スミレは日本で古くから親しまれていた花である。いつ頃から
色名として使われるようになったかは定かではない。少なくと
も平安時代には装束の重(かさね)の色目として「菫菜」(す
みれ)と「壷菫」(つぼすみれ)というのがあった。菫菜は表
が紫で裏が薄紫、壷菫は表が紫、裏が薄めの青(今でいう緑)
となるような衣装の生地の配色であり、重色目のように紫の配
色のたとえとして菫の名が出されたことは 確かであるといわ
れる。菫色という言葉が盛んに使われるのは近代以降で欧文の
菫色(英語では " violet" )の訳語として使われるようになる。西
洋における「バイオレット」は、やや赤みを帯びた紫(パープ
ル,purple)に対して、青みを帯びた紫として使われることが多い。
春の野に 菫つみにと来し我そ 野をなつかしみ 一夜寝にける 山部赤人
古代ローマでは、赤みのかった紫をラテン語 "purpura" (プー
ルプラ、貝紫色)、赤と青ほぼ等分のものを "viola" (ウィオ
ラ、スミレの意)、青みがかった色を "hyacinthus" (ヒュアキ
ントゥス、ヒヤシンスの意)といった。そのうち hyacinthus は
紫をあらわす一般的な色名としては使われなくなり特に purpura
の染色が貴重なものであったため、purpura のほうが紫の代表名
となり、英語ではこれが語源の purple が標準色名となった。そ
して viola のほうは青みの紫を示すものとして使われ、英語で
は語形変化してviolet として使われている。尚、虹の7色のうち
最短波長の色である紫は、ニュートンが"violet" と定義したため、現
在でも虹の紫をさすときは正式には purple を使わずviolet という語が使わ
れるという。
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定年前後の時間感覚の違いをいやというほど感じる今日このご
ろ。確かに、がむしゃらに仕事をしていた時も時間感覚が置け
ないほどに通り過ぎたが、内省してそれなりに‘充実’してい
た。明確な目的が目標がノルマが存在したから受動的にそう感
じられたのかも知れない。だからいまはそれがないといわけで
はないが衰えたためかとも考えた。集中力の衰えが‘充実’を
‘空虚’に変えているのかと自問する。それはかなり説得力の
あるような了解には違いないが、反面そうは思いたくないとい
う‘強がり’に似た思いが涌く。これはもう少し考えてみる必
要がある。
流れ水草に優しき分かれなれ川岸清に咲く菫かな 北川ゆきお
ということで、毎日のように、「迅やいな。まいったなぁ」と
大きな独り言を彼女は叱る。あれもこれも欲張るからよと。そ
れもそうだが、今に限ったことではない。ニオイスミレはナポ
レオンも愛したというが、なぜ、ニオイが快いのか、香り成分
のヨノンは韮のニオイと類似している。濃度の違いか?それと
も・・・。老齢期の‘仕事’と‘時間’と‘感覚’はニオイス
ミレの匂いのトライアングルな秘密と同様に、きみに叱られる
ほどに明確ではないのだと詠った。ニオイスミレ(学名:Vio-
la odorata)は、スミレ科スミレ属の耐寒性多年草。寒さには強
いが暑さにはかなり弱い多年草である。西アジアからヨーロッ
パ、北アフリカの広い範囲に分布し、また、バラ、ラヴェンダ
ーとならぶ香水の原料花として、古くから栽培されている。
ゲラニオール(左)とヨノン(右)
草丈10~15cmで、茎は匍匐し、葉は根生で、他のスミレ類と同
じくハート形である。花は露地植えでは4月から5月にかけて咲
き、左右相称の5弁花で、すみれ色またはヴァイオレット・カ
ラーと呼ばれる明るい藍色が基本だが、薄紫・白・淡いピンク
などもあり、八重咲きもあるパンジーやヴィオラに比べると、
花も小さく、花付きも悪いが、室内に置くと、一輪咲いている
だけで、部屋中が馥郁たる香りに包まれるほどの強い香りがあ
る。 また、種子や根茎には神経毒のビオリン等があり、嘔吐や
神経マヒを発症することがある。ヨーロッパでは消炎剤として
利用されている。香気尊ぶ「ニオイスミレ」。花言葉は「高尚」、
「秘密の恋」。
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欧米を中心に金融不安が強まったことから売り注文が先行し、
日経平均株価は続落し、バブル崩壊後の最安値をつけた昨年10
月27日以来約4カ月ぶりの安値水準。米保険大手AIGの巨額
赤字発表などから金融機関の経営への懸念が強まり、日経平均
は一時、7088円47銭まで下落。さらに、民主党の小沢一
郎代表の公設秘書が3日夜に政治資金規正法違反の疑いで東京
地検に逮捕されたことで「次期衆院選での民主党勝利でねじれ
国会が解消され、政局が収拾することを市場は織り込んでいた。
小沢問題で政治の混迷が深まればさらに悪化することが予想さ
れている。
小沢一郎公設秘書逮捕劇は「国策捜査」の匂いがする(「堅香
子と墨子再考」)。だとすれば、これは混乱を助長し『平成世
界恐慌』の扉を開ける引き金となる可能性もある。このまま各
国の首脳が無能ぶりを晒すと、ナチスの台頭許した独国と同様
に打ちひしがれた各国々民が「ニヒリズム革命」(=虚無的破
壊国民運動)に駆り立てられていく最悪のケースも想定される
というものだ。早急に、民意を問う総選挙を経て、『日本版平
成ニューディール体制』(小沢-与謝野体制)を構築しなけれ
ばならないはずだった。
このブログを書いている間にも事態は刻々進んでいる。昨年の
退職の壮行会時に、「この不況のため二年間は身動き取れず」
「経済的損失額は約二千兆円(⇒後日、五千兆円に訂正)」「
五月は大不況を脱するか恐慌に突入するかの分水嶺」と関係者
にいってきた。だから、「匂菫が五月になると」と題したばか
りだ。まさか、この時点でそれが早まるかも知れないとは予想
だにしていなかった。
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映画『おくりびと』で「石文」という言葉をはじめて知った。
「石文」、人が言葉を持たなかった時代、思いを伝えるために
石を渡した風習という。脚本家小山薫堂は、向田邦子だという。
これはこの映画のキラーツールとして使われ、放蕩の末鄙びた
漁村で死んだ父親と再会し、手に握りしめてられた「石文(碑)
」。父親の納棺を執り行うことで和解する。これは言い換える
と「自然崇拝」×「祖霊信仰」(=神道)という超宗教を背景
とした日本人の生死感、日本人の心をこのシーンに凝縮させた
んだと思えるが、ひょっとして、制作者らの意図を越えたシー
ンの創作に成功したのかもしれない。
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【S氏への返信】
それは良かった。彦根は素晴らしいところだ。なぜなら悩める
わたしがいるからだ (^^) 。こちらに来るからには南フランス
のハーブ豊かな我が家はいつでもウエルカムだ。ところで、現
在ロボット工学に興味があるとのことだが、二足歩行、四足歩
行やアンドロイドだけがロボットでないことは、25年前腐食
液中の微量濃度の遊離酸の自動濃度測定の開発にはじめてロボ
ットを導入した経験から、人・動物型だけでなく植物型等にも
拡張すべきだと、寧ろ後者の方が大規模で、応用展開が進むと
みている。例えれば半導体工場や植物工場のクリーンルームの
環境制御ロボットだ。そう、家の壁がロボットということも可
能だ。植物の葉緑素は、日差しの強い日中は紫外線による損傷
を避けるために自働的に回避陣形をとる。これぞ、『天地人』
即ち、『工』を象徴する自然事象例だ。
映画「ブレードランナー」
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