読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

現代中国インドシナ半島関係小史1

2012-11-16 08:54:49 | 歴史

 中国の外洋制圧の野心は尖閣諸島だけでなく、南シナ海にも及んでいる。

 むしろ、この方面への関心、力の入れ方が上回っていると言える。

 南シナ海を取り巻く諸国との軋轢も高まっている。

 その中でも、最も中国に対抗意識を強めているのがベトナムである。


●二つの主張(宣伝)

ベトナム戦争当時、ハノイに首都を置くベトナム民主共和国(以下、北ベ
トナム)は、下記の主張をしていた。

  1.南ベトナムには、北ベトナムの正規軍はいない

  2.北ベトナムには、外国軍隊はいない

 主戦場であったベトナム共和国(以下、南ベトナム)の領土内では、南ベ
トナム民族解放戦線(以下、解放戦線)の部隊が活動していたが、主力
は北ベトナムの正規軍であった。

 北ベトナム、解放戦線の相手は、アメリカ軍、南ベトナム政府軍、および
アメリカの要請に応じて派兵した韓国軍などでだった。

 量はともかく、質に問題のある南ベトナム政府軍を含めて、いずれも『正
規軍』だった。

 当時の最新兵器で装備し、軍人としての訓練を受けた『正規軍』であった。

 農民出身者を母体として、ゲリラ戦を主体とする解放戦線にとっては、強
敵である。

 解放戦線の戦力だけでは、1975年4月に、『ベトナム戦争』が終結し
たかは疑問である。

 現実に、1968年1月の『テト(旧正月)攻勢』では、解放戦線は軍事
的には、多くの損害を受けてる。

 南ベトナムを解放(征服)し、全ベトナムを統一するためには、南ベトナ
ム領内での北ベトナム軍の軍事行動は、欠かせないものだった。

 そのため、北ベトナムは、できるだけ多くの青年を徴兵、訓練し、南ベト
ナムに送らなければならなかった。

 そうした場合、北ベトナム本土の防衛力は低下する。

●『ホーチミンルート』の戦い

 『ベトナム戦争』の戦場は、南ベトナムだけでなく、隣国のカンボジア、
ラオスにも広がっていた。

 他には、アメリカ空軍が北ベトナムの空爆、いわゆる『北爆』を行っていた。


 それだけでなく、北ベトナムから南ベトナム領内の北ベトナム軍、解放戦
線への軍需物資を輸送する『ホーチミンルート』への空爆も激しいものだった。

 北ベトナムと南ベトナムの境界線であるベンハイ川は渡れず、ラ
オス、カンボジアを迂回して、軍需物資を送っていた。

 ラオスは、ベトナム戦争については中立国でしたが、北ベトナムもアメリ
カも、まったく配慮しなかった。


●ソ連、中国の援助

 北ベトナムへの軍需物資は、ソ連(当時)、中国から送られていました。

 ソ連の援助は10億ドル(年間)、中国は5億ドル(年間)と推定されて
いる。

 それらの物資は、中国は、中国本土から陸路で北ベトナムへ送っていた。

 ソ連は、船舶で、ハノイ東南のトンキン湾に面したハイフォン港へ陸揚げ
していた。

 いずれの場合も、北ベトナムを中継している。

 その北ベトナムの中継機能を破壊すれば、南ベトナムの北ベトナム軍、解
放戦線の息の根を止められる。

 そのための北ベトナムへの空爆を『北爆』と呼んでいる。

 1964年3月から1973年1月まで(停止期間はあったが)に、北ベトナム
に投下された爆弾の量は、太平洋戦争において、日本本土に投下された量の
数倍と言われている。

 この『北爆』に対する北ベトナムの対空戦闘も激しく、アメリカ空軍の航
空機、人員の損失も莫大なものとなった。

グーグル「ネクサス4」、安いが改良点はわずか

2012-11-15 08:44:46 | パソコン
wsj日本版から

米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」は数百におよぶスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)に使われている。しかし、同社が「ザ・ベスト・オブ・グーグル」と呼ぶアンドロイドの旗艦デバイスは「ネクサス」だ。ネクサスはアンドロイドのすべての能力を世界に知らしめるようグーグルによって作られたもので、グーグルから直接オンラインで販売されている。同社は来週、その最新版のスマホ「ネクサス4」を発売開始する。

 この新しいスマホはグーグルが設計した製品ポートフォリオの一部で、これにはほかに2つの機器が含まれる。「ネクサス7」と「ネクサス10」のタブレットだ。ネクサス4は新バージョンのアンドロイドが特徴で、アップルの「iPhone(アイフォーン)」が販売初期の成功をおさめ、ノキアとHTCがマイクロソフトの新携帯用OS「ウィンドウズフォン8」を搭載したモデルを販売するなか、市場に投入される。

 筆者は、ネクサス4は革命的というより進化的だと思う。いくつかの良い機能があり、低価格というグーグルの最近のタブレット戦略の伝統を踏襲している。しかし、この新しいスマホには驚くほどのものはない。新バージョンのアンドロイドでさえ、すべてが新しいバージョンというより、「ジェリービーン」と呼ばれる既存ソフトの単なる反復である。これは昨年、ネクサスの前モデルを投入した際にグーグルが発表したソフトだ。

 また、ネクサスは2つの重要な機能を欠いている。米国で最も速い4G(第4世代携帯電話通信網)であるLTE(高速通信規格)に対応していないことと、16ギガを超えるメモリー容量をもった機種がないことだ。16ギガはたいていのスマホが初っ端から持っている容量だ。メモリー拡張用のスロットもない。最も宣伝された360度の写真が撮影できるという機能は筆者のテストではあまりうまく機能しなかった。

 それを除けば、ネクサスの最新版はしっかりとした、信頼できる電話で値ごろ感もいい。グーグルは11月13日にネクサス4の販売を開始する。通信会社との契約がない、内部メモリー容量が8ギガバイトの最も安い機種で価格は299ドル(約2万4000円)だ。メモリーが16ギガバイトで、通信会社との契約がないものは349ドルだ。別途、通信会社と契約もしくはプリペイドプランを結ぶ必要がある。同機種はベライゾンやスプリントの通信網には対応していないため、TモバイルもしくはAT&Tとの契約することになる。Tモバイルは16ギガバイト版を2年契約199ドルで販売する。韓国サムソン電子の人気機種「ギャラクシーS3」は通信会社との契約なしのものが約550ドルであることを考えるとネクサス4は安い。ギャラクシーS3も2年契約では199ドルだ。

 韓国LG電子がグーグルのために製造したネクサス4は、高い解像度の4.7インチの画面を持っている。アップルのアイフォーン5に使われている4インチのレティーナディスプレーよりも解像度が高い。ただ、画面が大きいため1インチごとのピクセル数はやや少ない。新ネクサスはアイフォーン5より20%厚く、24%重い。しかし、後ろのエッジが丸くなっているので、手の中におさまりやすい。

 電話は明瞭で信頼できる。しかし、スピーカーは音が弱く、背面にあるため、電話を握っていない時はもっと聞きにくい。

 アンドロイド4.2と呼ばれるネクサス4の速いCPUはジェリービーンの新しいバージョンの改善とあいまって、タッチ画面の反応を素早く流れるようにしている。オペレーティングシステムの新しい機能の1つは「ジェスチャー・タイピング」と呼ばれるもので、キーをタッピングする代わりに、キーからキーへスワイプして文章を作成することができる。これはよく機能したが、アンドロイド搭載の携帯電話で長い間使用されている「スワイプ」と呼ばれる機能に似ている。改善されたオートコレクション機能もいい。次の言葉を予想する機能で、例えば「月曜」と入れると「の夜」や「の朝」を提案してくれるものだ。

 しかし、最も宣伝された新しい機能で、パノラマ写真が撮影できるという「フォトスフィア」には失望した。上下でも左右でも画面を見ながら動かせば360度の画像が撮影できるというものだ。グーグルは青い点で始点を示すことで撮影しやすくしており、撮影者が中止するまで動きに合わせた画像が自動的に追加される機能だ。

 しかし、フォトスフィアを4回試した結果はいずれもお粗末なものだった。イスや屋根のほか、人間までもゆがんでムラがあった。グーグルの幹部はこの結果を説明できないと言った。

 さらに、フォトスフィアで撮影した画像は今のところ同社のグーグル+(プラス)というソーシャルネットワーク経由でしか共有できない。電子メールで送信すると静止画像で届く。

 アンドロイドの新バージョンが搭載されたネクサス4は強化されたグーグル検索機能をもっている。ただリンクを表示するのではなく回答を与えるほか、文字ではなく声で検索をかけた場合にはいくつかの回答を音声で返してくれる。しかし、これと同じ新機能はアイフォーン用の新しいグーグル検索機能にもちょうど加わったところだ。筆者のテストでは時折、アイフォーン版のほうが豊富な回答を与えてくれた。グーグル版にはない、天気の検索をすると時間ごとの気温が出てくるといったことだ。

 概してネクサス4は優秀な携帯電話だ。通信会社との契約なしのものでは特に価格も安い。しかし、筆者はアンドロイド搭載の携帯電話購入者にはLTE対応で良いスピーカーがついており、メモリーの拡張ができ、すべての通信会社で使える機器を考えるようアドバイスするだろう。

(ウォルター・モスバーグは、ウォール・ストリート・ジャーナル<電子版>の「パーソナルテクノロジー」コラム<毎週木曜日掲載>担当の記者。ウォール・ ストリート・ジャーナルで40年近く記者および編集者として勤務するほか、米CNBCネットワーク制作のテレビ番組でテクノロジー関連のコメンテーターも 務めている)

記者: Walter S. Mossberg

win7が通常モードでは立ち上らなくなって

2012-11-14 09:13:58 | パソコン
今月の10日にグーグルタブレットをwin7に繋いで
動画データーをタブレットに繋いだ後、win7がフリーズした。
システムの修復も復元ポイントの回復もセーブモードでの再起動でも
通常モードでは立ち上らなくなってしまった。
このPCを買った販売店に聞いてもクリーンインストールしかない
と言う。やむを得ずそうした。年賀状に使おうとした娘からの
携帯での写メールの写真が消えてなくなった。その写真だけは
バックアップが取ってなかったのだ。帳簿のデーターなどは
バックアップを頻繁に取ってあったのでよかったのだが。
とにかく驚いた。

アップルをめぐるもう一つ長蛇の列とは

2012-11-10 09:10:23 | パソコン
wsj日本版から

アップルのアプリストアの承認プロセスがこのところ遅いとの不平が一部の開発者から出ている。待ち時間は長い時には3週間に及ぶ。

 長々と続くプロセスは、携帯電話やタブレット端末販売の増加する年末商戦の時期を利用してゲームなどのアプリの販売を開始したいと考えている開発者にとっては特に頭痛の種となっている。ある開発者はオールシングズDに対して匿名で、「悪夢だ。これまで以上に悪い事態になっている」と話した。この開発者は、アップルはアプリ開発者に対し、予想される申請件数に基づくと、アプリの承認には最大3週間かかる可能性があると電話で警告していると明らかにした。また、年内のアプリの承認を確実にするためには、感謝祭(今年は11月22日)までに申請するよう推奨されているというが、感謝祭はほんの2週間後に迫っている。

 アップルは8日に開発者宛てに書簡を送付し、冬場の休暇期間中に業務を中断する同社慣行の一環として、この冬も1週間はアプリの承認申請のプロセスを実施しないことを喚起した。今年の中断期間は12月21~28日になるという。アップルの広報担当者はコメントを避けた。

 アプリの承認プロセスは概して、アプリを発行する企業の環境次第なので、通常というのが何を指すのかを正確に判断するのは難しいが、アップルの場合はだいたい10~14日以内にアプリを承認している。一部の開発者が通知を受けている新しいスケジュールは最悪のシナリオとなった場合のようで、一部のプロセスはこれよりずっと速いペースで実施されている。アップルのディベロッパー・ポータルによると、新規のアプリの84%と更新分の95%が過去8営業日に審査されたことになっている(ただ、この数字は10月15日以来更新されていない)。

 シャイニー・ディベロッパーという第三者のサービスがアプリ承認の待ち時間の独自調査を試み、平均の待ち時間は9日だと報告している。ただ、ツイッターでの開発者による自己報告に基づいていることから、このデータがどの程度正確かは定かでない。シャイニー・デベロップメントはまた、アップルの「Mac App Store」の承認待ち時間は平均19日だと報告している。アップルがモバイル用アプリの需要増加に対応するために資源をMacストアからiOSストアにシフトしていることから、Mac向けのアプリの承認に大幅な遅れが生じていると多くの人々はみている。

 アップルの1週間に及ぶ休暇時期はこれまでもクリスマス休暇時期のアプリ承認プロセスの遅れにつながってきた。しかし、今年は開発者の多くが、通常より早い時期からスケジュールが伸びていると指摘している。理由は明らかだ。開発業者らはスマートフォン(多機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」の最新機種で、これまでよりディスプレーが大きいアイフォーン5向けの新アプリの開発に忙しい。また、タブレット端末「iPad(アイパッド)」の小型版「iPad mini(アイパッドミニ)」向けに、開発者らはより小さなディスプレー向けのアイパッド・アプリを開発することを選んでいるため、アプリの承認申請が増えている可能性もある。さらに、開発者らはパスブックやアップルの新地図などの最新基本ソフト(OS)「iOS6」の新機能に対応するアプリの更新も必要だ。

 アップルは以前にもアプリ承認プロセスの遅さを批判されてきた一方で、グーグルのアンドロイド向けのアプリの承認には待ち時間がないことを多くの向きが歓迎している。確かにここ数年間 アップルがかつて約束していた承認時間がずれ込んでいるようだ。2010年6月に当時のスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)は提出されたアプリ全体のうち95%は7日以内に承認されていると述べていた。

[AllThingsD.comはテクノロジー、インターネット、メディアに関するニュース、分析、意見に特化したウェブサイト。さまざまなメディアスタイル、トピック、様式、情報源を融合させている。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)を発行するダウ・ジョーンズの100%子会社]

記者: Tricia Duryee

うそのツイート投稿で刑務所行きに?

2012-11-09 09:05:35 | 暮らしの中で
wsj日本版から

短文投稿サイトのツイッターでうその情報を広めたとして起訴されることがあり得るのだろうか。大型ハリケーン「サンディ」が襲来した際、ツイッターのユーザーである@ComfortablySmugはうその情報を広めた。例えば、ニューヨーク証券取引所(NYSE)が「3フィート(約90センチメートル)を超える高さの水につかっている」とか、アンドリュー・クオモ・ニューヨーク州知事が「マンハッタンで身動きが取れなくなり、安全な避難所に連れて行かれた」などといったツイートを投稿したのだ。

 ツイートはニュースを広めるという意味でプラスの効果を発揮してきた。しかし、虚偽のニュースを意図的に投稿することは、そもそも法的に問題になるのだろうか。法律専門家たちは、問題になり得るが、それにはいくつかの法的なハードルがあると指摘する。

 デューク大学のスチュアート・ベンジャミン教授(法学)は「これは混雑した劇場で誰かが偽って『火事だ』と叫ぶことの現代版だ」と述べた。これは、1919年の最高裁判決でオリバー・ウェンデル・ホームズ判事が示した有名な説明を引用したものだ。最高裁はその際、この種の発言は直ちに危険をもたらすものであり、言論の自由などを規定している合衆国憲法修正第1条によって保護されないとの判断を示した。

 ニューヨーク州は、他の多くの州と同様に、人々が特定の状況下でうその報告をするのを州法で禁じている。こうした州法は、警察にうその報告をするといった行動を訴追する際に最も多く用いられるが、うそのツイートにも適用できる、と指摘する憲法修正第1条の専門家もいる。

 ニューヨーク州の法律は「人々の不安や不便さが結果的に生じる公算が小さくない(not unlikely)状況で、破局ないし緊急事態が発生したという虚偽の報告ないし警告を発したり広めたりする」ことを罪だと定めている。 

 ニュースサイトの「バズフィード(Buzzfeed)」は、うそを報告した@ComfortablySmugのアカウントユーザーが、下院議員候補クリストファー・ワイト氏(共和)の選挙対策本部長であるシャシャンク・トリパシ氏(29)であると暴露した。これを受け、ニューヨーク市議会議員のピーター・F・バロン氏はマンハッタンの地方検事に対し、同氏を起訴するよう求めた。トリパシ氏はその後、選対本部長を辞任すると同時に、「無責任で不正確な」ツイートをしたことを「謙虚に、そして無条件に」謝罪するとツイートした。トリパシ氏にコメントを依頼したが、回答はない。同氏のNYSEに関するツイートは、ウォール・ストリート・ジャーナルを含む複数の報道関係者にリツイート(再投稿)された。 

 ワイト氏は声明の中で、トリパシ氏は過去7カ月間、選挙運動に関わっていたが、「彼がそのような行動をする人物だとは全く思っていなかった」と述べた。

 地方検事のオフィスにコメントを要請したが、回答はない。起訴手続きは行われていない模様だ。 

 ニューヨークの法律を適用して起訴する場合、連邦最高裁が今年示した画期的な判決、つまり「自分は戦争の英雄だ」とうそをつくことが犯罪だとする法律を無効にした判決(U.S. v. Alvarez)に立ち向かわなければならないだろう。最高裁は、うそをつくことは、多くのケースにおいて保護されるべき言論だとの判断を示し、それがいかに不快に思えるようなものであってもそうだと指摘した。ただし、一部のうそは明確に処罰対象とされる。例えば偽証がそれで、公式の問題について政府にうそをついたり、政府を代表して発言しているかのように話すことだ。 

 カリフォルニア大学ロサンゼルス校のユージーン・ボロク教授(法学)は、最高裁のAlvarez判決が出たにもかかわらずニューヨークの州法が有効で適用可能との見方を示した。ただし、同時に同法の文言の一部が不明確過ぎており、逆に訴えられて敗訴する恐れがあると述べた。同教授は、先の戦争の英雄に関するAlvarez裁判で、スティーブン・ブライヤー最高裁判事が「犯罪の行為ないし破局」についてうそをつくことを禁じる法律の合憲性を認めていると指摘した。 

 同教授は「わたしは、今回のツィートの一件にAlvarezと同じ問題が存在するとは思わない。あいまいさの問題が潜在的に存在するのだ」と述べ、それはニューヨーク州法の文言、例えば「公算が小さくない(not unlikely)」という文言だと指摘した。 

 一方、前出のデューク大学のベンジャミン教授は、ニューヨーク州法に異議があるとすれば、それは、人を警戒させるようなツイートが、政府に虚偽の報告や警告を送るのと同じか、あるいは、類似した効果を持つかどうかに左右される公算が大きいと述べた。政府に対するうその報告や警告は、人を驚かすようなツイートよりも処罰対象になりやすい。同教授は、裁判所がこの2つが同じでなかったと判断すれば、被告側弁護人は、うそのツイートを罰する法律は憲法に違反して適用が広範すぎるとの強力な主張ができるだろうと述べた。 

 テキサス大学のデービッド・アンダーソン教授(法学)はニューヨーク州法について別の問題を指摘した。同教授は「この法律を適用してトリパシ氏を起訴するというのであれば、これをなぜ報道機関の起訴に使えないのかを説明する明白な理由がないことになる」と言い、「残念ながら報道機関は、(ニューヨーク州法にあるように)人々の不安や不便さが結果的に生じる公算が小さくない(not unlikely)状況で、犯罪、破局、それに緊急事態が差し迫っていると報じる場合が時々ある(そして実際には空振りに終わる)からだ」と述べた。

 トリパシ氏を起訴するよう求めた前出のバロン議員は元検事でもある。同議員は、トリパシ氏を実際に起訴した場合、検察側が困難に直面することを認めた。同議員は、検察側は同氏が「話をでっち上げて物議を醸そうとした」ことを証明しなければならないからだと語った。

 同議員は「今回のように、多くの人々が情報を入手する手段としてツイッターが使われ始めている。ソーシャルメディアは概して良い仕事をした」と述べながらも、「(トリパシ氏のように)理由もなく人々を怖がらせようとする人が出てきたのは残念だ」と話した。

記者: Joe Palazzolo

韓国・現代自動車、燃費を誇大表示

2012-11-08 08:50:53 | 経済
wsj日本版から

米環境保護局(EPA)は2日、韓国の現代自動車 KR:005380 -7.21% と起亜自動車が2010年から米国で販売した約90万台の車について、新車に貼られるラベルの燃費が誇大表示されていたと発表した。

 両社の親会社である現代自動車グループは、燃費推定値がEPAの調査結果と異なることを認め、ラベルに間違った燃費が記載されていた乗用車やスポーツ用多目的車(SUV)を購入した消費者には補償することを発表した。また、両社とも2012・13年モデルの1ガロン当たりの推定走行距離を引き下げた結果、12年モデル全体の平均燃費は1ガロン当たり27マイル(リッター約11.5キロ)から26マイルに低下する。

 宣伝よりも実際の燃費が低い13年モデルは、現代自動車の「アクセント」、「エラントラ」、「ジェネシス」、「サンタフェ」、「ツーソン」、「ベロスター」。起亜自動車では、「リオ」、「ソレント」、「ソウル」、「スポーテージ」。12年モデルでは、これらに起亜「オプティマ」のハイブリッド車と現代「ソナタ」のハイブリッド車が加わる。

 該当車の所有者は、EPAによる総合燃費との相違分に対し、居住地のガソリン価格と実際の走行距離に基づいて算出された金額をデビットカードで受け取ることになる。

 現代自動車では高速道路走行時の燃費が1ガロン当たり約40マイルであることを中心に宣伝してきたため、今回のニュースは手痛い打撃となる可能性がある。ハイウェイ走行時の燃費が40マイルと宣伝されていた現代自動車の「エラントラ」、「アクセント」、「ベロスター」と起亜自動車の「リオ」の燃費は実際には40マイルを下回る。いずれも小型自動車だ。

 EPAによる調整後、現代自動車のベストセラー車の1つ、「エラントラ」の燃費は、これまで宣伝されていた1ガロン当たり市街地29マイル/高速道路40マイルから市街地28マイル/高速道路38マイルに下がる。

 現代自動車はこれまで、ゼネラル・モーターズ GM +0.43% (GM)とフォード・モーター F -0.71% を揶揄(やゆ)した「セイブ・ジ・アスタリスクス(星印倹約)」キャンペーンを展開してきた。これら米自動車会社では1ガロン当たり40マイルの燃費を提供する車種の場合、特別な修正や追加技術を施し、時には広告でそれに星印をつけて強調していることを皮肉ったものだ。現代自動車は、例えば「エラントラ」では特別な燃料節約オプションのない標準装備の車種でも1ガロン当たりの走行距離は40マイルだと宣伝していた。 EPAは、現代自動車と起亜自動車の主張する燃費に関し、他の自動車メーカーからの問い合わせや、ラベル通りの燃費が達成できないとする消費者からの苦情を受けて調査を開始していた。

 フォードは自社のテスト施設にジャーナリストを招待し、高度な燃費モニターを装着したフォード「フォーカス」と現代自動車の「エラントラ」を運転してステッカーで宣伝されている燃費を達成できるかどうか試させるという実験も行なっている。

 一方、現代自動車はこれまで燃費に関する苦情には取り合わず、また、「ポピュラー・メカニクス」や「カー・アンド・ドライバー」といった雑誌はそれぞれ独自にテストした結果、ラベルの燃費は正しいと発表していた。

 各自動車メーカーはEPAに燃費推定値を提出し、認証を受け取ってからラベルを新車のガラスに貼り付けて消費者に燃費情報を提供する。EPAは時に応じて各自動車メーカーをもっと総合的に調査する。

 EPAはその声明で「現代自動車の推定燃費に関して多くの苦情が消費者から寄せられていた。EPA燃料排出ガス研究所(NVFEL)の専門スタッフによる継続的な監査プログラムを通じて、12年型『エラントラ』のEPAによるテスト結果と現代自動車がEPAに提出した情報との間に食い違いがあることが観察された」と述べている。

 EPAはこの数カ月間、ソウル郊外にある現代・起亜自動車の研究開発施設でテストを行い、10年に同社が燃費のテスト方法を変更した際に誤りがあったことを見つけた。ただし米国で現在販売されている一部の車種はEPAが2010年前に承認した条件でテストされているため、影響を受けない。

 同社広報担当者は「反論するつもりはなく、消費者には返金する。燃費と顧客からの信頼が一番大切なことだ」と述べた。

 顧客への補償金のコスト推定値は発表されていないが、数千万ドル規模になるとみられる。

 計画では、現代または起亜の自動車所有者はディーラーへ行って走行距離計をチェックしてもらい、ラベルに記載されていた燃費が正しかったらどれだけ節約できたかを計算する。広報担当者によれば、該当車を所有している限り所有者は補償金を継続して受け取ることができる。

 新車ラベルの推定燃費が訂正された後は、新車の購入者には補償金は提供されない。08年9月に同社は、20年までに標準燃費基準を1ガロン当たり35マイルに引き上げるという米国規制を現代自動車も起亜自動車も15年に達成する計画を発表しているが、広報担当者は、現行車両の推定燃費が引き下げられたことによる目標達成への影響はないとした。

記者: Evan Ramstad、Mike Ramsey

アイパッドミニの製造コストは約188ドル

2012-11-07 09:35:02 | 経済
wsj日本版から

米アップルのタブレット端末「iPad(アイパッド)」の新たな製品ライン「iPad mini(アイパッドミニ)」が2日、発売された。列に並んでアイパッドミニを手に入れた世界中の多くの人たちの中には、上から落としたり、水に浸したりして早速、耐久性や耐水性を試す人もいれば、アイパッドミニをテレビのお笑い番組のネタに利用している人もいる。さらに、この小さなかわいらしい端末をバラバラにすることを待ち切れなかった人たちもいる。米調査会社IHSアイサプライのアナリストたちだ。アイサプライはIHSに買収される前から、その「解体」分析リポートで広く知られているが、アイパッドミニに関しても早速リポートを作成した。その結果は次のようなものだ。Wi-Fiのみ対応の記憶容量16ギガバイトの基本モデルは、最低小売価格329ドル(約2万6500円)だが、その製造コストは188ドル。記憶容量32GBと64GBのモデルも用意されており、それぞれメモリー容量が大きい分だけコストも増えるが、利益もかなり増える。32GBモデルの追加コストは90ドルで、64GBモデルの追加コストは162ドル。

 解体分析によって、材料コスト―製造業界用語で言うところの部品構成表(BOM)―以外にも、一部の主要サプライヤーも明らかにされている。

 そのうち、最も目に付く部品が7.9インチのタッチ式ディスプレーだが、韓国のLGディスプレイと台湾の友達光電(AUオプトロニクス)が供給元であることが分かった。ディスプレー関連の部品コストは約80ドルでBOM全体の約43%を占める。GF2という前世代の機種よりも薄型化を可能にする新しい技術が採用されている。IHSのアナリストで、解体分析チームを統括するアンドリュー・ラスウェイラー氏によると、その新技術は差し当たりディスプレーのコストを押し上げる結果になっており、製造会社にとってやや頭の痛い問題となっている。だが、いずれ製造プロセスの不備が解決されれば、そうしたコストも下がるだろう。

 今回も韓国のサムスン電子がA5プロセッサーを供給している。サムスンとアップルはここ最近は特許をめぐって世界各地で激しい法廷争いを繰り広げているが、そうなる前から両者は長年にわたって提携関係を維持している。

 ただし、サムスン以外にもサプライヤーを選択できる部分に関しては、そうしているようだ。基本ソフト「iOS(アイオーエス)」を搭載したこれまでの世代の機種については、メモリーチップとディスプレーの両方をサムスンから購入していたが、アイパッドミニでは別のサプライヤーのものを採用しているようだ。これは、やはり今年発売されたアップルのスマートフォン(高機能携帯電話)の最新版「iPhone(アイフォーン)5」にも当てはまるようだ。

 IHSが調査したアイパッドミニは、フラッシュメモリーは韓国の別の半導体メーカー、SKハイニックス製のものが、システムメモリーは日本のエルピーダメモリ製のものが採用されていた。IHSによると、メモリーチップのコストは約15.50ドル。

 ラスウェイラー氏によると、その他の部品はこれまでの機種にも採用されていたメーカーのものだ。オーディオチップは米シーラスロジック製で、加速度センサーはスイスのSTマイクロエレクトロニクス製。加速度センサーとはアイパッドの動きを検知するためのもので、ディスプレーの縦横の表示の切り替えに使用されている。いつも通り、カメラに関しては供給元の特定はほぼ不可能だった。無線チップは米ブロードコム製で、チップが組み込まれた無線モジュールは村田製作所製。

記者: Arik Hesseldahl

スポーツへの関わり方に変化?

2012-11-04 09:10:23 | 健康
wsj日本版から
三菱UFJリサーチ&コンサルティングが今年9月5-7日に15-69歳の男女各1000人(計2000人)を対象に実施したインターネットによる「スポーツマーケティング基礎調査」によると、昨年の同時期に実施された結果よりやや改善を示した。ただし、スポーツ市場の本格的な回復基調に戻っとはいいにくい。今回の調査では、スタジアム観戦市場が5462億円(2011年5196億円)、用品購入市場が8897億円(同9603億円)、施設利用・会費市場は1兆5155億円(同1兆3844億円)で、スポーツ参加の市場規模全体では2兆9514億円と昨年の2兆8642億円を上回った。

しかし、昨年は東日本大震災で消費や心理面で影響がみられたことを考慮し、リーマン・ショック直後の2008年と比較してみた。その結果、スタジアム観戦、用品購入、施設利用・会費市場の各市場で大きく落ち込んでおり、全体の市場規模も4年前の4兆1198億円から1兆円以上も縮小していることがわかった。

スポーツ観戦や参加について聞いたところ、「参加も観戦も好き」「参加する方が好き」「観戦する方が好き」は、若干ながら、いずれも前年を下回った。反面、「参加も観戦も関心はない」は上昇している。

こうした調査から、日本人のスポーツへの関わり方にわずかながら変化が出てきたことがうかがえる。団体競技や対戦相手のある競技の人気は減少傾向が続く反面、費用がかからず1人で手軽にできるスポーツを好む傾向が鮮明になっている。

例えば、「実際にしているスポーツ」はウォーキングとジョギング、「今後したいスポーツ」はやはりウォーキングがトップだった。逆に費用がかかるゴルフは「実際に–」の第3位だが、「今後–」の中には入っていない。

調査ではまた、もっとも最も好きなスポーツは野球となり、よく観るスポーツでは、サッカーが野球を抜いた。

好きなスポーツ選手は9年連続でイチロー選手が1 位となり、今年のロンドン五輪で活躍した体操の内村選手が2 位に躍進した。また、英国プレミアリーグに移籍した香川真司選手は4位に入った。

総務省が今月7日にまとめた調査でも同様の結果が示されている。それによると、全般的に団体競技や対戦相手のある競技への参加は低下し、男女ともウォーキングや軽い体操をした人の割合が高く、手軽で幅広い 年齢層で行われるスポーツが広がりをみせているという。

総務省のまとめでは、スポーツをした人の割合は20年間で一貫して低下している。ゴルフはバブル末期の1991年をピークに下落傾向がみられる。テニスやスキー・スノーボードも同様だ。また、野球とバレーボールも低下傾向が続いている。逆に、サッカーの人気は緩やかながら上昇傾向を示す。

三菱UFJリサーチでは、メジャーな競技への関心が薄れている要因として、経済の縮小による影響を挙げている。一方、総務省ではウォーキング人口の増加を挙げ、高齢化が背景になっている可能性を指摘する。

記者: 吉池 威

PCが消滅に向かっていると思える新たな証拠

2012-11-02 09:08:12 | パソコン
wsj日本版から
 今やパソコン(PC)への死亡宣告が、単なる脅しではなくなったかもしれない。

PCの販売は落ち込むなかで、アイパッドは勢いを増すばかり
 PCの販売台数を調査するハイテク関連調査会社のガートナーとIDCの2社がPC市場について驚くべき数字を発表した。ガートナーによると、今年7~9月期の世界のPC出荷台数は前年同期比8.3%縮小した。IDCによれば減少幅は8.6%だ。

 米ソフトウエア大手マイクロソフト MSFT -0.10% の次世代基本ソフト(OS)「ウィンドウズ8」の発売が今月下旬に控えていることから、今回の急落は結局一時的な現象だったという結果に終わる可能性もある。しかし、アップルは現在、四半期ベースで数千万台のタブレット端末「iPad(アイパッド)」を販売しており、従来のアイパッドより小さい新型アイパッドの発売も待たれている。アイパッドの今年7~9月期の販売台数は1700万台と、前年同期比で84%急増した。

 一方で、IDCとガートナーによると、今年7~9月期に出荷されたPCの台数は約8800万台にとどまった。オンライン小売大手の米アマゾン・ドット・コムは、タブレット型端末「キンドル・ファイア」の販売台数を公表していないが、今年に入って製造ラインに大幅な更新を加えるほど成功している。さらに、グーグル GOOG +0.93% も画面の大きさが7インチのタブレット端末「ネクサス7」を投入しており、この市場はさらなる競争激化が予想される。

 ウォール・ストリート・ジャーナルの先の報道によると、市場調査会社のIHSアイサプライは、世界のタブレット端末の販売台数が今年は前年比85%増加し1億2660万台になるとの予想を示している。昨年はアイパッドが世界のタブレット端末市場の約60%を占めていた。

 米ヒューレット・パッカード(HP)やデル、中国の聯想(レノボ)グループなどのPCの販売台数は引き続き、タブレット端末市場を大幅に上回っているが、PCとタブレット端末の販売の曲線はまさに反対方向に向かっているようだ。

 PC出荷台数の低迷には多くの理由があるようだ。ウィンドウズ8の発売が間近に迫っていることや、景気見通しをめぐる懸念などだ。

 しかし、主因は非常に明白だ。PCの代わりとしてタブレット端末の台頭だ。

記者: Matthew Lynley

アップル、アイパッドミニで離れ業 ,難点は解像度

2012-11-02 09:07:13 | パソコン
wsj日本版から

米アップル AAPL -1.44% のタブレット端末「iPad(アイパッド)」はテクノロジー市場に一大現象を巻き起こした。当初はスマートフォン(高機能携帯電話)とノート型パソコンの中間に位置する500ドルの端末の必要性を多くが疑っていたが、発売からわずか2年半で販売台数は1億台に上る。競合機種はいずれも市場に大きな影響力を与えることはできていない。だが、アイパッドにも問題がないわけではない。ノート型パソコンよりはずっと小さく、重さはわずか652グラム、厚さは9.4ミリだが、電子書籍を読むときなど長時間持っているには重すぎるし、通常両手が必要だ。9.7インチの画面は使用感はいいが、持ち運ぶには大きすぎてカバンを選ぶ必要がある。

 そこでアップルは11月2日、さらに小さい別の機種「iPad Mini(アイパッドミニ)」を発売することにした。アイパッドミニは、アイパッドと全く同じように機能し、同じアプリを実行できる。タブレット向けに最適化された27万5000種類のアプリに加え、アイパッドとアップルのスマホ「iPhone(アイフォーン)」とに共通の基本ソフト(OS)「iOS(アイオーエス)」向けに開発された70万を超えるアプリだ。

 アイパッドミニは、重さはわずか308グラムで、厚さは134.7ミリ。標準のアイパッドよりも53%軽く、23%薄い。幅はアイパッドが185.7ミリであるのに対して、アイパッドミニは134.7ミリだ。

 代表製品のアイパッドを縮小するにあたってアップルは離れ業をやってのけた。7インチ画面搭載の主要なライバル機種と比較して明らかに薄くて軽く、それでいて画面は7.9インチと大きいタブレットを見事開発した。さらに本体は、サイズがもっと小さいライバル機種に使用されているプラスチック材ではなく、アイパッドと同じしっかりとしたアルミニウムとガラス材が採用されている。

 小型タブレット市場の2大ライバル機種、米インターネット検索大手グーグル GOOG +0.76% の「Nexus(ネクサス)7」と米ネット通販大手アマゾン・ドット・コム AMZN -2.24% のタブレット端末「Kindle Fire(キンドル・ファイア)HD」とは異なり、アイパッドミニは背面にもカメラが搭載されている。また、キンドル・ファイアHDとは異なり、Wi-Fiだけでなく、携帯電話通信にも対応したモデルも用意されている。バッテリーの持ちも非常にいい。

 ただし、ネクサス7とキンドル・ファイアHDと比較して2つマイナス点がある。1つは、両機種が199ドル(約1万6000円)であるのに対して(注:キンドル・ファイアHDはスクリーンセーバーにうっとうしい広告がつかない機種は214ドル)、アイパッドミニは最も安い機種で329ドルだ。2つ目は画面解像度が、ライバル2機種が1280 x 800であるのに対して、アイパッドミニは1024 x 768と劣ることだ。筆者がアイパッドミニを数日試用してみたところ、期待どおりに動作した。小型でありながらアイパッドの使用感がそのまま実現されている。標準のアイパッドで使用しているアプリはミニでも完璧に動作した。片手で使用することもできるし、長時間持っていても疲れることはなかった。唯一の不満は、ポケットに入れるにはやや幅が広すぎることだ。また、画面解像度は標準のアイパッドに使用されているディスプレー「Retina(レティナ)」と比較して大きく後退している。

 だが、厚さはネクサス7やキンドル・ファイアHDよりも約30%薄い。重さも、ネクサスと比較して約9%、キンドル・ファイアHDと比較して約22%軽い。幅はキンドル・ファイアHDよりはやや小さいが、ネクサスよりは約11%広い。筆者は片手でラクに持つことができたが、もっと手が小さい人にとってはやや幅がありすぎるかもしれない。

 アイパッドミニはライバル2機種よりも薄くて軽いにもかかわらず、書籍やウェブページなどのコンテンツの閲覧に使用する画面は約35%も大きい。コンテンツを見たり、読んだりするのも、タップ(指で画面を叩く)やスワイプ(指を画面上で滑らせる)操作も筆者はラクだと感じた。唯一の不満はキーボード。画面を横向きにしているときは問題ないが、縦にしているときは、ちょっと窮屈な感じだ(標準のアイパッドと比較して、ミニは縦向きに持つことが多いことに気づいた)。

 厳しいバッテリー駆動テストも行ってみた。画面輝度を75%に設定し、動画を連続再生したまま、Wi-Fiに常時接続して電子メールを受信したところ、アップルがうたっている10時間という駆動時間を超え、10時間27分持った。キンドル・ファイアHDよりは約1時間長いが、ネクサス7よりは約17分短い。

 カメラの性能は非常にいい。120万画素の前面カメラを使用して数回ビデオチャットをしてみたが音声も映像もクリアだった。また、500万画素の背面カメラは写真も動画も非常にきれいに撮れた。ステレオスピーカーの音質も筆者の耳にはいいと感じられた。

 なのになぜアップルはミニの画面解像度を低くしてしまったのか。標準のアイパッドにも、アップルのパソコン「Mac(マック)」の最新機種にも高解像度のディスプレーが使用されているというのに。

 アップルによると、標準のアイパッド向けアプリを改良せずにミニでも実行できるようにするには、2種類の解像度から選ぶしかなかった。1つは標準のアイパッドに使用されている極めて高い解像度だが、それを選択した場合、コストが高くなり、バッテリー駆動時間は短くなる。もう1つがミニに採用された解像度で、これは初代アイパッドとアイパッド2に使用されていたものと同じだ。両機種とも大ヒット商品であり、アイパッド2はいまだに399ドルで市販されている。

 妥当な理由ではあるが、これは最大のライバル機種と異なり、ミニでは動画を高解像度で再生できないということだ。アップルは、同社の動画・音楽配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」経由で入手した動画であれば、ミニで再生しても標準の解像度よりも鮮明だと主張している。アイチューンズではミニ向けに動画を調整し、標準と高解像度の中間の画質で提供しているからだという。アップルは、他の一部サービスでも同様にする予定だとしている。

 だが、純粋な高解像度再生ができないとなると、動画視聴好きの人にはネクサスやキンドル・ファイアHDの方が有利だ。筆者のテストでは、映像はきれいに表示されていたが、標準のアイパッドほど美しくはなかった。

 携帯電話通信対応モデルは、価格は459ドルで、発売は数週間後になる予定。

 329ドルという価格は、アイパッドを買いたいけれども予算が限られている人にとってちょうどいい値段かもしれない。だがアップルは、ミニの主な魅力は価格ではなく、その小ささと軽さにあると考えている。

 アイパッドを愛用しているか、欲しいと思っているけれども、大きすぎる、または重すぎると考えている人にとっては、アイパッドミニはぴったりの選択肢だ。

(ウォルター・モスバーグは、ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)の「パーソナルテクノロジー」コラム(毎週木曜日掲載)担当の記者。ウォール・ストリート・ジャーナルで40年近く記者および編集者として勤務するほか、米CNBCネットワーク制作のテレビ番組でテクノロジー関連のコメンテーターも務めている)

記者: Walter S. Mossberg