極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

チェーホフとロリンズのカクテルで

2013年02月21日 | 日々草々

 

 

 

 


 

 

 

              父親の部屋の前を通り過ぎるときに、彼はその戸口にちらりと目をやった。
       エヴグラフ・イワーノウィッチは、服も着替えず、ベッドにも
       入らず、窓際に立って、窓ガラスをこつこつと指で叩いていた。
       「お父さん。僕はもう行きます」と息子は言った。
       「そうか……金は丸テーブルの上に置いてあるからな」父親は後ろを
       振り向きもせずにそう返事した。
       使用人が彼を馬車で駅まで送るあいだ、冷たい嫌な雨が
       ずっと降っていた……草の葉はいつもより暗く見えた。

 

          As he passed his father's room, he glanced in at the door. Yevgraf Ivanovitch,
          who had not taken off his clothes or gone to bed, was standing by the window,
          drumming on the panes. 
           "Good-bye; I am going," said his son.
           
"Good-bye... the money is on the round table... " his father answered, without
          turning round. 
           cold, hateful rain was falling as the labourer drove him to the station. 
                          The sunflowers were drooping their heads still lower, and the grass seemed 
                          darker than
ever. 


 

                    
                アントン・チェーホフ 『朝の五時に』(「重苦しい人々」より)
                                           レイモンド・カーヴァー 『滝への新しい小径』
 
                       村上春樹 訳 “Five o'clock in the morning”  

 

  

 

モダンジャズはハード・バップの大御所ソニー・ロリンズは1930年9月7日、ニューヨーク生まれる。
近くに大物C・ホーキンスが住んでいた縁で、彼に憧れテナー・サックスを吹き始め、十九歳でプロ
デビュー、F・ナヴァロを初めとする多くのバッパーと共演する。五五年C・ブラウンとの出会いは
後の彼に多大な影響を残したという。プレスティッジ、ブルーノート、コンテンポラリー、リヴァー
サイド
のレーベルに吹込む。ところで彼は二度引退しているが復帰を果たしている。ジャズ界の悩め
る巨人と称されるゆえんかる。奏法は常にロリンズ・スタイルでひたすら自己のアイデンティティを
追い求める求道家のオリエンタルな風貌を見せるが作風は、繊細で大らかだ。後期のロリンズを嫌う
も多いというが今夜は後期の『リール・ライフ』からチョイスする。七〇年代ロリンズの脇を固めた
増尾とクランショウにもう一本ギターが加わりツインギターとした。ドラムはロリンズ・ファンのジ
ャックである。カリプソからバラード、アグレッシブなもの、独奏曲まですべて揃っている。



  

   

 

  Filetti di sogliolaconsalsa all'uovo

   Filetti di sogliola all'arancia

   Filetti di sogliola ai funghi


フランスでは「魚の女王」と呼ばれるほどの舌ビラメ。これを使って今夜は、イタリア料理をソニー・
ロリンズたちのの演奏を聴きながら頂こう。勿論、お酒は「白い金麦」だ。まず、舌ビラメの卵ソー
ス和え(Filetti di sogliolaconsalsa all'uovo)。舌ビラメの切り身に小麦粉をまぶしバターで丁寧に
焼く。小さいボールに卵黄とマルサラ酒100cc、塩、コショウ少々を入れて、混ぜ合わせソースを作る。
このソースを舌ビラメにかなり火が通った頃にかけさらに少し煮続けて頂く。次は、舌ビラメのオレ
ンジソース和え(Filetti di sogliola all'arancia)。浅鍋にバターを熱し、舌ビラメを入れる。少し焼き
色がついたら、大さじ4杯のオレンジの絞り汁をかけ,さらにその上におろしたオレンジ・ビールと、
ナッツメッグひとつまみもふりかける。そのまま煮続けて、鍋の底が乾いてきたらオレンジとレモン
の汁をふりかけて仕上げる。最後に塩で味を整える。バイオレーションにソースには生クリームを加
えても良い。最後は、舌ビラメのキノコソース和え(Filetti di sogliola ai funghi
)。最初にバターとタ
マネギのみじん切りを浅鍋に入れて熱し、次に細かく切ったキノコを加え数分炒め、
さらに塩、コシ
ョウ少々とパセリのみじん切りひとつかみを入れる。その中に舌ビラメの切り身を入
れ、ブイヨンを
ふりかけながら煮ていく(ブイョンは魚、野菜、または肉の軽いブイヨンのいずれで
も良く、味を変
化させることはない)。多少煮たところで、発泡性ワインをひとふりしてアルコール
分を蒸発させる。
魚が煮上がったら鍋から取り出し、皿に盛る。煮
汁のほうは、さらに火にかけたままで、バター少々
と小麦粉をあら
かじめよく混ぜ合わせて加え、濃度をつける。このソースを魚にかける。発泡性ワイ
ンのかわりに白ワインを使ってもいいだろう。



テレビでは、奈良の女児殺害死刑囚に刑が執行されたことが報じられている。落涙やまず。

                                   


  

コメント
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