GOODLUCK'S WORLD

<共感>を大切に、一人の男のスタンスをニュース・映画・本・音楽を通して綴っていきたい

「キムタクと織田裕二の相違」

2008年08月07日 | Weblog
 3回目の映画、「HERO」を見ながら先日まで放送されていたキムタクのTV「CHANGE」を思い出していました。昨年の映画「武士の一分」を見たときも思ったことですが、キムタクはたとえ時代劇であろうと、検事や総理大臣を演じようが、どこでも金太郎飴の如く<キムタク>を演じています。それは西部劇の大御所ジョン・ウエインが、どの映画でもジョン・ウエインを演じたのとよく似ています。最近ではデンゼル・ワシントンやモーガン・フリーマンがそうですが、アカデミー主演男優賞を獲得したデンゼルの「トレーニング・デイ」では今までと全く違った超悪人刑事を演じたのが印象に残っていますが…。

 織田裕二君は、最近始まったTVドラマ「太陽と海の教室」、映画「椿三十郎」、 TV「冗談じゃない!」、映画「県庁の星」、TV「ラストクリスマス」、映画「ホワイトアウト」(このときの織田はとてもいい)、そしてメガヒットした「踊る大捜査線」シリーズ等があります。彼は決して性格俳優でもないのに、様々な役柄を演じようとしているように思えてなりません。しかし、彼をスーパースターにした湾岸署の青島俊作役のイメージがあまりに強烈で、他のどの役もしっくりきません。007シリーズで名を上げたショーン・コネリーがシリーズ降板以降、様々な作品で<男>を演じ続けてきましたが、大きな成功を収められなかった事と似ているように思えてなりません。

 「風とライオン」の重厚な演技は、その後の「レッドオクトーバーを追え!」や「ザ・ロック」、「エントラップメント」の演技の元となっており、私の好きなコネリー映画の一つですが…。彼が再びスターとしてカムバックしたのはケヴィン・コスナー主演映画「アンタッチャブル」で、素晴らしい老警官を演じて助演男優賞を獲得してからでした。

 キムタクには織田君の青島俊作ほどの当たり役はありませんが、どのTVドラマや映画でも決して役柄としての冒険はありません。強いて云えば時代劇「武士の一分」が上げられますが、演技や語り方に変わりませんでした。往年のスター三船敏郎の役者として演じ方、語り方も、どの映画でもほとんど変わらなかった事と似ています。

 最近では原田芳雄や桃井かおり、、現在ではキムタクや柴咲コウはどこを切っても金太郎が如く、演技や語り方は同じ。見ている人にとってキムタクの語りは安心できて心地はよいですが、役柄としての冒険はほとんどありません。総理大臣を演じた「CHANGE」での演説と「HERO」での検事としての演説にセリフの内容まで似通っています。つまりあるべき姿のキムタク像が監督、脚本家をはじめ、すべてのスタッフに共通認識されているのでしょう。見ていて演技やセリフ、シーンの雰囲気にほとんどズレがなありません。

 織田裕二君の場合はそういった意味では、青島俊作役をなんとか脱皮しようと様々な役柄に挑戦しており、キムタクを遥かに凌ぐ苦心を感じます。名プロデユーサー亀山千広氏は大変二人を良く知っていると思いますが、製作する際の企画・立案には苦労されているのは織田君の方だと思います。今度は何をやらせようか?どんな役柄がいいのか? これではスタッフの共通認識が取りにくく、セリフや行動、状況設定に違和感を感じることが多いのも当然かと思われます。

 私がもし織田裕二君の為に映画を企画するなら、「ホワイトアウト」でテロリストに激寒のダムを占拠され、孤軍奮闘する主人公が最も良かったように思えるので、日本版ダイ・ハードのような映画を押したいと思います。特殊な環境・トラブルに放り込まれた彼が、様々なトラブルに体を張ってボロボロになりながらも自分自身を成長させ、最後には周囲を巻き込んで問題に対処していく物語がいいかな? なんて考えます。

 しかし、冒険を犯すなら松田優作氏が「ブラックレイン」で残忍なヤクザを見事に演じました(いまだにあのギラギラした優作の目が忘れられません。マイケル・ダグラスも高倉健もアンディー・ガルシアも演技で圧倒していました)が、あのような本物の悪役に挑戦して欲しいと思います。同じ語りしかできないキムタクにはできない役に思えるからです。しかも、日本ではなくハリウッドになぐり込みをかける勢いで。織田君、どうでしょうかね?

 キムタクの語りは時代劇向きではないのが残念ですが、やはり現代物が無難な選択だと思われます。組織の中に突然、天然の異物(キムタク)が入ってきて周囲を漂白・活性化していきながら問題を解決していく現代のパターンを今後も押し進めるのが一番だと思います。

 しかし、これもまた何だか私にはつまらなく感じています。これも単なる思いつきですが、日本の外事警察(日本のCIA)、もしくは公安or自衛隊のテロ対策特殊部隊に属するキムタクが過酷な訓練(「G・Iジェーン」のように出来るだけリアルでシビアに)に堪えながら成長して、北からの進入とテロに対して必死に防御するミリタリーアクションものがいいですね。(韓国映画「シュリ」のようなイメージ)


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