恥ずかしい歴史教科書を作らせない会

改憲で「戦争する国」、教基法改定で「戦争する人」づくりが進められる今の政治が
将来「恥ずかしい歴史」にならぬように…

日朝「サラミ戦術」の「毒」

2008年10月24日 | 国会・政党・選挙
■ 「サラミ戦術」

 北朝鮮の外交は「サラミ戦術」と呼ばれることがあります。
 これは、わずかな外交カードしか持たない北朝鮮が、そのカードをさらに「小分け」にして相手から最大限の譲歩を引き出そうとする姿を、薄くスライスしたサラミを、少しずつ重ねて器に並べることで、多く見せようとすることに例えたものです。
 実際、「核」や「拉致」の問題は遅々として進んでいないのに、「テロ支援国家解除」どころか、いつの間にか「エネルギー支援」まで具体化されつつあるのですから、この「サラミ戦術」、なかなかの侮れない「毒」をふくんでいるようです。
 さて最近ではこの戦術が、日本でも目に付くようになりました。
 もっとも、この日本版「サラミ戦術」は外交ではなく、もっぱら「内政」面で使わる戦術です。

■ 政府・与党の「譲歩」

 近頃は毎日のように、経済対策の政府案・与党案が報じられています。
 確かに「いざなぎ景気以上の好景気」などと言われた時代も下がり続けた平均所得、広がり続けた所得格差、そこに折からの物価高騰と金融危機が追い討ちをかけている現状において、こうした経済対策は必要です。
 しかし、その中身はどうなのでしょうか。
 残念ながら、北朝鮮の外交上の「譲歩」並みだと言わざるを得ません。

■ 「実効性」なき政府・与党案

 例えば、先日発表されたものに、来年度からの「雇用保険料率の値下げ」がありました。
 現在の1.2%という料率を、1.0%に下げることで、労使合わせて3千億円の削減になるというものでした。総額3千億円と言えば聞こえは良いのですが、月25万円の給与の人で言えば、負担が減るのは毎月250円です。
 さらに、政府は今もまだ「社会保障費の自然増の2200億円削減」という方針を掲げたままですから、その分、医療・年金・介護・障がい者福祉などその他の分野に影響が出ることは間違いありません。

 また、地域の雇用支援のための基金設立は「10万人雇用増」をうたっていますが、「基金」に使われる予算は総額で2500億円。しかも「基金」ですから、これを直接使うわけではなく、「運用」で出てきたお金を雇用の支援に充てるというものです。
 例えば年4%という「運用」ができたとして、ようやく100億円です。それを10万人で割れば、一人当たり年10万円、月額にして8千円強です。彼らは一体、どのような待遇で人を雇おうと言うのでしょうか。せめてもう2~3倍あれば、正社員化の障害になっている「企業の社会保険料負担」の足しになるでしょうが、これで「10万人雇用増」とは図々しいにもほどがあります。

 このように、政府・与党の「サラミ戦術」は、情けないほど実効性を欠いているのです。

■ 「サラミ」と「画餅」

 まだ、麻生首相からは「出血大サービス」と評されるような、「追加”選挙”対策」が飛び出しますが、所詮は、次の解散総選挙に向けた「人気取り」のための「絵に描いた餅」だと言うことは、皆様ご存知の通りです。
 そこにお付き合いして、中身を伴わない「餅」をぶら下げては、自分たちの利権にしがみ付こうとする特権官僚たちの「姑息さ」も、国民は既に見抜いていることでしょう。

 もちろん、日本国民は愚かではないと、私は思います。
 うかうかと北朝鮮の「サラミ戦術」に騙される政府・与党ほど国民は愚かではない、ということを、そろそろ彼らにも分かって頂きたいと思います。
 どちらの「サラミ」にも、結局は「毒」が塗ってあるのですから。


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