極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

匂菫が五月になると

2009年03月03日 | 日々草々


移ろいの迅き嘆きに叱るきみ 匂い知らずやにおいすみれの


スミレは日本で古くから親しまれていた花である。いつ頃から
色名として使われるようになったかは定かではない。少なくと
も平安時代には装束の重(かさね)の色目として「菫菜」(す
みれ)と「壷菫」(つぼすみれ)というのがあった。菫菜は表
が紫で裏が薄紫、壷菫は表が紫、裏が薄めの青(今でいう緑)
となるような衣装の生地の配色であり、重色目のように紫の配
色のたとえとして菫の名が出されたことは 確かであるといわ
れる。菫色という言葉が盛んに使われるのは近代以降で欧文の
菫色(英語では
" violet" の訳語として使われるようになる。西
洋における「バイオレット」は、やや赤みを帯びた紫(パープ
,purpleに対して、青みを帯びた紫として使われることが多い。


春の野に 菫つみにと来し我そ 野をなつかしみ 一夜寝にける     山部赤人 



古代ローマでは、赤みのかった紫をラテン語 "purpura" (プー
ルプラ、貝紫色)、赤と青ほぼ等分のものを
"viola" (ウィオ
ラ、スミレの意)、青みがかった色を
"hyacinthus" (ヒュアキ
ントゥス、ヒヤシンスの意)といった。そのうち
hyacinthus
紫をあらわす一般的な色名としては使われなくなり特に
purpura
の染色が貴重なものであったためpurpura  のほうが紫の代表名
となり、英語ではこれが語源の
purple が標準色名となった。そ
して
viola  のほうは青みの紫を示すものとして使われ、英語で
は語形変化して
violet として使われている。尚、虹の7色のうち
最短波長の色である紫は、ニュートン
"violet" と定義したため、現
在でも虹の紫をさすときは正式には purple を使わずviolet という語が使わ
れるという。





定年前後の時間感覚の違いをいやというほど感じる今日このご
ろ。確かに、がむしゃらに仕事をしていた時も時間感覚が置け
ないほどに通り過ぎたが、内省してそれなりに‘充実’してい
た。明確な目的が目標が
ノルマが存在したから受動的にそう感
じられたのかも知れない。だからいまはそれがないといわけで
はないが衰えたためかとも考えた。集中力の衰えが‘充実’を
‘空虚’に変えているのかと自問する。それはかなり説得力の
あるような了解には違いないが、反面そうは思いたくないとい
う‘強がり’に似た思いが涌く。これはもう少し考えてみる必
要がある。


流れ水草に優しき分かれなれ川岸清に咲く菫かな    北川ゆきお


ということで、毎日のように、「迅やいな。まいったなぁ」と
大きな独り言を彼女は叱る。あれもこれも欲張るからよと。そ
れもそうだが、今に限ったことではない。ニオイスミレはナポ
レオンも愛したというが、なぜ、ニオイが快いのか、香り成分
ヨノンは韮のニオイと類似している。濃度の違いか?それと
も・・・。老齢期の‘仕事’と‘時間’と‘感覚’はニオイス
ミレの匂いのトライアングルな秘密と同様に、きみに叱られる
ほどに明確ではないのだと詠った。ニオイスミレ(学名:Vio-
la odorata
)は、スミレ科スミレ属の耐寒性多年草。寒さには強
いが暑さにはかなり弱い多年草である。西アジアからヨーロッ
パ、北アフリカの広い範囲に分布し、また、バラ、ラヴェンダ
ーとならぶ香水の原料花として、古くから栽培されている。


 ゲラニオール(左)とヨノン(右)


草丈
10~15cmで、茎は匍匐し、葉は根生で、他のスミレ類と同
じくハート形である。花は露地植えでは4月から5月にかけて咲
き、左右相称の5弁花で、すみれ色またはヴァイオレット・カ
ラーと呼ばれる明るい藍色が基本だが、薄紫・白・淡いピンク
などもあり、八重咲きもあるパンジーやヴィオラに比べると、
花も小さく、花付きも悪いが、室内に置くと、一輪咲いている
だけで、部屋中が馥郁たる香りに包まれるほどの強い香りがあ
る。 また、種子や根茎には神経毒のビオリン等があり、嘔吐や
神経マヒを発症することがある。ヨーロッパでは消炎剤として
利用されている。香気尊ぶ「ニオイスミレ」。花言葉は「高尚」、
「秘密の恋」。









欧米を中心に金融不安が強まったことから売り注文が先行し、
日経平均株価は続落し、バブル崩壊後の最安値をつけた昨年10
月27日以来約4カ月ぶりの安値水準。米保険大手AIGの巨額
赤字発表などから金融機関の経営への懸念が強まり、日経平均
は一時、7088円47銭まで下落。さらに、民主党の小沢一
郎代表の公設秘書が3日夜に政治資金規正法違反の疑いで東京
地検に逮捕されたことで「次期衆院選での民主党勝利でねじれ
国会が解消され、政局が収拾することを市場は織り込んでいた。
小沢問題で政治の混迷が深まればさらに悪化することが予想さ
れている。




小沢一郎公設秘書逮捕劇は「国策捜査」の匂いがする(「堅香
子と墨子再考
」)。だとすれば、これは混乱を助長し『平成世
界恐慌
』の扉を開ける引き金となる可能性もある。このまま各
国の首脳が無能ぶりを晒すと、ナチスの台頭許した独国と同様
に打ちひしがれた各国々民が「ニヒリズム革命」(=虚無的破
壊国民運動)に駆り立てられていく最悪のケースも想定される
というものだ。早急に、民意を問う総選挙を経て、『日本版平
成ニューディール体制』(小沢-与謝野体制)を構築しなけれ
ばならないはずだった。




このブログを書いている間にも事態は刻々進んでいる。昨年の
退職の壮行会時に、「この不況のため二年間は身動き取れず」
「経済的損失額は約二千兆円(⇒後日、五千兆円に訂正)」「
五月は大不況を脱するか恐慌に突入するかの分水嶺」と関係者
にいってきた。だから、「匂菫が五月になると」と題したばか
りだ。まさか、この時点でそれが早まるかも知れないとは予想
だにしていなかった。





映画『おくりびと』で「石文」という言葉をはじめて知った。
「石文」、人が言葉を持たなかった時代、思いを伝えるために
石を渡した風習という。脚本家小山薫堂は、向田邦子だという。
これはこの映画のキラーツールとして使われ、放蕩の末鄙びた
漁村で死んだ父親と再会し、手に握りしめてられた「石文(碑)
」。父親の納棺を執り行うことで和解する。これは言い換える
と「自然崇拝」×「祖霊信仰」(=神道)という超宗教を背景
とした日本人の生死感、日本人の心をこのシーンに凝縮させた
んだと思えるが、ひょっとして、制作者らの意図を越えたシー
ンの創作に成功したのかもしれない。




【S氏への返信】

それは良かった。彦根は素晴らしいところだ。なぜなら悩める
わたしがいるからだ (^^) 。こちらに来るからには南フランス
のハーブ豊かな我が家はいつでもウエルカムだ。ところで、現
在ロボット工学に興味があるとのことだが、二足歩行、四足歩
行やアンドロイドだけがロボットでないことは、25年前腐食
液中の微量濃度の遊離酸の自動濃度測定の開発にはじめてロボ
ットを導入した経験から、人・動物型だけでなく植物型等にも
拡張すべきだと、寧ろ後者の方が大規模で、応用展開が進むと
みている。例えれば半導体工場や植物工場のクリーンルームの
環境制御ロボットだ。そう、家の壁がロボットということも可
能だ。植物の葉緑素は、日差しの強い日中は紫外線による損傷
を避けるために自働的に回避陣形をとる。これぞ、『天地人』
即ち、『工』を象徴する自然事象例だ。


                       映画「ブレードランナー」 

コメント (2)
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