動」の意味)、シニフィエを「記号内容」「所記」などと訳すこともある(「所」は「所与」「所要」などのばあいとおなじく受身を表わす。つまり「所記」は「しるされるもの」の意味)。なお、「能記」「所記」は『一般言語学講義』の小林英夫による訳業であり、以降広く用いられたが、現在では用いられることは少ない。
能記(読み)ノウキ
デジタル大辞泉の解説
のう‐き【能記】
《〈フランス〉signifiant》ソシュールの用語。言語記号の音声面。
所記(しょき)とともに言語記号を構成する要素。シニフィアン。
精選版 日本国語大辞典の解説
しょ‐き【所記】
(signifié の訳語) 言語記号によって意味される概念をさしていう。ソシュールによって規定された用語で、音響の面を能記と称するのに対する。シニフィエ。