GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

映画「スリー・デイズ」と「ラ・マンチャの男」

2012年05月29日 | Weblog

 退職したくせに、非常に忙しかった5月もそろそろ終わりです。一番の趣味の映画も弱冠本数が減少しつつありますが、お奨め映画を一本ご紹介します。*他の秀作(「トランジット」)、「復活の日」(小松左京原作の旧作日本映画ですが、とても良くできていました)

 TSUTAYAでレンタルしてきたポール・ハギス監督の「スリー・デイズ」です。状況証拠から殺人犯として結審されてしまった妻を、大学教授の夫(脱ラッセル・クロウ)が、無実だという妻の言葉を信じ、脱獄不可能と言われてる刑務所から見事に脱獄成功するサスペンス映画物語です。

            

 映画の中で大学の授業でセルバンスが1605年の出版した『ドン・キホーテ』の話が出てきます。(この映画のテーマにもなっている)「善を信じることは、善そのものそのものより重要である」というテーマが、映画の根底にも流れています。さらに映画の授業では、新たなテーマが語られます。「理性的な考えが心を破壊する。理性を失うことで、それに打ち勝つ。私たちは世界秩序を構築し時計やカレンダーに従い、天気も予測する。だが、人生を自分で支配できているか?」と。映画もまさにこの展開となります。このあたりが脚本家で名を上げたポール・ハギスの真骨頂と云えます。私は彼が脚本を書いたクリント・イーストウッド監督の最高傑作「ミリオンダラー・ベイビー」以降、彼が関わるすべての作品を追い続けています。大ファンと言っていいですね。

*ポール・ハギスが脚本家・監督・として名を連なる映画を紹介しておきます。
「007/慰めの報酬」 (2008)
「告発のとき」 (2007)
「硫黄島からの手紙」 (2006)
「007/カジノ・ロワイヤル」 (2006)
「父親たちの星条旗」 (2006)
「クラッシュ」 (2004)

 

 この映画からまったく離れてしまいますが、お気を悪くしないで下さい。これがGOODLUCK流なので、どうかお許しを。高校3年生の頃、アーサー・ヒラー監督作品「ラ・マンチャの男」(絶対がっかりしない名作です。主演ピーター・オトゥール、共演ソフィア・ローレン)を見て、難波駅から自宅まで泣きながら帰ってきたことがあります。ミュージカル映画は苦手な私ですが、この作品は、最も印象に残っているミュージカル映画の一つです。(一番好きなミュージカルは「マイ・フェア・レディ」) 
『ドン・キホーテ』(「ラ・マンチャの男」の別名)を書いたセルバンテスが、神を冒涜すると刑務所に入れられます。暇な囚人達は、刑務所に入れられるほどの本の内容なのか、改めて刑務所内で裁判を行います。囚人を物語の登場人物役にしたてて、『ドン・キホーテ』を演じ始めるという展開に仰天しました。今以上に天然だった私は映画館でしばらく席を立てませんでした。自宅に帰って4歳上の大学生の兄に「とても感動した」と話すと、兄もすぐに見に行きました。そして、私にこう云ったのを良く覚えています。「どこがおもろいねん!」と怒られてしまったからです。

 原作の『ドン・キホーテ』は、聖書の次に世界的に出版されており、正真正銘のベストセラー小説・ロングセラー小説でもある。2002年5月8日にノーベル研究所と愛書家団体が発表した、世界54か国の著名な文学者100人の投票による「史上最高の文学百選」で1位を獲得した。主人公の自意識や人間的な成長などの「個」の視点を盛り込むなど、それまでの物語とは大きく異なる技法や視点(メタフィクション)が導入されていることから、最初の近代小説ともいわれる。(ウキペディアより)

○五木寛之原作の『親鸞』の中で「信じること」をこのように語られています。
 『信じるというのは、はっきりした証拠を見せられて納得することではない。
 信じるのは物事ではなく、人です。
 その人を信じるがゆえに、その言葉を信じるのです』(●メンター)

               
 私は「ラ・マンチャの男」を見て、すぐに映画の「フーテンの寅さん」を思い出しました。シリーズ全編、寅さんの天然的言動に、ヒロイン以外の誰もがバカにしているのですが、最後には寅さんの100%の純粋さに周囲のすべての人が心を動かされる内容です。だからまさに帝釈天のドン・キホーテです。山田洋次監督も私の言い分を決して否定しないと思っています。

 私自身も天然を自認しています。周囲の知人の中には、とても残念ですが、それを蔑みに近い視線を送ってくる人も存在します。天然人の右脳的言動は幼い頃から、いまだに変わりません。比較的いい言葉を用いて<天然>を形容すると、「一所懸命」、「熱し易い」、「夢中になりやすい」が当てはまりそうです。知り合ってから35年目に突入した連れ添いにも同じ波動を感じました。だから一緒になったように今では分析しています。 

 彼女は私との結婚生活をいまだに「何だかクラブの合宿生活みたい」と形容しています。夫として最大限の褒め言葉として感じている私は、改めて天然だと自覚せざるを得ないようです。(苦笑)

                



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