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【悪夢の11日(金)14:21から】
東日本を襲った震災が第二ステージ入りつつある。その
なかで、世界中から注目されているのが福島第一原発3
号機のプルトニウムの被曝毒性だ。
京都大学原子炉実験所 小出裕章によれば、プルトニウム
は「人類が初めて作り出した放射性核種」であり「かつ
て人類が遭遇した物質のうちでも最高の毒性」を持つと
される。その理由は
(1)プルトニウムがアルファ(α)線の放出
(2)比放射能が高い
(3)体内での代謝挙動
とされる。プルトニウムは人体には全く不必要な元素で
ある。毒性の強い元素の中には必須ミネラルで微量は人
体にとっても必要なものもあるが、プルトニウムは必須
ミネラルでさえない。
(1)はγ線・β線と比較してα線は20倍の危険である。
(2)は他の放射能物質と異なり質量が大きく、半減期
が極端に長いため毒性が最も強くなる。
(3)はα線を放出する放射性核種を吸入する場合には、
肺中での不均等被曝の問題が生じる※。
A[ベクレル/g]=1.32×1016÷半減期[年]÷質量
核種名 | 質量数 | 半減期[年] | 重量当たり放射能量 |
M | T1/2 | A | |
コバルト60 | 60 | 5 | 42,000,000,000,000 |
クリプトン85 | 85 | 11 | 15,000,000,000,000 |
トリチウム | 3 | 12 | 360,000,000,000,000 |
ストロンチウム90 | 90 | 29 | 5,100,000,000,000 |
セシウム137 | 137 | 30 | 3,200,000,000,000 |
ラジウム226 | 226 | 1.600 | 37,000,000,000 |
プルトニウム239 | 239 | 24,100 | 2,300,000,000 |
ウラン235 | 235 | 703,800,000 | 80,000 |
ウラン238 | 238 | 4,468,000,000 | 12,000,000 |
トリウム232 | 232 | 14,100,000,000 | 4,000 |
※プルトニウムを嚥下し消化管に入った場合そのおよそ
0.05%程度が吸収され、残りは排泄される。吸収された
プルトニウムは骨と肝臓にほぼ半々の割合で蓄積される。
皮膚との接触については、傷が無い限り吸収されない。
最も重要な取り込み経路は、空気中に粒子状になったプ
ルトニウムの吸入である。気道から吸入された微粒子は、
大部分が気道の粘液によって食道へ送り出されるが、残
り(4分の1程度)が肺に沈着する。沈着した粒子は肺に
留まるか、胸のリンパ節に取り込まれるか、あるいは血
管を経由して骨と肝臓に沈着する。プルトニウムは一度
吸収されると体外へ排出されにくい特徴をもつ。
生物学的半減期はウランやラジウムと比べても非常に長
く、骨と肝臓でそれぞれ20年と50年である。吸収線量あ
たりの有害さは核種や同位体によらずラジウム等と同程
度であるが、プルトニウムの扱いに特に注意が必要なの
は、まさに排出されにくいという特徴によるものである
(ウィキメディア)。
全力で、プルトニウム汚染の実態を調査し、安全である
ことを確認した上で、福島原発での冷却水が命綱であっ
たように被災地の安全な飲料水の確保が第一だろう。ミ
ネラルウォータを大量に送り届ける必要がある。‘風評
被害’を恐れる前に、現地の安定した生活を政府が保障
すること、そのことによってのみ‘風評被害’をなくせ
るのだという逆説を確信すること。そのために‘安全な
水’の確保は不可欠だ。
2010.9.18 14:15(産経新聞)
東電、プルサーマル臨界
東京電力は18日、福島第1原子力発電所(福島県大熊町
)3号機で使用済み核燃料を再利用するプルサーマル発
電のため原子炉を起動し、核分裂が連続して起こる臨界
に達した。前日深夜に起動する予定だったが、一部機器
が正常に作動しなかったため、ずれこんだ。当初予定し
ていた22日夜の発電開始も遅れる可能性がある。
東電にとっては初のプルサーマル発電で、国内では九州
電力玄海原発、四国電力伊方原発に次ぐ3基目となる。
運転開始から30年を超え、高経年化(老朽化)対策を施
している原子炉では初めてで、沸騰水型軽水炉(BWR)で
も初となる。17日午後11時の起動を予定していたものの、
直前になって緊急炉心冷却装置の配管で弁の状態を表示
するランプが正常に作動しなかったという。原因調査な
どに時間がかかった。
3月21日 WST/JAPN
Radiation in Food Rises
ところで、放射能汚染された牛乳や農産物はどう処理さ
れているのか調べてみたが適切に明示されたものは見当
たたらなかった。放射能検査関係者に聞くのが一番早い
のかもしれないが、医療用の放射能廃棄物処理のガイド
ブックなどがありそれに準じ廃棄されているのではない
かと推測することに。尤も、放射性物質の廃棄は基準が
あり固形物は施設内保管されているが(米国などでは埋
設処理されている)、微量及び基準内の気体(フィルタ
除去処理)・液体状のものは垂れ流されている様だ(下
図クリック)。
70年代の頃は反原発運動に少しは関わってしたものにと
って、今回の事故は‘やはりそうなのか?!’という率
直な思いと歴代の政府自民党が推進してきた電力政策が
頓挫し、震災復旧が落ち着いたところで見直し必至とな
るという見通しが去来する(今春の地方統一選挙は、自
公の出方如何では激論騒然となる可能性もある)。いず
れにしても原子力発電の再点検をわたし(たち)に迫る
ものと受け止め、再学習を始めさるをえない。
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3月18日、国連の安全保障理事会が、リビア上空に飛行
禁止区域を設定しリビア軍機が反政府勢力を空爆するこ
とを禁止した。19日にはフランスが戦闘機でリビア軍の
車両や施設を空爆。英米もリビア軍の地対空砲基地など
に向けて海上から巡航ミサイルを発射した。この戦争は
国連安保理の決議を経ているため、名目上は「国際社会」
とリビアとの戦争だが事実上、欧米とリビアとの戦争に
なっている。
問題はカダフィ政権が崩壊した後、すでにブログでも指
摘した‘クラッシュ症候群’による部族間対立の激化で
国内が不安的化することだ。また、今回の国連安保理決
議に棄権した中国・ソ連の行動如何では混乱に拍車が掛
かるかもしれない。この大震災と原子力発電事故に加え、
中東の民主化運動の混乱で石油・食料などの物価高騰に
よる日本国民の「健康破壊・生活破壊」という最悪のシ
ナリオが想定される。ここは頑張りどころ。
※「Fukushima 50」
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