この曲はもう随分前に作りました。今年31歳になる息子がまだ小学校高学年の頃ですから17,8年前です。宮崎に住んでいる大学時代の親友から突然電話が入りました。長く勤めた会社を辞めたいというのです。愚痴をいうようなヤワは男ではなかったのですが、よほど苦しかったのでしょう。私は辞めたらとは言えず、かといって頑張れよという安易な言葉も言えませんでした。そして、1週間でこの曲を作り送りました。
「人が泣きながら生まれてくるのは、
生きていく苦しみを生まれながらに知っているから」
という意味のセリフがシェイクスピアの『リア王』の中で見つけました。このモチーフをずっと心に貯めていたのですが、経理責任者としてリストラを実行しようとしていた彼のことを想っていたらこの言葉を浮かんできて曲が生まれました。
その後、彼は傾きかけた会社を立て直し、ブロイラー業界では宮崎県で一番の会社に育て上げました。宮崎県で一番ということは日本一ということです。しかし、その重責はもともと心優しかった彼の体をむしばんでいきました。そして昨年の3月すい臓ガンで亡くなりました。一昨年の秋宮崎で32年ぶりの再会を果たし、昨年の2月には夫婦で長崎旅行まで一緒に行きました。その一ヶ月後に亡くなったのです。私は思いっきり胸を締め付けられました。まだ墓参りもできす、今も引きずっています。3回忌には宮崎に行って墓参りしようと思っています。
今まで人のために作った曲が3曲あります。一番最初は兄の結婚の際、兄嫁に捧げる曲(「今私は嫁いでゆく」)でした。2番目がこの曲です。3番目は息子が高校生になったときに作った「天からの贈り物」という曲です。今回のアップで全曲Youtubeにアップできました。(「春を待ち」は愛犬ハッピーに捧げた曲のなので省きます)
<生きる>
人は泣きながら 生まれてくる
生きる苦しみを 知っているのか
人は多くのことを 学びながら
何故か人を傷つけ 涙まで失う
人の群れの中で 心に羅針盤を
人の群れの中で 花に心奪われ
人の群れの中で 哀れを知り我を知る
人は悲しみながら 心を深くする
生きている喜びを じっと噛み締めながら
人は笑いながら 心を育てる
過ぎ行く時の流れを そっと惜しみながら
人の群れの中で 心に羅針盤を
人の群れの中で 花に心奪われ
人の群れの中で 哀れを知り我を知る