ゴルゴ13総合研究所『俺の背後に立つな!』

ゴルゴ13の全ストーリーを解説

ゴルゴ13第105巻-1バスク・空白の依頼

2007-11-04 23:55:58 | 第101巻~第105巻

■バスク・空白の依頼(第352話) 発表1993年10月

評価   ★★★★

依頼人  神父

ターゲット ETAリーダー ヴァーノン神父

報酬    不明

今回弾丸発射数       3/ 通算弾丸発射数 1,977

今回殺害人数         2/ 通算殺害人数   4,109

今回まぐわい回数     1/  通算まぐわい回数    98

<ストーリー>
依頼遂行前に記憶を失ったゴルゴ。ミッションも、自分の名前さえも忘れてしまったゴルゴは・・・

<この一言>
思い出せない・・・俺の体が、本能が”時間がない急げ”と告げる・・・どこで、何をやれと・・・?

<解説>
スペイン・バスク州のホテルに入ったゴルゴ。しかし、ゴルゴを待ち受けていた右派テロ組織「ETA 」がホテルごと爆破する。九死に一生を得、重傷を負いながら現場から逃げ延びたゴルゴは通りがかりの女に助けられたものの、記憶を失い自身の名前すら忘れてしまっていた。

自分が何者かも分からない状態にありながらも「俺の体が、本能が”時間がない急げ”と告げる・・・どこで、何をやれと・・・?」とつぶやき、ミッションを課されていることを本能的に悟るゴルゴ。女の協力を得ながら、断片的な記憶を頼りに自らの使命を想起する。やがて、洞窟にたどり着いたゴルゴは、ここが狙撃ポイントであることを確信し、銃弾の飛び交う中に身を置くことで記憶を取り戻す。

ゴルゴのターゲットは、国王を爆破テロにて葬り去ろうというETAのリーダー「ヴァーノン神父」であり、爆破スイッチを押す寸前にゴルゴの銃弾がヴァーノン神父を捉える。女はゴルゴがプロの狙撃手であることを知り、ゴルゴに殺されることを覚悟するが、ETAの放った弾丸が女を直撃。ゴルゴは亡骸となった女の手を胸の上で組ませて現場を立ち去る。

ゴルゴがビル爆破の直撃を受け、瀕死の重傷を負い記憶を失うという逼迫した展開がスリリングだ。記憶を失いながらもミッション遂行のために、自らを駆り立てる原動力はどこから来るのであろうか。銃を手にして無意識に調整し、銃と弾丸を本能に従い携行する。銃弾の雨の中に身を晒すことで記憶を取り戻す。ゴルゴの闘争本能と生存本能に驚かされずにはいられない。一方、自らを助けた女への恩を忘れないゴルゴの情も、深い感動を呼び起こす。本作は、男女の機微を描いた上質な作品として第21巻-2『海へ向かうエバ』と双璧をなす作品と言ってよかろう。ゴルゴが死者の手を胸の上で組ませるのは、第10巻-6『ラ・カルナバル』に続き2度目である。ゴルゴは自分のために命を捧げた者に対しては手篤く葬るのだ。

ズキューン

ゴルゴ13 (105)巻掲載
ゴルゴ13 (146)巻(最新刊)
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