昨日は入居者の急患受診に付き添い、家に帰ったら夜の9時を回っていました。
何年ぶりかな~こんなに遅くまで働くのは・・・と感慨にふけったりして。
それは置いといて。
このところ「結局、熱中症だったのかな?」と後で思うようなことが多々あります。
めまい、高血圧、酸素飽和度が低下するなど、三者三様の症状に対応しました。
病院に入院中の場合はすでに病名がはっきりしている患者さんですし、何か変化があっても疾患とのつながりで予測がつくことが多いです。
何といってもすぐ医師に報告して診てもらえるので、忙しいけどその意味では楽。
施設や在宅の場合は、自分で判断しなければならないところが大変ですね。
高齢者の症状はあいまいで分かりにくいです。
大きな病気、たとえば解離性大動脈瘤とか気管支炎の既往をもっている高齢者の酸素飽和度が下がって熱が出てきたとしましょう。
肺炎とか、血栓が飛んで肺梗塞とか、心不全とかいろいろ教科書的には考えられるわけです。
ところがご本人は「苦しくないよ。ご苦労さん」と、いたって平気で、しかも悪い顔色でにっこりするのです。
ちょっと動くとハアハアするのにね。
受診すると医師も「これは入院です」とすぐ言いましたが、点滴しながらいろいろ検査していくうちにだんだんよくなってきて「あら、入院しなくても大丈夫ですね」となりまして、3時間にわたる入院を前提にした検査をへて帰宅・・・ということもありました。
医師も首をかしげる高齢者の症状。
「熱中症で点滴が効いたんでしょうか?」とたずねると、「その可能性もありますね」
高齢者は着こみます。
デイサービスの送迎に行くと、この時期に電気毛布を「強」にし、ヒーターをつけている高齢者もいるそうです。
この季節、高齢者を見たら熱中症と思え・・・?
苦痛を感じにくくなったり、うまく訴えられなくて重大な症状がかくれていたりもします。
心配した割に大したことないことも多いけど、大したことがないと思わないのが高齢者医療の基本のキらしいです。
「老年医学とは想像と優しさの産物である。いろいろな病気や怪我を経験した医療従事者はいても、誰も老いを経験したことはない。だから、老年医学には想像で臨むしかないのだ。想像のためには優しさが大切なのだ」
岩田充永 著 「高齢者救急」
よく、医療ドラマでは爆破事件で大勢のけが人が運ばれてきたり、ドクターヘリで駆け付けたり、難しい手術を絶対失敗しないスーパードクターの医療が扱われます。
分かりやすいし、手ごたえがあるし、興奮のるつぼ。 その世界に憧れる人も多いでしょう。
しかし、この高齢化社会。
実際は
地味であいまいだけれど、想像と優しさの医療が求められていることの方が多いのではないかと思います。