読書など徒然に

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グーグル「ネクサス4」、安いが改良点はわずか

2012-11-15 08:44:46 | パソコン
wsj日本版から

米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」は数百におよぶスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)やタブレット(多機能携帯端末)に使われている。しかし、同社が「ザ・ベスト・オブ・グーグル」と呼ぶアンドロイドの旗艦デバイスは「ネクサス」だ。ネクサスはアンドロイドのすべての能力を世界に知らしめるようグーグルによって作られたもので、グーグルから直接オンラインで販売されている。同社は来週、その最新版のスマホ「ネクサス4」を発売開始する。

 この新しいスマホはグーグルが設計した製品ポートフォリオの一部で、これにはほかに2つの機器が含まれる。「ネクサス7」と「ネクサス10」のタブレットだ。ネクサス4は新バージョンのアンドロイドが特徴で、アップルの「iPhone(アイフォーン)」が販売初期の成功をおさめ、ノキアとHTCがマイクロソフトの新携帯用OS「ウィンドウズフォン8」を搭載したモデルを販売するなか、市場に投入される。

 筆者は、ネクサス4は革命的というより進化的だと思う。いくつかの良い機能があり、低価格というグーグルの最近のタブレット戦略の伝統を踏襲している。しかし、この新しいスマホには驚くほどのものはない。新バージョンのアンドロイドでさえ、すべてが新しいバージョンというより、「ジェリービーン」と呼ばれる既存ソフトの単なる反復である。これは昨年、ネクサスの前モデルを投入した際にグーグルが発表したソフトだ。

 また、ネクサスは2つの重要な機能を欠いている。米国で最も速い4G(第4世代携帯電話通信網)であるLTE(高速通信規格)に対応していないことと、16ギガを超えるメモリー容量をもった機種がないことだ。16ギガはたいていのスマホが初っ端から持っている容量だ。メモリー拡張用のスロットもない。最も宣伝された360度の写真が撮影できるという機能は筆者のテストではあまりうまく機能しなかった。

 それを除けば、ネクサスの最新版はしっかりとした、信頼できる電話で値ごろ感もいい。グーグルは11月13日にネクサス4の販売を開始する。通信会社との契約がない、内部メモリー容量が8ギガバイトの最も安い機種で価格は299ドル(約2万4000円)だ。メモリーが16ギガバイトで、通信会社との契約がないものは349ドルだ。別途、通信会社と契約もしくはプリペイドプランを結ぶ必要がある。同機種はベライゾンやスプリントの通信網には対応していないため、TモバイルもしくはAT&Tとの契約することになる。Tモバイルは16ギガバイト版を2年契約199ドルで販売する。韓国サムソン電子の人気機種「ギャラクシーS3」は通信会社との契約なしのものが約550ドルであることを考えるとネクサス4は安い。ギャラクシーS3も2年契約では199ドルだ。

 韓国LG電子がグーグルのために製造したネクサス4は、高い解像度の4.7インチの画面を持っている。アップルのアイフォーン5に使われている4インチのレティーナディスプレーよりも解像度が高い。ただ、画面が大きいため1インチごとのピクセル数はやや少ない。新ネクサスはアイフォーン5より20%厚く、24%重い。しかし、後ろのエッジが丸くなっているので、手の中におさまりやすい。

 電話は明瞭で信頼できる。しかし、スピーカーは音が弱く、背面にあるため、電話を握っていない時はもっと聞きにくい。

 アンドロイド4.2と呼ばれるネクサス4の速いCPUはジェリービーンの新しいバージョンの改善とあいまって、タッチ画面の反応を素早く流れるようにしている。オペレーティングシステムの新しい機能の1つは「ジェスチャー・タイピング」と呼ばれるもので、キーをタッピングする代わりに、キーからキーへスワイプして文章を作成することができる。これはよく機能したが、アンドロイド搭載の携帯電話で長い間使用されている「スワイプ」と呼ばれる機能に似ている。改善されたオートコレクション機能もいい。次の言葉を予想する機能で、例えば「月曜」と入れると「の夜」や「の朝」を提案してくれるものだ。

 しかし、最も宣伝された新しい機能で、パノラマ写真が撮影できるという「フォトスフィア」には失望した。上下でも左右でも画面を見ながら動かせば360度の画像が撮影できるというものだ。グーグルは青い点で始点を示すことで撮影しやすくしており、撮影者が中止するまで動きに合わせた画像が自動的に追加される機能だ。

 しかし、フォトスフィアを4回試した結果はいずれもお粗末なものだった。イスや屋根のほか、人間までもゆがんでムラがあった。グーグルの幹部はこの結果を説明できないと言った。

 さらに、フォトスフィアで撮影した画像は今のところ同社のグーグル+(プラス)というソーシャルネットワーク経由でしか共有できない。電子メールで送信すると静止画像で届く。

 アンドロイドの新バージョンが搭載されたネクサス4は強化されたグーグル検索機能をもっている。ただリンクを表示するのではなく回答を与えるほか、文字ではなく声で検索をかけた場合にはいくつかの回答を音声で返してくれる。しかし、これと同じ新機能はアイフォーン用の新しいグーグル検索機能にもちょうど加わったところだ。筆者のテストでは時折、アイフォーン版のほうが豊富な回答を与えてくれた。グーグル版にはない、天気の検索をすると時間ごとの気温が出てくるといったことだ。

 概してネクサス4は優秀な携帯電話だ。通信会社との契約なしのものでは特に価格も安い。しかし、筆者はアンドロイド搭載の携帯電話購入者にはLTE対応で良いスピーカーがついており、メモリーの拡張ができ、すべての通信会社で使える機器を考えるようアドバイスするだろう。

(ウォルター・モスバーグは、ウォール・ストリート・ジャーナル<電子版>の「パーソナルテクノロジー」コラム<毎週木曜日掲載>担当の記者。ウォール・ ストリート・ジャーナルで40年近く記者および編集者として勤務するほか、米CNBCネットワーク制作のテレビ番組でテクノロジー関連のコメンテーターも 務めている)

記者: Walter S. Mossberg