読書など徒然に

歴史、宗教、言語などの随筆を読み、そのなかで発見した事を書き留めておく自分流の読書メモ。

路上生活の男児5人がごみ箱内で死亡、中国社会-格差社会に怒り

2012-11-22 09:15:35 | 経済
wsj日本版から

5人の少年たちが遺体で発見されたごみ箱
中国南西部の貴州省畢節(ひっせつ)市で大型ごみ箱の中で暖をとろうとしていたホームレスの男児5人が死亡する事故が発生した。中国社会に衝撃を与え、インターネット上では国内の貧富の格差に対する怒りの声が広がっている。 国営新華社通信が20日、警察当局の話として報じたところによると、死んだのは9歳から13歳までのストリート・チルドレン(路上で暮らす子どもたち)で、寒さから身を守るためにごみ箱の中で火を付けた。そして、一酸化炭素中毒にかかって死亡したとみられている。5人の遺体は16日に発見された。

 マッチで暖を取ろうとして、大みそかに亡くなる貧乏な少女を描いたハンス・アンデルセンの童話「マッチ売りの少女」をほうふつさせる事故で、ショッキングなニュースとして報じられている。子どもたちが住んでいた畢節市は炭鉱が豊富にあるものの、貧しく、汚職がまん延している都市として有名。住民の多くは出稼ぎに出て、子供の養育を祖父母や親戚に委ねているケースが少なくない。

 この事故のニュースは、ミニブログの「微博」で注目ニュースのトップ近くになった。あるブロガーは「マッチ売りの少女の話は資本主義社会だけで起きるものだと思っていた。中国の社会制度は優越感をもたらすものなのだろうか」とつぶやいた。

 子どもたちの死亡のニュースは、中国共産党大会が開催され、退任した胡錦濤党総書記が演説で「共産党の指導で、人民は貧困から脱し繁栄を享受するようになった」と胸を張っただけに、演説と現実との落差を際立たせるものとなった。

 新たに総書記に就任した習近平氏にとって、貧富の格差はさまざまな問題のうち最優先課題のうちの1つで、米テキサスA&M大学のガン・リー教授賀が最近実施した調査によると、中国の所得層上位10%が所得全体の56%を占め、貧富の格差は一部のアフリカ諸国以上に広がっている。中国が経済改革に着手した1978年には、ほとんどの世帯の所得はほぼ同水準だった。

 ネット上では、政府よりも死んだ男児の親を非難する書き込みもあったが、多くの怒りの矛先は政府に向かっている。あるブロガーは「都合が悪い時は最初に指導者が逃げ出すような社会で、誰が貧困層やホームレス、孤児のことを考えるのか」と、政府を批判した。しかし、このコメントはしばらくして削除された。

記者: Josh Chin