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極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

エネルギーと環境 130

2025年02月06日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

                         B’z「イルミネーション」配信ジャケット
【季語と短歌:2月6日】

        雪催カーブミラーで合点する  
 
                 
                  高山 宇 (赤鬼)

🪄今朝の思いつく「ネオコンバーテック事業」。光熱変換薄膜・光反射透
膜・蓄電発電膜三位一体構造のカーブミラー設置条例運動を。ことはこれ
で終わらない。物忘れが酷くなり、法要忘れなどが増え、加え2019年の網
膜裂孔、慢性眼精疲労(16時間/日☞8時間、ブログ数3件☞1件に集約)と
対応中。


折紙工学入門

平安時代から親しまれてきた折紙.その折紙の特性を生かし工学的に応用
するために「折紙工学」が提唱されている.ソーラーセイルやハニカムコ
アなど,コンパクトに収納でき,強靭で軽量な構造物への応用が期待され,
近年では世界的にも注目を集めている.そんな折紙工学の基本的な考え方
はもちろん,新たな折紙模型創出のためのヒントまで含めてくわしく解説.
折紙と幾何学とものづくりをつなぎ,無限の可能性を秘めた折紙工学の精
髄を第一人者が語り尽くす.

第1章   折紙工学とは
第2章 幾何学の基礎
第3章 螺旋構造と折り畳みの基礎事項
第4章 折り畳みのできる模型と形が可変な立体模型
第5章 2枚貼り折紙
第6章 コアパネルと3次元のハニカムコア
第7章 折紙の工学化の課題と期待/付録



特開2022-156809 白金ナノ粒子の製造方法 大阪瓦斯株式会社

特開2024-119081 光触媒及びその製造方法 日本製鉄株式会社

特開2024-42617 水分解光触媒に用いられる半導体粒子と
それを用いた
光触媒並びにそれらの合成方法 トヨタ自動車
株式会社 

【要約】
【課題】  光による水分解反応に於いて、できるだけ安定的に高い量子効率
を達成する光触媒であって、大量合成と実用化に適した光触媒を提供でき
るようにする。

【解決手段】  チタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子に助触媒が付加さ
れて成り、光照射により水分子が酸素分子と水素分子とに分解する水分解
反応を惹起する光触媒に於いて、半導体粒子にバリウム又は更にスカンジ
ウムがドープされる。その光触媒のための半導体の合成方法は、塩化スト
ロンチウム内にてチタン酸バリウム又は更に酸化スカンジウムを混合し
た物又は塩化ストロンチウムと塩化バリウム内にてチタン酸ストロンチウ
ム又は更に酸化スカンジウムを混合した物を焼成することによりバリウム
がドープされたチタン酸ストロンチウムを含む半導体粒子を合成する工程
を含む。

【選択図】  図2(A)は、本発明の方法に従って合成された半導体粒子
を用いた光触媒により得られた量子効率であって、チタン酸ストロンチウ
ムに対するバリウムの含有量が変更された場合の値を示している。図2(
B)は、本発明の方法に従って合成された半導体粒子を用いた光触媒によ
り得られた量子効率であって、バリウムとアルミニウムの存在下で、チタ
ン酸ストロンチウムに対するスカンジウムの含有量を変更した場合の値を
示している

【符号の説明】M…メノウ乳鉢 C…アルミナ製るつぼ H…焼成炉
 V…ガラス容器 W…水溶液   L…照射光

【発明の効果】かくして、上記の本発明によれば、チタン酸ストロンチウ
ムを含む半導体粒子に助触媒が付加されて成り、光照射により水分子が酸
素分子と水素分子とに分解する水分解反応を惹起する光触媒に於ける半導
体粒子として、チタン酸ストロンチウムに対してバリウム又は更にスカン
ジウムをドープしたものを用いることにより、従前よりも、水分解反応の
量子効率の値がより高く、ばらつきが小さい光触媒が再現性よく合成でき
ることとなる。本発明の方法及び半導体粒子によれば、光触媒の量子効率
に関わる特性がより安定なものとなるので、本発明の方法及び半導体粒子
は、水素ガスの製造のための光触媒の大量合成と実用化に、より適した方
法及び半導体粒子であるということができる。


図1 本発明による半導体粒子及びそれを用いた光触媒の合成方法の工程
を説明する模式図

図3(A) 本発明の方法に従って合成された半導体粒子を用いた光触媒
により得られた量子効率であって、半導体粒子の合成に於ける焼成時の温
度を変更した場合の値を示している。図3(B)は、本発明の方法に従っ
て合成された半導体粒子を用いた光触媒により得られた量子効率であって、
半導体粒子の合成に於ける焼成時の時間を変更した場合の値を示している。
棒グラフ内に付されている数字は、その条件に於ける実験回数を示してい
る。

【発明を実施するための最良の形態】
水分解反応光触媒のための半導体粒子と光触媒の合成方法
  本実施形態による水分解反応光触媒のための半導体粒子は、塩化ストロ
ンチウム(SrCl)中にチタン酸バリウム(BaTiO)又は更に
酸化スカンジウム(Sc)、酸化アルミニウム(Al)を混合
した原料混合物(第一の合成方法に於ける原料混合物)、或いは、塩化ス
トロンチウム(SrCl)と塩化バリウム(BaCl)との混合物中
にチタン酸ストロンチウム(SrTiO)又は更に酸化スカンジウム(
Sc)、酸化アルミニウム(Al)を混合した原料混合物(第
二の合成方法に於ける原料混合物)を、SrClとBaClが融解し
て液体化する温度(ただし、BaTiO、SrTiO、Sc
Alは融解しない温度)に加熱して、SrTiOにバリウム原子
(Ba)、又は更にスカンジウム原子(Sc)若しくは更にアルミニウム
原子(Al)がドープされてSrTiOが半導体化された状態のものと
して合成される(フラックス法)。そして、光触媒は、フラックス法にて
得られた半導体粒子に対して、例えば、光電着法(photodepositing:光
析出法とも称される。)により、助触媒となる物質を付加することにより
合成される。

  より詳細には、図1を参照して、本実施形態に於いては、半導体粒子は、
開始材料が異なる二通りの合成方法により調製される。第一の合成方法に
於いては、多量のSrCl粉末にBaTiO粉末と、又は更にSc
粉末、Al粉末とが混合される。各粉末の好ましい割合は、以下の
如くである。
  100モル部のBaTiOに対して、
      SrCl:500~2000モル部
      Sc:0.1~5モル部
      Al:0~5モル部(Alは、含まれていなくてもよい。)
  また、第二の合成方法に於いては、多量のSrCl粉末とBaCl
末との混合物にSrTiO粉末と、又は更にSc粉末、Al
粉末とが混合される。各粉末の好ましい割合は、以下の如くである。
  100モル部のSrTiOに対して、
      SrCl+BaCl:1000モル部
      (SrClとBaClのモル比は、1:9~9:1)
      Sc:0.1~5モル部
      Al:0~5モル部(Alは、含まれていなくてもよい。)
  上記の粉末の混合は、例えば、メノウ乳鉢(M)内にて粉砕(grinding)
することにより為されてよい(30分程度)。
 しかる後、上記の粉末の原料混合物は、焼成用のるつぼ、例えば、アルミ
ナ製のるつぼ(C)に移され、焼成炉(H)にて焼成される(図1(B))。
この工程に於いて、焼成温度は、上記の如く、SrClが融解して液体
化する温度(874℃以上)又はSrClとBaClが融解して液体
化する温度(962℃以上)であって、BaTiO、SrTiO、Sc
、Alは融解しない温度(1625℃以下)であってよく、後述
の如く、本発明の発明者等による実験によれば、焼成温度は、例えば、
1000~1200℃程度であってよく、好適には、1100~1200
℃であってよい。また、原料混合物を上記温度に曝す焼成時間は、SrTi
にBa又は更にSc若しくは更にAlがドープされ、SrTiO
半導体化された状態となるのに十分な時間であり、本発明の発明者等によ
る実験によれば、後述の如く、焼成時間は、10~30時間であってよく
好適には、30時間程度であってよい。

 上記の焼成工程の後、焼成物が常温まで冷却すると、るつぼ(C)に水蒸
留水でよい。)が加えられ、超音波攪拌機などにより超音波をかけて攪拌し
つつ、るつぼ内の焼成物を粒子として水中に分散し、更に、吸引ろ過など
により、焼成物が回収されてよい。かかる粒子状の焼成物が本実施形態に
よる光触媒のための半導体粒子P(Ba-SrTiO、Ba-Sc-Sr
TiO又はAl-Ba-Sc-SrTiO、Al-Ba-SrTiO
)である。そして、回収された半導体粒子Pは、水にて洗浄されてよい。
かかる洗浄は、洗浄水のpHが7となり、洗浄水に塩素が含まれなくなる
まで実行されてよい。かくして、半導体粒子は、洗浄後、乾燥されてよい。
【0026】
  上記の半導体粒子を光触媒として機能させるためには、半導体粒子の結晶
面に於いて助触媒が付加される。かかる助触媒は、光による水分解反応に
於いて、半導体粒子にて光の照射により生じた電荷(電子と正孔)の半導
体粒子
の表面まで移動してきた後に、それらの電荷が再び半導体粒子内部
へ逆行することを防止するものと考えられている。本実施形態に於いて、
助触媒は、任意の手法に半導体粒子に付加されてよく、典型的には、既に
触れた如く、非特許文献1の場合と同様に、光電着法によって、水中に分散
された半導体粒子の結晶面に助触媒を析出させることにより、助触媒が半導
体粒子
に付加されてよい。具体的には、まず、半導体粒子がガラス容器な
どの透明な容器内にて水中に分散される(図1(C))。なお、半導体粒子
が一様に分散されるように、半導体粒子の分散された水(半導体粒子分散
液)に対して超音波が印加されてよい。しかる後、助触媒の原料となる塩
類が添加され、光Lが照射されて、半導体粒子Pの表面に助触媒となる金
属酸化物を析出させる処理が実行される(図1(D))。
【0027】
  より詳細には、半導体粒子Pの表面に付加する助触媒として、非特許文献
1の場合と同様に、酸化ロジウム-クロム(Rh/Cr)と水酸化酸
化コバルト(CoOOH)を用いる場合、以下の如く、工程が実行されて
よい。即ち、まず、塩化ロジウム(RhCl)水溶液が、半導体粒子分散
液へ、半導体粒子の量に対して、ロジウム(Rh)が0.1wt%となるよ
うに加えられ、半導体粒子分散液にキセノンランプ(300W,20mA)の光が
大気圧下で10分間照射される。次に、クロム酸カリウム(KCrO
水溶液が、半導体粒子分散液へ、半導体粒子の量に対して、クロム(Cr)
が0.05wt%となるように加えられ、キセノンランプ(300W,20mA)
の光が大気圧下で5分間照射される。そして、硝酸コバルト(Co(NO
)水溶液が、半導体粒子分散液へ、半導体粒子の量に対して、コバルト
(Co)が0.05wt%となるように加えられ、キセノンランプ
(300W,20mA)の光が大気圧下で5分間照射される。そうすると、図1
(D)に模式的に描かれている如く、半導体粒子Pの表面に、Rh-Cr
酸化物とCo水酸化酸化物とが付着され、かくして、調製された合成物が、
光による水分解反応を惹起する光触媒として機能することとなる。なお、
光電着法による半導体粒子の表面への助触媒の付加工程に於いて、半導体
粒子
分散液に加えられる助触媒のための塩類の濃度は、適宜調節されてよ
い。本発明者による実験によれば、例えば、助触媒のための塩類の濃度を
上記の4倍にすると、量子効率が大幅に低下することが見出されているの
で、かかる塩類濃度は、過剰にならないように調節されることが好ましい。
また、半導体粒子の表面への助触媒の付加は、光電着法の他、含浸法(分
散液に塩類を添加して熱を加える。)によっても為されてもよい。
【0028】
  上記の本実施形態による合成方法により調製された半導体粒子の性能は、
助触媒が付加されて光触媒能が付与された状態で、光による水分解反応に
於ける量子効率[水素分子×2/照射光子数]を測定して評価される。か
かる半導体粒子の性能に関して、後述の実験例から理解される如く、半導
体粒子
の組成(ICP-MSにより検出)に於いて、100重量部のチタ
ン酸ストロンチウムに対して、バリウムの含有量が0.1~2重量部であ
る場合に約70%又はそれ以上となる量子効率が安定的に与えられる(0.1
重量部のスカンジウムの含有時)。また、半導体粒子の組成に於いて、100
重量部のチタン酸ストロンチウムに対して、0.7~0.8重量部のバリ
ウムの存在時には、スカンジウムの含有量が0.1~1重量部であるとき
には、70%を超える量子効率が得られる(スカンジウムがない場合には、
量子効率は、30%程度である。)。なお、アルミニウムの有無は、100
重量部のチタン酸ストロンチウムに対してアルミニウムが1重量部を下回
る条件に於いて、量子効率に有意な差は認められなかった。また、開始材
料が第一の合成方法である場合と、第二の合成方法である場合との間で、
量子効率に有意な差は認められなかった。従って、本実施形態によれば、
チタン酸ストロンチウムに対してバリウム、又は更に、スカンジウムがド
ープされた状態の半導体粒子を合成し、それを用いて光触媒を調製するこ
とにより、安定的に且つより高い量子効率を与える半導体粒子及び光触媒
が提供できることとなる。
【0029】
実験例
  上記の本実施形態の教示に従って、チタン酸ストロンチウムにバリウム又
は更にスカンジウム、アルミニウムをドープした半導体粒子とそれを用い
た光触媒を合成し、光触媒の量子効率を測定し、本実施形態の有効性を検
証した。なお、以下の実験例は、本実施形態の有効性を例示するものであ
って、本発明の範囲を限定するものではないことは理解されるべきである。
【0030】  半導体粒子の合成は、上記の工程に従って行った。具体的に
は、まず、上記の第一の合成方法に於いては、SrCl粉末、BaTiO
粉末、Sc粉末及びAl粉末を種々の割合にて、第二の合成方
法に於いては、SrCl粉末、BaCl粉末、SrTiO粉末、Sc
粉末及びAl粉末を種々の割合にて、メノウ乳鉢にて、30分間
に亙り粉砕混合した。粉末の混合物は、アルミナ製のるつぼに移した後、
焼成炉にて、焼成温度と焼成時間とを種々設定して焼成した。なお、焼成
工程に於いて、室温から焼成温度までの昇温は2時間にて行い、焼成時間
の経過後、6時間をかけて室温まで放冷した。放冷後、焼成物の入ったる
つぼ内へ蒸留水を加え、超音波攪拌機で超音波を印加して攪拌し、るつぼ
内の焼成物(るつぼ内壁に付着したものも分散された。)を粒子状にして
水中に分散し、吸引ろ過により、回収した。その後、回収した粒子状の焼
成物を蒸留水により洗浄した。洗浄に於いては、洗浄後の水のpHをpH
試験紙を用いて確認するとともに、洗浄後の水中の塩素の有無を、洗浄後
の水に0.1M硝酸銀を加えて塩化銀が発生するか否かで確認し、洗浄後
の水のpHが7となり、塩素が検出されなくなるまで、洗浄を行った。そ
して、洗浄後の粒子状の焼成物、即ち、半導体粒子は、70℃にて乾燥し
た。半導体粒子の組成は、ICP-MSにより検出した。
【0031】
  上記の半導体粒子を用いた光触媒の調製に於いては、耐熱ガラス容器(4
00ml)に於いて、100mgの半導体粒子粉末を蒸留水100ml中
に分散した。そして、まず、塩化ロジウム(RhCl)水溶液を、半導
体粒子
分散液に、半導体粒子の量に対して、ロジウム(Rh)が0.1wt
%となるように加え、半導体粒子分散液をキセノンランプ(300W,20mA)
の光にて大気圧下で10分間照射し、次に、クロム酸カリウム(KCr
)水溶液を、半導体粒子分散液に、半導体粒子の量に対して、クロム
(Cr)が0.05wt%となるように加え、上記と同様に半導体粒子
散液をキセノンランプ(300W,20mA)の光にて大気圧下で5分間照射し、
最後に、硝酸コバルト(Co(NO)水溶液を、半導体粒子分散液に、
半導体粒子の量に対して、コバルト(Co)が0.05wt%となるよう
に加え、上記と同様に半導体粒子分散液をキセノンランプ(300W,20mA)
の光にて大気圧下で5分間照射した。なお、キセノンランプによる光の照
射は、ガラス容器に石英盤の蓋をして行った。かくして、処理後の半導体
粒子
分散液を、そのまま、光触媒の分散された溶液(光触媒分散液)とし
て、量子効率の測定に用いた。
【0032】
  光触媒の量子効率の測定に於いては、先ず、光触媒分散液の入ったガラス
容器を真空ポンプで脱気した後、アルゴンガスを充填することにより、ガ
ラス容器内の空気をアルゴンガスに置換した。しかる後、ガラス容器にガ
ラス配管を介してガスクロマトグラフに接続し、キセノンランプ(300W、
20mA)の光を365nmのバンドパスフィルターを介して、ガラス容器
内の光触媒分散液に照射し、水分解反応を惹起させて水素ガスを発生させ
た。水素ガスの発生量の検出に於いては、光照射を2時間実行する間にガ
ラス配管に発生した水素ガスを溜めて、溜められたガスをガスクロマトグ
ラフへ導入して、水素ガス量を検出した(測定は、20分おきに行った)。
クロマトグラフに於ける水素ガス量の検出に於いては、事前に水素ガスの
モル数が既知の標準ガスを用いて、水素モル数と水素ガスに相当する検出
データ部分の面積との間の検量線を作成しておき、その検量線を用いて、
ガラス配管からガスクロマトグラフへ導入された水素ガスの検出データ部
分の面積から発生モル数を決定した。一方、ガラス容器内の光触媒分散液
に照射された光子数については、測定に使用されるガラス容器内の光触媒
分散液に照射される全光のワット数P(単位時間当たりのエネルギー量)
をフォトダイオードセンサーで計測しておき、光触媒分散液に単位時間当
たりに入射される光子数Iを下記の式により算出した。
  I(/s)=P(W)×λ(m)/[h(J・s)×c(m/s)]
  ここで、λは、照射光の波長、hは、プランク定数、cは、光速である。
そして、量子効率は、下記の式により算出した。
  量子効率(%)=n(/s)×NA×2/I×100
  ここで、nは、単位時間当たりに発生した水素ガスのモル数、NAは、
アボガドロ数である。
【0033】
  結果に於いて、まず、バリウムの含有量を種々変更して合成された半導体
粒子
を用いて調製した光触媒にて測定された量子効率は、図2(A)の如
くとなった。なお、同図に於いて、半導体粒子に於けるバリウムの含有量
は、100重量部のチタン酸ストロンチウムに対する重量部にて表わされ
ている。また、組成に於いて、スカンジウムが0.1重量部にて含有させ
た(アルミニウムは含まない。)。焼成時の焼成時間は、30時間とし、
焼成温度は、1150℃とした。同図を参照して理解される如く、バリウ
ムの含有量が0.04~5重量部であったときに、量子効率は、約70%
又はそれ以上となり、バリウムの含有量が0.1~2重量部の場合には、
量子効率は、80~90%に達する高い値が安定的に得られた。このこと
から、半導体粒子に於ける100重量部のチタン酸ストロンチウムに対す
るバリウムの含有量が0.04~5重量部の場合、より好適には、0.1
~2重量部の場合に、高い量子効率を与える光触媒が得られることが示さ
れた。
【0034】
  バリウムとアルミニウムの存在下で、スカンジウムの含有量を変更して合
成された半導体粒子を用いて調製した光触媒にて測定された量子効率は、
図2(B)の如くとなった。ここに於いて、100重量部のチタン酸スト
ロンチウムに対して、バリウムの含有量は、0.7~0.8重量部であり、
アルミニウムの含有量は、0.2重量部であった。焼成時の焼成時間は、
30時間とし、焼成温度は、1150℃とした。同図の結果から、スカン
ジウムが無くても、量子効率は、30%ほど得られるところ、スカンジウ
ムの含有量が0.1~1重量部である場合には、70%又は80%を超え
る高い量子効率の光触媒が得られることが示された。また、図2(A)の
結果と合わせて参照して、半導体粒子に於いて、0.1~2重量部程度の
バリウムの存在時に於いて、0.1重量部のオーダーのアルミニウムの有
無は、光触媒の量子効率に有意な差を与えないことが理解される。

【0035】
  更に、第一の合成方法により合成された半導体粒子100重量部のチタ
ン酸ストロンチウムに対し、バリウムが0.75重量部、スカンジウムが
0.58重量部、アルミニウムが0.18重量部)を用いた光触媒の量子
効率は、82%であり、第二の合成方法により合成された半導体粒子(1
00重量部のチタン酸ストロンチウムに対し、バリウムが0.75重量部、
スカンジウムが0.62重量部、アルミニウムが0.14重量部)を用い
た光触媒の量子効率は、84%であった。このことから、第一の合成方法
により合成された半導体粒子を用いた光触媒と、第二の合成方法により合
成された半導体粒子を用いた光触媒とで、有意な差がないことが理解される。
【0036】

上図3
  次に、粉末混合物の焼成の際の焼成温度と焼成時間を種々変化させて合成
した半導体粒子を用いて調製した光触媒にて測定された量子効率は、図3
(A)、(B)の如くとなった。なお、半導体粒子は、組成が100重量
部のチタン酸ストロンチウムに対し、バリウムが0.3重量部、スカンジ
ウムが0.1重量部となるよう調製した。まず、図3(A)を参照して、
焼成時間を一定にした場合(30時間)、焼成温度が1000~1200
℃の場合に於いて、量子効率が略70%を上回り、焼成温度が1100~
1200℃の場合には、量子効率が略80%を上回り、焼成温度が1150
℃の場合に、量子効率が最大となった。一方、図3(B)を参照して、焼
成温度を一定にした場合(1150℃)、焼成時間が10~30時間の範
囲で、量子効率は80%を超え、かかる時間範囲で有意な差は、認められ
なかった。このことから、焼成時間が10~30時間の範囲で、焼成温度
は、1000~1200℃、より好ましくは、1100~1200℃とす
ると、安定的に高い量子効率を与える半導体粒子を合成できることが示さ
れた。
【0037】
  以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者に
とつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示さ
れた実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱する
ことなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。
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特開2024-4698 光触媒膜被覆体及びその製造方法 三菱ケミ
カル株式会社

【要約】紫外線から可視光領域の広範な領域で透明性及び光触媒性を同時
に高いレベルで実現可能な光触媒膜被覆体及びその製造方法の提供。
【解決手段】価電子帯と伝導帯のバンドギャップエネルギーが0.1eV
~5.5eVである金属酸化物を含む光触媒膜を有する光触媒膜被覆体で
あって、前記光触媒膜の波長200nm~800nmにおける光線透過率
が80%以上であり、前記光触媒膜の膜厚が0.5nm~200nmであ
光触媒膜被覆体及びその製造方法。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
  価電子帯と伝導帯のバンドギャップエネルギーが0.1eV~5.5eV
である金属酸化物を含む光触媒膜を有する光触媒膜被覆体であって、前記
光触媒膜の波長200nm~800nmにおける光線透過率が80%以上
であり、前記光触媒膜の膜厚が0.5nm~200nmである、光触媒
膜被覆体。
【請求項2】
前記金属酸化物が、ジルコニウム、チタン、セリウム、インジウム、スズ、
亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、鉄、鉛、銅、タングステン
、ニオブ、クロム、ストロンチウム、インジウム、ルテニウム、カドミウ
ム、ガリウム、アンチモン、テルル、セレン及びハフニウムからなる群よ
り選ばれる1種以上の金属元素を含有する、請求項1に記載の光触媒膜被
覆体。
【請求項3】前記光触媒膜中の前記金属酸化物の最小粒径をXnmとし、
前記光触媒膜の膜厚をYnmとしたときに、下記式(1)及び下記式(2)
を満たす、請求項1又は2に記載の光触媒膜被覆体。
  0.5≦X≦200    ・・・(1)
  1.0≦Y/X≦3.0    ・・・(2)
【請求項4】  前記光触媒膜の波長200nm~800nmにおける光線透
過率が90%以上である、請求項1又は2に記載の光触媒膜被覆体。
【請求項5】  前記光触媒膜の膜厚が0.5nm~100nmである、請求
項1又は2に記載の光触媒膜被覆体。
【請求項6】  JIS  R  1703-1:2020に準拠して測定した前記
光触媒膜の表面の水接触角が20°以下になるまでに要する時間が48時間
以下である、請求項1又は2に記載の光触媒膜被覆体。
【請求項7】  請求項1又は2に記載の光触媒膜被覆体の製造方法であって、
  前記金属酸化物の粒子分散液を基材に塗布し、乾燥及びエージングした後、
溶剤で洗浄し、0℃~1000℃で焼結する、光触媒膜被覆体の製造方法。
【請求項8】前記金属酸化物の粒子のモード径が200nm以下である、
請求項7に記載の光触媒膜被覆体の製造方法。
【請求項9】波長10nm~400nmにピークを有するスペクトルの光
を照射する光源を更に有する、請求項1又は2に記載の光触媒膜被覆体。

特開2024-176954 遷移金属錯体の製造方法、遷移金属錯体の精製方法、
遷移金属錯体及び有機電界発光素子 三菱ケミカル株式会社(審査前)
特開2024-172574 流体用容器および水素発生用水分解装置 三菱ケミカ
株式会社他(審査前)
特開2024-117940 積層フィルム、画像表示装置用表面保護フィルム、フ
レキシブル画像表示装置及び積層フィルムの製造方法 三菱ケミカル株式会社
特開2024-14304 過酸化水素製造用光触媒及びそれを用いた過酸化水素の
製造方法 三菱ケミカル株式会社他(審査前)
特開2023-184494 有機化合物の精製方法、製造方法及び有機電界発光素子
の製造方法(審査前)
特開2023-111655 水処理装置、及び水処理方法 三菱ケミカル株式会社(審査中)

      心に響く楽曲 『イルミネーション B'z』 

              作詞:稲葉浩志/作曲:松本孝弘 
              ジャンル:J-POP 2024年10月


 今日の言葉:

          春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                   春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

              

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エネルギーと環境 129

2025年02月05日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

                   

【季語と短歌:2月5日】

         君子蘭硝子一枚大寒波 
  
               高山 宇 (赤鬼)

 

3日、韓国メディア・スポーツ韓国は「ミスは中国側が犯したにもかかわらず、中国囲碁界の攻勢に屈した韓国棋院が死に石の管理に関する規定を改正した」と伝えた。資料写真。

韓国で開催された囲碁大会で、中国のトップ棋士、柯潔九段が規則違反敗
北したのを受け、中国で柯潔を擁護する声が高まっている。一方、韓国側
を激しく非難する声も上がり、中国側との関係悪化を恐れた韓国棋院が謝
罪文を発表して事態の鎮静化に務めた。
騒動の発端は、23日に開催された
「第29回LG杯朝鮮日報棋王戦」。韓国のピョン・サンイル九段との最終局
で、柯潔は「取った石(死石)の管理規定」に違反して反則負け(棄権)
となった。韓国棋院の規定では、取った石は指定された碁笥(ごけ)の蓋
に保管する必要がある。しかし、柯潔は第2局、第3局で同じミスを繰り

し、累積警告により敗北が決定したことによる。



✳️ 墜落アゼル機に多数貫通痕
2月4日,カザフスタン運輸省の報告書から得られたデータによると、アゼル
バイジャン航空のエンブラエル190-100の飛行機墜落事故の調査中に、フラ
イトレコーダー(CVRとFDR)の記録に基づいて悲劇の重要な瞬間が再構築
されたと、カジンフォルム通信社が公表。報告書は、衝突前の油圧システ
ムの損傷の証拠を含む写真とグラフを示す。この損傷は、外部物体が航空
機の部品を貫通したことにより引き起こされた可能性があると言う。


Azerbaijan Airlines plane
検証結果、システム内の油圧作動油と圧力の損失は、航空機
の制御不能に
つながった。
3番目の油圧システムの圧力は 05:13:34 に 0 PSI に低下し、
液面は 0% に低下した。05:13:47に「HYD 2 LOW PRESS」アラームが作
動し、最初の油圧システムの圧力が0 PSIに低下
したことを示す。




✳️  水素エネルギーの魅力と製造方法 ⓷
次世代エネルギーのいまと未来vol.1 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、「次世代エネルギー部門」が始動:朝日新聞デジタル

【最新燃料電池技術特許⓶】
3.特開特開2025-10364 燃料電池モジュール及び燃料電池装置 京セラ株
会社
【要約】下図1のごとく、燃料電池モジュール10は容器11と燃料電池セ
ルスタック13と複数の配管12とを有する。容器11は改質器16と燃
焼器17とを収容する。燃料電池セルスタック13で複数の燃料電池セル
を積層させる。
燃料電池セルは改質器16が生成した燃料ガスと酸化剤の電気化学反応に
より発電する。複数の配管12は容器11及び燃料電池セルスタック13
の間でそれぞれ異なる種類のガスを送る。複数の配管12の一部を容器1
1の第1の面及び燃料電池セルスタック13の第1の面に接続する。複数
の配管12の別の一部を容器11の第2の面及び燃料電池セルスタック1
3の第2の面Scs2の少なくとも一方に接続する。容器11の第2の面
は第1の面と異なる。燃料電池セルスタック13の第2の面Scs2は第
1の面と異なり、配管同士の干渉を回避させるための設計における自由度
を向上する
000002

図1. 第1の実施形態に係る燃料電池モジュールの斜視図

【符号の説明】  10、100  燃料電池モジュール   11、110、111、
114  容器
  12、120、121、122、123、124  複数の配管
13、130、131、132、133、134  燃料電池セルスタック
14、141  原燃料ガス及び水の供給管 15、151  排出管   16、
161  改質器
  17、171  燃焼器   18  熱電対   19  着火ヒータ
  20、201、204  酸化剤ガス供給管   21、210、211、212、
213、214  燃料ガス配管
  22、220、221、222、223、
224  酸化剤オフガス配管
  23、230、231、232、233、
234  燃料オフガス配管
  24、241  酸化剤オフガス燃焼器  25、
251  燃料オフガス燃焼器
  26、260、261、262、262、
264  酸化剤ガス配管
  27、271、272、273  燃料ガス入口
28、281、282、283  酸化剤ガス入口  29、291、292、
293  燃料オフガス出口
  30、301、302、303  酸化剤オフガ
ス出口
  31’  燃料電池セル  CH  流路  IN  入口  IS  容器内の空間
  OUT  出口  Scs1  燃料電池セルスタックの第1の面  Scs2  燃料
電池セルスタックの第2の面
  SS1  第1の方向側の側面  SS2  第2の
方向の逆側の側面
  Svl1  容器の第1の面   Svl2  容器の第2の面
  US  上面
【発明の効果】
上記のように構成された本開示に係る燃料電池モジュール及び燃料電池装
によれば、配管同士の干渉を回避させるための設計における自由度が向
上する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】改質部、及び該改質部を加熱する燃焼器を収容する容器と、
  前記改質部が生成した燃料ガス、及び酸化剤の電気化学反応により発電す
る複数の燃料電池セルを積層させた燃料電池セルスタックと、
 前記容器及び前記燃料電池セルスタックの間で、それぞれ異なる種類のガ
スを送る複数の配管と、を備え、前記複数の配管の一部が、前記容器の第1
の面及び前記燃料電池セルスタックの第1の面に接続され、前記複数の配管
の別の一部が、前記容器の第1の面と異なる第2の面、及び前記燃料電池
セルスタックの第1の面と異なる第2の面の少なくとも一方に接続される
  燃料電池モジュール。
【請求項2】請求項1に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記燃料電
池セルスタックの第1の面は、前記燃料電池セルの積層方向に実質的に垂
直であり、前記燃料電池セルスタックの第2の面は、前記燃料電池セルス
タックの第1の面の裏側であり、前記複数の配管の一部の残りが該燃料電
池セルスタックの第2の面に接続される  燃料電池モジュール。
【請求項3】  請求項2に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記容器の
外壁及び内壁の間に酸化剤の流路が形成されている燃料電池モジュール。
【請求項4】請求項2又は3に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記
改質部が生成した燃料ガスを送出する、前記容器内の内部配管は、前記容
器における該改質部とともに前記燃焼器を挟む壁部以外の壁部を貫通する
  燃料電池モジュール。
【請求項5】請求項2から4のいずれか1項に記載の燃料電池モジュール
において、前記燃料電池セルスタックは、前記複数の配管に接続する燃料
ガス入口、酸化剤ガス入口、燃料オフガス出口、及び酸化剤オフガス出口
を有し、前記燃料オフガス出口は、前記燃料ガス入口よりも前記容器の近
くに位置し、前記酸化剤オフガス出口は、前記酸化剤ガス入口よりも前記
容器の近くに位置する燃料電池モジュール。
【請求項6】請求項5に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記燃料ガ
ス入口及び前記酸化剤ガス入口が前記燃料電池セルスタックの第1の面に
設けられ、前記燃料オフガス出口及び前記酸化剤オフガス出口が前記燃料
電池セルスタックの第2の面に設けられる  燃料電池モジュール。
【請求項7】  請求項5に記載の燃料電池モジュールにおいて、  前記燃料
ガス入口及び前記酸化剤オフガス出口が前記燃料電池セルスタックの第1
の面に設けられ、前記酸化剤ガス入口及び前記燃料オフガス出口が前記燃
料電池セルスタックの第2の面に設けられる 燃料電池モジュール。
【請求項8】請求項5に記載の燃料電池モジュールにおいて、  前記燃料ガ
ス入口及び前記燃料オフガス出口が前記燃料電池セルスタックの第1の面
に設けられ、前記酸化剤ガス入口及び前記酸化剤オフガス出口が前記燃料
電池セルスタックの第2の面に設けられる  燃料電池モジュール。
【請求項9】請求項6から8のいずれか1項に記載の燃料電池モジュール
において、前記積層方向は、前記容器及び前記燃料電池セルスタックが並
ぶ第1の配置方向に対して実質的に垂直である燃料電池モジュール。
【請求項10】請求項9に記載の燃料電池モジュールにおいて、前記容器
における前記第1の配置方向に実質的に垂直な長手方向は、前記積層方向
に平行である  燃料電池モジュール。
【請求項11】請求項9に記載の燃料電池モジュールにおいて、  前記容器
における、前記第1の配置方向に実質的に垂直な幅方向は、前記積層方向
に実質的に平行である  燃料電池モジュール。
【請求項12】  請求項6に記載の燃料電池モジュールにおいて、  前記積
層方向は、前記容器及び前記燃料電池セルスタックが並ぶ第1の配置方向
に平行である  燃料電池モジュール。
【請求項13】  請求項1に記載の燃料電池モジュールにおいて、 前記容
器内で前記燃焼器及び前記改質部の順番に、第2の配置方向に沿って並ん
で配置され、 前記燃料電池セルスタックは、前記容器に対して、前記第2
の配置方向に垂直な方向に位置する  燃料電池モジュール。
【請求項14】  請求項13に記載の燃料電池モジュールにおいて、  前記
複数の配管の一つの一端は前記容器を介して前記改質部に接続され、他端
は前記一端よりも前記第2の配置方向側において前記燃料電池セルスタッ
クに接続される  燃料電池モジュール。
【請求項15】  請求項13又は14に記載の燃料電池モジュールにおいて、
  前記容器の第1の面は、前記第2の配置方向側の面であり、  前記容器の
第2の面は、前記容器の第1の面の裏側の面であり、前記燃料電池セルス
タックの第2の面は、前記燃料電池セルスタックの第1の面の裏側の面で
あり、前記複数の配管の別の一部が、前記容器の第2の面及び前記燃料電
池セルスタックの第2の面に接続される  燃料電池モジュール。
【請求項16】  請求項13又は14に記載の燃料電池モジュールにおいて、
  前記容器の第1の面は、前記第2の配置方向側の面であり、  前記容器の
第2の面は、前記第2の配置方向の逆側の面であり、
  前記複数の配管の別の一部が、前記燃料電池セルスタックの第1の面に接
続される  燃料電池モジュール。
【請求項17】  請求項13から16のいずれか1項に記載の燃料電池モジ
ュールにおいて、  前記容器の外壁及び内壁の間に酸化剤の流路が形成され、
  前記第2の配置方向の逆側から前記容器に酸化剤が導入され、  前記酸化
剤の流路に接続する、前記複数の配管の一つは、前記容器よりも前記第2
の配置方向側において前記燃料電池セルスタックに接続される  燃料電池モ
ジュール。
【請求項18】請求項1から17のいずれか1項に記載の燃料電池モジュー
ルを備える 燃料電池装置。

図2.図1におけるII—II線に沿った燃料電池モジュールの断面図

図3.図2におけるⅢ—Ⅲ線に沿った燃料電池モジュールの断面図

図14. 第2の実施形態の燃料電池モジュールの第2の方向に
垂直な平面に
         よる断面を示す断面図


図15 第3の実施形態の燃料電池モジュールの斜視図

図16 図15の燃料電池モジュールを第2の方向の逆方向から見た側面図


4.特開2024-26133  燃料改質触媒、燃料電池システム及び燃料電池セル構
   造体 大阪瓦斯株式会社
【要約】下図5のごとく、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸
化物を主成分とする担体に少なくともニッケルとバナジウムを担持した燃
料改質触媒を有する内部改質触媒層Dを、燃料電池セルユニットUの内に
設ける。貴金属を用いることなく低コストでありながら、高い改質性能を
得ることができ、例えば、燃料電池セルユニット内に改質部を設ける構造
にあっても、燃料電池としての性能を安定して発揮できる燃料改質触媒を
得る。


図5.燃料電池セルユニット内に於けるガス反応系の説明図
【符号の説明】1    金属支持体(支持体)34  外部改質器(外部改質部;
改質部) A    アノード電極 B    電解質層 C    カソード電極 D    内
部改質触媒層(内部改質部;改質部) L1  還元性ガス供給路(燃料ガス
供給路) L2  酸化性ガス供給路 R    燃料電池セル U    燃料電池セル
ユニット(燃料電池セル構造体) Y    燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】  少なくともニッケルとバナジウムを含有する溶液に、セリア
系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物を主成分とする担体を添加
し、前記担体に少なくともニッケルとバナジウムを含浸担持する含浸担持工
程を少なくとも有する燃料改質触媒の製造方法。
【請求項2】  請求項1に記載の燃料改質触媒の製造方法により製造された
燃料改質触媒であって、  セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸
化物を主成分とする担体に、少なくともニッケルとバナジウムを担持し、
CO吸着量が0.17~0.68Nml/gである燃料改質触媒。
【請求項3】  触媒全体に対する前記担体の割合が55重量%以上である請
求項2記載の燃料改質触媒。
【請求項4】  前記ジルコニア系金属酸化物が、イットリウム、スカンジウ
ムのうちの少なくともいずれか一つで安定化したジルコニアである請求項
2又は3記載の燃料改質触媒。
【請求項5】  前記ニッケルの担持量が0.5重量%以上である請求項2~
4のいずれか1項記載の燃料改質触媒。
【請求項6】  前記バナジウムの担持量が前記ニッケルの担持量と同一以下
である請求項2~5のいずれか1項記載の燃料改質触媒。
【請求項7】  請求項2~6のいずれか1項記載の燃料改質触媒を少なく
とも含み、原燃料ガスを前記燃料改質触媒により水素リッチな改質ガスに
改質する改質部を有し、前記改質部から前記改質ガスの供給を受けるとと
もに、酸化性ガスの供給を受けて発電する燃料電池を備えた燃料電池システム。
【請求項8】  電解質層を挟んでアノード電極層とカソード電極層が少なく
とも形成された燃料電池セルと、前記アノード電極層に燃料ガスを供給す
る燃料ガス供給路と、前記カソード電極層に酸化性ガスを供給する酸化性
ガス供給路とを備えて構成され、  請求項2~6のいずれか1項記載の燃料
改質触媒を少なくとも有する改質部を内部改質部として備えた燃料電池セ
ル構造体。
【請求項9】  電解質層を挟んでアノード電極層とカソード電極層が少なく
とも形成された燃料電池セルと、前記アノード電極層に燃料ガスを供給する
燃料ガス供給路と、前記カソード電極層に酸化性ガスを供給する酸化性ガ
ス供給路とを備えて構成され、  前記燃料電池セルが支持体上に形成される
とともに、  請求項2~6のいずれか1項記載の燃料改質触媒を少なくとも
有する改質部を内部改質部として備えた燃料電池セル構造体。
【請求項10】  前記支持体が金属である請求項9に記載の燃料電池セル構造体。
【請求項11】  前記燃料電池セルが固体酸化物形燃料電池である請求項
8~10のいずれか1項記載の燃料電池セル構造体。
【請求項12】  請求項9又は10記載の燃料電池セル構造体の製造方法であって、
  前記担体に前記ニッケルとバナジウムを含浸担持する含浸担持工程を経て
得られる含浸担持物を前記支持体の少なくとも一部に配置して前記改質部
を得る燃料電池セル構造体の製造方法。
---------------------------------------------------------------------------
【背景技術】
  燃料改質触媒として、炭化水素系燃料を水蒸気改質する水蒸気改質触媒が
良く知られている。従来、このような水蒸気改質触媒として、ニッケルや
貴金属を活性金属として担体に担持した触媒が広く使われてきた。例えば
特許文献1(不掲載)には、γ‐アルミナに酸化セリウムを12重量%、酸
化ストンチウムを3重量%それぞれ加えた無機酸化物担体に、γ‐アルミナ
に対して10重量%のニッケルと0.1重量%のパラジウムをそれぞれ担
持させた水蒸気改質触媒が開示されている。
  一方、特許文献2(不掲載)には、水蒸気改質触媒活性成分と、バナジウ
ムとを含む触媒活性粒子を含有する水蒸気改質触媒組成物が提案されている。
  この水蒸気改質触媒組成物は、水蒸気改質触媒活性成分(代表的にはニッ
ケル)にバナジウムを加えることにより、水蒸気改質触媒活性成分が本来
有する触媒性能を低下させることなく、且つ、500℃以上の温度での還
元処理または改質反応時のシンタリングを抑制して、触媒性能の劣化を抑
制することができるとされている。水蒸気改質触媒活性成分をニッケルと
する場合、組成物に占めるニッケルの割合は比較的高い。 

 燃料電池システムにあっては、水蒸気改質触媒は、従来燃料電池本体に対
して外部に別体として配置されていた「外部改質器」で使用されてきた。
しかしながら、特許文献3(不掲載)には、改質部を燃料電池セル(本発明
にいう燃料電池セル構造体に相当)内に備えることが提案されている。ま
たこの特許文献3では、改質部に使用する水蒸気改質触媒として、ニッケ
ル鍍金層PR1を設けることが示されている(〔0048〕)。
 ここで、本発明の理解を容易とするめ、本明細書における「燃料電池セル」
「燃料電池セル構造体」「改質部」に関して説明しておく。
  燃料電池セルは、電解質層を挟んでアノード電極層とカソード電極層が少
なくとも形成されて構成され、前記アノード電極層に燃料ガス(還元性ガ
ス)を、前記カソード電極層に酸素を含有する酸化性ガスを、それぞれ供
給される状態で、電池反応により両極間で発電する基本単位である。
  燃料電池セル構造体は、上記の燃料電池セルを備えるとともに、前記燃
料ガス(還元性ガス)の供給路と、酸化性ガスの供給路とを形成可能に構
成されている構造体である。燃料電池セル自体或いは燃料電池セルを支持
する支持体とを含む概念であり、後述する燃料電池セルユニットは、この
燃料電池セル構造体の一例となる。
  また、改質部は、燃料改質触媒を備え、例えば炭化水素燃料といった原燃
料ガスが供給されて、触媒反応により、少なくとも水素を含有するガスで
ある改質ガスを得る部位である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-184394号公報
【特許文献2】WO2016/047504号公報
【特許文献3】特開2017-208232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
  しかしながら、各特許文献に開示の技術は以下のような課題がある。
  特許文献  1
  当該特許文献に記載の触媒は貴金属系触媒となっているため、非常に高活
性ではあるが、貴金属を用いるためコストが高い
  特許文献  2
  当該特許文献に記載の水蒸気改質組成物は酸化ニッケルを基本材料とする
ため、ニッケルの使用量が大となる。さらに、ニッケルを含む粒子の表面
に、(a):バナジウム酸化物もしくはバナジウム・ニッケル複合酸化物と、
(b):ケイ素酸化物及びジルコニア酸化物の両方、とが存在する必要が
ある。結果、(a)と(b)の最低2度の含浸担持工程が必要となるため
製造過程が複雑となりコスト上昇を招く。
  特許文献  3
 当該特許文献には、燃料電池セル構造体内に改質部を設けることが提案さ
れているが、このニッケルは鍍金とされているため、内部改質部は実質的
にニッケル層であり、ニッケルを多量に必要とする。また、この層と燃料
電池セル構造体を構成する他の部位(本発明で説明する支持体、燃料電池
セル)とのなじみも問題となる。
以上纏めると、貴金属系触媒を使用する場合は、触媒に貴金属を含み高活
性のため使用量を抑えることはできるがコスト高となる。一方、ニッケル
系触媒は貴金属系触媒よりも活性が低いため、比較的活性の高い改質部を
得るためには、貴金属系触媒に比べてニッケル量を増やす必要がある。結
果、コスト的には貴金属触媒を使用するのと同程度のコストを要すること
となる。さらに、触媒を燃料電池セル構造体内に設ける技術に関しても、
なお多量のニッケルを必要としている。 本発明は、こうした課題に鑑みて
為されたものであり、その目的は、
貴金属を用いることなく低コストであ
りながら、高い改質性能を得ることができ、例えば、燃料電池セルユニッ
ト内に改質部を設ける構造にあっても、燃料電池としての性能を安定して
発揮できる燃料改質触媒を得ることにある

【課題を解決するための手段】
  本発明の第1特徴構成は、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属
酸化物を主成分とする担体に少なくともニッケルとバナジウムを担持した燃
料改質触媒としてある点にある。
 セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物を主成分とする担体
に少なくともニッケルとバナジウムを担持した燃料改質触媒であるから、
ニッケルとバナジウムの担持量が少なくても高い改質性能が得られる。また、
担体が、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物を主成分と
するから、燃料電池セル構造体に用いる場合、燃料電池システム内で使用
する他の構成材料と熱膨張係数が近いため、燃料電池セル構造体の起動停
止時の熱応力耐性が向上し、信頼性・耐久性に優れた燃料改質触媒とする
ことができる。

 本発明の第2特徴構成は、触媒全体に対する前記担体の割合が55重量%
以上である点にある。重量%は質量%と同義である。 触媒全体に対する担
体の割合を少なくとも55重量%とすることにより、活性成分としてのニッ
ケル及びバナジウムを高分散に担持できるようになり、高い燃料改質性能
を得ながら、シンタリングなどの影響を抑制しつつ、その改質性能を長期

を低減できる。一方、担体割合が高いことから、燃料電池セル構造体にお

にわたって維持可能となる。そして、それらの使用量を低減してコスト
るその構造材(後述する、本願にいう支持体)さらにはその構造材上に設
けられる燃料電池セルとのなじみが良く、燃料電池セルユニットに用いる
場合、燃料電池システム内で使用する他の構成材料と熱膨張係数が近いた
め、燃料電池セル構造体の起動停止時の熱応力耐性などが向上し、信頼性
・耐久性に優れた燃料改質触媒とすることができる。なお、前記担体の割
合が60重量%以上であるとより好ましく、65重量%以上であると更に
好ましい。このようにすると上述の効果が更に得やすくなるからである

 本発明の第3特徴構成は、前記セリア系金属酸化物が、ガドリニウム、サ
マリウム、イットリウムのうちの少なくともいずれか一つをドープしたセ
リアである点にある。  このようにすると、燃料電池システム(特に燃料電
池セル構造体)内で使用する他の構成材料と熱膨張係数が近い上に、燃料
電池で使用する他の材料と同様の材料にすることが可能となるため、材料
の入手性が向上する。

  本発明の第4特徴構成は、前記ジルコニア系金属酸化物が、イットリウム、
スカンジウムのうちの少なくともいずれか一つで安定化したジルコニアで
ある点にある。

  このようにすると、燃料電池システム(特に燃料電池セル構造体)内で使
用する他の構成材料と熱膨張係数が近い上に、燃料電池で使用する他の材
料と同様の材料にすることが可能となるため、材料の入手性が向上する。

  本発明の第5特徴構成は、前記ニッケルの担持量が0.5重量%以上で
る点にある
。  担持量が0.5重量%未満の場合、ニッケルが寄与する触媒
活性を得にくいためである。担持量は、好ましくは1重量%以上であり、
良好な触媒活性が得られる。より好ましくは5重量%以上であり、十分な活
性を得ることができる。一方、35重量%未満とすると好ましい。なぜな
らば、これ以上担持させても担体上に高分散にニッケルを担持させること
が困難となり、触媒活性の更なる向上が見込めないからである。また、好
ましくは30重量%以下であり、この程度でも十分な触媒活性を得る事が
できる。より好ましくは25重量%以下であり、ニッケルの使用量を制限
しても、所望の燃料改質性能を得ることができる。

本発明の第6特徴構成は、前記バナジウムの担持量が前記ニッケルの担持
量と同一以下である点にある。 このようにすると、非常に少ないバナジウ
ム担持量でも、ニッケルとの相乗効果で十分な改質性能が得られるからで
ある。

 本発明の第7特徴構成は、燃料電池システムが、これまで説明してきたい
ずれかの特徴構成を有する燃料改質触媒を少なくとも含み、原燃料ガスを
前記燃料改質触媒により水素リッチな改質ガスに改質する改質部を有し、
前記改質部から前記改質ガスの供給を受けるとともに、酸化性ガスの供給
を受けて発電する燃料電池を備えた点にある。 このようにすると、非常に
安価で十分な改質性能が得られる改質部を備えた燃料電池システムを構築
できる。

 本発明の第8特徴構成は、燃料電池セル構造体が、  電解質層を挟んでアノ
ード電極層とカソード電極層が少なくとも形成された燃料電池セルと、前
記アノード電極層に燃料ガスを供給する燃料ガス供給路と、前記カソード
電極層に酸化性ガスを供給する酸化性ガス供給路とを備えて構成され、こ
れまで説明してきた燃料改質触媒を少なくとも有する改質部を内部改質部
として備えて構成される点にある。

ここで、燃料ガスは、アノード電極層に供給されて発電可能な還元性ガス
である。後述する実施形態において、外部改質部と内部改質部との両方を
有する場合は、原燃料ガスがまず外部改質部に供給され、原燃料ガスの一
部が改質されて水素を含む改質ガスとなり、一部の原燃料ガスは未反応の
まま改質ガスに含まれた状態となる。そして、一部の未反応の原燃料ガス
を含む改質ガスが内部改質部に供給され、未反応の原燃料ガスが内部改質
部で改質されて水素を含む改質ガスとなり、燃料電池の発電に使われる燃
料ガスとしてアノード電極層に供給されることとなる。

一方、外部改質部が無く内部改質部のみで改質を行う場合は、原燃料ガス
が内部改質部に供給され、内部改質部で原料ガスが改質されて水素を含む
改質ガスとなり、燃料電池の発電に使われる燃料ガスとしてアノード電極
層に供給されることとなる。加えて、内部改質部が無く外部改質部のみで
改質を行う場合は、原燃料ガスが外部改質部に供給され、外部改質部で原
料ガスが改質されて水素を含む改質ガスとなり、燃料電池の発電に使われ
る燃料ガスとしてアノード電極層に供給されることとなる。
  この構成を採用することにより、燃料電池セルと一体に内部改質部を備
えることで、燃料電池セル構造体内で良好に燃料改質を行い、改質ガスを
得て発電を実行できる。このため、コンパクトで高効率な燃料電池セル構
造体とすることができる。

  本発明の第9特徴構成は、燃料電池セル構造体が、電解質層を挟んでアノ
ード電極層とカソード電極層が少なくとも形成された燃料電池セルと、前
記アノード電極層に燃料ガスを供給する燃料ガス供給路と、前記カソード
電極層に酸化性ガスを供給する酸化性ガス供給路とを備えて構成され、前
記燃料電池セルが支持体上に形成されるとともに、これまで説明してきた
いずれかの燃料改質触媒を少なくとも有する改質部を内部改質部として備
える点にある。 このようにすると、安価で十分な改質性能が得られる改質
部を内部に備えた燃料電池セル構造体を構成できる。

  本発明の第10特徴構成は、前記支持体が金属である点にある。
  このようにすると、安価でかつ薄くても強度の高い金属を支持体に用いる
ことができるため、安価でコンパクトかつ強度に優れた燃料電池セル構造
体を構成できる。とりわけ、金属支持体の材料として、フェライト系ステ
ンレス鋼を用いると、燃料改質触媒の担体と熱膨張係数が近くなるので、
安価でコンパクト、かつ、起動・停止時のヒートサイクル耐性などに優れ
た信頼性・耐久性の高い燃料電池セル構造体を構成できる。

  本発明の第11特徴構成は、燃料電池セルが固体酸化物形燃料電池である
にある。このようにすると、安価で十分な改質性能が得られ、例えば、
燃料電池セル、或いは、その支持体を構成する構成部材と熱膨張係数が近
い担体を有する燃料改質触媒を燃料電池セル構造体内に配置できるため、
安価で高性能、かつ、起動・停止時のヒートサイクル耐性などに優れた信
頼性・耐久性の高い燃料電池セル構造体、或いはそれを用いた燃料電池シ
ステムを構築できる。

本発明の第12特徴構成は、少なくともニッケルとバナジウムを含有する
溶液に、セリア系金属酸化物もしくはジルコニア系金属酸化物を主成分と
する担体を添加し、担体に少なくともニッケルとバナジウムを含浸担持す
る含浸担持工程を少なくとも有する点にある。
このようにすると、簡便な方法で、少量のニッケルとバナジウムを担体に
担持した性能の高い燃料改質触媒を安価に製造することができる。
この燃料改質触媒の製造方法においても、触媒全体に対する前記担体の割
合を55重量%以上に調整することが好ましく、60重量%であるとより
好ましく、65重量%以上であると更に好ましい。
  このようにして燃料改質触媒を製造することで、先に説明した本発明の第
2特徴構成をとることにより得られた作用・効果を得ることができる。

本発明の第13特徴構成は、先に説明した燃料電池セル構造体を製造する
に際して、これまで説明してきた燃料改質触媒を採用するに、前記担体に
前記ニッケルとバナジウムを含浸担持する含浸担持工程を経て得られる含
浸担持物を前記支持体の少なくとも一部に配置して前記改質部を得る点に
ある。このような製造方法をとることで、燃料電池セルを支持する支持体
に本発明に係る燃料改質触媒を燃料電池セルユニットに配置するのに、含
浸担持物を例えば塗布等の簡易な手法で配置して、燃料電池としての作動
に有用な改質部を燃料電池セル構造体内に形成することができる

  本発明に係る燃料改質触媒は、含浸担持工程を実行するとともに、最終
的には焼成等の加熱処理工程が必要となるが、この加熱処理工程を、燃料
電池セル構造体に備えることとなる燃料電池セルの形成工程に重ねて、或
いは、その前、後に行ってもよい。即ち、加熱処理工程に於ける温度、加
熱時間等の条件が合致すれば、同じタイミングでの処理を行える。

図2 燃料電池モジュールの正面図及び要部断面図

図3. 燃料電池セルユニットの外観視図

図4 燃料電池セルユニットの製造工程を示す図
                           この項つづく

 心に響く楽曲 『あの日のメロディー 昭和の歌謡曲 』     
                    ジャンル:歌謡曲
              

 今日の言葉:

          春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                   春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

 

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エネルギーと環境 128

2025年02月04日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



【季語と短歌:2月4日】

         大寒波一色につき身構える 


               高山 宇 (赤鬼)


⛑️【ドカ雪 8時間撮影】どんどん降り積もり…取材車も一晩で雪にすっぽり埋まる  24時間
で帯広124センチの降雪 北海道 
HBCニュース北海道

✳️
 八潮市の道路陥没、1週間で応急復旧終え下水自粛解除?!

埼玉県は八潮市で発生した道路陥没の応急復旧について、損傷した下水道
管を取り換えず、最低限の補修で対応する方針を明らかにした。穴に転落
した男性の救助活動の完了後に着手し、約1週間で下水道の使用自粛を解
除する見通しだ。流入する下水が救助活動の妨げにならないよう、大野元
裕・埼玉県知事は2025年2月3日、翌日の午後2時から5時までの間、下水
道の使用を控えるよう流域住民に要請。現場付近のマンホールから下水管
の中にある水を抜き出す作業も同時並行で行われている。 これらにより、
穴の中の水位が下がれば、これまで確認できていなかったより深い部分ま
で状況を目視することができ、隊員が中に入って捜索をする足掛かりとな
る可能性がある。ただ、仮に水位が下がったとしても、安全のため4日す
ぐに中に入って作業を始める見込みは少なく、救助まではまだ時間がかか
るとみられいる。
応急復旧の概要。上が現況で、下が応急復旧方法(出所:埼玉県)
応急復旧の概要。上が現況で、下が応急復旧方法(出所:埼玉県)

破損した下水道管の中に障害物があり、上流から流れ込んだ下水が逆流し
て陥没穴に流れ込んでいると見られる。そのため、がれきの撤去が難航し、
男性の救助に時間を要している。
応急復旧では、水を通しにくいゼリー状
の「可塑性水中不分離材料」で損傷箇所を覆い、その上から土とセメント
を混ぜた流動化処理土などで埋め戻す。下水道管として最低限の機能を確
保する。

【水中不分離性コンクリートの施工】





京大、気体や有機分子を取り込む超撥水性材料を開発 | TECH+(テックプラス)
水滴を弾きながら水蒸気や有機分子を取り込むことが可能な多孔性構造体(マイナビ・ニュース)

米国際開発庁は「犯罪組織」「狂人が運営」 トランプ・マスク両氏がやり玉に

✳️ 米国際開発庁は「犯罪組織」「狂人が運営」
トランプ・マスク両氏がやり玉に。

アメリカのトランプ大統領から「政府効率化省」のトップに起用されたイ
ーロン・マスク氏は、政府の人道支援機関であるアメリカ国際開発庁の閉
鎖に着手すると明らかにした。
USAID(アメリカ国際開発庁)は紛争や貧
困地域での医療や食料などの支援を行っていて、2023年には国連が確認し
ている人道援助の約4割にあたる720億ドルの援助を拠出している。

undefined

マスク氏は3日、X(旧ツイッター)で行った対談で政府効率化の一環とし
USAIDの閉鎖に取り組んでいることを明らかにした。
マスク氏はUSAIDを
根拠を示さずに「犯罪組織」と呼び、「もう修復不可能だ」と述べている。
トランプ大統領も閉鎖に同意したうえで、マスク氏を「優秀なコスト・カ
ッターだ」と評価した。
🪄アメリカと中国の「自国中心主義」が手を結んでいることは確か。

 

「違反ごみ」深刻化 福島市で「開封調査」条例化なぜ?



✳️  水素エネルギーの魅力と製造方法 ⓶

次世代エネルギーのいまと未来vol.1 カーボンニュートラル社会の実現に向けて、「次世代エネルギー部門」が始動:朝日新聞デジタル

✳️ メソポーラスアモルファス非貴金属は、Pt族単一原子の高負荷と均一

   分散のための汎用性の高い基板として

【結論】貴金属は、その高い触媒活性から広く利用されていますが、原子
レベルで分散させたシングルアトム触媒は、貴金属の利用効率を最大限に
引き出すために非常に有望。シングルアトム触媒は、原子一つ一つが活性
点となるため、触媒表面全体で効率的に反応を進めることができる。さら
に、本研究ではこれらを高い表面積を持つナノ多孔体に担持することで、
高い導入量を実現しながら、安定した性能水素生成反応やその他のエネル
ギー変換プロセスにおいて、高効率で耐久性のある触媒を提供することが
を維持可能となった。
🪄ということで、触媒に困ったらこの触媒を使えばとりあえずは、光電源
  と空気中の水蒸気さえあれば水素は効率的に生成できる「触媒源」とな
  る。

開発された触媒の構造。酸素欠陥を持つ二酸化マンガンシート上で、酸素
発生反応の速さが変化した。(出典/山口大学)

1. 特開2024-158855 熱交換器及びその製造方法 株式会社デンソー
【要約】下図2のごとく2熱交換器1は、フランジ部23において互いに接
合された複数のプレート部材2を有する。また、熱交換器1は、流路4の
外周側を覆う外周覆い部241を備えたプレート部材2である外周覆いプ
レート24を有する。主要部25の外周端に近づくほど、第一側Z1へ向
かうように形成された外周覆い部241を備えた外周覆いプレート24を
第一覆いプレート242とする。主要部25の外周端に近づくほど、第二
側Z2へ向かうように形成された外周覆い部241を備えた外周覆いプレ
ート24を第二覆いプレート243とする。このとき、一対の外側プレー
ト21は、第一覆いプレート242と第二覆いプレート243とを有する。
また、複数の内側プレート22は、第一覆いプレート242と第二覆いプ
レート243と、を有する


図2 実施形態1における、熱交換器の、積層方向に沿った断面図

【符号の説明】 1…熱交換器、2…プレート部材、4…流路、21…外側
プレート、22…内側プレート、23…フランジ部、24…外周覆いプレ
ート、25…主要部、241…外周覆い部、242…第一覆いプレート、
243…第二覆いプレート、Z…積層方向、Z1…第一側、Z2…第二側

【発明の効果】前記熱交換器において、一対の外側プレートは、第一覆い
プレートと第二覆いプレートとを有し、複数の内側プレートは、少なくと
も一つの第一覆いプレートと、少なくとも一つの第二覆いプレートと、を
有する。また、複数のプレート部材は、フランジ部において互いに接合さ
れている。それゆえ、複数の流路を備えた熱交換器を容易に製造すること
ができる。その結果、製造性を向上させることができる

前記熱交換器の製造方法は、外周溶接工程を有する。それゆえ、複数の流
路を備えた熱交換器を容易に製造することができる。その結果、製造性を
向上させることができる。

  以上のごとく、上記態様によれば、製造性を向上させることができる熱
交換器及びその製造方法を提供することができる。

  なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号
は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、
本発明の技術的範囲を限定するものではない。

図1 実施形態1における、熱交換器の斜視図

図3 実施形態1における、フランジ部付近の、積層方向に沿った断面図

図4 実施形態1における、流路側溶接工程において、内側プレートのフ
ランジ部同士を抵抗溶接する様子を示す断面図

図5 実施形態1における、流路側溶接工程において、外側プレートのフ
ランジ部と内側プレートのフランジ部とを抵抗溶接する様子を示す断面図。

【図11】実施形態4における、内側プレートの斜視図

特許請求の範囲】
【請求項1】互いに積層されると共に、外周側に形成されたフランジ部
(23)において互いに接合された複数のプレート部材(2)を有し、

記複数のプレート部材の積層方向(Z)において互いに隣接する一対の前
記プレート部材に覆われることにより形成されると共に、熱交換を行う流
体が流れる流路(4)を複数備え、
前記複数のプレート部材は、前記積層
方向における外側に配置された一対の外側プレート(21)と、該一対の
外側プレート同士の間に配置された複数の内側プレート(22)と、を有
し、
  前記一対の外側プレート及び少なくとも2つの前記内側プレートは、
それぞれ、前記流路の外周側を覆う外周覆い部(241)を備えた外周覆
いプレート(24)であり、
前記積層方向の一方側を第一側(Z1)とし、
前記積層方向の他方側を第二側(Z2)としたとき、前記プレート部材は、
前記流路の前記第一側及び前記第二側のうち、少なくとも一方側を覆う主
要部(25)を有し、
前記外周覆いプレートにおいて、前記外周覆い部は、
前記主要部と前記フランジ部とを繋ぐように形成されており、
前記主要部
の外周端に近づくほど、前記第一側へ向かうように形成された前記外周覆
い部を備えた前記外周覆いプレートを第一覆いプレート(242)とし、
前記主要部の外周端に近づくほど、前記第二側へ向かうように形成された
前記外周覆い部を備えた前記外周覆いプレートを第二覆いプレート(24
3)としたとき、前
記一対の外側プレートのうち、一方の前記外側プレー
トは前記第一覆いプレートであると共に、他方の前記外側プレートは前記
第二覆いプレートであり、
前記複数の内側プレートは、少なくとも一つの
前記第一覆いプレートと、少なくとも一つの前記第二覆いプレートと、を
有し、
前記第一覆いプレートは、前記第二覆いプレートよりも前記第一側
に配置されている、熱交換器(1)。

【請求項2】前記外側プレートの厚み(T1)は、前記内側プレートの厚
み(T2)よりも厚い、請求項1に記載の熱交換器。

【請求項3】前記複数のプレート部材のうち、少なくとも1つの前記プレ
ート部材は、前記主要部の一部が、前記積層方向における一方側へ突出す
ることにより形成された凸部(251)を有する、請求項1又は2に記載
の熱交換器。

【請求項4】前記複数の内側プレートのうち、少なくとも1つの前記内側
プレートは、前記主要部の一部が、前記積層方向における一方側へ突出す
ることにより形成された突条部(252)を複数有し、複数の前記突条部
のそれぞれは、長手方向が、所定の一方向に沿うように形成されている、
請求項1又は2に記載の熱交換器。

【請求項5】前記複数のプレート部材のそれぞれの前記フランジ部は、溶
接によって互いに接合されており、前記フランジ部の外周端部同士の溶接
部である外周溶接部(51)を有し、該外周溶接部は、前記フランジ部同
士の間を封止している、請求項1又は2に記載の熱交換器。

【請求項6】前記フランジ部同士の溶接部である流路側溶接部(52)を、
さらに有し、該流路側溶接部は、前記外周溶接部よりも前記流路側に形成さ
れている、請求項5に記載の熱交換器。

【請求項7】 請求項5に記載の熱交換器を製造する方法であって、 前記複
数のプレート部材のそれぞれの前記フランジ部同士を前記積層方向に互い
に当接させつつ、前記フランジ部同士を外周側から互いに溶接して、前記
外周溶接部を形成することにより、前記フランジ部同士の間を封止する、
外周溶接工程を有する、熱交換器の製造方法

【請求項8】前記外周溶接工程は、TIG溶接、またはレーザー溶接によ
って行う、請求項7に記載の熱交換器の製造方法

【請求項9】前記外周溶接工程よりも前に、複数の前記プレート部材のそ
れぞれの前記フランジ部同士を前記積層方向に互いに当接させつつ、前記
フランジ部における前記外周溶接部が形成される部位よりも前記流路側の
部位に対し抵抗溶接を行うことにより、前記フランジ部同士を互いに接合
する流路側溶接工程を行い、
該流路側溶接工程は、溶接電極(121)と
アース電極(122)とによって、複数の前記内側プレートの前記フラン
ジ部を、前記積層方向に挟持した状態にて抵抗溶接を行った後、さらに、
抵抗溶接によって互いに接合された複数の前記内側プレートの前記フラン
ジ部を、前記一対の外側プレートの前記フランジ部によって、前記積層方
向に挟持すると共に、前記溶接電極と前記アース電極とによって、前記一
対の外側プレートの前記フランジ部、及び複数の前記内側プレートの前記
フランジ部を、前記積層方向に挟持した状態にて抵抗溶接を行う、請求項
7に記載の熱交換器の製造方法

2. 特開2025-14244 積層型プロトン伝導性電解質膜およびその製造方法
株式会社豊田中央研究所他
【要約】下図1のごとく、積層型プロトン伝導性電解質膜は、プロトン伝
導性を有する第1電解質膜と、プロトン伝導性ナノシートを備えるナノシ
ート層と、プロトン伝導性を有する第2電解質膜とが、この順序で積層さ
れており、ナノシート層は、ナノシート層の面方向にプロトン伝導性ナノ
シートが複数集合することによって構成されており、プロトン伝導性ナノ
シートは、ナノシート層の積層方向にプロトン伝導性を有する
     
左図1 積層型プロトン伝導性電解質膜の概略構成を模式的に表す断面図
右図2.  図2積層型プロトン伝導性電解質膜の製造方法を示す説明図
【符号の説明】10…積層型プロトン伝導性電解質膜     12…第1電解質
膜 14…第2電解質膜 16…ナノシート層

図3 各サンプルの構成や測定結果をまとめて示す説明図

図4  ナノコート領域の被覆状態を観察した様子を模式的に表す説明図

図5 3D測定レーザー顕微鏡により得られた顕微鏡写真を示す説明図
【特許請求の範囲】
【請求項1】  積層型プロトン伝導性電解質膜であって、  プロトン伝導性
を有する第1電解質膜と、プロトン伝導性ナノシートを備えるナノシート
層と、プロトン伝導性を有する第2電解質膜とが、この順序で積層されて
おり、  前記ナノシート層は、該ナノシート層の面方向に前記プロトン伝導
性ナノシートが複数集合することによって構成されており、  前記プロトン
伝導性ナノシートは、前記ナノシート層の積層方向にプロトン伝導性を有
する  積層型プロトン伝導性電解質膜。
【請求項2】  請求項1に記載の積層型プロトン伝導性電解質膜であって、
  前記プロトン伝導性ナノシートが、グラフェンナノシート、酸化グラフ
ェンナノシート、ケイ酸塩ナノシート、h-BNナノシート、窒素ドープ
グラフェンナノシートから選ばれる少なくとも1種類である  積層型プロト
ン伝導性電解質膜。
【請求項3】  請求項1に記載の積層型プロトン伝導性電解質膜であって、
  プロトン伝導度を、室温、相対湿度100%RHの条件で測定する場合に、
前記積層型プロトン伝導性電解質膜の積層方向のプロトン伝導度σnano
と、前記ナノシート層を備えることなく前記第1電解質膜および前記第2
電解質膜を接合した接合電解質膜の積層方向のプロトン伝導度σcomp1
と、を比較したときの、σcomp1に対するσnanoの比率、および、前
記プロトン伝導度σnanoと、前記第1電解質膜および前記第2電解質と
同種の電解質膜であって前記第1電解質膜および前記第2電解質膜の厚み
の合計の厚みを有する単層電解質膜の膜厚方向のプロトン伝導度σcomp2
と、を比較したときの、σcomp2に対するσnanoの比率、のうちの少
なくとも一方の比率が80%以上であり、ガス透過係数を、室温、相対湿
度0%RH、差圧100kPaの条件で測定する場合に、前記積層型プロ
トン伝導性電解質膜のガス透過係数Pnanoと、前記接合電解質膜のガス
透過係数Pcomp1と、を比較したときの、Pcomp1に対するPnano
の比率、および、前記ガス透過係数Pnanoと、前記単層電解質膜のガス
透過係数Pcomp2と、を比較したときの、Pcomp2に対するPnano
の比率、のうちの少なくとも一方の比率が75%以下である  積層型プロ
トン伝導性電解質膜。
【請求項4】  請求項1に記載の積層型プロトン伝導性電解質膜であって、
  前記プロトン伝導性ナノシートの厚さに対する前記ナノシートの平均粒
径の比であるアスペクト比が、10~10である  積層型プロトン伝導性
電解質膜。
【請求項5】  請求項1に記載の積層型プロトン伝導性電解質膜であって、
  前記第1電解質膜の表面の面積に対する、前記ナノシート層に覆われる
部分の面積の割合である被覆率は、70%以上、99.9%以下である 
積層型プロトン伝導性電解質膜。
【請求項6】積層型プロトン伝導性電解質膜の製造方法であって、 プロト
ン伝導性ナノシートの分散液を作製し、プロトン伝導性を有する第1膜と、
プロトン伝導性を有する第2電解質膜と、のうちの一方の電解質膜を加熱
しつつ、該一方の電解質膜上に前記分散液を滴下し、前記分散液を滴下し
た後に、滴下した前記分散液を前記一方の電解質膜上から除去して前記一
方の電解質膜を乾燥させることにより、前記一方の電解質膜上において前
記プロトン伝導性ナノシートを備えるナノシート層を形成し、前記ナノシ
ート層上に、前記第1電解質膜および前記第2電解質膜のうちの他方の電
解質膜を積層して接合する  積層型プロトン伝導性電解質膜の製造方法

3.特開2024-133314 燃料電池モジュール及び燃料電池装置 京セラ株式
会社
4.特開2023-139522 塗料組成物の製造方法、ガドリニウムドープセリア層、
電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、
固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物電解セル 大阪瓦斯株式会社
尚、上記4件は、審査前、審査中案件である。尚、2件は明日、考察する。

アメリカ現地を取材した迫真のルポの数々『独裁者トランプへの道 ...

✅ トランプルの粗暴さを探る⓷
◾実際に金を掘る代わりに
フリードリヒはクロンダイクでの稼ぎをニューヨークで不動産業に投資す
る。彼が目をつけたのは、クイーンズ地区のまだ発展していない一帯だっ
た。当時のクイーンズの人口は20万人に満たなかったが、マンハッタンに
つながる橋や鉄道のトンネルが建設されているところだった。1909年に橋
が開通し、1910年に鉄道がつながると、住宅が増え、商業地区ができ、1
920年までに人口は50万人近くまで増加することになる。

儲けの好機に気づき、定期的に不動産仲介業者を訪れていたフリードリヒ
だったが、1918年3月、いつものように業者回りをしている途中で突然体
調を崩し、そのままこの世を去った。死因は当時アメリカで猛威を振るっ
ていたスペイン風邪だったようだ。
時は下って1954年7月12日、トランプの父、フレッドは、連邦上院での公
聴会に召喚されていた。連邦住宅局(FHA)の「退役軍人向け住宅供給プ
ログラム」を利用した400万ドルの不当な利得について質問に答えるため

✳️ プログラムの精神に反していたが
公聴会でフレッドは、許しを求めることも、被告人のように振る舞うこと
もなかった。代わりに、自分が最大限の利益を手に入れるために使った、
複雑な、しかし合法的な手法について、自信満々に説明した。退役軍人向
けの住宅供給プログラムは、当初の精神に反して、規定を読みこなせる建
設業者にカネを儲けさせるために設計されたかのようになってしまってい
たが、フレッドはその全体像を理解し切っていた。
フレッドの手口がプロ
グラムの精神に反しているのは明らかだったが、違法行為としてとがめら
れることはなかった。世の中の仕組みを理解し、それを利用して利益を得
る「野心的で賢い同胞」を称え、応援さえするアメリカ人は少なくないだ
ろう。彼はまさにそういう人間だったという。
フレッドは、5人の子どもたちに、非情なまでの競争心と闘争心を持てと教
えた。特に、幼
いころから自分に似ていたドナルドには、お前は「食う側
」になり、「王」になるのだと言い聞かせた。そして、将来の王にふさわ
しく、運転手付きの大型リムジンで新聞配達の仕事をさせた。ドナルドが
いじめっ子体質で暴力的な少年になったのも当然かもしれない。
ドナルドは名門私立学校、キュー・フォレスト・スクールに入学し、毎日
ネクタイを締めて通った。しかし、結局この学校も、落ち着きがなく言う
ことをきかないドナルドを改心させることはできなかった。

ドナルドは8年生になると、軍隊式教育で知られる私立の全寮制男子校、
ニューヨーク・ミリタリー・アカデミー(NYMA)に入れられ、制服を着
て、狭い相部屋に押し込まれて過ごすことになる。親も友人も、父の豪邸
もない。あるのはヒエラルキーと、権威主義的な厳しい規律でできた社会。
NYMAの教員・関係者には第二次世界大戦の退役軍人が多く、肉体・精神
の両面で荒々しく生徒たちを扱った。ドナルドの話によれば、「連中はい
つも生徒をぶん殴っていた」という。彼はここでの経験から、弱い者が虐
げられるのは世の習いだと確信し、競い、勝つことがすべてだという考え
方を強めた。彼の恩師は、「食堂の列をはじめ、ドナルドは何でも一番に
なろうとした」と述懐している。

その後、ドナルドは地元のフォーダム大学に入学し、商業専門学校に通う
ような感覚で大学時代を過ごす。のちにフォーダム大学から編入して、ペ
ンシルベニア大学のウォートン金融商業スクール(現ウォートン・スクー
ル)で不動産を学ぶことになるが、編入後も彼はいつも週末にはニューヨ
ークの実家に戻って家業の見習いをした。そこで彼は、父が寄付金によっ
て政治家を操り、人脈を駆使して儲けを重ねていく姿を目にする。

最も早い時期からドナルドと協力関係にあった人物に、マフィア弁護士の
ロイ・コーンがいる。コーンは人種差別的な言動でも知られた人物だ。
コーンから学びながら、ドナルドはすぐに、マスコミを操り、作り物の「
成功イメージ」を築く能力を示す。
少し手を回すだけで、ニューヨーク・
タイムズに好意的な記事を書かせ、ハンサムで優秀なドナルド・トランプ
像をつくり上げたり、テレビのトーク番組の関心を引いたりできた。マス
コミはそれが真実かどうかより、とにかく「面白いストーリー」を欲した

金持ちで見栄えのいい男としてメディアと大衆の注目を集めることに成功
したトランプは、その後も注目を求め続けた。見栄えについて言えば、中
年太りと戦い、常に高級なスーツに身を包み、髪の毛を守るために最大の
努力を捧げてきた。
彼の髪型のことは、1990年ごろから新聞や雑誌で話題
に上り始めた。かつてはブラウンのヘルメット型だったのが、赤みを帯び
た金髪の複雑な髪型になったのである。しかし、注目されることが何より
大事なトランプとしては、自分を有名にしてくれたこの髪型を変えること
もできなかった。(東洋経済ONLINE 2026.2.4)

マイケル ダントニオ:フリージャーナリスト、ライター
プルトニウム汚染の脅威を追及した『アトミック・ハーベスト』(小学館)、
感染症の恐怖を描いた『蚊・ウイルスの運び屋』(共著、ヴィレッジブッ
クス)をはじめ、これまで10冊以上の本を上梓。『Newsday』の記者時代
にピュリッツアー賞を受賞。
🪄昨夜、面白い調査レポートが米国で公開されているネット記事で見つけ
  翻訳をはじめる(2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件)。そこに
 首謀者の人格に関する報告者で、米国で公開されていたことを知るが、
 その作業を放棄する(本腰を入れなければならず、その時間はないと判
 断)。感心したには「米国の情報開示性」である)。  この項つづく

 心に響く楽曲 『切手のないおくりもの 財津和夫』     
              ジャンル:J-POP 1978年
              作詞/作曲:
財津和夫

1977年に、NHKの音楽番組『歌はともだち』で発表された。同番組では
ギー葉山
南沙織あべ静江森山良子や他の出演者によって歌われた
歌詞やメロディが母親や小学生の間で人気を集め、ピーク時にはNHKに1
日1万通もの楽譜を要望する葉書が殺到するなど、大きな反響を呼ぶ。


今日の言葉:今日もスマートフォンの設定ミスか確認にドコモ・シ
   ョップにでかけて対応する。便利がいいがメーカ側のアップヴァー
   ジョンなどや変更に追いつけないという問題ある。ほんまに、パニ
   クルは!そして、
 に備えなくっちゃ!

  

         春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

         

 

 

 

 

 

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エネルギーと環境 127

2025年02月03日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。



【季語と短歌:2月3日】

          春隣の寒波襲来 変ったね 

                 高山 宇 (赤鬼)

埼玉の道路陥没では、地中のガス管や光通信ケーブルも被害を受けた。大
規模な陥没は想定していないものの、地震などの災害への対策は進められ
ている。
大阪ガスは平成7年の阪神大震災以降、柔軟性があり、力が加わ
ってもガス漏れが起きにくい「ポリエチレン管」の導入を進めており、小
規模の陥没であれば耐えられる可能性が高いという。仮にガス管が破損し
ても供給停止範囲を最小限にできるよう導管網の細分化を行っている。
N
TT西日本は、通信ケーブルが集積した通信用トンネル「とう道」を震度7
クラスの大規模地震にも耐えられる設計にしており、通信への影響が発生
しないように対策している。(2022.02.02 産経新聞 桑島浩任)

                     

 ✳️ モーニング・コーヒーのブースト効果あり!
体調が思わしくなる兆候として、睡眠不足、便秘、頭痛が厳しくなる。
ギガジン経由で「モーニングコーヒ」が効果ありとの報告が紹介されてい
た。彼女も朝食前のモーニング・コーヒーが効果的とすすめられていたの
でそれを裏付けとなる。被験者は1日に最低1杯のコーヒーを飲む人々で、
実験時は開始の3時間前からカフェイン入り飲料の摂取を控え、カフェイ
ン摂取前と摂取後のMRIスキャンを実施。その結果、カフェインを摂取す
ると、内省のプロセスに関わる脳のネットワーク部位の接続性が低下し、
人々が休息から作業に移る準備ができたことがわかった。そして、コーヒ
ーを摂取した場合のみ、高次視覚ネットワークや作業記憶・認知制御・目
標指示行動などに関与する右実行制御ネットワークの働きが強くなる。単
にカフェインを摂取するだけでは、こうした働きは見られなかった。ただ
し、カフェイン抜きのコーヒーを飲んだ場合でも、こうした効果が引き起
こされる可能性を研究チームは示唆す。
【掲載誌】
rewing Clarity: The Unique Neurological Effects of Coffee Over Plain
Caffeine
https://scitechdaily.com/brewing-clarity-the-unique-neurological-effects-
of-coffee-over-plain-caffeine/



🪄鵜呑みするわけもいかず当分試飲を継続する(1カ月間)。
---------------------------------------------------------------------------

図1:表面コート型ラムダ型五酸化三チタンの合成
(a) ラムダ型五酸化三チタン(λ-Ti3O5)の結晶構造と走査型電子顕微鏡SE
M)像。右上は量産法で作製したλ-Ti3O5粉末試料(150 g)の写真。
(b)アナターゼ型酸化チタン(TiO2)ナノ粒子の結晶構造と透過型電子顕
微鏡(TEM)像。(c) 表面コート型ラムダ型五酸化三チタンのSEM像。

✳️ 
2040年5G/6G関連市場,順調な普及で103.6兆円

矢野経済研究所は,5G/6G関連デバイス・材料の世界市場を調査し,主要
デバイス別や材料別の動向,参入企業(メーカー,商社)や研究機関の動
向,将来展望などを明らかにしている(2024.12.27)。
荷金額ベース)は24兆838億円の見込み。デバイス・材料の内訳をみると,
トランジスタが1兆1,398億円,アンテナが2兆9,388億円,FPC(Flexible
Printed Circuits:フレキシブルプリント基板または配線板)は1兆2,500
億円,SoC(System on Chip)は18兆7,356億円,PI(ポリイミド)は153
億円,LCP(液晶ポリマー)は43億円の見込み

✳️ 超薄型テラヘルツ波吸収フィルム開発  東大ら
東京大学と新日本電工は,第6世代移動通信システム(6G)等で利用が期
待される0.1~1THzのテラヘルツ波を吸収する超薄型テラヘルツ波吸収フ
ィルムを開発。
【要点】

  • 表面コート型ラムダ型五酸化三チタンを用いて、0.1~1 THzのテラ
    48マイクロメートル(µm)は世界最薄。
  • テラヘルツ波の使用が期待される第6世代移動通信システム(6G)、
    非接触バイタルモニタリングシステム、セキュリティセンシング技
    術、電波望遠鏡などにおいて、電磁波干渉防止やデバイスの感度向
    上に貢献することが期待される。
  • 本材料はチタン原子と酸素原子のみからなる環境に優しく、安価で
    安全な材料です。耐熱性、耐光性、耐水性、耐有機溶剤性も兼ね備
    えていることから屋外環境や過酷な条件下でも使用可能。


表面コート型ラムダ型五酸化三チタンを用いた6G用の世界最薄の電磁波
吸収フィルム

テラヘルツ時間領域分光法による測定の結果、開発した表面コート型ラム
ダ型五酸化三チタンは、0.1 THzから1 THzの範囲で0.76という高い誘電正
接を示しました(図2)。これは、ラムダ型五酸化三チタン結晶内部のド
メイン界面、絶縁性TiO2ナノ粒子とラムダ型五酸化三チタン結晶の間の界
面で生じる電子散乱によって、極めて高い誘電損失がテラヘルツ波帯域で
発現したことによります(図3)。この材料を用いて理論的計算をもとに、
超薄型テラヘルツ波吸収フィルムを開発しました。厚さ48 µmのフィルム
は0.77 THzで−28デシベル(dB)の
反射損失(99.8%吸収に相当)を示しました(図4)。このような0.1~
1 THzの帯域のテラヘルツ波吸収フィルムはこれまで報告されておらず、
世界最薄。
表面コート型ラムダ型五酸化三チタンを用いたテラヘルツ波
吸収フィルムは世界最薄であるだけでなく、耐熱性、耐光性、耐水性、耐
有機溶剤性も備えていることから屋外環境や過酷な条件下でも使用するこ
とが可能。
ラムダ型五酸化三チタンの量産コストは、吸収フィルム1 m2あたり数百
円程度に抑えられるため、実用化に適しており、量産も可能です。また、
表面コート型ラムダ型五酸化三チタンはチタン原子と酸素原子からなる環
境に優しい材料であり、持続可能な開発目標(SDGs)の観点にも合致し
た材料といえます。開発した表面コート型ラムダ型五酸化三チタンからな
る薄型テラヘルツ波フィルムは、6G用アンテナのカバー(レドーム)や基
板、非接触バイタルモニタリングシステム、品質検査スキャニングシステ
ム、危険物検知のためのセキュリティセンシングシステム、電波望遠鏡施
設、輸送車両の車体、道路やガードレールなどのインフラなどへの設置を
通して、テラヘルツ技術の発展に貢献することが期待される。


図2:表面コート型ラムダ型五酸化三チタンの(a)誘電率実部εʹ、(b)誘電
率虚部εʺ、(c) 誘電正接tanδの周波数依存性(点:測定データ、線:アイ
ガイド)。縦軸は材料の充填率に基づいて較正されている。(d) 誘電率実
部に対する誘電率虚部のプロット。


図3:高いtanδのメカニズム
(上)ラムダ型五酸化三チタン一次粒子のTEM像と、ドメイン構造の模式
図。(下)電磁波(すなわち交流電場)が照射されると導電性のラムダ型
五酸化三チタンでは電流が発生するが、ラムダ型五酸化三チタン結晶のド
メイン界面や、絶縁性の酸化チタンナノ粒子で覆われたラムダ型五酸化三
チタン結晶の表面で電流が散乱され、エネルギーが損失する。


図4:(a) 金属基板上に形成された表面コート型ラムダ型五酸化三チタンか
らなるフィルムの反射損失スペクトル。(b)シミュレーションによって得ら
れた厚みと周波数に対する反射損失の等高線図と、実際に観測された厚み
と吸収ピーク周波数のプロット(丸)。
【掲載誌】
・ACS Applied Materials & Interfaces
・Ultrathin Terahertz-Wave Absorber Based on InorGanic Materials for
 6G Wireless Communications
・10.1021/acsami.4c17606


https://youtu.be/n8WH-t4HX4w

✳️ 同盟も友好もない「史上最も愚かな貿易戦争」と韓国
「トランプ発関税爆弾」がついに爆発した。トランプ米大統領が1日、米
東部時間基準4日午前0時からカナダとメキシコに25%、中国にさらに
10%の関税を課す大統領令に署名した。カナダとメキシコは直ちに米国
製品に対する「報復関税」を表明し、中国は米国を世界貿易機関(WTO)
に提訴すると反発した。米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で、
「史上最も愚かな貿易戦争」と指摘した。米国の今回の措置は、戦略的競
争国である中国だけでなく近隣同盟国に対しても関税爆弾を投下したとい
う点で衝撃的だ。米国は欧州連合(EU)に対しても関税賦課を予告する
など、戦線は拡大する見通しだ。安全保障・経済において米国の核心的な
同盟国であり、友好国である韓国も射程圏から抜け出すことは難しい。す
でに米国は韓国の家電製品、半導体などを狙って関税圧力をかけている。

歴史的に貿易戦争の結果は勝者のない「共滅」だった。1930年に米国
が制定したスムート・ホーリー関税法は各国の関税引き上げ競争をもたら
し、大恐慌を悪化させた。世界貿易が3分の1に減り、世界経済規模が1
5%縮小した。60年代の米国と欧州の鶏肉関税戦争、80年代の日米
貿易摩擦、第1次トランプ政権の米中貿易戦争は、いずれも物価上昇、サ
プライチェーンの毀損、雇用の喪失など、世界経済に深刻な傷を残した。
最大の被害者は全世界の消費者だった。(東亜日報)

貿易依存度が高い韓国は特に深刻な打撃を受けるほかない。今回の関税措
置により、メキシコに北米生産拠点を置いている韓国の大企業への直接的
な被害を予想する。今後、関税が韓国製品に拡大されれば、現在韓米FT
Aにより関税免除が適用されている半導体、自動車など主要輸出品が米国
の市場で直撃弾を受けることになる。対中関税で中国の輸出が減速すれば、
韓国の中国への中間財輸出の減少につながる。対外経済政策研究院は、最
悪の場合、韓国の輸出が最大448億ドル(約65兆ウォン)減少すると
予測する。

関税ショックがまだ始まっていないにもかかわらず、先月の韓国の輸出は
1年前より10.3%減少し、1年4ヵ月ぶりに減少
に転じた。 韓国の経済
体力が脆弱な状態で直面する貿易戦争の衝撃は、韓国経済に致命傷となる
可能性がある。 政府と国会、企業が力を合わせて米国を説得し、国際協力
に取り組むなど、徹底して対応しなければならない。 政治的対立と政争だ
けに没頭している場合ではない。 韓国を飲み込むかもしれない巨大な台風
が近づいていると悲観している。

アメリカ現地を取材した迫真のルポの数々『独裁者トランプへの道 ...

✅ トランプルの粗暴さを探る⓶
◾トランプ大統領の祖先が「移民」した理由
(YAHOO!ニュース  2017.11.27/石田雅彦

◾21世紀の人口流動はどうなるか
また、戦争などによる食糧不足も移民を後押しした、と考えられる。 1850
年から1855年にも南西ドイツからの移民のピークがあるが、これは1853年
から1856年までロシアとトルコが戦ったクリミア戦争の影響らしい。 ロシ
アを後押しするフランスは食糧を禁輸し、トルコの同盟国ドイツに対して
圧力をかけたからだ。
現在、アフリカや中東などからヨーロッパへ押し寄
せている難民は、経済的な貧困に喘ぐ母国から活路を見出そうとしたり、
シリアなどの戦乱地域から避難するケースが多い。 米国へも南米やメキシ
コなどの貧困や治安の悪化から逃れて違法入国してくるわけで、トランプ
大統領の祖先が移民したのと理由はそう変わらない。

✳️トランプ、祖父の代から続く「カネへの執着」
◾父からは「食う側になれ」と叩きこまれた
(マイケル ダントニオ : フリージャーナリス, 東洋経済 2016.10.08)
◾「 遺伝子」と「幼少期の経験」
筆者はドナルド・トランプの私生活・事業・政治活動などを調べる仕事に
3年を費やした。 そして、どういった経験から、また何の影響によって、
横暴や誇大妄想といった特性を備えるようになったのか、その答えといえ
そうなものを見出した。
トランプは、私たちがどのような人間になるかを
決めるのは、「遺伝子」と「幼少期の経験」だと考えている。 彼の父親の
フレデリック(フレッド)・トランプは、多くの関係者の話から、極めて
厳格で多くを求めるだけでなく、抜け目なく、欺瞞に長けた人物だったと
いえる。 また、後で述べるが、復員軍人や中間所得層に住宅を供給するた
めのプログラムを利用して不当な儲けを手にしていたことが、政府による
二度の捜査で暴かれている。
フリードリヒはニューヨークで6年間過ごした
後、西部で新たな都市や町が急速に発展し、鉱業が活況を迎えていること
を聞きつける。 シアトルに移住した彼は、売春街で食堂兼娼館を開いて成
功する。 アメリカン・ドリームの実現というのは言い過ぎにしても、富と
道徳に同じだけの価値を認める国で、彼は本物の「清く正しいアメリカ人」
になっていった。 そして、移住から7年後、彼は正式にアメリカ国民とな
った。 「Trumpf」の「f」が消えたのはこのときだ。
金持ちになるチャン
スをうかがっていたフリードリヒは、アメリカ西海岸を南北に走るカスケ
ード山脈のモンテ・クリストと呼ばれる鉱山町に、金銀を狙う探鉱者たち
が集まっているのを知るという。

◾実際に金を掘る代わりに
当地では、鉱脈を掘り当てた探鉱者には、その区画に関する独占的な権利
が与えられることになっていた。 自分で土砂を掘り返すより探鉱者を相手
に商売するほうが確実に儲かると考えたフリードリヒは、まず適当な場所
で「金を掘り当てた」とうそをつき、一銭も払うことなく一等地の占有権
を手に入れる。 そして、実際に金を掘る代わりに、その土地に宿を建てた。
地代がかからなかったこともあって、これが大きな儲けになった。
モンテ
・クリストには実際は金鉱などなく、そのことが明るみに出ると、町は放
棄される。 一方で、当時、カナダ北西部のクロンダイクという地域で新た
なゴールドラッシュが始まっていた。 フリードリヒはモンテ・クリストと
同じやり方で儲けようと、当地へ向かった
がアラスカに着くと、彼は道端で行き倒れになった馬の肉を使った料理
を専門とするテント食堂を開き、それから小屋を建てて食堂兼ホテルを経
営し、売春サービスも提供した。 さらに、本来は権利のない土地を違法に
占有するという手口でより大きな宿を開くと、昼夜営業して大儲けした。
探鉱者の中でフリードリヒより稼いでいたのは、ほんの一握りしかいなか
った。
その後、32歳になったフリードリヒは、結婚相手を探すためにドイ
ツに渡り、1905年に妻のエリザベスを連れてアメリカに戻る。 このとき妻
は妊娠しておりアメリカで息子のフレッドが生まれた。   
                           この項つづく
 心に響く楽曲      『Mr.Postman』
                 ジャンル:Pop 1961年
                 作詞/作曲
ョージア・ドビンズ
                      ウィリアム・ギャレット他




  今日の言葉:

春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

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エネルギーと環境 126

2025年02月02日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

【季語と短歌:2月2日】

          海苔結ぶ歳徳神追儺会や 

                 高山 宇 (赤鬼)



⛑️取り出せたのは「12億分の1」 福島第一燃料デブリ
東京電力福島第一原発の事故から14年。廃炉作業が続く中、昨年、初めて
燃料デブリの試験的取り出しに成功した。しかし、その量はあまりにも少
ない。(AERA 2025年2月3日号


昨年、福島第一原発の作業員約5500人に労働環境についてアンケートをし
たところ、作業時に放射線に対する不安があると答えた人が4割に上ったこ
とがわかった。アンケートは毎年行い、不安がある人の割合は減少傾向だ
ったが、前年から2.8倍に急増したという。福島第一原発での作業時に放
射線に対する不安があるか尋ねたところ、「ある」(12.1%)と「多少あ
る」(28.2%)の合計は40.3%に上った。近年は不安が解消傾向にあった
が、前年比で2.8倍に増えた。「ある」「多少ある」と答えた人に、具体的
にどんな不安があるのかを選択肢をあげて質問したところ、体に放射性物
質が付着する「身体汚染」が52.2%と最も多く、前年よりも約7ポイント
増えていた。  福島第一原発では2023年10月、多核種除去設備(ALPS(
アルプス))の配管を洗浄中に高濃度の汚染廃液を浴びた作業員2人が入
。昨年2月には、汚染水の浄化設備がある建屋の排気口から汚染水約1.5
トンが流出するトラブルが起きた。東電は、相次いだトラブルが作業員の
不安を強めた可能性があるとみている。福島第一廃炉推進カンパニーの小
野明代表によると、作業経験が短い作業員が不安を感じている傾向がある
という。小野氏は「建屋の中は放射線量が高く、汚染されやすい場所もあ
るが、しっかり対策をすれば安全に作業できる。そのことを伝えながら、
不安を解消していきたい」と話した。


✳️ 半導体製造でのPFASを除去 3年以内の商用化目指す
イリノイ大学アーバナシャンペーン校で化学工学を研究するXiao Su氏の
チームは、電界駆動でPFASを除去できるナノろ過技術を発表(2025年01
月31日 EE Times)
2024年11月、Su氏のチームは、重要部分であるシステムの膜を汚染する
ことなく、電界駆動でPFASを除去できるナノろ過技術を発表した。チーム
はベンチスケールのプロトタイプ製作を完了していて、3年以内に商用化
できると考えているという。同氏は「ベンチャーキャピタルや半導体メー
カーが生産規模の拡大に関心を示している」としたが、企業名は明かさな
かった。
--------------------------------------------------------------------------------
Go to journal home page - Water Research
【掲載論文】
Titol:Rejection of PFAS and priority co-contaminants in semiconductor
fabrication wastewater by nanofiltration membranes
https://doi.org/10.1016/j.watres.2024.122111
【要点】
1.半導体製造は、パーフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキ
 ル化合物 (PFAS) の発生源。
2.ナノ濾過膜は、長鎖、短鎖、超短鎖の PFAS を除去する。
3.静電相互作用により、陽イオン性共汚染物質の除去率は陰イオン性 PFAS
 より低くなる。
4.半導体廃水マトリックスにおける PFAS および共汚染物質の除去率が向
 上した。
5.半バッチ パイロット システム操作により、90 % の水回収率を達成した。


【要約】
高圧膜の使用は、変動する水質や特定のPFAS構造に対して吸着プロセスよ
りも感度が低いPFAS(パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル
物質)の除去に効果的な手段です。本研究では、半導体製造(ファブ)廃
水中のPFASおよび業界関連の共汚染物質の除去のためにナノフィルトレー
ション(NF)膜の使用を評価した。フラットシートフィルトレーションセ
ルを使用した初期実験では、NF90(タイトNF)膜がNF270(ルーズNF)
膜と比較して優れた性能を示し、NF90の除去率は評価されたすべてのPFAS
に対して97%を超え、超短鎖トリフルオロメタンスルホン酸(TFMS)も含
まれていた。陽イオン性のファブ共汚染物質であるジアリルヨニウム(DIA)、
トリフェニルスルホニウム(TPS)、およびテトラメチルアンモニウム水酸
化物(TMAH)は、静電気的効果により陰イオン性PFASほど高くは除去さ
れなかった。その後、スパイラル巻きのNF90モジュールがパイロットシス
テムで使用され、PFASと共に含まれるラボ溶液を処理した。
共汚染物質とファブの廃水排出。トリフルオロ酢酸(TFA:96,413 ng/L)、
ペルフルオロプロパン酸(PFPrA:11,796 ng/L)、ペルフルオロブタン酸
(PFBA:504 ng/L)を含む高濃度のペルフルオロカルボン酸(PFCAs)を
含むファブの廃水の処理は、すべてのPFASの92%以上の除去を達成し、半
バッチ構成で90%の水回収を実現した。これらの結果は、廃水マトリック
スからのPFAS除去を目指す処理列に組み込むための有望な技術オプション
としてナノフィルトレーションを示す。

Detection of greenhouse gas emissions from harmful PFAS gases in the Fraunhofer EMFT cleanroom

フラウンホーファーEMFTクリーンルームのガス除去システムの概略図

【説明図】 2 チャンバー PECVD コーティング システム、"グリーン モー
ド" 機能を備えた真空ポンプ、最新の DAS バーナー/ウォッシャー システ
ム、および 2 つの質量分析計 (MS) で構成される、完全に機能する環境に
優しい研究施設。質量分析計の 1 つは、PECVD チャンバーの出口で直接有
害ガスを検出し、もう 1 つは FTIR 測定装置と組み合わせて、バーナー/ウ
ォッシャー ユニットの出口でのガス含有量を定量化します。

チャンバー洗浄中のプロセスチャンバー出口でのNF2強度の測定
図 プロセス チャンバーの出口にある質量分析計では、イオン化によって
他の信号とともに生成される NF2 信号が最も顕著。したがって、これは
ガス流中の NF3 濃度の指標フラグメントとして使用される。チャンバー
洗浄中の NF2 測定信号の比較から、NF3 を使用すると洗浄ステップの最
後にこの温室効果ガスの濃度が大幅に増加することがわかります。これは、
プラズマ プロセスの最後にプロセス チャンバーが真空にされ、消費され
なかった NF3 が排出されるため。

⛑️気候に優しいプロセスガスによる排出量の削減
半導体製造における有害な排出物を削減するもう 1 つの方法は、温室効果
ガスの可能性がないか最小限であるガスまたはガス混合物を使用すること。
この積極的なアプローチは、半導体製造用の環境に優しい洗浄ガスの開発
を目的としたプロジェクトにおいて、フラウンホーファー EMFT が業界パ
ートナーと共同で進めてきたものです。このプロセスでは、従来の、特に
気候に悪影響を与える洗浄ガスである PFC および NF₃ が、洗浄効果を損
なうことなく、フッ素、アルゴン、窒素のいわゆる FAN ガス混合物に置
き換えられた。
エッチングおよび PECVD チャンバーからの汚染物質排出
の検出は、産業界および商業業界の企業に排出削減に積極的に貢献する機
会を提供する。

アメリカ現地を取材した迫真のルポの数々『独裁者トランプへの道 ...

トランプルの粗暴さを探る⓵

◾トランプ大統領の祖先が「移民」した理由
(YAHOO!ニュース  2017.11.27)

ドナルド・トランプ大統領の祖父、フリードリヒ・トランプ(Friedrich "
Frederick" Trump)はドイツからの移民だった。フリードリヒはババリア
地方にあったバイエルン王国カルシュタットの貧しい家に生まれ、父親が
1877年に気管支炎で死んだ時には8歳で、後には母親と5人の兄弟姉妹が残
された。
🌠
ドイツから北米への移民 
ローマ時代からババリア地方で行われていたブドウ栽培の重労働に、病弱
だったフリードリヒが耐えられないと考えた母親は、南西ドイツにある街
フランケンタールへ彼を理髪師として修業に出した。2年半の修業後、1885
年、16歳でカルシュタットへ帰って来たフリードリヒは人口の少ない故郷
の街で理髪店は成功しないことを察し、兵役義務を逃れるためもあり渡米
を決心した、と言う。

ちなみに、ファイザー製薬の創業者、カール・グスタフ・ファイザー(Karl
Gustav Pfizer、チャールズ・ファイザー)はカルシュタットから南西に位
置するヴュルテンベルク王国のルートフィヒスブルクで生まれ、1848年
に米国へ移民した。また、米国の大手食品メーカー、ハインツ(Heinz)
の創業者、ヘンリー・ハインツ(Henry Heinz)もフリードリヒと同じ
1885年に同じカルシュタットから米国へ移民している。

フリードリヒ・トランプは、ゴールドラッシュで好景気の米国西海岸で飲
食業やホテル業で財を築き、1905年には彼の息子フレッド(父の米国名と
同じFrederick)、つまりトランプ大統領の父親が生まれた。フレッドは母
親と一緒にニューヨークで不動産業を始め、帝王学を授けた息子に事業を
譲る。トランプ大統領が誕生した背景には、このようにドイツから米国へ
移民した流れがあった。

19世紀までのドイツは、日本が幕藩体制だったのと似たようにプロイセン
王国やバイエルン王国、バーデン大公国、ホルシュタイン公国、ハンザ諸
都市などが割拠し、統一した国家ではなかった。また、30年戦争やナポレ
オン戦争などの戦乱で荒廃し、諸国の国民は貧しく飢餓に喘いでいた

19世紀は移民の時代
封建制から近代資本主義制へ移行した19世紀は、世界的に人口が大きく異
動した時代でもある。日本でも1885(明治18)年にハワイへの移民第一号
(944人)が渡航した。
国家統一の動乱などのため19世紀には500万人以
上がドイツから北米大陸へ移民している。もちろん、移民を後押ししたの
は戦争ばかりではない。気候変動や食物の疫病による食糧不足なども移民
の大きな要因になっていた。アイルランドのジャガイモ飢饉は、人為的に
引き起こされた側面も大きいが、アイルランドから北米移民が激増した背
景でもある。こうした北米大陸への移民について、ドイツ・フライブルク
大学の研究者が新たな分析を発表。この研究では特に、19世紀の南西ドイ
ツ、つまりフリードリヒ・トランプやチャールズ・ファイザー、ヘンリー・ハ
インツらが生まれ育ったエリアから、どのような理由でドイツ移民が北米
新大陸へ向かったのかを調べている。

研究者は、19世紀のヨーロッパからの移民がまず1815年のインドネシア・
タンボラ火山の大噴火の影響から始まった、とする。噴火による火山灰が
大気に拡散し、太陽光をさえぎったせいで世界的に冷夏や冷害、食糧不足
を引き起こした。
こうした火山活動などの影響では、1883(明治16)年の
クラカトア火山の噴火もよく知られている。例えば、エドヴァルド・ムン
ク(Edvard Munch)の絵画『叫び』の背景の空が血のような色になってい
る理由もこの火山の影響のようだ。
一方、地球は14世紀の半ばから19世紀半ばにかけて小規模な氷河期である
小氷期にあたり、19世紀後半は気候変動によって干ばつや洪水などの天災
がよく起きた。不安定で劇的な気候変動は農業を痛めつけ、食糧不足が蔓
延していたという。

画像
バーデン地方(青い線)とヴュルテンベルク王国(赤い線)からの移民の
推移。1815年前後、1852年前後、1882年前後に大きな山がある。トラン
プ大統領の祖父がドイツから米国へ移民したのは1885年だった。
Via:Rudiger Glaser, et al., "Climate of migration? How climate triggered
migration from southwest Germany to North America during the 19th
century." Climate of the Past, 2017
                           この項つづく

    心に響く歌曲  『四つのお願い ちあきなおみ』
                 ジャンル:歌謡曲 1970年
                 作詞:白鳥朝詠 編曲:小谷充
ちあきは本楽曲で「第1回日本歌謡大賞」放送音楽賞を受賞。当時のちあき
は「お色気アイドル路線」といわれた。また、本楽曲で1970年の『第21回
NHK紅白歌合戦
』に初出場した。


 今日の言葉:「I Have a Dream」(Wikipadia) Martin Luther King Jr.


          春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                   春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

 

                             

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エネルギーと環境 124

2025年01月31日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

         

【季語と短歌:1月31日】

        細雪にわか雪かな朝のごみ 

                 高山 宇 (赤鬼) 

         


✅ ディープシークAI 各国で制限
中国のAI(人工知能)開発企業「ディープシーク」を巡り、「チャット
GPT」を開発した米オープンAIは30日、読売新聞の取材に「ディー
プシークが私たちのAIモデルを不適切に利用した可能性がある」と明ら
かにした。米国政府と連携しながら調査を進めているという。
オープンA
Iによれば、ディープシークは「蒸留」と呼ばれる手法を使い、オープン
AI製のAIモデルが学習した内容を不当に利用して、自社のAI開発を
進めたという。
蒸留とは、大量のデータを学習した大型のAIモデル(教師モデル)から
計算速度の速い小型のAIモデル(生徒モデル)へ知識を移転する技術を
指す。具体的には、教師モデルが事前に学習したデータを、要
点を絞るな
どして覚えやすい形に整え、生徒モデルに学習させる。回答の正確性は低
下する可能性があるが、教師モデルより素早く質問に回答できるようにな
る。
2024年にノーベル物理学賞を受賞したジェフリー・ヒントン氏ら
が提唱した手法で、高性能な半導体がなくても動く小型のAIモデルを作
成する際によく使われる技術だ。

問題は、オープンAIが利用規約で、自社のAIモデルの知識を、競合す
るAIモデルの開発に利用することを禁じている点だ。オープンAIは「
米政府と緊密に連携しながら技術の保護に向けて対策を講じる」と強調し
た。アカウントの利用停止などを通じてディープシークのアクセスを遮断
し、蒸留を防ぐ考えとみられる。

欧米メディアによれば、トランプ政権でAI分野の政策責任者を務めるデ
ービッド・サックス氏は28日、今後数か月かけて蒸留防止の対策を進め
る方針を明らかにした。米次期商務長官のハワード・ラトニック氏も29
日、米国のAI企業を保護するために追加の措置を取る可能性を示唆した。
ただ、複数のアカウントを用意するなどして、防止策を回避することは可
能とみられ、実効性のある対策を打ち出せるかどうかは見通せない。過度
な防止策を導入すればAI開発の停滞につながる可能性もある。(ニュー
ヨーク支局 小林泰裕 オープンAIとチャットGPTのロゴ=ロイター
©
 読売新聞


✳️
環境配慮型素材「MIRAIWOOD」
MIRAIWOODとは どのような素材なのか。 木材を51%以上含み、残りを
生分解性樹脂(Bio-PBS)で構成した新素材。使用木材は、製造業から排
出される未利用の廃木粉が主。 重量比は木材が51%で、木材はベース材
(Bio-PBS)に比べ比重が小さく、体積比では8割以上を木材。その結果、
全体の73.3%が自然由来(Bio-PBS自体は48.5%が自然由来とされる)。
大きな特徴は、木材として分類し、廃棄時には焼却可能で、プラスチック
ごみにはならない。リサイクルも可能で、資源として循環することもでき
木材のように削ることや天然漆を塗ることが可能。プラスチック素材では
難しかった。
この企業は60年以上プラスチック成形に携わってき、神奈川県の平塚市に
あるプラスチック成形工場では、家電や自動車部品から始まり、現在は食
品関係の容器、医療系のトレー、ドリンクカップなどをクリーンルームで
製造していた2018年のG7で海洋プラスチック問題が大きく取り上げられ、
環境への配慮が必要と考えた。日本は世界第4位のプラスチック排出国、
プラスチックは400年から1000年以上分解されずに残り続けることもあり。
そこで東京都立産業技術研究センターと共同で、環境負荷の低い新素材の
開発をスタート。 当初は2020年の東京オリンピックに向けた使い捨て容
器の開発が目的で、開発を進めるうちに製品の質感が予想以上に高いこと
がわかり、より永続的な用途での活用を目指すことになる。約2年間の共
同開発を経て、現在の製品化に至る。製品開発における課題かあり、現状
の大きな課題は耐熱性。木材は180度から200度を超えると分解してしまい、
高温での使用には制限がある。通常のプラスチックでは分子量を上げるこ
とで耐熱性を高められるが、MIRAIWOODは木材が8割を占めているため、
そういった調整が難しい状況で、製品の厚みによってそれぞれ異なる課題
がある。薄い製品を作る場合は型に材料を流し込む工程が難しく、肉厚な
製品を作る場合は内部に気泡ができやすいという課題があり、例えば我戸
幹男商店との協業では、製品を削る際に中から気泡が出きてしまい、きれ
いな仕上がりを妨げとなるが、これについては新しい製法を開発して特許
を申請し、解決に至った。 このように、従来のプラスチック製品とは異な
る技術的な課題があるが、ひとつずつ解決しながら製品開発を進めている。

✳️  回収カーボンの炭化水素製造技術 ④

 図1 新しく開発した原子分解能磁場フリー電子顕微鏡(MARS)
1915年光触媒反応の発見、1948年のトランジスタの発明、1957年のトン
ネルダイオード、1978年のCCDカメラ、1979年のネ
オコグニトロン、1
9
84年のネオジウム磁石の発明と今日による日本の科学者により、再生可能
エネルギー主体にした水素製造・貯蔵・発電と光触媒による回収二酸化炭
素の炭化水素合成及び海水中の有価物質回収のスマート&グリーン時代を
世界に先駆け実現する。

可視光の80%を通すほぼ透明な太陽電池、東北大学が開発 - 大学ジャーナルオンライン

概要図
産総研 2024/12/06 
⏹️ 
1時間あたり最大200㎖合成…CO₂と水から液体

二酸化炭素(CO2)と水から液体合成燃料を一貫製造するベンチプラン
トを構築した。理論上は製造効率が従来の3割から45%に向上する。最
大で1時間あたり200ミリリットルの燃料を合成できる。生産規模拡大
への技術課題を抽出し、脱炭素につなげる。

CO2から一酸化炭素を作る反応に固体酸化物形電解セル(SOEC)で
の共電解を採用した。CO2と水蒸気を電気分解して一酸化炭素と水素の
混合ガスを得る。一酸化炭素と水素を別々に用意する場合に比べてエネル
ギー効率が向上する。

混合ガスはフィッシャー・トロプシュ(FT)反応で燃料となる炭化水素
に変換する。FT反応触媒と酸触媒を組み合わせて液体炭化水素の収率を
向上させた。合成燃料はCO2を燃料として貯蔵しておけるため、炭素固
定の有望候補になる。

図1
図1 光触媒による水の分解反応の模式図

⏹️
可視光で粉末光触媒の変換効率向上の条件確定
これまで、粉末光触媒に対する過渡吸収分光測定を用いた物性データの決定
は、ピコ秒やマイクロ秒の時間領域で個別に行われてきた。今回、初めて両
方の時間領域にわたる測定データに対して、理論解析を行うことにより、精
度よく物性データを定めることができた。このことにより、高精度な性能予
測に成功した。(産総研:2021/12/07)

図2
図2.過渡吸収分光法による光励起キャリア濃度の時間変化

図3
図3 (a) 光触媒表面に到達した光励起キャリアが全て水分解反応に寄与すると仮定した場合の内
部量子効率の粒子径依存性と(b) 内部量子効率の電子濃度依存性。現状の電子濃度は、5.2×1017 cm-3

✳️ UVナノインプリントをシリフォト 
東京科学大学と東京応化工業
光電融合も見据えたシリコンフォトニクス分野拡大へ

ナノインプリントリソグラフィ(NIL)は,ナノスケールのスタンプを用い
た押印技術であり,従来の露光法と違って露光波長に解像度が依存しないこ
とや,大面積転写性や高スループット性などを有していることから,半導体
における次世代リソグラフィ技術の一つとして期待されている。

ナノインプリントリソグラフィ(NIL)は、ナノスケールのスタンプを用い
た押印技術であり、従来の露光法と違って露光波長に解像度が依存しない
ことや、大面積転写性や高スループット性などを有していることから、半
導体における次世代リソグラフィ技術の一つとして期待されてる。特に
フトUV-NIL
は、半導体製造環境との互換性を担保しつつ、半永久的な機能
層を大面積かつ高解像度でパターニングできることから、近年、拡張現実
(ARグラス)や生物医学診断(DNAシーケンサー)などの新たなアプリケ
ーションに対する実用的な量産技術として導入実績があります。さらに基礎
研究レベルでも、メタマテリアルやメタサーフェスなどのウェハ光学素子
を実現する際に活用されている。


図1. 各種リソグラフィ技術の性能指数

そのような中で、半導体の製造技術を用いてウェハ上に大規模な光回路を
構築する集積フォトニクス分野でも、NILを導入できる可能性がある。集積
フォトニクス分野において特に高い解像度が必要とされる場面は、DFB
(分
布帰還型)レーザー
における回折格子の形成、光回路の入出力に使用
する
グレーティングカプラ]の形成、シリコンフォトニクス光回路における
導波
路の形成などであり、いずれも100 nm程度の解像度が保証されていれ
ば十
分(図1の赤帯域)。そのため、上記プロセス工程では、NILの大面積
転写
性や高スループット性を大いに活かすことができ、かつコストの観点か

も優位性があると考えられる。
本研究ではこうした背景から、集積フォト
ニクスの一分野として近年発展
が著しいシリコンフォトニクスに着目して、
実際にUV-NILを導入したプロ
セスを開発した。
【成果】本研究では、東京科学大学内に設立した東京応化工業未来創造協
働研究拠点において、シリコンフォトニクスプロセスに合わせたNIL用の
光硬化性樹脂の開発を行うとともに、SmartNIL®技術に基づいたロールオ
ンプロセスの最適化を行いました。これにより、開発したプロセスを用い
て作製したシリコン導波路では、従来の90 nm CMOS プロセスラインや電
子線描画を用いて作られた光導波路と同程度の性能を得ることに成功した。

成果1:光硬化性樹脂の開発
今回開発した、シリコンフォトニクスプロセスに適した光硬化性樹脂(図2)
は、UV-NILの標準仕様に加えて、シリコンフォトニクスプロセスに必須と
なる以下3つの特徴を有す。

(1)SF6-C4F8混合ガスによるエッチング耐性
標準的なシリコンフォトニクスプロセスでは、シリコン導波路構造を形成
するために、SF6-C4F8混合ガスによる擬似的なボッシュプロセスを用いて、
膜厚200-300nmのシリコン層を削りきる。そのため、このプロセスで用い
る光硬化性樹脂には、SF6プラズマに対する高いエッチング耐性が要求さ
れる。併せて、SF6-C4F8混合ガスによる変質性も極力抑えることが求めら
れます。

(2)O2アッシングによる除去性
一般的なUV-NILで用いられる光硬化性樹脂は、主にフッ酸溶液処理により
除去できるようデザインされています。しかしシリコンフォトニクスでは、
下部クラッド材としてSiO2を用いていることから、エッチング後の除去プ
ロセスとしてフッ酸溶液処理は適当ではありません。そのため、有機溶剤
処理もしくはO2プラズマアッシングで除去できることが必須となります。

(3)ワーキングスタンプ剤との親和性
光硬化性樹脂には、スタンプモールド表面からの適切な離型が可能なデザ
インが必須となります。併せて、NILプロセス時に均一にUV照射を行う目
的から、光硬化性樹脂の屈折率はスタンプモールドの屈折率と近いことが
望ましいです。今回は、EVGのナノインプリント装置をベースとしており、
スタンプ剤としてEVG NIL UV/AS5を用いている。

 

成果2:UV-NILを用いたシリコンフォトニクスプロセスの確立
今回開発したシリコンフォトニクスプロセスは「NIL工程」(図3a)と「
回路形成工程」(図3b)の2つのプロセスフローに分かれ

NIL工程
工程A:光回路パターンが形成されたシリコンマスタースタンプに、離型
剤およびワーキングスタンプ剤(EVG NIL UV/AS5)を塗布(図3aの1, 2)

工程B:上部からポリエチレンテレフタラートのフレキシブルバックプレー
ンを押し当てて、紫外線硬化させた後に離型(図3aの3, 4)
工程C:SOI(Silicon on Insulator)ウェハに密着材および開発した光硬化
性樹脂をスピンコートした後、先ほど作製したワーキングスタンプを押印
(図3aの5, 6)
工程D:UV照射を行った後、ワーキングスタンプを脱離させ、NILによって
光回路パターンを形成(図3aの7, 8)

本プロセスでは、光硬化性樹脂の膜厚および充填率、回路レイアウトなど
を最適化することで、膜厚20 nm以下の残膜制御が可能となっている(図4a)。

光回路形成工程
工程A:SF6-C4F8混合ガスによるドライエッチングにより光硬化性樹脂の
残膜除去(図3bの1)
工程B:連続してSF6-C4F8混合ガスによるドライエッチングにより、シリ
コン層をエッチング(図3bの2)
工程C:O2アッシング処理により、マスクとして用いた光硬化性樹脂を除
去(図3bの3)
工程D:プラズマCVDにより、上部クラッドとしてSiO2を堆積(図3bの4)
NILによるパターン形成後は、光硬化性樹脂の除去にO2プラズマアッシン
グを用いる点を除いて、標準的なシリコンフォトニクスプロセスと同一の
手順。エッチング工程では、十分な垂直性を維持したまま、標準的なシリ
コン導波路パターンを形成できることを確認した(図4b)



図3. UV-NILによるシリコンフォトニクスプロセスの(a)NIL工程と(b)
光回路形成工程

図4. 各工程後の走査電子顕微鏡画像 (a) NILによるパターン形成後 (b)
SF
6-C4F8混合ガスによるエッチング後 (c) O2プラズマアッシング後

成果3:開発プロセスで作製したシリコン導波路の伝搬特性
今回開発したプロセスで作製したシリコン導波路の伝搬特性を評価した結
果、波長1,550 nmのTEモード光に対する単位長さ当たりの伝搬損失は1.6
dB/cm程度となりました(図5)。これは、従来のドライArFが用いられる
90 nm CMOS 試作ラインや電子線描画を用いて作られたシリコン導波路と
遜色ない値であり、NILによって十分な性能を持つ光回路が形成可能である
ことを示しています。
<picture></picture>
図5. 開発プロセスで作製したシリコン導波路の伝搬特性

社会的インパクト
シリコンフォトニクスは、高速、高帯域、低エネルギーであることから、
将来のデータセンターとデータ伝送のボトルネックを解決するための重要
な技術の一つと見なされています。本技術は、シリコンフォトニクス関連
のデバイス開発と産業応用を推進する上での一助となり、光電融合も見据
えたシリコンフォトニクス分野拡大に貢献できると考えられます。東京科
学大学内に設立した東京応化工業未来創造協働研究拠点において、本学の
ミッションである「科学の進歩」と「人々の幸せ」とを探求し、社会とと
もに新たな価値を創
造し続けます。

展開
EUVなどの超高解像露光技術を必要とする先端電子デバイス・集積回路分
野と比較すると、フォトニクス分野では露光プロセスにそれほど高い解像
度を必要としないため、NILの大面積転写性や高スループット性を大いに
活かすことができる。将来的には、シリコンフォトニクスを扱っている各
ファウンドリの標準プロセスラインへの NIL導入も期待される。また、従
来の露光法では難しい3次元露光も可能であり、それを積極的に利用した
新たな光デバイスの実現も示唆される。
関連リンク


✳️ 安価で小型な光シート顕微鏡光源を開発
日本電気硝子(Neg)、東京大学,ミユキ技研,フォトンテックイノベー
ションズは,Negのガラスリボンを用いて,光シート顕微鏡光源「Handy
SPIM」を開発した
シート顕微鏡は,サンプル(検体)の側面から薄いシート状に整形した光を当てることで,断面
画像を得る選択的平面照明顕微鏡法(Selective Plane Illumination Microscopy: SPIM)を利用し
た顕微鏡で,病理・バイオサイエンス等で使用される。

開発したのは,一般的な顕微鏡のステージに設置することで,透明化生体
組織の画像を得ることができる「光シート顕微鏡光源」。従来の光シート
顕微鏡ではレーザー光をレンズやミラーで光シート化する構造上,大掛か
りな光学機器が必要だった。そのため,光学系の調整に専門知識を要する
だけでなく,導入や維持に高額なコストがかかる点が課題となっていた。

この製品には,Negが開発したガラスリボン導光板が組み込まれており,
その薄く均一な厚みが,レンズやミラーなしで高強度のシート状の光をつ
くる事に貢献している。
また,その光源には安価なLED光を用いているた
め,従来よりも小型で軽量,安価,さらに可搬性が向上し,これにより,
専門的な知識がなくても透明化生体組織の画像を取得できるという。
ガラ
スリボンはNegが開発した超薄板ガラスの一種。厚さ4~50μm,幅0.5~
30mmの非常に薄く均一な厚みを有し,この製品で導光板の役割を担う。
導光板は,ガラスリボンを可視光吸収ガラス(Neg製品)でサンドイッチ
した構造になっている。

厚み20µm,幅 20mm,長さ10mmのガラスリボンの端面に LED光を結合
させることで,導光板の対向端面から光シートが出射される。光シートの
厚さは約 20µmでガラスリボンの厚みとほぼ同等。この手法にて得られた
画像は,従来の高価な画像取得装置を使って得られる画像と比較しても遜
色ないという。
研究グループはこの成果により,高解像度の断面画像を誰
でも簡単に得られるようになり,病理・バイオサイエンス分野で広く応用
されることが期待されるとしている。

✅ インジウム添加なしで変換効率世界最高
アルミニウム添加でCIS型(銅、インジウム、セレン)太陽電池の性
上に成功した。
変換効率は12%と、インジウムを添加しないCIS型
としては世界最高
になる。インジウムは希少金属のため、ありふれたアル
ミで代替できると
競争力になりえ
る。
銅とガリウム、セレン薄膜を光吸収
層としCIS型太
陽電池を作製する。太陽電池セルの裏面から表面に向け
てアルミの含有量
が減少するように濃度勾配を付けた。すると薄膜中にエ
ネルギー帯の傾斜
ができる。
光を受けて生じた電子が表面に移動しやすく
なる。
アルミを添加すると結晶欠陥が増えやすくなるが、アルカリ金属化合物を
添加して欠陥を抑え、封止せずに数カ月間放置しても性能が低下
しなかっ
た。
エネルギー変換効率は12%で開放電圧は0・95ボルト。CIS型
はインジウムを添加しないと変換効率を10%以上に引き上げる
のが難し
い。太陽電池や水分解水素生成電極などへの応用を目指す。

     心に響く歌曲  『田園 玉置浩二』




 今日の言葉:自治会で防犯カメラの話がでたので調べた。
         ソーラパネル付きでカメラを動かし録音もでき録画で
         きるという。いっそ、自動発着ドローンで自動区内を
         空撮させてみたらと言ってもみた(ブログで掲載した
         ことがあるが。実現した(海中もやっている)。それ
         も可能な時代だ。
  

         春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                   春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                            


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エネルギーと環境 123

2025年01月30日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。


✳️  回収カーボンの炭化水素製造技術 ⓷

人工光合成の具体的な製造プロセスを示した図です。
資源エネルギー庁

赤外光を局在表面プラズモン共鳴(LSPR)材料に当てるとエネルギーを持った電子e-(熱電子)が生まれる(大阪大学産業科学研究所の坂本雅典教授提供)
赤外光を局在表面プラズモン共鳴(LSPR)材料に当
てるとエネルギーを持った電子e-(熱電子)が生まれる
(大阪大学産業科学研究所の坂本雅典教授提供)

✳️ 
見えない光でナノ粒子から電子を取り出す
太陽電池の基本構造には、光を吸収する層や電子を取り出す層、電子を受
け取る層があり、光エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。
現在一番普及しているのは、シリコン半導体を用いたシリコン系太陽電池。
可視光から電気を生み出す。光から電子を取り出す変換効率は20%を超え
るものが市販されている。大規模に黒い大型パネルを並べている発電所を
見かけることも多い。シリコン系太陽電池に代わりうるとして開発が急速
に進むのが、ペロブスカイト太陽電池。材料をフィルムなどに塗布・印刷
して作ることができ、低コストでの製造が期待されている。ほかにも、低
環境負荷、低コスト化が期待できるものとして、有機半導体の薄膜を発電
層として用いた有機薄膜太陽電池があり、柔軟性や半透明性が生かせるも
のとして色素増感太陽電池も開発が進んでいる。
一方、ナノ粒子に光を当てると粒子中の電子が集団で振動する「局在表面
プラズモン共鳴(LSPR)」を利用した太陽電池。可視光より波長が長く目
に見えない赤外光を、特殊なドーピングを施した半導体ナノ粒子に当てて
電子を取り出す。

可視光の80%を通すほぼ透明な太陽電池、東北大学が開発 - 大学ジャーナルオンライン

⏹️ 単層WSを用いた近傍不可視太陽電池  東北大 

図 5
(a) (i) 設計パターン太陽電池イメージ (Des-P)、(ii) 設計パターン構造図、(iii) 単純パターン太陽
電池イメージ (Sim-P)、(iv) 単純パターン構造図(b) PのプロットTSim-PまたはDes-Pの異なる領
域を持つ太陽電池の場合。(c) 高透明太陽電池の光学像 (d) Iダッシー-Vダッシー暗闇またはソーラー
シミュレータ下での透明度の高い太陽電池の曲線。(e) WSとの比較によるNISCの伝送2石英上、
石英上の電極、および純粋な石英。
【関連情報】
・https://www.nature.com/articles/s41598-022-15352-x

⏹️  世界最高効率の光触媒から転用
坂本教授は、京都大学化学研究所に着任した2012年から赤外線のエネルギ
ー変換を研究。赤外光は太陽から降り注ぐ光の42~46%を占め、エネルギ
ー資源としての潜在能力は高い。熱線として地球温暖化の原因になるため、
「利用すること自体が温暖化防止につながる」。「見えないというのは透
明ということ。発見した光触媒を太陽電池に転用したら(黒い)シリコン
系の太陽電池と差別化できる」と考え、2019年、同じくLSPRを示すスズ
をドープした酸化インジウムナノ粒子を光吸収材に応用すると透明な太陽
電池をつくることができることを公表。

⏹️ 熱線遮蔽シートを今夏にも先行発売へ OPTMASS

スズドープ酸化インジウムナノ粒子を含む溶液(左)と透過型電子顕微鏡画像(大阪大学産業科学研究所の坂本雅典教授提供)
スズドープ酸化インジウムナノ粒子を含む溶液(左)と透過型電子顕微鏡画像(大阪大学坂本
雅典教授提供

LSPR材料による透明な太陽電池を実用化、坂本教授らは2021年に京都大
学発ベンチャー企業「OPTMASS」(京都府宇治市)を創業。変換効率は、
カドミウムと硫黄、あるいは銅と硫黄を含むナノ粒子をLSPR材料として使
うと1.1マイクロメートルの赤外光を当てた際に4.4%まで上がることを20
22年に発表。現在
、材料などを改良し、変換効率は6%ほどまで上がって
きている。ただ、可視光や紫外線も含む太陽光を当てたときには1%程度ま
で下がってしまうため、改良の余地は大きい
また、実用化には窓ガラス
サイズなど、大面積の太陽電池にすることが求められる。一部でもピンホ
ールがあると、発電量が大幅に低下するため、太陽電池の大面積化には、
材料であるナノ粒子を広く均一に伸ばす技術も求められる。
LSPR材料には
戸外から室内に入る熱線を遮蔽する効果もある。OPTMASSはLSPR材料に
よる熱線遮蔽シートを今夏にも先行発売するべく、開発を進める。試作品
を見ると、シートは透き通っているが少し緑色かがっていた。OPTMASS
が掲げる「街を森に変える」という目標を感じさせる緑色。
【最新関連特許】
1.特開2024-164966 太陽電池及びそれに用いる光学素子を備えるバリア
構造体 マクセル株式会社
【要約】下図図21のごとく、本発明の太陽電池は高効率で、印刷工程で
安価な太陽電池が実現できる有機無機ペロブスカイト型太陽電池の課題で
ある水分・空気のバリア性が高いガラス同等のバリア層を有しその表面に
超微細または微細光学素子を設け反射防止と集光作用を備え光電変換
(光吸収層)平面内に光の疎密を作ることで一層の高効率化を実現する。】
光電変換効率が高く設置性が良く信頼性の高い太陽電池を製造すること。
また太陽電池を構成するバリア部材に、水分や空気の侵入を遮断した信頼
性の高い太陽電池を提供することにある。
000002
図21 本発明の一実施例に係るバリアシート又はバリア層表面に設けた
第三の実施例である微細光学素子の形状と作用を説明する模式図
【符号の説明】M…金属原子 R…有機分子 X…ハロゲン原子又はカルコ
ゲン原子 1…基材 2…絶縁層からなる外枠 3…光電変換層 4…透明
電極 5…引出し配線 5´…端部(取出し部) 6…平坦化層 7…(第一
)バリア層(膜) 8…取出し電極 9…更なる配線 10…(第二)バリ
ア層(膜) L…引出し配線の端部からバリア層の端部までの距離 20…
太陽電池セル(ユニット) 100…太陽電池素子 200…太陽電池素子
101…基材 102、102A、102B、102C…光電変換層(光吸
収層)  L102A、L102B、L102C…光電変換層(光吸収層)の
焦点(線)103…第一電極 104…第二電極 105…電子輸送層  
106…正孔輸送層 107…引出し配線 110A…超微細光学素子
  110…バリア層(膜) 200…微細光学素子 201…(第二)バリ
ア層(膜)202…第一の光吸収層(光電変換層)203…第二の光吸収
層(光電変換層)204…第三の光吸収層(光電変換層)210…微細光
学素子
【発明の効果】  本発明で開示された太陽電池(セル)によれば、基本構
成の外表部を覆うバリア層により空気や水分を遮蔽し、バリア層の表面に
設けた極微細形状の光学素子の作用によって光電変換効率を大幅に向上で
きる。  上記以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により
明らかにされる。  なお、以下に説明する太陽電池を構成する素材や素材が
成す特定の機能を有する複数の層の厚さや製造法について本願と直接関連
しない部分についての記載内容は、本願執筆時に公知となった先行出願さ
れた特許から抜粋し本願発明がより明確になるように工夫して記載した。

2. 特開2023-17917 透明導電性フィルムおよび透明導電性フィルムの製
造方法 日東電工株式会社
3.特許第7572731号 光熱変換素子および、その製造方法、光熱発電装置
ならびに微小物体の集積システム 公立大学法人大阪



ゴムやフィルム、電子部品の加工に最適な「抜き型」とその加工技術:ママさん設計者が教える「設計者のための部品加工技術の世界」(3)(2/3 ...
✳️ 
研磨不要のAu薄膜表面平滑化技術
1月28日、東北大学,産業技術総合研究所,関東化学は,表面が粗いAuめ
っき膜を平滑なAu薄膜に重ねる付加的な平滑化手法を新たに開発。次世代
小型電子デバイスの実装工程には,熱によるダメージや残留応力を避ける
ため,低温での接合技術が求められる。Auめっき膜を介した接合は,電気
的接続や封止などに広く用いられているが,素子への負荷を軽減するため
に,接合プロセスの温度を可能な限り低く抑える必要があるが,一般的に
接合面の平滑度が低いと隙間が生じやすく,密着性を上げるために,より
高い温度や圧力が必要となり,矛盾が生じてしまう。接合面の平滑化には
除去加工の研磨が用いられ,小さな面や複雑な形状を平滑化するのが難し。
この研究では,表面活性化接合とテンプレートストリッピング技術を組み
合わせ,粗いAuめっき膜に平滑なAu薄膜を転写し,付加加工によって平
滑化する新たな技術を開発。

サイドバーでクエリ検索

図1. 本研究で開発した、表面活性化接合とテンプレートストリッピングを
組み合わせた技術に基づく平滑化プロセス

これは、表面活性化接合によって,別途テンプレート上に形成したAu薄膜
を粗いAuめっき膜に転写する技術。これにより,もともと粗かったAuめ
っき膜の表面に,Au薄膜を繰り返し転写することで,表面が平滑化できる
ことがわかった。
これは,ポリイミド製テンプレートのナノレベルの変形
とAuの原子拡散により,Auめっき膜の凹凸が吸収されるため。十分に平
滑化されたAuめっき膜は,熱を加えなくとも常温で強固な接合を達成でき
ることを実証した。
また,平滑化したAuめっき膜にシリコン(Si)チップ
を常温接合した試料のせん断強度測定試験では,転写したAu薄膜から破断
するわけではなくSiチップが先に破壊されてしまうほど強固に常温接合さ
れていることがわかった。

【論文情報】
タイトル:Room temperatu bonding of Au plating through surface smoothing using polyimide
template stripping

著者:Kai Takeuchi, Shogo Koseki, Le Hac Huong Thu, Takashi Matsumae, Hideki Takagi, Yuichi
Kurashima, Takahiro Tsuda, Tomoaki Tokuhisa, Toshikazu Shimizu, Eiji Higurashi*
掲載誌:Sensors and Actuators A: Physical
DOI:10.1016/j.sna.2025.116211

 ✳️ 代高性能蓄電池の「極小ナノ粒子」を短時間合成

海道大学や東北大学らの研究グループは、アルファ型二酸化マンガンの極
小ナノ粒子を短時間で合成する手法「アルコール溶液法」を開発した。合
成した極小ナノ粒子は、多価イオン電池の正極や酸化反応触媒の高特化に
成功(EE Times Japan)

図. 開発したアルコール溶液法で合成した二酸化マンガン極小ナノ粒子
今回の研究で得られたα-MnO2極小ナノ粒子は、バンドル全体の幅は約4
nm、トンネルの長さは約8 nmと、水熱法で得られた粒子と比べて粒子形
状のアスペクト比が1/10まで小さくなっていることが分かつた(図1)。
粒子の形も棒の長さが短くなり、球状に近い形をしていることが分かりま
す。さらに、極小ナノ領域まで粒子サイズが小さくなると、等方的に粒子
が小さくなるのではなく、長軸方向が選択的に短くなり形態が球状粒子に
近づくことを見出した。また、得られた粒子粉末の比表面積は2~3倍に増
大しており、多孔質であることも分かった。 本材料の応用として、多価イ
オン電池正極と酸化反応触媒としての特性を評価したところ、いずれも従
来材料よりも高い特性を示しました。多価イオン電池正極では、マグネシ
ウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオンの室温での電気化学的な高速
脱離挿入が可能であり、特にカルシウムイオン電池の正極として優れるこ
とを見出しました(図2)。極小ナノ粒子は粒子が小さすぎるため、その
ままでは粒子同士が凝集し十分な正極特性が得られませんでしたが、グラ
フェンに分散させた複合体を作製することで粒子凝集が抑制され、過電圧
が小さくエネルギー損失の小さい充放電を達成した。酸素を使った触媒的
酸化反応では、1-フェニルエタノールなどの有機化合物の酸化反応触媒と
して高い活性を示した(図2)。従来のα-MnO2との触媒活性との差は比
表面積(多孔質性)の違いだけでは説明できず、極小ナノ粒子化によって
触媒活性の高いエッジ面が多く露出したことが理由と考えられる。



図2. (左)次世代カルシウム電池としての室温での正極特性。可逆容量が
増大し、過電圧も低減された。(右)酸素を用いたフェニルエタノールの
酸化反応における時間変化。触媒活性が大きく向上し2 時間で反応が完了
した。 


【展望】MnO2 は電池や触媒、吸着剤など様々な用途へ応用できることか
ら、本材料のさらなる開発により現行産業技術を革新できるす。今回開発
した合成法は、⓵α-MnO2以外の様々なMnO2の極小ナノ粒子化や⓶低ア
スペクト比化に適用可能です。この技術により、構造の違いによる特性の
差を活かした応用展開が期待され、低炭素化社会、地球温暖化対策に有用。
【掲載論文】
Title: Ultrasmall α-MnO2 with Low Aspect Ratio: Applications to Electrochemical
Multivalent-Ion Intercalation Hosts and Aerobic Oxidation Catalysts 
First published: 16 January 2025
https://doi.org/10.1002/smll.202411493


デジタル生存競争 - 誰が生き残るのか

『デジタル生存競争争—誰が生き残るのか』
著者/翻訳者:ダグラス・ラシュコフ/堺屋七左衛門
【概要】何のための、誰のための、デジタルなのか?
環境破壊、社会不安、まん延するウィルス、すべてを停止させるコンピュ
ーター侵入。世界の億万長者は、自分で起こした現実からひたすら逃れる
ことを考える。技術開発は、集団的な繁栄を目指すものでしたが、富の蓄
積は個人的な生き残りを図るものになった。批判的であるはずのメディア
は、市場感覚に圧倒されて屈服している。自分だけが生き残る十分な資金
を稼ぐ......うまく稼げたら勝利か? それは自分の排ガスから逃れるために高
速で走る自動車をつくっているようなもの。このような勝手な考え・思い
こみを『マインドセット』という。闘わなければならない。どうすればい
いのか? 何もわからないほどに、私たちはデジタルにまみれ、自分自身を
失っている。ダグラス・ラシュコフは語ります--利己的な世界を超えて、
コミュニティ、人間の相互扶助を取り戻せ、と。この本を読み、今の自分
と比較する。すべて消耗品とされた私たち自身の防御がそこから始まって
いる。
【目次】
はじめに マインドセットとの出会い
1.隔離の方程式 億万長者の防空壕戦略
2.合併と買収 彼らは出口戦略を必要としている
3.母の子宮に戻りたい テクノバブルに包まれた安全
4.ダムウェイター効果 見えないものは忘れられる
5.利己的な遺伝子 道徳よりも科学主義
6.全速力で前進 非人間化と支配と収奪
7.指数関数的成長 行き詰まれば別次元のメタへ
8.説得的技術 ボタン1つで彼らを消せるなら
9.バーニングマン からの展望 私たちは神のように
10.グレートリセット 世界を救うために資本主義を救う
11.鏡に映ったマインドセット 抵抗してもムダだ
12.コンピューター的因果応報 自業自得
13.パターン認識 全ては元に戻る
【著者】
ダグラス・ラシュコフ:1961年生まれ。米国ニューヨーク州在住。
第1回「公共的な知的活動における貢献に対するニール・ポストマン賞」
を受賞。『Cyberia』/『サイベリア』、『MEDIA VIRUS!』/『ブレイ
ク・ウイルスが来た!!』、『Throwing Rocks at the Google Bus』(グー
グルバスに石を投げろ)、『Program or be Programmed』/『ネット社
会を生きる10ヵ条』、『チームヒューマン』など多数執筆。『「デジタル
分散主義」の時代へ』という論考が翻訳されている。

堺屋七左衛門:大阪市生まれ、神戸市在住。大阪大学大学院工学研究科電
子工学専攻博士前期課程修了。日本翻訳者協会(JAT)会員、HON.jp(
日本独立作家同盟)正会員。訳書『リスクコミュニケーション 標準マニュ
アル』(福村出版)、『チームヒューマン』『ネット社会を生きる10ヵ条
』(ボイジャー)、『ケヴィン・ケリー著作選集 1』(ポット出版、達人
出版会)、『マニフェスト 本の未来』共訳(ボイジャー)など。









ブルーバックス<br> 生命はデジタルでできている―情報から見た新しい生命像



  心に響く歌曲 
『明日を忘れてLe’t Forget Domani)/
                      コニ―・フランシス

        作曲:オルトラーニ/作詞:ノーマン・ニューウェル 
                          1965年10月 




 今日の言葉:昨日の言葉は、言い換えれば『この世の終わりを避ける』
         チャンスが残ったと言い換えると分かりがいいかな。


            春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                   春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

 

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エネルギーと環境 122

2025年01月30日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

DSC07630.jpg
宝船温泉の隠れ庭 「宝船温泉」。
琵琶湖のほとりにひっそりと湧く秘湯。
その泉質の良さから、長年多くの人に愛されてきた。

【季語と短歌:1月29日】

          万能の布団片け腹決める 

                 高山 宇 (赤鬼) 


【自由空間クラブ⓵:超ミニマルなフィニッシングモータ】
 Smallest finishing motor ever.

 How does In-Wheel Motor Technology Work?
Four Motor Drive & Torque Vectoring



超薄形インホイールモータ
an innovative "low-profile" in-wheel motor




✳️  回収カーボンの炭化水素製造技術 ②

どこでも光と電源確保!モバイルバッテリー搭載LEDソーラーランタン【動画ライター】
どこでも光と電源確保!モバイルバッテリー搭載LEDソーラーランタン
© bouncy

✳️ 
二酸化炭素を出さない水素製造可能に
   太陽光エネルギー変換効率50%へ
2017年、岡山大学大学院環境生命科学研究科の高口豊准教授・田嶋智
之講師と山口大学、東京理科大学らの共同研究グループは、カーボンナノ
チューブの光吸収帯を利用した水分解反応による水素製造が可能であるこ
とを明らかにした。



図1 太陽光の波長とエネルギーの関係


図2 カーボンナノチューブ光触媒の構造と反応
<論文情報等>
論文名: SWCNT Photocatalyst for Hydrogen Production from Water
upon Photoexcitation of (8,3)SWCNT at 680-nm Light
「680 nm単色光による(8,3)カーボンナノチューブ選択励起を利用可能な
水素発生カーボンナノチューブ光触媒」
著者:Noritake Murakami, Yuto Tango, Hideaki Miyake, Tomoyuki Tajima,
Yuta Nishina, Wataru Kurashige, Yuichi Negishi, Yutaka Takaguchi
掲載誌: Scientific Reports , 2017, 7, 43445.  DOI: 10.1038/srep43445

【関連特許情報】
1.特開2023-144404 水分解による水素及び過酸化水素の製造方法
【要約】水に光触媒材料を分散させた溶液に光照射し、二段階光励起系を
用いて、水を分解して、水素及び過酸化水素を発生させる工程を含む、水
素及び過酸化水素の製造方法。水素及び酸素の分離による諸問題を解決し
得る、光触媒を用いた水の分解により水素及び過酸化水素の製造方法を提
供することを課題とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】水に光触媒材料を分散させた溶液に光照射し、二段階光励起
系を用いて、水を分解して、水素及び過酸化水素を発生させる工程を含む
水素及び過酸化水素の製造方法。
【請求項2】前記光触媒材料は、光触媒、水酸化光触媒、及び水素生成助
触媒を含む、請求項1に記載の水素及び過酸化水素の製造方法。
【請求項3】さらに、酸化還元対を含む、請求項2に記載の水素及び過酸
化水素の製造方法。
【請求項4】前記光触媒が、単層カーボンナノチューブ、複層カーボンナ
ノチューブ、色素内包カーボンナノチューブ、及び、これらとフラロデン
ドロンとの複合材料からなる群から選択される一以上である、請求項2に
記載の水素及び過酸化水素の製造方法。
【請求項5】前記水酸化光触媒が、BiVO、WO、TiO、及び、
からなる群から選択される一以上である、請求項2に記載の水素
及び過酸化水素の製造方法。
【請求項6】前記水素生成助触媒が、Ru(Cl)、及び、[Ru(NH
)]3+からなる群から選択される一以上である、請求項2に記載の
水素及び過酸化水素の製造方法。
【請求項7】前記酸化還元対が、[Co(bpy)]3+/2+、及び、[Co
(phen)]3+/2+からなる群から選択される一以上である、請求項
3に記載の水素及び過酸化水素の製造方法。

2. 特表2023-527651 二酸化炭素及び電気を燃料及び化学物質へと変換す
るための方法 インフィニウム  テクノロジー,エルエルシー
【要約】下図1のごとく、、二酸化炭素と水と電気とを、低炭素又はゼロ炭
素で高品質の燃料及び化学物質へと変換するための方法、システム及び触
媒を説明するものである。1つの態様において、本発明は、二酸化炭素
含む供給物の流れを、炭素原子5個から24個の間の長さである炭化水素
を含む生成物の流れへと変換するための、統合された方法を提供する。
000002
図1は、H及びCOを、燃料及び化学物質へと変換するための、全体
的なプロセスフロー図の一部を示す。具体的には、図1は、COからC
Oを生成するための逆水性ガスシフト反応器システムである。

  表1は、この実施例に関してインプットをまとめたものである。MT  C
/dayは、このインプットにおいて、1日あたりの炭素のメートルトン
(metric tons per day of carbon)である。MT  H/dayは、このイン
プットにおいて、水素のメートルトンである。これらは、炭素及び収率を
計算するために重要である。
【実施例】要点のみ掲載
000008
000009

 表3は、実施例のプロセスに関して、幾つかの有用な指標を計算したもの
である。
【0103】
【表3】
000010
 実施例のプロセス及び本発明の全てのプロセスにおいて、炭素の収率は、
70%よりも多くなり、好ましくは85%よりも多くなるであろう。この
ように高い炭素の収率を得るためには、開示したRWGS触媒の使用及び
開示したLFP触媒の使用と同様に、全体的なプロセスの統合が必要で
ある。         
                          この項つづく
                        
 
米製地対空防空システム「パトリオット」=2022年3月、ポーランドのジェシュフ・ヤションカ空港/Stringer/Reuters/File

 心に響く歌曲 『Aerosmith - I Don't Want to Miss a Thing』
              作詞&作曲:ダイアン・ウォーレン
             ジャンル:ハードロック 1997‐1998年

   1998年の映画『アルマゲドン』のサウンドトラックに収録される。



✪ 毎日、毎日、エネルギー関係のニュースが飛び込みできるだけ、大切な
ことはコミットしてきているが、ここにきて心身とも疲れがとれないでい
る。ひこにゃんが11歳の誕生日を迎えて「ひこにゃん、エネルギーフリ
ー社会を語る」というヘッドラインが頭を過ぎる。関連する、振興事業も
見えているものの、具体的な行動は、日々の情報処理に追われ、手づかず
にいる。誰か力を貸してくれ "I don't want to miss a thing." と悲鳴をあ
げる自分がいる。午後4時すぎ久しぶりに、二人で「徳兵衛」へ出かける。
客は二人、後から二人入ってくるものの、貸し切り状態。注文もスマート
パッドで入力。様変わりに驚く。ネタは新鮮で、持ち帰り二人分買ってご
機嫌で帰ってくる。息子たちも絶賛していた。(2017.04.14 ブログ「
ネルギーフリー社会を語る。」
より)

🪄いまから思うと、これがエポクなブログとなった。「ラスト・ディケイ
  ド」のテーマとして、滑り込みセーフとなった。そうだと思うよ。政治・
 経済・社会・科学に跨る成果だと誰一人から褒めてもらえないだろうが。
 今日の言葉:天晴!大作君!

          春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                   春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』


                           



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エネルギーと環境 117

2025年01月25日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招き猫と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の
井伊軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(
かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。

                       
【季語と短歌:1月25日】 

         冬菫友に貰った元気玉 

                 高山 宇 (赤鬼)

🪄
友の頑張りぶりを知り、ひと玉うん億円の元気玉を頂きました。

🎈
世界最大の氷山「A23a」、南大西洋の島に衝突!?
世界最大の氷山「A23a」が今も移動を続けており、南極から北上し
て南大西洋のサウスジョージア島に向かっているのではないかとの懸念。

(CNNより)



A23aは、南極のウェッデル海の海底に接地し30年以上とどまってい
たが、海底との接地が緩むほど縮小したとみられている。海底から分離し
海流に流された後、氷山は再び「テイラー柱」につかまった。テイラー柱
は、海流が海底の山にぶつかることで生じる水の渦を指す。英南極観測局
の物理海洋学者アンドリュー・マイヤーズ氏によると、A23aは何カ月
も海底の山のまわりを回転し「身動きが取れなくなっていた」という。
現在、氷山は海流に乗ってサウスジョージア島に向かって移動していると
みられる。 マイヤーズ氏は23日、CNNに寄せた声明で、「現在、氷
山は海流の蛇行上にあり、島に直接向かっているわけではない」と述べ
た。「しかし、私たちが理解している海流の動きに基づけば、氷山はまた
すぐに島に向かって移動する可能性が高い」という。英南極観測局も、
A23aはサウスジョージア島に到達した時点で崩壊し、最終的には溶け
る可能性が高いと述べる。



【特版:ウイルス解体新書】
「エコーウイルス11」感染の新生児3人死亡

Enterovirus E-11: Dati preoccupanti e implicazioni per l'Italia
(enterovirus; EV)

東京都内で2024年夏から秋にかけ、風邪の原因となる「エコーウイルス
11(E11)」に感染した新生児3人が急性肝不全などで死亡していたこと
が、国立感染症研究所のまとめでわかった。日本小児科学会は、新生児
が重症の肝炎を発症したり、それに伴って死亡したりする例が報告され
ているとして注意を呼びかけている。感染研によると、24年はE11で重
篤になったケースが11月28日までに44例あり、18、19年に次いで多か
った。年齢別には、1カ月未満の新生児が1割で、1カ月~1歳未満が4割
を占めた。死亡例が複数に上るのは珍しいという。  
小児科学会によると、E11は欧州で22年から新生児の重症例や死亡例が
相次いで報告され、急性の肝不全を伴うことが特徴。通常は風邪の症状
を引き起こし、無症状の場合もあるが、新生児の場合には重篤となるリス
クが
ある。

知能とはなにか ヒトとAIのあいだ
【内容】
チャットGPTに代表される生成AIは、機能を限定されることなく、幅広
い学習ができる汎用性を持っている、そのため、将来、AIが何を学ぶか
を人間が制御できなくなってしまう危険は否定できない。しかし、だか
らといって、AIが自我や意識を獲得し、自発的に行動して、人類を排除
したり、抹殺したりするようになるだろうか。この命題については、著
者はそのような恐れはないと主張する。少なくとも、現在の生成AIの延
長線上には、人類に匹敵する知能と自我を持つ人工知能が誕生すること
はない、というのだ。その理由は、知能という言葉で一括りされている
が、人工知能と私たち人類の持つ知能とは似て非なるものである。実は、
私たちは「そもそも知能とはなにか」ということですら満足に答えるこ
とができずにいる。そこで、本書では、曖昧模糊とした「知能」を再定
義し、人工知能と私たち人類が持つ「脳」という臓器が生み出す「ヒト
の知能」との共通点と相違点を整理したうえで、自律的なAIが自己フィ
ードバックによる改良を繰り返すことによって、人間を上回る知能が誕
生するという「シンギュラリティ」(技術的特異点)に達するという仮
説の妥当性を論じていく。
生成AIをめぐる混沌とした状況を物理学者が鮮やかに読み解く
【目次】
はじめに
第0章 生成AI狂騒曲
第1章 過去の知能研究
第2章 深層学習から生成AIへ
第3章 脳の機能としての「知能」
第4章 ニューロンの集合体としての脳
第5章 世界のシミュレーターとしての生成A
第6章 なぜ人間の脳は少ないサンプルで学習できるのか?
第7章 古典力学はまがい物?
第8章 知能研究の今後
【著者概歴
】田口善弘[タグチヨシヒロ]
1961年、東京都生まれ。中央大学理工学部教授。1995年に刊行
した『砂時計の七不思議―粉粒体の動力学』(中公新書)で第12回(
1996年)講談社科学出版賞受賞。その後、機械学習などを応用した
バイオインフォマティクスの研究を行い、最近はテンソル分解というも
ので変数選択する(!)という研究に嵌まっている。

✳️ 「ノーベル賞」をのがした「日本人AI研究者」
「いつの日かAIは自我を持ち、人類を排除するのではないか―」2024年
のノーベル物理学賞を受賞した天才・ヒントンの警告を、物理学者・
口善弘
は真っ向から否定する。(現代ビジネス より 田口 善弘中央大
学理工学部教授)

甘利俊一の先見性、深層学習の先駆け
その1人は甘利俊一(東大学名誉教授)。甘利は生成AIの基幹技術である深
層学習の原型となるニューラルネットワークの研究をヒントンやホップ
フィールドに10年以上先駆けて行っていた。例えば、ホップフィールド
の授賞理由になったホップフィールドモデルは、ほぼ同じものを甘利が
先駆けて研究し、論文まで発表していたので、兼ねてから甘利-ホップフ
ィールドモデルと呼ぶべきだ、という声が高かったが、一度ついた名前
を変えるのは難しくそのままになってしまったという経緯がある。また
ニューラルネットワークの学習に重要な学習則であるバックプロパゲー
ションの原型となる研究も甘利が早かった。こんなに大きな貢献をして
いたのに、受賞を逃してしまったのはなぜだろう?一つはヒントンやホ
ップフィールドが甘利の研究を読んでその続きを行ったというわけでは
ないことだ。ある意味、独立な再発見ということになる。そしてヒント
ンやホップフィールドの研究は、甘利の研究とは異なり、断続的ながら
現在の生成AIへとつながっている。またニューラルネットワークの学習
に重要な学習則であるバックプロパゲーションの原型となる研究も甘利
が早かった。こんなに大きな貢献をしていたのに、受賞を逃してしまっ
たのはなぜだろう?一つはヒントンやホップフィールドが甘利の研究を
読んでその続きを行ったというわけではないことだ。ある意味、独立な
再発見ということになる。そしてヒントンやホップフィールドの研究は、
甘利の研究とは異なり、断続的ながら現在の生成AIへとつながっている。
何より、ニューラルネットワークの研究から離れてしまった甘利と異な
り、ヒントンは人工知能が冬の時代を迎え、ニューラルネットワークの
研究が廃れても一人こつこつと研究を続けて現在の生成AIへの流れを作
った。甘利は他の分野の研究に転じてそこで非常に大きな成果をあげて
いるからニューラルネットワークの研究を続けなかったこと自体が間違
いだったとは言えないが、結果的に最後まで続けたヒントンにノーベル
物理学賞が授与されたので、その流れに直接関係しているホップフィー
ルドが同時受賞したという。

福島邦彦の挑戦、画像認識の先駆け
ノーベル物理学賞を受賞してもおかしくなかったもう1人の日本人は
島邦彦
(一般財団法人ファジィシステム研究所特別研究員)である。福島
はホップフィールドやヒントンに先駆けて、後にヒントンが画像認識で
大きな成果をあげることになるニューラルネットワークの構造と同じも
のを、まさに画像認識のモデルとして提案していたのだ。だが、福島の
モデルには学習則がなく、実際に性能を発揮するには至らなかった。福
島の提案したネオコグニトロンもそのまま現在の研究につながっていた
わけではないので、受賞には至らなかったということなのだろう。 せっ
かく日本で芽吹いた人工知能の研究のタネをそのまま日本で続けること
ができなかったのは残念というしかないという。



さて、トランプが騒げば騒ぐほど、静々とこの「水素物語(私)」を展
開させていこう。
下記1の案件は、(海)水電解糟は装置コンパクト化に関わるもの。

【最新特許事例】
1.特表2023-532634 電気分解槽用の電極構造体 テックウィン  カンパ
 ニー  リミテッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】  電極板と、 前記電極板の一面に前記電極板の周面に沿って
具備された流路ガイドと、を含む、電極構造体。
【請求項2】  前記電極板の他面に具備された冷却ジャケットをさらに含
む、請求項1に記載の電極構造体。
【請求項3】  前記電極板及び前記冷却ジャケットは、同一の材質からな
る、請求項2に記載の電極構造体。
【請求項4】  前記電極構造体の下部で前記電極板及び前記流路ガイドを
貫通する下部通孔と、前記流路ガイド及び前記下部通孔を連通させる第1
の流路と、をさらに含む、請求項1に記載の電極構造体。
【請求項5】  前記電極構造体の上部で前記電極板及び前記流路ガイドを
貫通する上部通孔と、前記流路ガイド及び前記上部通孔を連通させる第2
の流路と、をさらに含む、請求項4に記載の電極構造体。
【請求項6】前記電極板の一面の中で前記流路ガイドが具備されない反応
部と、前記流路ガイドを連通させる第3の流路と、をさらに含む、請求項
4に記載の電極構造体。
【請求項7】前記第3の流路は、前記流路ガイドの下部内壁、上部内壁、
及び、側部内壁の中で少なくとも一つに具備される、請求項6に記載の電
極構造体。
【請求項8】  前記流路ガイドの内壁の面積に対する前記第3の流路の面
積の割合は、0.05~0.95である、請求項7に記載の電極構造体。
【請求項9】  前記反応部は、前記反応部に流入した液体状の物質が電気
分解される活性部と、  前記活性部の上部に位置して前記活性部で生成さ
れた気体状の物質が滞留する非活性部と、を含み、  前記反応部の面積に
対する前記活性部の面積の割合は、0.1~0.9である、請求項8に記
載の電極構造体。
【請求項10】  請求項1~9のいずれか一項に記載の前記電極構造体と、
  前記電極板の一面に対向して具備された隔膜と、を含む、電気分解槽。
【図面の簡単な説明】
【符号の説明】1    陰極板(または陰極室)2    隔膜 3    陽極板(また
は陽極室)4    冷却ジャケット 5    流路ガイド 5’  流路ガイドの内壁
6    下部通孔 7    第1の流路 8    上部通孔 9    第2の流路 10、
11、12    第3の流路 13    反応部 14    活性部 15    非活性部
【図1】従来の電気分解槽を示した模式図。

【図2】本発明の一実施形態による電極構造体を示す模式図

【図3】本発明の一実施形態による電極構造体が多段で結合された
形態を示した模式図


【図4】図3(a)のB領域の背面を示した模式図

【図5】図3(a)のC領域の背面を示した模式図

【図6】図6(a)及び図6(b)は、それぞれ図4のD及びE方向から
見た流路ガイドの下部内壁及び側部内壁の平面図

【図7】図6のF方向から見た流路ガイドの上部内壁の平面図

【図8】図8(a)及び図8(b)は、それぞれ本発明の一実施形態によ
る反応部の平面図及び断面図

【発明の効果】
 本発明の一態様による電極構造体は、電極板と、前記電極板の一面に前
記電極板の周面に沿って具備されて電気分解槽に対する物質の流出入経
路を提供する流路ガイドと、を含むことで、電気分解槽及びこれを含む
設備を全体的に簡素化すると同時に、物質を移送及び/または循環させ
るための配管が外部に露出することを最小化してメンテナンス及び管理
が便利
であり、事故、破損による危険を軽減させることができる。
🪄本件は再掲載。

2.特開2024-72226 電解用陽極 有限会社シーエス技術研究所 
【要約】 本発明はチタン又はチタン合金を基材として、その表面に白金
とパラジウムからなる金属合金の被覆とルテニウム及び/又はイリジウ
ム及びチタン及び/又はスズからなる酸化物の被覆を交互に被覆、積層
した主として塩素発生用に使用する電解用陽極である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】チタン又はチタン合金を基材として、その表面に白金とパ
ラジウムからなる金属合金の被覆とルテニウム及び/又はイリジウム及
びチタン及び/又はスズからなる酸化物の被覆を交互に被覆、積層した
主として塩素発生用に使用する電解用陽極。
【請求項2】前記白金とパラジウムの合金は白金塩とパラジウム塩と更
に有機還元物質を含むアルコール液を塗布し、火炎により熱分解を行っ
て形成した金属合金である事を特徴とする請求項1の電解用陽極。
【請求項3】前記白金とパラジウムの合金は、その組成がモル比で白金
が50から90%であり、残部がパラジウムであることを特徴とする請
求項1又は2の電解用陽極。
【請求項4】前記酸化物はルテニウム塩及び/又はイリジウム塩とチタ
ン塩及び/又はスズ塩を溶媒に溶解したコーティング液を塗布し、流通
空気中で熱分解によって形成した複合酸化物であることを特徴とする請
求項1から3のいずれかの電解用陽極。
【請求項5】前記合金の形成と前記酸化物の形成を交互に行う事によっ
てコーティング層内に前記合金と前記酸化物が混合したコーティング層
となっていることを特徴とする請求項1から4のいずれかの電解用陽極。
【請求項6】前記酸化物がイリジウムとルテニウム及びチタンからなる
複合酸化物であり、イリジウムが0から30モル%、ルテニウムが20
から40モル%からなり、残部がチタンである事を特徴とする請求項1,
3,並びに4のいずれかに記載の電解用陽極。
【請求項7】前記酸化物がイリジウムとルテニウム並びにスズからなる
複合酸化物であり、イリジウムが5から30モル%、ルテニウムが20
から50モル%、並びに残部がスズ(Sn)からなる複合3酸化物であ
る事を特徴とする請求項1,3,並びに4のいずれかに記載の電解用陽
極。
【請求項8】あらかじめ前処理にて表面を粗面化すると共にエッチング
処理によって活性化したチタン又はチタン合金基材表面に(1)白金塩
とパラジウム塩及び有機還元剤を含むアルコール溶液を塗布し、火炎に
よって熱分解する事によって白金とパラジウムからなる合金層を形成し
た後、該合金層表面に(2)ルテニウム及び/又はイリジウム金属塩と
チタン及び/又はスズ塩を溶媒に溶解した塗布液を塗布し、流通空気中
で加熱による熱分解を行い酸化物を形成する、並びに(1)および(2)
を繰り返す事によって所定の厚みの被覆を形成する事を特徴とする電解
用電極の製造方法。
【発明の効果】
この様な電極は特にイオン交換膜法食塩電解に使用して、その電解電圧
を低く保持するとともに副反応である酸素発生がきわめて少ないために
優れた電解の効率を得ることが出来るようになった。又希薄塩水電解や
海水電解に使用して高濃度の次亜塩素酸塩を得ることが出来るようにな
った。

000005
表1において、試料No.1は対比例であり、電位から見ると合金層が
パラジウム合金ではなく白金単味になっているために表面が不働体化し
たために電位が上上昇していることがわかる。
試料No.2から試料No.6までは実施例であり、予備電解において
もパラジウムの消耗が殆ど見られず、長期間の安定運転が期待できる。
試料No.7と8は対比例であり、合金組成中でパラジウムが多いため
に、少なくとも一部のパラジウムが安定化されず、その部分に早い段階
から消耗が現れてしまい、安定性が不十分である可能性が見いだされた。
試料No.9は合金層がパラジウム単味であり、予想通り初期にパラジ
ウムが大きく消耗してしまい、実用には耐えられないであろうことが予
想された。
【産業上の利用可能性】
本発明の電解用電極は特にイオン交換膜法食塩電解用の陽極として、従
来から電解中の電極消耗が極めて小さく、それ故電極寿命が極めて長い、
従って広く使用されているイリジウム、ルテニウム、チタン酸化物陽極
で従来問題であった、電解電位が高い事、又電極反応の選択性、つまり
発生する反応ガス中の酸素の問題を解決し、極めて小さい電極消耗速度
を保持しながら、非常に低い電解電位で、しかも極めて低い発生塩素中
の酸素特性が可能となった。さらに本発明による電解電極は陽極として
同じ塩素発生を主としながらも電解方法、条件が異なる海水電解や希薄
塩水電解用の陽極としても極めて優れた電気分解の特性を有すると共に
十分に長寿命有することが確認され、極めて優れた電極を得ることが出
来た。

3. 特開2024-72225 電解用電極 有限会社シーエス技術研究所
【要約】あらかじめ作製した、白金とパラジウムからなる金属合金微粉
末とルテニウム及び/又はイリジウムとチタン及び/又はスズからなる
酸化物の混合物コーティング層をチタン又はチタン合金からなる基材表
面にコーティングした、主反応が塩素発生である電解用陽極。 イオン交
換膜法食塩電解や海水電解のような塩素発生用の陽極において、極めて
低い陽極電位を有し、しかも陽極反応の副反応である塩素中の酸素を極
めて低くなるように抑えるとともに、実用電極として、長期間安定に電
解できる電解用陽極を得る。
000004
   表から見るように
▲1▼1000時間の予備電解で、上記番号(7),(8)では既にパ
ラジウム成分が大きく減っており、合目的ではない。従ってここでは対
比例とした。▲2▼番号(0)は参考ではあるが、パラジウムを入れな
いことで、おそらく白金は不働体化したものと思われ、電位が高くなっ
てしまっている。▲3▼番号(1)はパラジウムの添加効果が不十分な
ために部分的に白金が不働体化しているものと思われパラジウムの割合
が量的に不十分であろうことが推定された。

これらから本願特許請求範囲を規定した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】あらかじめ作製した、白金とパラジウムからなる金属合金

微粉末とルテニウム及び/又はイリジウムとチタン及び/又はスズから
なる酸化物の混合物コーティング層をチタン又はチタン合金からなる基
材表面にコーティングした、主反応が塩素発生である電解用陽極。
【請求項2】前記白金とパラジウムからなる金属合金微粉が前記被覆層
中に3から20質量%含まれてなることを特徴とする請求項1の電解用
陽極。
【請求項3】白金とパラジウムからなる金属合金の微粉末をあらかじめ
作製し、該微粉末をルテニウム及び/又はイリジウムとチタン及び/又
はスズを含む液中に分散させたコーティング液をチタン又はチタン合金
基材表面に塗布し、空気中で熱分解法によりコーティングすることを特
徴とする請求項1又は2の電解用陽極。
【請求項4】白金とパラジウム合金微粉末の組成がパラジウム10モル
%以上、50モル%以下であり、残部が白金であることを特徴とする請
求項1から3のいずれかの電解用陽極。
【請求項5】前記酸化物がイリジウムとルテニウム及びチタンからなる
複合酸化物であり、イリジウムが0から30モル%、ルテニウムが20
から40モルパーセントからなり、残部がチタンである事を特徴とする
請求項1から4のいずれかの電解用陽極。
【請求項6】前記酸化物がルテニウムとスズ及びチタンからなる複合酸
化物でありルテニウムが10から30モル%、スズが10から30モル
%及びチタンが40から70モル%であることを特徴とする請求項1か
ら4のいずれかの電解用陽極。
【請求項7】あらかじめ作製した白金とパラジウムからなる合金の微粉
末をルテニウム塩及び/又はイリジウム塩とチタン塩及び/又はスズ塩
を含有する液中に分散した後、該分散液をチタン又はチタン合金多孔体
基材表面に塗布して空気中で熱分解を行うことによって表面コーティン
グ層を形成したことを特徴とする請求項1の電解用陽極。
【請求項8】白金とパラジウムからなる合金の微粉末を白金塩とパラジ
ウム塩を溶解した混合溶液を作製し、該溶液を乾燥した後に火炎にて加
熱熱分解して合金薄片とし、必要に応じて微粉砕することによって作製
することを特徴とする請求項7に記載の電解用陽極。
【請求項9】前記、分散液を前記基材に塗布し、空気中で熱分解を行う
ことを複数回繰り返して、所望の厚みのコーティング層を得ることを特
徴とする請求項7の電解用陽極。
【請求項10】前記熱分解を空気中460℃以上の温度で行うことを特
徴とする請求項7又は9の電解用陽極。

【産業上の利用可能性】     
本発明の電解用陽極は特にイオン交換膜法食塩電解用の陽極として、従
来から電解中の電極消耗が極めて小さく、それ故電極寿命が極めて長く、
広く使用されているイリジウム、ルテニウム、チタン酸化物コーティン
グからなる陽極で、従来問題であった電解電位が高い事、又電極反応の
選択性、つまり発生塩素ガス中の酸素濃度の問題を解決し、極めて小さ
い電極消耗速度を保持しながら、非常に低い電解電位を有し、しかも極
めて低い発生塩素ガス中の酸素含有量を有することが可能となった。更
に塩素イオン濃度が低い電解液である、希薄食塩水電解や海水電解にお
いては、分解率を高く高濃度の次亜塩素酸塩を得ることが出来、活性塩
素濃度を高く保持することが出来る様になった

4. 特許7519642 タングステン酸化物及び酸素発生反応
 用触媒 株式会社トクヤマ
【請求範囲】
【請求項1】NiFe1-xWO(但し、0<x<1)で表される
ングステン酸化物を含む陽極又は正極に用い
るための酸素発生反応用触
媒。
【請求項2】請求項1記載の酸素発生反応用触媒の製造方法であって、
タングステン酸塩、ニッケル塩及び鉄塩をポ
リオールに溶解させ、前記
各塩が溶解したポリオール溶液
を加熱することによりNiFe1-x
(但し、0<x<1)で表されるタングステン酸化物を合成する、
又は
タングステン酸塩、ニッケル塩及び鉄塩並びに水を耐圧容器中に投
入して加熱することによりNiFe1-xWO(但し、0<x<1)
で表される
タングステン酸化物を合
成する、前記酸素発生反応用触媒
製造方法。

【請求項3】イオン透過性の隔膜によって区画された陽極室及び陰極室
を備え、前記陽極室に陽極が配置され、前記
陰極室に陰極が配置された
電解槽であって、前記陽極にNi
Fe1-xWO(但し、0<x<1)
で表されるタング
ステン酸化物が触媒として担持されている電解槽。
【請求項4】二酸化炭素を陰極に供給するためのガス拡散層を備え、陰
極室において二酸化炭素の還元を行う請求項
記載の電解槽。
【請求項5】陰極室の陽極室に対向する側の反対側に、二酸化炭素を陰
極と接するように導入する二酸化炭素導入部
を備え、前記二酸化炭素導
入部において二酸化炭素の還元
を行う請求項記載の電解槽。
【請求項6】請求項記載の電解槽における陽極室にアルカリを含む塩
水を供給し、陰極室に塩水を供給して塩水を
電解する塩水の電解方法。
【請求項7】請求項記載の電解槽における陽極室にアルカリを含む塩
水を供給し、陰極室に塩水を供給し、二酸化
炭素導入部に二酸化炭素を
導入して、塩水を電解すると共
に二酸化炭素の還元を行う塩水の電解及
び二酸化炭素の還
元方法。
【請求項8】NiFe1-xWO(但し、0<x<1)で表されるタ
ングステン酸化物の製造方法であって、
タングステン酸塩、ニッケル塩
及び鉄塩をポリオールに溶解させ、前記各塩が溶解したポリオール溶液
を加熱することにより前記タングステン酸化物を合成する
前記タングス
テン
酸化物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
近年、炭酸ガスの温室効果に起因する地球の温暖化等の問題を解決する
ため、再生可能エネルギーを利用して水素を製造する方法が注目されて
いる。再生可能エネルギーを利用した水素の製造においては、化石燃料
の改質による従来の水素製造方法に匹敵する低コスト化が求められてい
る。この要求に応え得る水素製造方法として、水の電気分解(電解)が
挙げられる。水の電気分解の代表的な方法としてはアルカリ水電解法が
ある。アルカリ水電解の際に電力損失が生じるが、電力損失の主たる要
因としては、陽極の過電圧、陰極の過電圧、イオン透過性隔膜のオーム
損、電解セルユニットを構成する電解セルの構造抵抗によるオーム損等
が挙げられる。これらの電力損失を低減することができれば、電解槽の
電解時の電流密度を高めてシステム全体を小型化し、その結果、設備費
を大幅に削減することが可能になる。そのため、電力損失を低減できる
触媒の開発が望まれている。

従来、酸素発生反応用触媒としては、酸化ルテニウム、酸化イリジウム
等が用いられているが、これらはコストが高く資源量が限られている貴
金属を使用するものであった。そのため、貴金属よりもコストが低く資
源量の多いタングステンを使用したタングステン酸化物を酸素発生反応
用触媒として利用することが検討されている。非特許文献1では、Co
-x
FeWOとカーボンナノチューブ(CNT)との複合体Co1-
FeWO-CNTを酸素発生反応(OER)用触媒とすることが
記載されている。しかし、カーボンナノチューブと複合化することによ
り過電圧を低くしているものの、カーボンナノチューブと複合化しない
Co0.5Fe0.5WOの過電圧は高く、その値は420mVと報告
されている。また、非特許文献2では、Ni-Fe-W水酸化物を酸素
発生反応用触媒として使用することが報告されているが、これもカーボ
ンファイバーと複合化したものである。そのため、ルテニウム、イリジ
ウム等の貴金属を使用せずに高い触媒活性を示す化合物の開発が求めら
れていた。

【発明の効果】
  本発明のタングステン酸化物は、酸素発生反応用触媒として使用すると
優れた触媒活性を示す。本発明の酸素発生反応用触媒は、本発明のタン
グステン酸化物を含むことにより優れた触媒活性を示す。本発明の製造
方法は、本発明のタングステン酸化物を製造することができる。

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1及び比較例2で得られた試料のXRDパターンを示す図
         以下割愛

🪄海水電解技術の考察で、残件する電極・隔膜・装置の課題の全貌が明
 確にされ、最終目標の『エネルギーフリー社会の電解水素』が担保でき
 た。強いて追記すると「二酸化炭素×水素➡炭化水素合成」の「太陽光
 触媒開発」となる。

  
     太湖と三山

             心に残る曲『無鈴旅情 尾形大作』 
               作詞/作曲:中山大三郎
               ジャンル:演歌/1986年9月21日

 今日の言葉:


          

          春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                   春だというのに自然は沈黙している。

                            レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

                      

 

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エネルギーと環境113

2025年01月21日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。

【季語と短歌:1月21日】             関連する画像の詳細をご覧ください。わたあめ / したのの さんのイラスト - ニコニコ静画 (イラスト)

       暖かき大寒なれど給油して 

                高山 宇 (赤鬼)

🎈ため池水上太陽光発電建設ラッシュ最進県 香川

✳️ ワイヤレス給電・充電システムの特徴
   ワイヤレス給電・充電システムのメリット
🪄ここでは、自動車・ドローンや自動運転、搬送装置などのワイヤレス給
電及び充電、システム最適化(水中・宇宙空間を含め)を「WiBotic lnc.
(ワイボテック)は2015年に創立され、アメリカ合衆国のワシントン州シ
アトルに本社を置くワイヤレス充電と制御システムの開発・製造企業×ナ
ブテスコ
から学ぶことに。






特開2023-80870 二次電池モジュール
【要約】下図1のごとく、 負極集電体、負極活物質層、セパレータ又は固
体電解質、正極活物質層及び正極集電体を有する蓄電要素を複数積層され
てなる積層型電池を備えた二次電池モジュールであって、積層型電池の両
端に位置する最外層集電体と、最外層集電体に接続され、電流を外部に取
り出すためのタブと、タブに接続される整流部と、を備え、整流部は、最
外層集電体上に、且つ、前記最外層集電体の端部に設けられ、更に、最外
層集電体においてタブが入射する側の辺を第一辺と定義したときに、最外
層集電体の第一辺に沿う方向に延設されている。電池の充放電の際に電流
が分布することを抑制し、電池の劣化を抑制して電池の長寿命化を図る。

図1. 本発明を適用した二次電池モジュールを示す斜視図

図2. 本発明を適用した二次電池モジュールの側断面図

リチウムイオン二次電池としての電池セルの拡大断面図
【符号の説明】【0123】
1  二次電池モジュール 2  負極 3  正極 5,61  負極整流部 6,
62  正極整流部 7、8  導電部 9  枠部材 10  負極側最外層集電体
11  負極集電体 12  負極活物質層 13  セパレータ 14  正極活物
質層 15  正極集電体 16  正極側最外層集電体 20  各電池セル  2
0  組電池 41  負極活物質 42  正極活物質 43  電解液 46  固
z体電解質 50  組電池 61A,62A  分岐整流部 71  第1接点
72  第2接点 73  導電線
【発明の効果】【0009】
 本発明によれば、電池の充放電の際に電流が分布することを抑制し、電池
の劣化を抑制して電池の長寿命化を図ることができる。
【特許請求範囲】
【請求項1】  負極集電体、負極活物質層、セパレータ又は固体電解質、
正極活物質層及び正極集電体を有する蓄電要素を複数積層されてなる積層
型電池を備えた二次電池モジュールであって、
  前記積層型電池の両端に位置する最外層集電体と、
  前記最外層集電体に接続され、電流を外部に取り出すためのタブと、
  前記タブに接続される整流部と、を備え、
  前記整流部は、
  前記最外層集電体上に、且つ、前記最外層集電体の端部に設けられ、
更に、前記最外層集電体において前記タブが入射する側の辺を第一辺と定
義したときに、前記最外層集電体の前記第一辺に沿う方向に延設されてい
る、 ことを特徴とする二次電池モジュール。
【請求項2】  前記最外層集電体において前記タブが入射しない側の辺を
第二辺と定義したときに、前記整流部は、前記最外層集電体の第一辺に沿
う方向に延びる第一方向延設部と、前記最外層集電体の第二辺に沿う方向
に延びる第二方向延設部と、を有する、
請求項1に記載の二次電池モジュール。
【請求項3】  前記整流部は、正極側整流部と負極側整流部とを備え、
前記正極側整流部は、前記最外層集電体の第一辺に沿う方向に延びる第一
方向延設部と、前記最外層集電体の第二辺に沿う方向に延びる第二方向延
設部と、を有し、前記負極側整流部は、前記最外層集電体の中央部におい
て第二辺に沿う方向に延びる中央側第二方向延設部と、を有する、請求項
1又は2に記載の二次電池モジュール。
【請求項4】 前記整流部は、正極側及び負極側それぞれに設けられ、前記
整流部は、前記最外層集電体の第一辺に沿う方向に延びる第一方向延設部
と、前記最外層集電体の第二辺に沿う方向に延びる第二方向延設部と、
を有する、  請求項1又は2に記載の二次電池モジュール。
【請求項5】  前記整流部は、正極側及び負極側それぞれに設けられ、
前記整流部は、前記最外層集電体の第一辺に沿う方向に延びる第一方向延
設部と、前記最外層集電体の第二辺に沿う方向に延びる第二方向延設部と、
を有し、  更に、前記整流部は、前記最外層集電体の中央部において第二
辺に沿う方向に延びる中央側第二方向延設部と、を有する、
  請求項1又は2に記載の二次電池モジュール。
【請求項6】  前記整流部は、前記第二方向延設部から枝分かれした分岐
整流部が複数設けられている、
  請求項2~5のいずれか一項に記載の二次電池モジュール。
【請求項7】  前記整流部は、  上記最外層集電体よりも低抵抗の材料から
なり、 前記整流部における前記タブが入射した箇所から離れた部分に向か
うに従い抵抗が低い構成を有する、  請求項1に記載の二次電池モジュール。
【請求項8】  前記整流部は、異なる材料が組み合わせて構成され、
  前記整流部における前記タブが入射した箇所に用いられる材料よりも  前
記整流部における前記タブが入射した箇所から離れた部分に用いられる材
料の方が低抵抗材料で構成されている、
  請求項1に記載の二次電池モジュール。
【請求項9】  前記整流部は、その内部に電流を流す導電線を有し、
  前記導電線は、
前記整流部におけるタブ側に位置する第1接点と、前記整流部における前
記タブ側から離れた部分に位置する第2接点と、を接続し、
  前記第2接点の数は、前記第1接点の数より大きい
  請求項1~8のいずれか一項に記載の二次電池モジュール。
【請求項10】
  前記第2接点は、前記整流部の延在方向に沿うように並設され、
前記第2接点のうち第一辺方向外側に位置する外側第2接点と、前記第1
接点と、を接続する外側導電線よりも、
前記外側第2接点よりも第一辺方向内側に位置する内側第2接点と、前記
第1接点と、を接続する中央側導電線の方が、導電線の長さが長い請求項
9に記載の二次電池モジュール。
【請求項11】前記外側導電線の電気抵抗と、前記中央側導電線の電気抵
抗とは略同一である、  請求項10に記載の二次電池モジュール。

ISプロセスとは
✳️ 熱化学法ISプロセス

熱化学法ISプロセスは、最大900℃の熱源により、ヨウ素(I)と硫黄(S)の化学
反応を組合わせることにより、水を熱分解する水素製造法。

ISプロセスの化学反応

I2 + SO2 + 2H2O → H2SO4 + 2HI  ~100℃  (ブンゼン反応)
2HI → H2 + I2           ~500℃  (HI分解反応)
H2SO4 → SO2 + H2O + 0.5O2     ~900℃  (H2SO4分解反応)

3つの反応を組合わせることで、水を熱分解するために必要な温度を、直
接熱分解に必要な4000℃から900℃以下まで低下させることが出来て、高
温ガス炉などの熱源を用いて水を分解することが出来ます。反応に用いら
れるヨウ素や硫黄はプロセス内で循環するため、プロセス全体では水を分
解し、水素と酸素のみを生成することが出来る。

⛑️「特開2024-77350 炭素および水素の製造方法」の補足
【発明の効果】
  本発明によれば、二酸化炭素と水から、炭素と水素とを効率的に生成する
とともに、反応に用いる還元剤を繰り返し生成、利用することが可能な
素および水素の製造方法
、これにより得られる炭素材料、還元剤、および
還元能力の高い還元剤を用いて二酸化炭素を高い反応効率で分解すること
ができる二酸化炭素の分解方法を提供することが可能となる。
以下は関連工程と化学反応式のみを記載し補足とする。

【0046】
  二酸化炭素分解工程S1での二酸化炭素の分解には、以下の式(1)、
(2)の2段階と式(3)の1段階の反応が生じる。
  CO→CO(中間生成物)+O2-・・・(1)
  CO→C+O2-・・・(2)
  CO→C+2O2-・・・(3)
  そして、上述した式(1)、(2)、(3)で生じた酸素は、以下の式
(4)、(5)で酸素欠陥鉄酸化物(式(4))や酸素完全欠陥鉄(式(
5))の原子空孔に挿入される。
  Fe4-δ+δO2-→Fe(但し、δ=1以上4未満)・・・(4)
  3Fe+4O2-→Fe・・・(5)
【0047】 なお、本実施形態の二酸化炭素の分解方法では、二酸化炭素
分解工程S1において、上記の式(1)だけを行うこともできる。得られ
た一酸化炭素(CO)は、水素添加によって、メタン、メタノールなどの
炭化水素や各種樹脂などの有用な化成品を得るための原料として用いるこ
とができる。
【0048】二酸化炭素分解工程S1での上述した反応で、すべての二酸
化炭素を式(2)まで、または式(3)で反応させた場合には、最終的な
生成物としてガスの発生を伴わない。即ち、二酸化炭素中の酸素は、酸素
欠陥鉄酸化物、または酸素完全欠陥鉄に全て取り込まれると考えられる。
これを考慮して二酸化炭素と酸素欠陥鉄酸化物の反応は、式(6)、二酸
化炭素と酸素完全欠陥鉄の反応は、式(7)で表される。
  2Fe4-δ+δCO→2Fe・δC(炭素付着マグネタイト。
但し、δ=1以上4未満)・・(6)
  3Fe+2CO→Fe・2C(炭素付着マグネタイト)・・(7)
【0055】  一方、本実施形態では、二酸化炭素分解工程S1で二酸化炭
素の分解によって、還元剤はマグネタイト(Fe)になり、ヘマタ
イト(Fe)が生じることは無い。
本実施形態では、炭素は、マグネ
タイトの表面に比較的強固に付着した状態で生じる。
【0056】(炭素分離工程S2)
  炭素分離工程S2は、マグネタイトの塩化反応(マグネタイトから塩化鉄
(III)(FeCl)と塩化鉄(II)(FeCl)への転換)と炭素回収操作
より構成される。マグネタイトの塩化反応は、塩酸溶解による湿式塩化法
と塩化水素ガスによる乾式塩化法がある。
【0060】炭素分離工程S2(湿式塩化)でのマグネタイトの塩化反応
は、以下の式(8)~(9)で表される。
  2Fe・δC+16HCl→4FeCl+2FeCl+8H
+δC(湿式塩化:10~150℃)(但し、δ=1~4)・・・(8)
  2Fe+16HCl→4FeCl+2FeCl+8HO(湿式
塩化:10℃~150℃)・・・(9)
【0061】(乾式塩化)  マグネタイトの塩化反応を乾式塩化で行う場合、
二酸化炭素分解工程S1で得られた表面に炭素を付着させたマグネタイト、
または水素製造工程S3で得られたマグネタイトと、塩化水素ガスとを反
応させることによって塩化鉄(塩化鉄(III)と塩化鉄(II))と水とを生成する。
【0063】炭素分離工程S2(乾式塩化)でのマグネタイトの塩化反応
は、以下の式(8)~(9)で表される。
  2Fe・δC+16HCl→4FeCl+2FeCl+8H
+δC(乾式塩化:50~300℃)(但し、δ=1~4)・・・(8)
  2Fe+16HCl→4FeCl+2FeCl+8HO(乾
式塩化:50℃~300℃)・・・(9)
【0067】  塩化鉄(III)の還元は、例えば、高温での塩化鉄(III) の熱分解
による熱還元法と、低温での還元剤(CuCl、Fe等)の添加による還元法とがある。
【0068】(熱還元法)
  水素製造工程S3での塩化鉄(III)の熱還元法による還元反応の詳細を以下
の式(10)~(11)に示す。
  4FeCl→4FeCl+2Cl(塩化鉄(III)の還元:300℃~
600℃)・・・(10)
  2Cl+2HO→4HCl+O(逆ディーコン反応:400℃~8
00℃)・・・(11)
 なお、式(11)の逆ディーコン反応は、必ずしも行わなくてもよい。
【0069】(CuClを用いた還元法)
  水素製造工程S3での塩化鉄(III)のCuClを用いた還元法による還元反
応の詳細を以下の式(12)~(14)に示す。
  4FeCl+4CuCl→4FeCl+4CuCl(塩化鉄(III)の還
元:10℃~100℃)・・・(12)
  4CuCl→4CuCl+2Cl(CuClの還元:300℃~6
00℃)・・・(13)
  2Cl+2HO→4HCl+O(逆ディーコン反応:400℃~8
00℃)・・・(14)
  なお、式(14)の逆ディーコン反応は、必ずしも行わなくてもよい。
【0070】(Feを用いた還元法)
  水素製造工程S3での塩化鉄(III)のFeを用いた還元法による還元反応の
詳細を以下の式(15)に示す。
  4FeCl+2Fe→6FeCl(塩化鉄(III)の還元:10℃~10
0℃)・・・(15)
【0072】  水素製造工程S3での塩化鉄(II)と水との反応では、以下の
式(16)の反応が生じる。
  3FeCl+4HO→Fe+6HCl+H・・・(16)
  こうした反応によって得られる水素は、例えば、純度が99%以上とい
った高純度水素であり、燃料電池自動車(FCV)用の水素ステーション、
水素発電、各種工業用水素源として用いることができる。
【0090】還元剤再生工程S4でのマグネタイトの水素による還元では、
以下の式(17)、(18)のように還元剤が生成される。
  Fe+δH→Fe4-δ+δHO(但し、δ=1以上4未満)
・・・(17)
  Fe+4H→3Fe+4HO・・・(18)
ことが確認できた。
【産業上の利用可能性】【0155】
  本発明は、二酸化炭素および水を用いて、炭素材料と水素とを低コスト
で効率的に生成することができる。例えば、製鉄プラント、火力発電所、
セメント製造プラント、ゴミ焼却施設など、二酸化炭素、および排熱を多
く排出するプラント等に適用することで、二酸化炭素の排出削減、水素の
有効利用と、これに付随してナノサイズの炭素などの高付加価値の炭素材
料の製造を行うことができる。したがって、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】【0156】
  S1…二酸化炭素分解工程
  S2…炭素分離工程
  S3…水素製造工程
  S4…還元剤再生工程                  
尚、製造単価については化成品関係者に概算出を依頼する。    以上 

✳️ ダイカルコレナイド 太陽電池の最新情報
【26.5%】新しい『タンデム型太陽電池』が発表されました!
【ペロブスカイト ✖ カルコパイライト】( 2024/05/16
🎈株式会社 PXP






   
      心に残る楽曲『涙そうそう 森山良子/BEGIN』 
         作詞:森山良子/作曲:BEGIN
               ジャンル:歌謡曲/1998年11月26日




今日の言葉:

                春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                 春だというのに自然は沈黙している。

                             レイチェル・カーソン 『沈黙の春』   
                         (因果報応の季節風)より

                           


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エネルギーと環境 112

2025年01月20日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。



【季語と短歌:1月20日】

       寒い朝終日ひとりブログ打つ 
                  高山 宇 (赤鬼)


✳️ 
タンデムセルで30%超の変換効率達成
【概説】自動車や人工衛星等で使用される太陽電池は,搭載可能な面積が
限定されるため可能な限り高い変換効率が求められる。ペロブスカイト太
陽電池単独の理論変換効率は33.7%であるのに対し,ペロブスカイト太陽
電池と結晶シリコン太陽電池を積層したタンデム型の理論変換効率は43.8
%と単独型の数値をはるかに上回るため,タンデム型には高効率太陽電池
として非常に高い優位性がある。タンデム型は,受光面側から順にペロブ
スカイト,結晶シリコンそれぞれの発電層を持つ構造となっており,最初に
ペロブスカイト太陽電池が可視光領域の光エネルギーで発電し,ペロブス
カイトが吸収しない赤外領域の光エネルギーで結晶シリコン太陽電池が発
電する。ペロブスカイト太陽電池には,可視光での高い発電能力と赤外線
をロスすることなく結晶シリコンに透過させる性能の両立が求められる。
今回,両社はペロブスカイト太陽電池の透過性に着目し,赤外線透過率を
81%まで向上させることに成功した。ペロブスカイト太陽電池には,可視
光での高い発電能力と赤外線をロスすることなく結晶シリコンに透過させ
る性能の両立が求められる。今回,両社はペロブスカイト太陽電池の透過
性に着目し,赤外線透過率を81%まで向上させることに成功した。



今回得られた変換効率の数値は、セルレベルの限定された面積での測定値
であり、今後、本取り組みの成果を基盤としてモジュール化・大型化に取
り組み、ユーザーメリットに優れた高効率太陽電池の実用化に向けて開発
を継続。 なお、本成果は 2025 年 1 月 21 日、22 日に京都大学宇治キャ
ンパスで開催される The Asia-Pacific International Conference on
Perovskite,Organic Photovoltaics and Optoelectronics (IPEROP25)に
おいて発表される予定。 
【エネコートテクノロジーズについて】 
エネコートテクノロジーズは、京都大学化学研究所若宮淳志研究室の研究
成果を実用化するために2018年1月に設立された京都大学発スタートアッ
プであり、①低照度(屋内)向け高効率太陽電池を用いたデバイス(屋内
光源デバイス)による IoT 化促進への貢献、②高照度(屋外)向け軽量薄
膜太陽電池によるカーボンニュートラル社会実現への貢献をコーポレート
ミッションと位置付け事業に取り組んでいる。 車載用太陽電池の開発は、
上記②高照度(屋外)向け軽量薄膜太陽電池によるカーボンニュートラル
社会実現への貢献の一環として取り組んでいるものであり、豊かなカーラ
イフの実現、自動
車セクターのCO2排出量削減を目指す。



✅ 太陽光で水から水素生産を変える可能性
オーストラリアのフリンダース大学が主導する国際研究により、ナノスケ
ールの化学が進歩し、太陽光エネルギーを利用して水から水素を生成する
持続可能かつ効率的な技術の開発がさらに進展したという。


PEM電解技術のコスト開発
画像: グリフィス大学、Journal of Cleaner
Production、
クリエイティブ コモンズ ライセンス CC BY 4.0
🎈水素がネットゼロへの移行において役割を果たすためには、生産コスト
を下げる必要がある。数メガワットの太陽光発電で動く今日のプロジェク
トを1GW程度にまで規模を拡大することで、オーストラリアで水の電気分
解によりグリーン水素を生産するコストは、2050年までに1kgあたり2ドル
まで下がる可能性があることを示す。この研究で、水素製造の電気分解技
術のプロトン交換膜(PEM)を想定。電気分解装置に電力を供給に、10M
W、100MW、500MW、1GWの設備容量を持つ太陽光および風力発電所を
想定する。異なる条件は、電解装置アレイサイズ。最初のバリエーション
では、発電所の出力で最大電力を利用できるサイズ。しかし、ピーク電力
は頻繁に発生せず、十分に活用されない可能性があり、無効となるピーク
電力を削減する削減電力プロファイルも提示し、より小型で安価な電解装
置アレイを実現させる。

本研究では、FeドーパントとCo/Se空孔を組み込むことで、OER用の原子
的に薄いCoSe 2ナノベルトの触媒ポテンシャルを完全に掘り起こすこと
を目指
す。実と理論計算の両方を通じて、最良の触媒はCoSe 2 –D Fe
Coであり、最も活性な中心はV Co
に最も近い表面Feサイトに隣接する
Co 2サイトであることがわかった。FeドーピングとCo空孔は相乗的に作
用してCo 
2の電子状態を最適化のため、OH*の結合エネルギーが大幅に減
少し、高い触媒活性が達成される。対照的に、Se由来のO空孔はCo 2サイ
トでのO*の結合エネルギーに明らかな影響を及ぼし、その結果、比較的高
い過電位と低い触媒活性をもたらした。
アレイの 3 番目のバリエーションでは、電解槽の過負荷を考慮。「このシ
ナリオでは、電解槽は、スタックの寿命を縮めないように、短期間でまれ
に定格容量を超える入力電力を使用するようにサイズ設定する。「過負荷
容量を組み込むことによる LCOH への影響を確認に、150% の値を想定す
る」。

基準シナリオにおけるLCOH、楽観的シナリオと悲観的シナリオを示すエ
ラーバー(
画像: グリフィス大学、Journal of Cleaner Production、CC BY
4.0 DEED)






✳️ 空気から燃料や肥料になる「グリーンアンモニア」生成
化学肥料の大量生産を可能にしたハーバー・ボッシュ法は、世界中の農業
を支えているが、全世界のエネルギー消費量の2%以上、天然ガス使用量
の約5%を占めるエネルギー集約技術。昨年12月13日に科学誌・Science
Advancesに掲載された論文で、空気中から肥料にできるアンモニアを集
める装置が発表されている。容易に液体に溶けるアンモニアは気体の水素
よりも扱いやすいため、キロワット時当たりのコストも低く抑えられる。
海運業界は既にアンモニアに注目しており、2024年には世界初の炭素排出
ゼロのアンモニア駆動船が就航された。

メタンや水素ガスよりもクリーンな燃料としてのアンモニアに注目したス
タンフォード大学とサウジアラビアのキング・ファハド石油鉱物大学のチ
ームは、空気中の窒素と水蒸気を利用したグリーンアンモニアの収集装置
を開発。下図は、その「オンサイトアンモニア製造装置」の概略図。この
装置は触媒メッシュ、採取した液体サンプルを捕集するための冷却コンデ
ンサープレート、収集容器で構成。

「オンサイトアンモニア製造装置」の仕組みは、自然風か装置に組み込ま
れたファンで空気中の水蒸気と窒素を触媒メッシュの中に通すと、装置内
にグリーンアンモニアが発生するため、それを冷やして凝集させて液体と
して集めるが、チームが実際に装置を稼働させたところ、1時間当たり最
高120μM(マイクロモーラ)の濃度のアンモニアの生成に成功。これは、一
部の作物にとっては十分な濃度。また、廃水中のアンモニアを除去するの
によく使われるゼオライトを使うことで、必要に応じてアンモニアを載淑
できる。スタンフォード大学の化学教授で、論文の著者の1人であるリチ
ャード・ザレ氏は「このイノベーションは、集中型生産に代わる持続可能
かつコスパが高い代替手段となる。また、発展途上国の農業の強化から、
医薬品製造や工業の進歩に至るまで貢献可能だという。アンモニアの生成
は、マグネタイトとナフィオンと呼ばれるポリマーで構成された触媒によ
り、水蒸気(H2O)と大気中の窒素(N2)を結合させて、アンモニア(NH3)と
酸素(O2)を発生させるというプロセスで行われる。
---------------------------------------------------------------------------------
【掲載論文】
Titol:Onsite ammonia synthesis from water vapor and nitrogen in the air
Science Advances 13 Dec 2024 Vol 10Issue 50
DOI: 10.1126/sciadv.ads4443



✳️ 水素製造触媒で最高効率、物材機構 AIで短期間で発見

物質・材料研究機構(NIMS)は水を電気分解するための触媒で世界最高
効率の材料を発見した。マンガンや鉄などの安価な5つの元素で構成される。
グリーン水素の製造効率向上と低価格化につながる。人工知能(AI)で効
率的に材料を探索して見つけたという。
再生可能エネルギー由来の電力で
水を電気分解してつくるグリーン水素を、新たな燃料や余剰電力の貯蔵に
使う動きが広がっている。普及には低価格化が欠かせず、水の電解効率向
上と装置コストの低減が課題となっている。

改善策の1つが、多種の金属元素を複合化した多元素合金だ。構成元素の
組み合わせを変えることで通常の合金や単一元素の金属よりも高い性能を
示すことがある。安価な金属を選んでつくれば合金の値段も下がる。ただ、
組み合わせの種類が膨大で、高い性能の材料を見つけることが難しい。

材機構の研究チームはまず安価な11種類の金属を選定した上で、うち5種
類の金属を選んで合金化した。従来だと約3000候補の材料をそれぞれ合成
して実験する必要があったが、AIの活用により全候補数の2%を実験するだ
けで優れた材料を発見した。期間に直すと6年間かかる研究を70分の1以下
の1カ月に短縮できたという。


図2:水素環境下試験設備の温度・圧力環境の比較。従来は200K以上が中
心で、低温領域は常圧・液化水素環境(20K)下の設備があるのみ(☆)。
今回、20K~200Kかつ常圧~10MPaまで、低温での幅広い温度・圧力域で
試験が可能となった。
新材料はマンガン、鉄、ニッケル、亜鉛、銀で構成
される。水の電気分解に必要な2種類の触媒のうち、全体の効率を特に左右
する酸素を発生させる触媒だ。実験によると水が中性の条件では世界最高
の酸素発生効率を示したという。価格が安く、5元素のうち最も高価な銀
でも従来世界最高のルテニウムの20分の1程度となる。

✳️ 「水素」破格に 触媒1粒で効率水分解
カーボンニュートラル(CN、温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現に向
け、安価な水素の大規模供給が渇望されている。水素は燃料として使える
だけでなく、二酸化炭素(CO2)と反応させればプラスチックを製造で
きる。炭素を環境に排出せず、繰り返し使うことが可能だ。この水素の価
格破壊を起こすと期待されるのが光触媒。粉を水にといて光を当てると水
素が得られる。日本にはノーベル賞級とされる研究者がいる。

「正直、あと2―3年待ってほしかった。もう少しで実用レベルに到達す
る」―。英調査会社クラリベイトの2024年の引用栄誉賞を受賞し、堂
免一成信州大学特別特任教授は苦笑いした。同賞はノーベル賞の前哨戦に
も位置付けられる。水分解光触媒は実用化まであと数歩のところまできて
いる。

光触媒研究は光の吸収波長を広げ、水の分解効率を高める。この二つを両
立させる必要がある。太陽光のすべての波長を触媒が吸収できれば、光の
利用効率が向上する。光エネルギーで水を効率的に分解できれば生産性が
向上する。前者は光触媒の母材、後者は助触媒が機能を担う。そして水を
分解して酸素を作る助触媒と、水素を作る助触媒は物質が異なる。そのた
め母材と二つの助触媒がそれぞれ開発されてきた。堂免教授はこれらを一
粒の触媒で実現した
堂免教授は「一つの触媒で水素を生成できたため
、光触媒が実用技術と認められた」と06年の論文の意義を振り返る。二
つ必要だった触媒を一つにまとめた研究は高く評価され、英科学誌「ネイ
チャー」に掲載された。それまでは水素生成と酸素生成の触媒の間にレド
ックスシャトルという電荷の受け渡し機構が必要で、反応効率が上がらな
い要因になっていた。

一粒の触媒上で二つの反応が完結すれば効率は劇的に向上する。堂免教授
らは窒化ガリウムと酸化亜鉛を固溶させてこれを実現した。窒化ガリウム
/酸化亜鉛の界面が酸素を生成し、助触媒のロジウム・クロム酸化物複合
体が水素を生成する。エネルギーの小さな可視光でも水素を作れると実証
した。

✳️ 母材の吸収波長拡大が課題
それまでは光触媒のアプローチは実現性を疑われるほどだった。堂免教授
らの論文は人工光合成の研究に火を付けることになる。欧米でも同じアプ
ローチの研究プロジェクトが立ち上がっている。
また水分解の面では紫外
光を用いて量子収率100%を達成した。触媒が光を吸収すると電子と正
孔が生じる。量子収率100%とは、生成した電子と正孔はほぼすべて水
分解の反応に利用できていることになる。
この研究では母材にアルミニウ
ムを添加したチタン酸ストロンチウム、水素生成助触媒はロジウム・クロ
ム酸化物複合体、酸素生成助触媒に水酸化酸化コバルトを利用した。チタ
ン酸ストロンチウムの結晶は電子が流れやすい表面と正孔が流れやすい表
面が存在する。そこで電子の流れやすい面に水素生成助触媒を付着させ、
正孔の流れやすい面には酸素生成助触媒を付けて反応が干渉しないように
制御した。わずか500ナノメートル(ナノは10億分の1)の18面体
の粒を精密に塗り分けることに成功している。

現在は性能を維持したまま母材の吸収波長を広げられるかが課題になって
いる。新しい母材として窒化タンタルやスズ・ニオブ酸化物などを見いだ
した。堂免教授は「元素を添加すれば波長を広げることはできる。だが結
晶に欠陥が入りやすくなる」と説明する。
実用レベルにはあと数歩必要だ。
日本は触媒分野に限らず、半導体や電池などマテリアル研究者の層が厚い。
思わぬ分野のアイデアがブレークスルーをもたらすかもしれない。
触媒研
究と並行して事業化や製造プロセスの検証も進んでいる。新エネルギー・
産業技術総合開発機構
(NEDO)事業では、実際にパネル1600枚を
並べて100平方メートル規模の水素製造実証システムを構築した。プラ
ント設計の知見を蓄え、現在は三菱ケミカルなどが実証開発を進めている。


✳️ 光触媒方式で圧倒的コスト競争力を実現
🎈 安全に水分解、海水も利用
光触媒方式に求められるのは圧倒的なコスト競争力だ。触媒の粉末に水を
かけて光を当てれば水素が発生するため、装置が単純で安価に供給できる
と期待されてきた。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の
人工光合成プロジェクトでも「破壊的に安価なグリーン水素製造」が掲げ
られている。経済産業省とNEDOは2012―21年の10年間で約1
50億円を投じ、人工光合成技術を育ててきた。参加した研究者の総数は
約150人。信州大学の堂免一成特別特任教授らが光触媒を開発し、三菱
ケミカル
がシステム設計などを担った。現在は経産省・NEDOのグリー
ンイノベーション(GI)基金事業で三菱ケミカルが事業化を進めている。
光触媒方式では水素と酸素の混合ガスが得られる。ガスを水素と酸素に分
離するプロセスや消炎対策などが必要になる。そこで水素分離には膜分離
方式を採用した。水素分子の大きさは2・9オングストローム(オングス
トロームは100億分の1メートル)で酸素分子は3・4オングストロー
ム。この差を利用して分子をふるいにかける。分離膜はセラミックやゼオ
ライト、シリカ膜、炭素膜などを検証した。水素ガス中の酸素を4%未満
に減らせれば爆発しない。条件を限定すれば水素濃度96%以上、水素回
収率90%が見えている。

安全対策は配管に接続して組み込める消炎ユニットを開発した。さらに分
離膜ユニットでの爆発実験を繰り返し、爆発させても分離膜性能に異常が
ないことを確認した。堂免教授は「火を付けないことが大前提。だが仮に
着火したとしても壊れないシステムを開発できた」と説明する。安全研究
の専門家らが開発を支えた。
水素の原料となる水の供給可能性も検証され
た。水素を大規模製造するとなると海水や河川水が原料となる。ただ遷移
金属イオンや塩素、有機物などの不純物が含まれるため、そのままは利用
できない。淡水化の工程が必要になる。

そこで蒸留水と海水淡水化水を検証したところ、光触媒の活性は変わらな
かった。材料メーカーの試算では海水淡水化水のコストは水1トン当たり
1ドル未満。50年の水素目標価格の1ノルマル立方メートル20円にお
いても淡水化コストは0・4%程度になった。堂免教授は「実用化されて
いる淡水化技術で十分」と断言する。
また水分解パネルは太陽電池パネル
よりも簡素な構成で作れる。堂免教授は「アイデア次第で非常に安い水分
解パネルを構築できる」という。将来、瀬戸内海などの波の静かな内海に
パネルを浮かべて水素を生産する風景が日常になるかもしれない。

✳️ CO2からプラスチック製造へ
🎈 「人工光合成触媒」
水素社会の実現へは水素のサプライチェーン(供給網)全体でコストを抑
える必要がある。水素の温度や圧力、不純物などを需要側に合わせるため
の工数はできる限り削減したい。例えば燃料電池車(FCV)へは水素を
冷やして液化して供給する。液化の際に不純物を取り除けるが、冷却にコ
ストがかかる。水分解で生産する水素を、そのまま使える用途があれば簡
単だ。
三菱ケミカルは水素を化学品の原料製造に利用する。水素で二酸化
炭素(CO2)をメタノールに還元し、メタノールからエチレンなどのオ
レフィンを製造する計画だ。これなら水素製造システムと水素利用システ
ムを直接つないで供給することも不可能ではない。


もともと水素の用途はFCVが筆頭とされてきたが、現在はカーボンニュ
ートラル
温室効果ガス排出量実質ゼロ)でCO2を資源化する需要が高
まっている。CO2を化学品に変換して使い続ければ、実質的にCO2排
出量を減らせる。オレフィンを重合したポリエチレンやポリプロピレンは
それぞれ年間230万トン程度利用されている。以前は夢物語とも言われ
たが、カーボンクレジットでCO2に値が付くようになってからは関係者
の目の色が変わった。巨大なビジネスになると投資が進んでいる。安価な
グリーン水素とCO2の需要が急拡大している。

経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリー
ンイノベーション(GI)基金事業ではCO2からメタノールを製造する
ために、新しい反応分離膜ユニットを開発している。従来法は一酸化炭素と
水素の混合ガスからメタノールを製造する。メタノールの収率は熱力学的
平衡で決まり、平衡収率は3―4割だった。そのためできたメタノールを
分離して未利用原料を再度反応器に投入していた。膜反応プロセスでは、
できたメタノールは分離され排出されるため効率が飛躍する。

メタノールからのオレフィン製造ではゼオライト触媒でエチレンへの選択
率が70%、プロピレンへの選択率が76%に向上した。それぞれ既存の
触媒では39%と65―70%だった。CO2からプラスチックが作れれ
ば、炭素を環境に放出せず、繰り返し使う社会につながる。CO2を大か
ら取り除いて固定する目的においても、プラスチックの利用量は大きく、
寿命が長いため有望になる。
調査ではメタノールだけを選択的に分離可能
なゼオライト膜は三菱ケミカルの技術のみで、膜反応器をベンチスケール
で実証しているのも三菱ケミカルのみだ。GI基金事業の終了後に5年程
度研究開発を続け、2035年ごろのオレフィン製造を目指している。

GI基金事業は21―30年度の10年間で研究開発費用は約231億円
を見込む。これを官民で半分ずつ分担する。32年ごろから事業化し、45
年の投資回収を見込んでいる。
人工光合成触媒の開発は産学官が密接に連
携してきた。実用化に向けた開発と基礎研究を並行して走らせ、企業は安
全性検証などの企業単独の開発ではカバーしきれない領域も対応できた。
大学は基礎研究や実証研究がそれぞれ「ネイチャー」などの一流学術誌に
掲載された。論文は注目を集め、社会から期待と投資を集めた。産と学で
好循環を回してきたといえる。堂免一成信州大学特別特任教授は「我々は
この分野では最も恵まれた研究チームだった」と振り返る。(ニュースス
イッチより)



     心に残る歌 『我が人生に悔いはない 石原裕次郎』
                作詞:なかにし礼・作曲:加藤登紀子
                1987年4月21日 歌謡曲



今日の言葉:今朝のつづき。1984年にネオジウムが日本人により開発
        された。そして、水素製造及び炭化水素合成の触媒が発
        明されることが明らかになった。これは目出度いことだ。
        奇跡に乾杯し、「わが人生に悔いはない」とお礼しよう
        と思う。(LK-99超伝導体騒動もあったけれど)



                春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                 春だというのに自然は沈黙している。

                             レイチェル・カーソン 『沈黙の春』   
                         (因果報応の季節風)より

                          
 
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エネルギーと環境 111

2025年01月19日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。



【季語と短歌:1月19日】 

      冬の菜宴の目覚めに活を入れ 
                   高山 宇 (赤鬼)

✳️ 群れで「仮想発電所」を構築する未来
      電気自動車の双方向充電を日産が先導
(CNET Japan)

電気自動車はもはやエコな交通手段というだけではない。家庭用のバッテ
リーとしても機能する可能性がある( 【画像】「EVの双方向充電」の先駆
者となった日本車とは
」)。電気自動車の普及は緩やかだが、技術の進化
は、『デジタル革命渦論』、『ディープランニング』(NHK技研)、『
QRコード革命』、『ネオコンバーテック』と絡み急速に成長。2024年第
3四半期時点で、米国での軽車両(米国の基準ではテスラ モデルYなども該
当)の販売台数のうちEVが占める割合はわずか9%にに過ぎなかったが、
その割合は急速に増加、米再生可能エネルギー研究所(NREL)は、2030
年までに米国で3000万台から4200万台のEVが普及すると予測。


2030 National Charging Network レポートは、新しい概念を作成 インフォグラフィックに収め
られた全国的なEV充電ネットワークの計画を導くモデル 上。NRELによる画像

こうした進化は、単にガソリン代を節約したり、二酸化炭素排出量を削減
したりする以上の意味を持つ。EVの次なるフロンティアは双方向充電技術
にある。この技術を使えば、車の大容量バッテリーを停電時に家庭のバッ
クアップ電源として活用できる。フォード、GM、ボルボ、テスラ(サイ
バートラックのみ)といったメーカーがすでに一部のモデルでこの双方向
充電に対応しており、2025年や2026年までには多くのメーカーが同機能を
搭載するとみられる。EVメーカーが双方向充電技術を採用する動きが進む
中、この技術がテスラの「パワーウォール」のような家庭用バッテリーバ
ックアップの代替となる可能性がある。太陽光発電バッテリーは必要なと
きにバックアップ電力を提供するが、設置には数千ドルがかかり、使い道
も限定されている。それに対し、双方向充電は⓵移動手段としての役割に
加え、②ガレージに停めている間にもEVを活用できるという一石二鳥のソ
リューションを提供できる。「双方向充電技術は今後さらに普及し、202
5年はその技術が転換点を迎える年になる」と、複数入居者向け建物にEV
充電ソリューション提供企業責任者は語る。CNETは自動車メーカーの専
門家やこの技術を研究する研究者に取材し、家庭と車の接続の未来課題を
掘り下げている。  

2025年の双方向充電は、主要な自動車メーカが自社EVに導入で、さらな
る普及を期待し、メーカー各社は、家庭向けの車両充電、いわゆる「V2H」
だけでなく、あらゆる用途に対応する双方向充電充電、つまり「V2X」へ
の移行を進める。「GMのような企業が2026年までに全車両でV2X技術を
展開する計画を立てている。V2X対応の車両数は急速に増えるだろう」と、
見ている。この進展は、V2Xが普及フェーズに入ることを後押し、ユーザ
ーがV2Xを使う技術的な能力だけが重要でなく、「商用車両群」と「家庭
のエネルギー管理」という2つの大きなトレンドに
注目されると。 商用車
両群におけるV2Gの重要性が高まる。タクシーなどの商用車両群の所有者
にとって、双方向充電の未来は一般消費者とは異なる。たとえば、UPSが
トラック向けに車両から電力網へ電力を供給する「V2G」システムを採用
している事例がある。



オークリッジ国立研究所の研究スタッフであるオマー・オナール氏によれ
ば、UPSが使用するシステムはワイヤレスで充電しながら電力を送電網に
戻すことが可能だという。このようなマイクログリッドの仕組みは、学校
のバス、教会、レンタカー会社、運送会社、公共交通機関など、大規模な
商用車両群を運営するどの組織にも技術的に適用でき、こうした大規模な
商用車両群は、管理が容易でスケジュールが予測可能であるため、V2Gプ
ログラムにおいて特に価値があり、 家庭用電力管理システムが必要不可欠
で、ボルボ・カーズ・エナジー・ソリューションの責任者は、顧客がEVの
充電と放電を最適化するアルゴリズムを備えたエネルギー管理システムを
必要とする。このシステムは家庭での消費量や電力価格に応じてEVの充放
電を自動的に調整することが求められ、このような仲裁機能はすでにSolar
Edgeのホームバッテリーや、「Tesla Powerwall 3」のような家庭用バ-ッテ
リーに搭載されており、車両メーカーやEcoFlow、Savant、Jackery、Blue-
ttiのような企業も同様の技術開発に参入している。  

車両側では、フォードがSunrunやBGEと提携して、同社初のEVピックアッ
プトラック「F-150ライトニング」のパイロットプログラムを実施している。
同プログラムでは、家庭への電力供給や電力網へのエネルギー供給が可能
だと実証。GMもまた、同様の蓄電システム「GMエナジー・パワーバンク」
を展開している。同システムには、停電時にEVから家庭に電力を供給した
り、ピーク時の電力料金を抑える家庭用電力管理システムが含まれる。



◾仮想発電所の構築に必要なこと
仮想発電所(VPP)の実現には、いくつかの追加要素が必要になる。車両
と家庭用インバーターを仮想発電所プログラムに接続する必要があり、こ
のシステムはVPPや電力会社によって維持管理される必要があるが、それ
は思ったほど簡単なことではない (仮想発電所とは、分散された多数のEV
の蓄電池がネットワークで繋がり仮想的な発電所を構築するもの)。

さらに、すべての家庭用充電器を設定してインターネットに接続する必要
がある。これにより、VPPは、充電が十分にある車両がその時点でどれだ
け接続されているかを推測できる。たとえば、充電残量が5~10%しかない
車両からはエネルギーを取り出すことができない。そのような車両はまず
充電を行う必要があり、オーナーが引き続き使用できる状態を維持するこ
とが求められる。
さらに、VPP(仮想発電所)や電力網サービスが大きな成功を収めるには
市場規模の拡大が必要である。システムを導入する人が増え、接続される
車両の数が増加すれば、予測がより容易になり、安定性や効果が向上する
という理由だ。 CES 2025での新たな動向  CES 2025では、スマートエネ
ルギー管理システムが大きな注目を集めた。EcoFlowは「Oasis」というAI
駆動の家庭用エネルギー管理システムを発表した。同システムは既存の
EcoFlow製品や家庭全体のバックアップ電力ソリューションと連携する。
AI、予測分析、自動化を組み合わせて家庭の電力需要を管理し、家庭用の
太陽光発電システムとも連携できる。

将来のエネルギー需要や太陽光発電量、電気料金や天候パターンを考慮し
電力使用を調整できる。 Savantもまた、新しい「Smart Budget」電力パ
ネルを発表。同パネルは既存の電力配電盤に追加できる電力モジュールで
構成され、付属のソフトウェアは家庭のエネルギー使用量を調整し、需要
が容量を超えないようにする。優先順位をつけて電力を利用し、リアルタ
イムの消費量を監視し、必要に応じて負荷を減らし、使用量をバランスさ
せてくれる。  

Bluettiもスマートエネルギー管理システムと新製品を発表した。同社の
「EnergyPro 6K」は、小規模から中規模の住宅向けのバックアップ電源と
して設計され、既存の屋根設置型ソーラーシステムと統合できるほか、
AT1スマート配電ボックスと組み合わせることで双方向EV充電や発電機充
電もサポートする。  

最後に、Jackeryの「HomePower EnergySystem」は今年後半に発売予定。
このシステムはモジュール式で、7.7キロワット時から15.4キロワット時ま
で積み重ねて拡張可能。バッテリーユニット、ハイブリッドインバーター、
負荷を管理するハブで構成され、EV充電器やバックアップ発電機、既存の
家庭用ソーラーシステムに簡単に統合できるよう設計されている。

EVの双方向充電は家庭用バッテリーを代替するか
「私は家庭用バッテリーを持ったことがない」と、フォードでエネルギー
サービスとV2G事業を担当者は「私が持っているのは『F-150ライトニング』
(フォード初のEVピックアップトラック)だけ。2024年の夏、ミシガン
で非常に激しい嵐があり、私の地域では木々や電線が倒れ、3日間も停電
した。でも、対応できた。その間ずっとトラックの電力で生活し、電力が
復旧したときには約100マイル分の充電が残った。」  
平均的なEV所有者は、車をバッテリー代わりに使用した場合のエネルギー
消費をほとんど感じないだろう。「車両が接続されているとき、車両から
15~30マイル分(25km〜50km)の電力を取っても、ドライバーにとっ
てほとんど支障がない」と説明する。「車両によるが、1時間以内で減っ
た分の電力を充電で取り戻せる」  
しかし、取材に応じた専門家の全員が、EVの双方向充電が完全に家庭用バ
ッテリーを置き換えるとは考えていず、「もしあなたが人里離れた場所に
住んでいて、長期間のエネルギーバックアップが必要であれば、家庭用バ
ッテリーシステムを購入する方が経済的だ」とSwtch社の担当者はこう指摘。
「家庭用バッテリーはより多くのエネルギーを蓄えられる可能性が高く、
長期間の停電中でも移動の必要がある場合に問題が生じにくいためだ」「
私たちは、どちらか一方の選択肢とは見ていない」と電力業界に独立かつ
客観的な専門知識を提供する研究所のシニアプロジェクトマネージャーで
あるベン・クラリン氏。 「どちらも停電時に人々を支援できる」と彼は、
双方向充電が家庭用バッテリーシステムと共存する余地があると考えてお
り、テスラのパワーウォールのようなシステムが双方向充電によって完全
に置き換えられる可能性は低いという。また、EVの双方向充電が家庭用バ
ッテリーの導入が実現困難なケース、例えば多世帯住宅のような場所で有
効に機能する可能性がある。多世帯住宅では、スペースやコストの問題から
個別のバッテリーバックアップを導入することが難しい

◾ 双方向充電の現状
双方向充電はその名の通り、車両に蓄えられた直流(DC)エネルギーを交
流(AC)電気に変換し、それを自宅や電力網に供給するプロセスだ。これ
は、従来の一方向型のEV充電プロセスとは逆の仕組みも備える。通常のプ
ロセスでは、壁のコンセントからEV充電器を通じて交流電力を車のバッテ
リーに供給し、それを直流エネルギーに変換して蓄えるという流れにある。  
技術的な実装は比較的シンプルだが、双方向充電の本当の可能性は、様々
な活用方法にある。例えば、「V2H(Vehicle-to-Home)」充電では、停
電時に車をバックアップ発電機として利用できる。 「基本的なユースケー
スは2つある」とGMエナジー(GMのエネルギー貯蔵やEV充電ソリューシ
ョンを提供する部門)の収益責任者。「一つは純粋にレジリエンシー(回
復力)を重視したもので、停電時に車を使って自宅に電力を供給するとい
うもの。このシナリオでは、車を単なる移動手段以上のもの、つまり二重
の資産として活用できる。車をエネルギー資産として利用し、固定型の蓄
電設備と組み合わせることで非常に価値のある用途が生まれる」 平均的な
EVはフル充電で60kWhの電力を蓄えることができ、これは家庭の約2日
間分に相当。使用状況によってはさらに長持ちし、家庭の電力バックアッ
プとして実用的。  

「一般的な市販の固定蓄電システムでは、7~13kWh程度の電力を蓄えら
れる」とフォードの責任者はいう。「それは素晴らしいが、車両で言えば
わずか15~30マイル分の走行距離に相当。一方でEVでは300マイル以上の
走行が可能です」。これにより、緊急時にEVを電力供給源として使用して
も、車両の走行距離に大きな影響を与えることはなく、実用的なバックア
ップ手段となる。  
「V2L(Vehicle-to-Load)」のような選択肢もあり、これは車両の電力を
使ってキャンプ用品、電動工具、家電製品などのデバイスを動かすための
アダプターを利用する。「基本的なV2Lであれば、ほとんど導入の障壁は
ない」とマーティン氏は言う。「車に延長コードを差し込むためのコンセ
ントがあれば、デバイスに電力を供給できる」 これにより、V2Lは一般消
費者が最初に体験する双方向充電のユースケースとなるだろう。また、「
V2V(Vehicle-to-Vehicle)」という選択肢もあり、これは電力を使い切っ
たEVに電力を供給する仕組み。これは車のバッテリーで別の車をジャンプ
スタートする方法に似ているが、適切な例えとしては、自分の車の燃料を
他の車に移すようなイメージ。

◾双方向充電の普及における課題  
「双方向充電やその他の車両とさまざまなものを繋ぐ技術(V2X)の最大
の障壁は、車両自体の対応能力だ」とSwtchのマーティン氏は述べている。
「現場にはV2Xをサポートする充電器が存在するものの、対応する車両の
数が限られているため、現在では充電器の技術があまり効果を発揮してい
ない」

◾車両と充電器の性能  
しかし、これも今後数年で変わる見込みだ。GMだけでも、新たに発売さ
れたChevroletのEV、Equinox、Blazer、Silveradoをはじめ、Cadillac Lyriq
やGMC Sierraを挙げている。これらの車両はすべて双方向充電に対応して
おり、GMの車両用ホームシステムと連携して動作する。現在の最も代表
的な例は、Ford F150 ライトニングとその専用充電器「Ford Connected
Charge Station Pro」だ。この双方向充電器は1310ドル(約20万円)で
販売されているが、一部の電動トラックモデルには無料で付属している。  
他の自動車メーカーも追随し、双方向充電に対応した車両を増やすと予想
される。ボルボは、Volvo EX90が双方向充電に対応すると発表しており、
ヨーロッパでは交流(AC)対応の双方向充電器の開発を進めている。また、
スウェーデンの自動車メーカーは、家庭用エネルギー会社「dcbel」と提携
し、米国市場に直流(DC)対応の双方向家庭用エネルギーステーションを
導入する計画も進めている。 設置費用とアップデート  双方向充電は基本
的なEV充電よりも設置費用がかかる。「車を自宅の予備電源として利用
したり、V2G(Vehicle-to-Grid)プログラムで電力網に接続するには、費
用が最大の障壁になる」とマーティン氏は指摘する。「互換性のある充電
器と切断スイッチを購入する必要があり、それだけで数千ドル(数十万円)
がかかる。さらに、その設置スペースも確保しなければならない」  特に
集合住宅では、空きスペースや費用が双方向充電の導入を難しくする場合
があるが、一戸建て住宅でも予想外の費用が発生することがある。古い配
線や分電盤を使用している家庭では、200アンペアの電気サービスに対応
していない場合があり、双方向充電の利点を最大限に活用するには分電盤
などのアップグレードが必要になることがある。このアップグレード自体
も追加費用となる。  フォードのオゴーマン氏は、自社のCharge Station
Proのような特定の双方向充電器は、設置場所への負荷に合わせて給電能力
を調整できることを指摘している。そのため、フルの給電能力を活用しな
いことに問題がなければ、分電盤のアップグレードが必須というわけでは
ない。 規制の状況  双方向充電の重要な要素の一つは、規制だ。電力を送
電網に売買するプロセスは通常、各州や電力会社に委ねられている。一部
の州では、太陽光パネルで生産した余剰電力を買い取り、その分を電気料
金から割り引く「ネットメータリング」を導入している。  
「業界では通常『相互接続契約』と呼ばれます」と語るのは、国立再生可
能エネルギー研究所で電気自動車充電と電力網統合の主任エンジニアを務
めるアンドリュー・メイツ氏。「家庭に設置される電力網に電力を供給す
る装置はすべて登録されている必要があり、その装置が発電装置であるこ
とを電力会社に申告しなければならない」 また、「夜間の電力料金が安い
時間帯に車やバッテリーに電力を蓄え、電力需要が高まり料金が上がる昼
間にその電力を電力網に戻すことで、家庭が利益を得る」という行為への
金銭の支払いは、米国では州によって大きく異なる。また、国際的には、
欧州連合が電力の購入と売電に対する送電網料金や税金の変更を求めてお
り、これが一般消費者の参加を難しくしている。  

これらの課題は、仮想発電所が直面する問題と非常に似ている。RMI(旧
ロッキーマウンテン研究所)の電力部門でマネージングディレクターを務め
るマーク・ダイソン氏は、「米国における仮想発電所の規制環境は、50州
それぞれが異なるだけでなく、各州内の電力会社ごとにも異なる仕組みに
なっている。この複雑さが市場の成長を妨げる大きな要因の一つだ」と指
摘。 最大の課題は、顧客が電力を電力網に戻すことに魅力を感じられる仕
組みを作ること。彼は続けて「電力会社や規制当局が適切な料金設計やイ
ンセンティブプログラムを提供し、電力網の計画や運用方法を見直さない
限り、顧客にとってそのメリットは十分に享受できない。これらの取り組
みを進めることで、初めて仮想発電所の持つ潜在力をユーティリティ規模
で最大限に活用できるようになれる」

◾双方向充電はEVバッテリーを劣化させるか?  
平均的なEVユーザーは、双方向充電による車のバッテリーの摩耗をあまり
心配する必要はなさそうだ。 「私たちのデータでは、これが一般消費者に
とって問題になることはないはずだ」とペトロフスキーは言う。「双方向
充電が適切に制御され、限定的に行われる限り、バッテリー寿命に大きな
影響を与えることはない」、ボルボはバッテリーを過度に使用する顧客に
対し、双方向機能を制限する予定だという。これは、顧客ごとの条件や運
転・充電の行動に基づいて判断される。「バッテリーを最も劣化させるの
は、理想的な条件から外れてストレスを与えることだ」と彼は言う。「頻
繁に急速充電を行い、満充電に近い状態を維持することや、非常に暑い
または寒い環境で充電することが、目に見える劣化を引き起こす主な要因
だ」 そうは言っても、技術的には、家庭用バッテリーバックアップとして
使用してもEVに問題は生じないとマーティンは言う。「現在のEVのバッテ
リーは、電力を送電網に戻したり、数日間家庭に電力を供給したりするよ
うな追加の負荷にも十分対応できる。年間数回そのような使い方をしても、
大半の車両オーナーに問題は生じないだろう」 さらに朗報として、話を聞
いたすべてのメーカーが、双方向充電が自社EVの標準機能であると確認し
ている。この機能を使用することで保証が無効になったり変更されたりす
ることはないという。これは顧客からよく寄せられる懸念点だ。



     心に残る歌 『アジアの純真 PAHHY』
                作詞:井上陽水・作曲:奥田民生
                1996年5月13年 J-POP
              



今日の言葉:全固体型有機樹脂電池は充電時間の短縮、セルの安全性
        を完備させれば世界トップとなると了解。電気自動車も
        同様に電気自動車時代到来すると了解する。思えば64年
        前、家の納屋で、当時、曽根崎小学生の生島君と電池を
        回し発電の実験を行った記憶がある(北海道大までの情
        報は残っているが現代不通)。思えば、
電気自動車時代
        が来ようとは不思議な気持ちだ(ブログ掲載は2度目)。


                春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                 春だというのに自然は沈黙している。

                             レイチェル・カーソン 『沈黙の春』   
                         (因果報応の季節風)より



                              





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エネルギーと環境 110

2025年01月18日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。

【季語と短歌:1月18
日】     

      インバウンド世界に捧ぐ茶の花を 
                   高山 宇 (赤鬼)

✳️  核種各種基材表面の高機能化と液滴塗工の現状
特殊な高分子薄膜(ポリマーブラシ)を常温・大気中・大面積で形成できる
技術を開発(産総研 2018.3.19)

高分子を基材表面から直接、伸長させたポリマーブラシは、高分子が直接
基材と強固に結合し、高分子がブラシのように伸びた特殊な構造のため、
従来のポリマーコーティングにはない優れた耐久性や安定性、特異な表面
機能を持ち、次世代型高分子被覆材料として期待されている。ポリマーブ
ラシの作製には、高分子形成の起点となる重合開始層が必要なため、その
重合開始層を容易に大面積で形成できる手法が求められていた。

今回開発した技術では、重合開始基を持つ有機シラン(トリアルコキシシ
ラン)と、テトラアルコキシシランを混合した塗液を各種基材に、特殊な
前処理をせずに塗布、乾燥するだけで重合開始層を形成できる。常温・大
気中で形成できるため、
スプレー法やグラビア印刷といった汎用の塗工手
法が使え、容易に大面積化できる。また、シリコン基板のほか、耐熱性の
ないプラスチック基板にも使用できる。さらに、産総研独自のポリマーブ
ラシ簡易合成法(
ハケ塗り法(Paint-on法))と組み合わせると、従来は
困難であったA4以上の実用基板サイズのポリマーブラシが常温・大気中で
作製できる。今回開発した技術は、各種基材表面の高機能化やメッキ用下
地層作製などへの応用が期待されていた。

今回開発した重合開始層の形成方法と得られるポリマーブラシの概要図
図1. 重合開始層の形成方法と得られるポリマーブラシの概要

図1(b)重合開始層を形成した各種基板、(c)roll-to-roll方式塗工により重合
開始層を形成したPETフィルムのロール(40 cm x 100 m)

図2 (a)今回使用したモノマーの構造式と今回開発したポリマーブラシ作製
技術の概要、
(b) Paint-on法によるDMAEMAポリマーブラシ作製前後のPET
フィルム外観、透明性および水滴接触角

DMAEMAポリマーブラシ表面に金属触媒を吸着させた後、還元剤として
ホルムアルデヒドを用い、無電解銅メッキを行った。図3に無電解メッキ
後のA4サイズのPETフィルムの構造、外観、曲げた様子、光学顕微鏡像と
電子顕微鏡像を示す。銅メッキ層が、ポリマーブラシを作製した基材表面
全体に形成されており、また、ポリマーブラシ表面と銅メッキ層は強固に
密着し、曲げ試験後でもメッキ層は剥離しなかった。密着性、均一性の向
上が必要ではあるが、ポリマーブラシの応用のひとつとして期待できる。


図3 PETフィルム上のポリマーブラシへの無電解銅メッキ
メッキ後のPETフィルムの(a)構造、(b)外観、(c)曲げた様子、(d)表面の光
学顕微鏡像と電子顕微鏡像

✳️その後、状況は変わったのか
衝撃後の液滴と基質の相互作用の物理学は、医薬品、ウイルスを含んだ飛
沫のコミュニティへの蔓延によるCOVID-19パンデミックとの闘い、エネ
ルギー性能、ナノプリンティング、バイオプリンティング、3Dプリンティ
ング、組織工学、スマートバイオマテリアルと機能器官の生成、高度なフ
レキシブルエレクトロニクス、ヘルスケアと医療における高解像度積層造
形など、現在の社会における多くのアプリケーションで重要性を示す。 し
たがい、液滴、基質、および環境条件にとって非常に複雑になる可能性の
あるこのような現象の物理学に焦点が当てられる必然が焦点となる。

ここでは、硬質で滑らかな乾燥表面から柔軟な表面まで、また親水性状態
から超疎水性状態まで、さまざまな基質の液滴-固体表面相互作用に関する
先行研究に焦点を絞ることによる現在の進歩は、バイオプリンティング、
スマートバイオマテリアル、プリンテッドエレクトロニクス、およびCOV
ID-19パンデミックとの闘いについて議論されてきた。さらに、衝撃時の
液滴と固体の表面の相互作用をより深く物理的理解の機械学習応用も議論
されている。最後に、液滴、基板、環境条件の複雑さ、ナノサイエンス、
機械学習、量子計算、電子顕微鏡などのイメージング技術等の最新の技術
の進歩を考慮し、これらの物理現象における研究の方向性を提供する。
【序論】
VII. 現在の進歩:
A. コーティング・印刷
従来のインクジェット印刷は、このような工業目的に不可欠な生物学的溶
液、生体高分子サンプル、マイクロスケール粒子、ナノスケール粒子から
なる液滴インクの印刷には適していなかった。
最近の研究では、課題克服のシンプルな革新的な印刷方法を実証されてお
り、それは「ドロップオンデマンド印刷技術」と呼ばれ、超疎水性ふるい
に液滴衝撃を当て、マイクロスケール液滴を「空洞形成と液滴放出」の2
つの方法で生成。超疎水性ふるいへの液の衝撃は、動圧間をもち)⁠、液滴衝
撃速、密度 (ρ)⁠、ブレークスルー圧力 (4σL−1)⁠、超疎水性メッシュ細孔に
よる、Lは超疎水性ふるい細孔サイズ。
そのため、レイリー不安定性のマイ
クロスケールの液滴放出の配列が生成される。この研究に適用された実験
セットアップの概略図9に示す。この技術は、フレキシブル電子テープ印刷
や、銀インク水性サンプルのポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリス
チレンスルホン酸(PEDOT:PSS)ポリマーの導電性アレイを使用した大面積
液滴アレイ印刷などの高度な電子アプリケーションの印刷に利用された(下
図1)。


液滴の衝撃、拡散、飛散は、バイオプリンティング技術において顕著な役
割を果たしています。3次元(3D)バイオプリンティングは、DNA、細胞、
細菌、タンパク質などのマイクロスケールの生物学的液滴の印刷を含む、
バイオ関連アプリケーションの広い範囲をカバーする、生物医学の最先端
技術です。3Dバイオプリンティングは、遺伝子発現の解析、生体細胞の先
端研究のための単一細胞のプリンティング、およびバイオポリマープリン
ティングにおいて重要な役割を果たします。さらに、3Dバイオプリンティ
ングは、生きた生体細胞の印刷、バイオセンサー製造、幹細胞アセンブリ、
人工臓器製造、3D機能臓器作製、組織工学、およびスマート3D機能生体
材料に適用されている。

B. 超疎水性表面への液滴の影響
液滴が超疎水性表面に衝突した後、表面の化学的疎水性と表面上のマイク
ロスケール/ナノスケールのパターン構造により、超疎水性パターン内に空
気が閉じ込められる。このイベントは、超疎水性表面に大きな平衡前進接
触角と低い接触角ヒステリシスを引き起こす。この物理現象は、飛行機の
翼の防氷、風力タービンブレードの防氷、基板の広範な抗力低減など、多
くの技術的応用に利益をもたらす。液滴衝突後の軟質超疎水性表面の動的
弾性応答を高速イメージング技術により検討し、軟質超疎水性表面のダイ
ナミクスに対する液滴反力の役割を解明した。
【参考文献】
Physics of droplet impact on various substrates and its current advancements
in interfacial science: A review、J. Appl. Phys. 133, 030701 (2023)

C. 応用事例
Ⅰ.実機を模擬した塗工型全固体電池の試作
実機を模擬した塗工型全固体電池の試作体電池が必要となるが、
大型全固
体電池の作製プロセスは未だ確立されていないが、
一つの手法として、液
系リチウムイオン電池同様に電極合材をスラ
リー化し湿式塗工する方法が
挙げられる。ただ、硫化物系固体
電解質は大気中の水分と反応し容易に変
質するため、プロセス中
の水分混入を抑えなければならない。すなわち、
塗工機やロールプ
レス機といった大型試作設備全般での露点制御がきわめ
て重要となる
コベルコ科研社が有する塗工型全固体電池試作プロセスお
よび環境を第
1図に示す。露点 -50℃以下に制御したスーパードライルー
ム内
に、露点-80℃以下のAr雰囲気のグローブボックスを設置し、水分を
除去した環境を整えている。この環境により、合材スラリーを
混練し集電
箔に塗工するプロセスにて大面積の全固体電極シー
トを作製可能としてい
る。作製された電極シートは低露点環境を
維持したまま、ロールプレスに
よる密度調整や積層・パッキングを
おこなえる。活物質/固体電解質の接
合界面形成においては、等
方圧プレス機(Cold Isostatic Pressing; CIP, Warm
Isostatic
Pressing; WIP)を使用し、高圧、加熱下での処理を施すことで、
接合界面形成の制御も可能である。

図1.上記設備による試作事例として、塗工型ラミネートセルの外観
ここでは正極活物質にLiNbO3コートLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2、負極活物質
にグラファイト、固体電解質にLi6PS5Cl、導電助剤にアセチレンブラック
をもちいた。0.1C、25℃の充放電において1mAh程度の放電容量を実現で
きていることがわかる。これらの技術をベースに数cm角の塗工型ラミネー
トセルを作製し、サイクル試験や内部抵抗解析などに供することで、電極
構造の最適化や劣化メカニズムの解明などをおこなうことが可能である。



これらの評価結果から推定された正極合材層の電子伝導とRionの関係を第
10図に示す。活物質に対する電子パス形成が良好で導電助剤-活物質コネク
ションによる電子供給が支配的な電極では、電極表面近傍の活物質まで電
子を供給することができ、電極全体の活物質が反応に寄与することで実効
的なRionが小さな値を示していると推定される。一方で、活物質に対する
電子パス形成が悪く、活物質-活物質コネクションによる電子供給が支配的
な電極では、電極表面近傍の活物質まで電子を供給することが困難となり、
反応に寄与できる活物質が減少することで実効的なRionが大きな値を示し
たと推定される。これらの手法をもちい全固体電池電極中の電子伝導、リ
チウムイオン伝導を解析・定量化し電極特性との相関を評価することで、
内部抵抗が低減された最適な電極構造を検討することが可能となる。

✳️
特許事例:特開2019-164980A 複合体電極及び全固体
リチウム電池 

【要約】リチウムイオン伝導パスの形成に寄与していない固体電解質を削
減することで、電極に含まれる多くの電極活物質を充放電に寄与させ、従
来に比べてより理論容量に近い容量を持つ電極を提供する。【解決手段】
下図1のごとく電極活物質と固体電解質を含む、焼結体である複合体電極
であって、前記複合体電極が、酸化物系電極活物質を含むシート状の電極
活物質層と、酸化物系固体電解質を含むシート状の固体電解質層が交互に
並ぶ交互配列体であり、前記電極活物質層の幅が、10nm以上20μm
以下であり、前記固体電解質層の幅が、10nm以上20μm以下であり、
前記固体電解質層が前記複合体電極を貫通することを特徴とする複合体電
極を提供する。

図1. 本発明の複合体電極10の模式図

【特許請求範囲】
1、電極活物質と固体電解質を含む、焼結体である複合体電極であって、
前記複合体電極が、酸化物系電極活物質を含むシート状の電極活物質層と、
酸化物系固体電解質を含むシート状の固体電解質層が交互に並ぶ交互配列
体であり、前記電極活物質層の幅が、10nm以上20μm以下であり、
前記固体電解質層の幅が、10nm以上20μm以下であり、前記固体電
解質層が前記複合体電極を貫通することを特徴とする複合体電極。
2、前記電極活物質層の幅が、10nm以上10μm以下であり、前記固
電解質層の幅が、10nm以上10μm以下であることを特徴とする請
求項
1に記載の複合体電極。
3、前記複合体電極の厚さが、10μm以上3mm以下であることを特徴
とする請求項1又は2に記載の複合体電極。
4、前記電極活物質が、スピネル型又はラムズデライト型のチタン酸リチ

ウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化モリブデン、層
状岩塩型のコバルト酸リチウム、層状岩塩型のニッケル酸リチウム、層状
岩塩型の三元系Li(NiCoMn)O(x+y+z=1)、層
状岩塩型の三元系Li(NiCoAl)O(x+y+z=1)、
スピネル型のマンガン酸リチウム、スピネル型のマンガン酸リチウムニッ
ケル(LiMn1.5Ni0.5)、LiMPO(M=Fe、Mn、
Co、Ni)で表されるオリビン型リン酸遷移金属リチウム、及びNAS
ICON構造のLi(POからなる群から選ばれる少なくと
も1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合
体電極。
5,
前記固体電解質が、ペロブスカイト型のチタン酸リチウムランタン、
ペロブスカイト型のニオブ酸リチウムランタン(Li
La(1−x)/3
NbO)(0≦x≦1)、ガーネット型のLiLaZr12
ガーネット型のLi
LaNb12、ガーネット型のLiLa
Ta12、ガーネット型のLiLaBaTa12、リン酸リ
チウム(Li
PO)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、NASI
CON構造のLAGP(Li
1+xAlGe2−x(PO(0≦
x≦1))、NASICON構造のLATP(Li
1+xAlTi2−x
(PO(0≦x≦1))、及びNASICON構造のLZP(Li
1+4xZr2―x(PO(0≦x≦0.4))からなる群から選
ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1
項に記載の複合体電極。
6、前記電極活物質がスピネル型又はラムズデライト型のチタン酸リチウ

ムであり、前記固体電解質がペロブスカイト型のチタン酸リチウムランタ
ンであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合体電
極。
7、前記複合体電極が、アルキメデス法で算出する空隙率が40%以下の
焼結体であり、
正極である前記複合体電極と、セパレータ層としてのドラ
イポリマー電解質と、負極としての金属リチウムを積層した全固体型のセ
ルにおいて、温度60℃、0.002mA/cm
のレートで充放電試験
をした際の前記複合体電極の初期充電容量及び/又は初期放電容量が10
mAh/g以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記
載の複合体電極。
8、前記複合体電極が、さらに、前記固体電解質層と平行な金属層を有し、
前記金属層が、金、銀、銅、ニッケル、及びアルミニウムからなる群から
選ばれる少なくとも一種の金属を含むことを特徴とする請求項1〜7のい
ずれか1項に記載の複合体電極。
9、前記固体電解質層が、導電助剤を含むことを特徴とする請求項1〜8
のいずれか1項に記載の複合体電極。
10,電極活物質又はその前駆体と、固体電解質又はその前駆体を含み、

焼結により請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合体電極を与える複合
体電極の前駆体であって、前記複合体電極の前駆体中に、前記複合体電極
の前駆体を貫通する固体電解質又はその前駆体の層を有し、前記複合体電
極の前駆体が、酸化物系電極活物質又はその前駆体を含むシート状の電極
活物質又はその前駆体の層と、酸化物系固体電解質又はその前駆体を含む
シート状の固体電解質層はその前駆体の層が交互に並ぶ交互配列体であり、
前記電極活物質又はその前駆体の比表面積が、0.5m/g以上であり、
前記固体電解質又はその前駆体の比表面積が、0.5m/g以上である
ことを特徴とする複合体電極の前駆体。
11、さらに、前記複合体電極の前駆体が、焼結中に熱分解する有機系バ

インダーを含むことを特徴とする請求項10に記載の複合体電極の前駆体。
12、請求項1〜9のいずれか1項に記載の複合体電極を製造する方法で

あって、電極活物質又はその前駆体を含む層と、固体電解質又はその前駆
体を含む層とが交互に積層した積層体を得る積層工程と、記積層体を焼結
し、電極活物質層と固体電解質層が交互に積層した積層焼結体を得る焼結
工程と、を有することを特徴とする複合体電極の製造方法。
13,前記積層工程が、チタン酸リチウム又はその前駆体を含む層と、チ

タン酸リチウムランタン又はその前駆体を含む層とが交互に積層した積層
体を得る工程であり、前記焼結工程が、1000℃超で焼結した後、40
0℃以上1000℃以下で焼結する工程であり、前記複合体電極が、スピ
ネル型チタン酸リチウムを含む電極活物質層と、ペロブスカイト型チタン
酸リチウムランタンを含む固体電解質層が交互に並ぶ交互配列体であるこ
とを特徴とする請求項12に記載の複合体電極の製造方法。

14、リチウムイオンを吸蔵放出する負極層と、リチウムイオンを伝導す
るセパレータ層と、
リチウムイオンを吸蔵放出する正極層とをこの順に積
層しており、
前記負極層又は前記正極層として請求項1~9のいずれか1
項に記載の複合体電極を使
用することを特徴とするリチウムイオン電池
15、
リチウムイオンを吸蔵放出する負極層と、リチウムイオンを伝導す
るセパレータ層と、リチウムイオンを吸蔵放出する正極層とをこの順に積
層しており、
前記負極層又は前記正極層として請求項1〜9のいずれか1
項に記載の複合体電極を使用することを特徴とするリチウムイオン電池。
16、前記複合体電極中の前記固体電解質層の厚みが前記セパレータ帯の
幅よりも小さいことを特徴とする請求項15に記載のリチウムイオン電池。
17、前記負極帯の幅が、20μm以上500μm以下であり、前記セパレ
ータ帯の幅が、100μm以下であり、前記正極帯の幅が、20μm以上
500μm以下であることを特徴とする請求項15又は16に記載のリチ
ウムイオン電池。
18、前記リチウムイオン電池が、さらに、第1の集電体及び/又は第2
の集電体を有し、前記第1の集電体と、前記負極帯と、前記セパレータ帯
とがこの順に隣接しており、及び/又は、前記セパレータ帯と、前記正極
帯と、前記第2の集電体とがこの順に隣接しており、前記複合体電極中の
前記固体電解質層が、前記第1及び/又は第2の集電体と前記セパレータ
帯との間を結ぶように、前記複合体電極を貫通していることを特徴とする
請求項15~17のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池。
【請求項19】請求項15~17のいずれか1項に記載のリチウムイオン
電池を複数有する組電池であって、前記組電池が、一対の集電体と、複数
の前記リチウムイオン電池と、1つ又は複数の電極体と、を備え、複数の
前記リチウムイオン電池が、前記一対の集電体の間に一列に配置され、一
端の前記リチウムイオン電池の前記負極帯又は前記正極帯と前記一対の集
電体の一方とが隣接し、他端の前記リチウムイオン電池の前記負極帯又は
前記正極帯と前記一対の集電体の他方とが隣接し、隣り合う2個の前記リ
チウムイオン電池が、1つの前記電極体を介して、隣接し、当該1つの前
記電極体を挟んで、一方の前記リチウムイオン電池の前記負極帯が、前記
電極体に隣接し、他方の前記リチウムイオン電池の前記正極帯が、前記電
極体に隣接し、複数の前記リチウムイオン電池を直列に接続したことを特
徴とする組電池。
20、請求項15~17のいずれか1項に記載のリチウムイオン電池を複
数有する組電池であって、前記組電池が、複数の集電体と、複数の前記リ
チウムイオン電池と、を備え、複数の前記リチウムイオン電池が、一列に
配置され、一端の前記リチウムイオン電池の前記負極帯又は前記正極帯と
1つの前記集電体とが隣接し、他端の前記リチウムイオン電池の前記負極
帯又は前記正極帯と他の1つの前記集電体とが隣接し、隣り合う2個の前
記リチウムイオン電池が、さらに他の1つの前記集電体を介して、隣接し、
当該さらに他の1つの前記集電体を挟んで、一方の前記リチウムイオン電
池及び他方の前記リチウムイオン電池の前記負極帯が、前記集電体に隣接
し、又は、一方の前記リチウムイオン電池及び他方の前記リチウムイオン
電池の前記正極帯が、前記集電体に隣接し、前記負極帯に隣接する前記集
電体どうしが電気的に接続し、前記正極帯に隣接する前記集電体どうしが
電気的に接続し、複数の前記リチウムイオン電池を並列に接続したことを
特徴とする組電池。

              ー 中 略 ー


                                                                               


✳️ 次世代電池 全固体フッ化物イオン電池の開発大きく加速
カーボンニュートラルの実現に向け、リチウムイオン電池に代わる次世代
の蓄電池として期待される「全固体フッ化物イオン電池」。追手門学院大
学高見剛教授の研究チームは、九州大学の多田朋史教授と共同で、簡便な
化学フッ化を用いてデータベースに存在しない新たな物質の合成に成功し、
室温付近でフッ化物イオンが超イオン伝導することを実証。全固体フッ化
物イオン電池の開発においては、これまで室温状態で動作する超イオン伝
導体の発見が課題となっていたが、今後、フッ化物イオン(F-)を拡散させ
る固体電解質の開発に向けた合成戦略の広がりが期待される。本研究成果
は、2025年1月14日(英国時間)に英国王立化学会の学術誌「Journal of
Materials Chemistry A」に掲載された。

【概要】フッ素はリチウムの50倍豊富に存在し、資源制約が少なく安価。
加えて、全固体電池であるため、安全性も担保できるが、現状課題として、
動作温度が室温をはるかに超える140C以上に限定されている。この最大
の要因は、固体電解質のフッ化物イオン伝導率が低いことにある。  
そして、固体電解質においてのイオン伝導率向上には、イオンが通れるよ
うな“隙間(空孔)”を作り出すことが必要で、安定した構造の中で、どの
ようにその空孔を作り出すかが素材探索や化合物合成の鍵となっている。
通常、フッ化物イオン伝導体は、高温(900~1000C程度)での固相反応法
により、熱力学的安定相として得られる(例えば、1000Cで合成される
既存の固体電解質La1-xBaxF3-xでは、3価のLaを2価のBaで置換することで
意図的に、x分のF空孔(F3-x中のxに相当)を作り出す)。F空孔はFの拡散
先となるが、この方法では導入できるF空孔量に限度があり、イオン伝導
率は低いため、F空孔の導入についての抜本的見直しが必要。
【成果】固有のF空孔を含む立方体構造を持つ新しいTlF相は、従来の固体
反応ではなく、ワンステップの化学フッ素化によって合成されます。結晶
構造は、Cu超イオン伝導体α-CuBrの電子的に反転した反α-CuBr構造であ
り、FがCuサイトを占め、TlがBrサイトを占めています。ザ・F+室温での
導電率は、従来の斜方晶相と比較して4桁以上増加し、F超イオン伝導率(
≥1 mS cm−1)は、約60°Cで観察されます。 ニューラルネットワークポテン
シャル分子動力学法は、F内因性F空孔による拡散。計算されたF導電率(
6.8 mS cm−1400 K)と活性化エネルギー(0.4 eV)は、実験値(4.3 mS cm)に
匹敵します−1398 K、0.3 eV)。優れたFに対して内在F空室を利用する新し
い設計ガイドラインを提案する従来の材料設計の代わりに、アリオレント
ドーピングによる外因性F空孔の導入に基づく導体。
図の要約:内因性F空孔を含む新しい抗α-CuBr構造によるTlFにおけるフッ化物超イオン伝導
【展望】研究グループは今回、ファンデルワールス化合物の「TlF(フッ化
タリウム)」に着目、化学フッ化を行うことでフッ化物イオン伝導の発現
を試みた。実験では、フッ化キセノン(XeF2)を用い200℃の低温で化学
フッ化を行った。そうすると複雑な構造体(orthorhombic相)ではなく、
目新しい構造体(cubic相)に構造相転移した。このcubic相は、Cuサイト
がF、BrサイトがTlで構成されており、銅超イオン伝導体「α-CuBr」の逆
構造であることが分かった。中性子回折により、Fの位置や量を精密に評
価した。この結果、x=1の組成では、Fサイトに対するFの占有率が17%、
F空孔が83%であった。また、少なくとも150℃付近まで化学的に安定して
おり、粒内ではTlとFがほぼ均一に分布していることを確認した。 温度上
昇に伴ってイオン伝導率は増加し、60℃で超イオン伝導域(>1mS cm-1)
に達した。これらのデータによれば活性化エネルギーは0.3eVと小さく、
イオン伝導率は従来のorthorhombic相に比べ、はるかに大きな値となっ
た。電子伝導率は全伝導率の0.01%未満と極めて小さかったニューラル
ネットワークポテンシャル動力学法を用いて理論計算を行った。その結果、
フッ化物イオン伝導率(6.8mS cm-1at 400K)と活性化エネルギー(0.4
eV)は、実験値(4.3mS cm-1at 398K, 0.3eV)とほぼ一致した。これら
の結果に基づき研究グループは、優れたフッ化物イオン伝導体を実現する
には、Intrinsic(内在的な)F空孔を利用するのが有効であることを実証
た。
既存のTlF(奥)から構造相転移を介して得られた新物質TlF(手前)におけるフッ化物超イオン伝導のイメージ[クリックで拡大] 出所:大手門学院大学
既存のTlF(奥)から構造相転移を介して得られた新物質TlF(手前)にお
けるフッ化物超イオン伝導のイメージ 出所:大手門学院大学

     心に残る歌 『 世界に一つだけの花』
                作詞・作曲:槇原敬之



 今日の言葉:
               

                春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                 春だというのに自然は沈黙している。

                             レイチェル・カーソン 『沈黙の春』   
                         (因果報応の季節風)より

                                                                                      
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エネルギーと環境 109

2025年01月17日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果

彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。

【季語と短歌:1月17日】

       わびしき遺品整理や冬銀河 

                  高山 宇 (赤鬼)


フォーカシング⓵:高性能全固体ポリマー電池用電解質膜

ポリマー電解質を用いた全固体電池は、有機溶媒を用いず高温で安定なこ
とから、長寿命、高安全性などの特徴を有すが、ポリマー電解質はリチウ
ムイオンの伝導性に乏しい、電池温度を50℃以上に加温する必要があり
ました。今回開発した新規電解質膜は、室温でも高いリチウム伝導性を有
し、電池の作動温度を室温近くまで下げることが可能となり、全固体ポリ
マー電池の新しい用途展開が期待できる。




APB株式会社技術特許

1.特開2024-178619 リチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子、リチウ
ムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池 他三洋化成工業株式会社

【要約】リチウムイオン電池用電極活物質粒子が有する表面の少なくとも
一部を高分子化合物と導電性フィラーと有機溶媒とを含む被覆層で被覆し
てなるリチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子であって、上記被覆層に
含まれる有機溶媒の重量割合が、上記リチウムイオン電池用被覆電極活物
質粒子の重量を基準として10~1000ppmであるリチウムイオン電
池用被覆電極活物質粒子。内部抵抗値の上昇を抑制することができ、容量
維持率に優れるリチウムイオン電池用電極及びリチウムイオン電池を得る
ことができるリチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子を提供する。
【詳細説明】
例えば、特許文献1(特開2017-160294/出願の拒絶・却下
)には、炭素
数1~12の1価の脂肪族アルコールと(
メタ)アクリル酸とのエステル
化合物及びアニオン性単量体を含んでなる単量体組成物の重合体であり、
酸価が30~700である重合体を含んでなる非水系二次電池活物質被覆
用樹脂組成物、及び、上記活物質被覆用樹脂組成物を含んでなる被覆層を
活物質の表面の少なくとも一部に有する非水系二次電池用被覆活物質が開
示されている。しかしながら、特許文献1に開示された活物質被覆用樹脂
組成物は、これをリチウムイオン電池用電極又はリチウムイオン電池に用
いた場合に電極強度(特に電極柔軟性)、サイクル特性(内部抵抗値の上
昇)及びレート特性(容量維持率)の観点から、改善の余地があった


【発明の効果】【0008】
本発明によれば、十分な電極柔軟性を持ち、内部抵抗値の上昇を抑制する
ことができ、容量維持率に優れるリチウムイオン電池用電極及びリチウム
イオン電池を得ることができるリチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子
を提供することができる。本発明によれば、十分な電極柔軟性を持ち、内
部抵抗値の上昇を抑制することができ、容量維持率に優れるリチウムイオ
ン電池用電極及びリチウムイオン電池を得ることができるリチウムイオン
電池用被覆電極活物質粒子を提供することができる。
【0009】<リチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子>
本発明は、リチウムイオン電池用電極活物質粒子が有する表面の少なくと
も一部を高分子化合物と導電性フィラーと有機溶媒とを含む被覆層で被覆
してなるリチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子であって、上記被覆層
に含まれる有機溶媒の重量割合が、上記リチウムイオン電池用被覆電極活
物質粒子の重量を基準として10~1000ppmであるリチウムイオン
電池用被覆電極活物質粒子に関する。なお、本明細書において、リチウム
イオン電池
と記載する場合、リチウムイオン二次電池も含む概念とする
【0010】本発明のリチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子を用いた
リチウムイオン電池用電極(単に電極ともいう)や、リチウムイオン電池
では、リチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子の被覆層中に所定量存在
する有機溶媒が、リチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子表面の粘着力
を向上させ、また、初回充電の際に電極活物質粒子近傍で電解重合を起こ
し絶縁被膜を作り、この被膜が電解液の分解を抑制することにより、電極
の柔軟性を向上させ、かつ内部抵抗値の上昇を抑制し、容量維持率が向上
すると考えられる
。              
【0011】(リチウムイオン電池用電極活物質粒子)
             ー 中 略 ー
【0015】
負極活物質粒子としては、炭素系材料[黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化
性炭素(ハードカーボン)、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェ
ノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(
例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素
繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiO)、珪素-炭素複合体
(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又
は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭
化珪素等)及び珪素合金(珪素-アルミニウム合金、珪素-リチウム合金、
珪素-ニッケル合金、珪素-鉄合金、珪素-チタン合金、珪素-マンガン
合金、珪素-銅合金及び珪素-スズ合金等)等]、導電性高分子(例えば
ポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジル
コニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタ
ン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム-スズ合金、リチウム-アル
ミニウム合金及びリチウム-アルミニウム-マンガン合金等)等及びこれ
らと炭素系材料との混合物等が挙げられる。
              ー 中 略 ー
【0049】被覆層を構成する高分子化合物の重量平均分子量は、以下の
条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記)測
定により求めることができる。装置:Alliance  GPC  V200
0(Waters社製)溶媒:オルトジクロロベンゼン、N-ジメチルホ
ルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)標準物質:ポリス
チレンサンプル濃度:3mg/ml カラム固定相:PLgel  10μm、
MIXED-B  2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)カラム温度:
135℃
【0050】被覆層を構成する高分子化合物は、公知の重合開始剤{アゾ
系開始剤[2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオニトリル)、2,2’-
アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-
メチルブチロニトリル)等]、パーオキサイド系開始剤(ベンゾイルパー
オキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等)
等}を使用して公知の重合方法(塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重
合等)により製造することができる。重合開始剤の使用量は、重量平均分
子量を好ましい範囲に調整する等の観点から、モノマーの全重量に基づい
て好ましくは0.01~5重量%、より好ましくは0.05~2重量%、
更に好ましくは0.1~1.5重量%であり、重合温度及び重合時間は重
合開始剤の種類等に応じて調整されるが、重合温度は好ましくは-5~
150℃、(より好ましくは30~120℃)、反応時間は好ましくは
0.1~50時間(より好ましくは2~24時間)である。
【0051】
溶液重合の場合に使用される溶媒としては、例えばエステル(炭素数2~8、
例えば酢酸エチル及び酢酸ブチル)、アルコール(炭素数1~8、例えば
メタノール、エタノール及びオクタノール)、炭化水素(炭素数4~8、
例えばn-ブタン、シクロヘキサン及びトルエン)、アミド(例えばN,
N-ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略記する))及びケトン(炭
素数3~9、例えばメチルエチルケトン)が挙げられ、重量平均分子量を
好ましい範囲に調整する等の観点から、その使用量はモノマーの合計重量
に基づいて好ましくは5~900重量%、より好ましくは10~400重
量%、更に好ましくは30~300重量%であり、モノマー濃度としては、
好ましくは10~95重量%、より好ましくは20~90重量%、更に好
ましくは30~80重量%である。

【0052】乳化重合及び懸濁重合における分散媒としては、水、アルコ
ール(例えばエタノール)、エステル(例えばプロピオン酸エチル)、軽
ナフサ等が挙げられ、乳化剤としては、高級脂肪酸(炭素数10~24)
金属塩(例えばオレイン酸ナトリウム及びステアリン酸ナトリウム)、高
級アルコール(炭素数10~24)硫酸エステル金属塩(例えばラウリル
硫酸ナトリウム)、エトキシ化テトラメチルデシンジオール、メタクリル
酸スルホエチルナトリウム、メタクリル酸ジメチルアミノメチル等が挙げ
られる。更に安定剤としてポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン
等を加えてもよい。
               ー 中 略 ー
【0054】架橋剤(A’)を用いて被覆層を構成する高分子化合物を架橋
する方法としては、電極活物質粒子を、被覆層を構成する高分子化合物で
被覆した後に架橋する方法が挙げられる。具体的には、電極活物質粒子と
被覆層を構成する高分子化合物を含む樹脂溶液を混合し脱溶剤することに
より、被覆電極活物質粒子を製造した後に、架橋剤(A’)を含む溶液を該
被覆電極活物質粒子に混合して加熱することにより、脱溶剤と架橋反応を
生じさせて、被覆層を構成する高分子化合物が架橋剤(A’)によって架橋
される反応を電極活物質粒子の表面で起こす方法が挙げられる。加熱温度
は、架橋剤の種類に応じて調整されるが、架橋剤としてポリエポキシ化合
物(a’1)を用いる場合は好ましくは70℃以上であり、ポリオール化合
物(a’2)を用いる場合は好ましくは120℃以上である。

【0055】重合反応における系内温度は通常-5~150℃、好ましく
は30~120℃、反応時間は通常0.1~50時間、好ましくは2~2
4時間であり、重合反応の終点は、未反応単量体の量が、単量体組成物に
含まれる単量体成分の合計重量に基づいて通常5重量%以下、好ましくは
1重量%以下となる点であり、未反応単量体の量はガスクロマトグラフィ
ー等の公知の単量体含有量の定量方法により確認できる。
【0056】高分子化合物の重量割合は、被覆層が1層構成である場合、
被覆電極活物質粒子の重量を基準として0.3~10.0重量%であるこ
とが好ましい。
             ー 中 略 ー

【0057】(導電性フィラー)被覆層に含まれる導電性フィラーについ
て詳述する。
【0058】導電性フィラーとしては、導電性を有する材料から選択され
ることが好ましい。導電性フィラーとして好ましいものとしては、金属[
アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等]、カー
ボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチ
ェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック及びサーマルラ
ンプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられる。

(有機溶媒)被覆層は、有機溶媒を含む。
【0064】被覆層に含まれる有機溶媒としては、高分子化合物を溶解可
能な有機溶媒であれば特に限定されず、上述した高分子化合物を溶液重合
で製造する際に用いる溶媒として例示したものを好適に用いることができ
る。被覆層に含まれる有機溶媒は、高分子化合物を合成する際の有機溶媒
(残存有機溶媒)であってもよく、被覆層を形成した後に添加した有機溶
媒であってもよい。
【0065】被覆層に含まれる有機溶媒は、得られる電極の柔軟性の観点
から、アセトン、トルエン、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、N,
N-ジメチルホルムアミド及びN-メチル-2-ピロリドンからなる群か
ら選ばれる1種以上であることが好ましい。なかでも被覆層に含まれる有
機溶媒の含有量の調整しやすさの観点から、N,N-ジメチルホルムアミ
ド(DMF)が好ましい。                     

                ー中 略ー
(被覆率)本発明のリチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子は、電極活
物質粒子が有する表面の少なくとも一部を高分子化合物と導電性フィラー
とを含む被覆層で被覆してなる。
【0077】被覆層が1層構成の場合、サイクル特性の観点から、下記計
算式で得られる被覆率が30~95%であることが好ましい。
被覆率(%)={1-[被覆電極活物質粒子のBET比表面積/(被覆前
の電極活物質粒子のBET比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれる電
極活物質粒子の重量割合+導電性フィラーのBET比表面積×被覆電極活物
質粒子中に含まれる導電性フィラーの重量割合+セラミック粒子のBET
比表面積×被覆電極活物質粒子中に含まれるセラミック粒子の重量割合)]}
×100
【0078】被覆層が2層構成の場合、容量維持率の観点から、下記計算
式で得られる第一被覆層の被覆率が30~95%であることが好ましい。
被覆率(%)={1-[第一被覆層で被覆された電極活物質粒子のBET
比表面積/(未被覆時の電極活物質粒子のBET比表面積×第一被覆層で被
覆された電極活物質粒子中に含まれる電極活物質粒子の重量割合+導電性
フィラーのBET比表面積×第一被覆層で被覆された電極活物質粒子中に含
まれる導電性フィラーの重量割合+任意で含まれるセラミック粒子のBE
T比表面積×第一被覆層で被覆された電極活物質粒子中に任意で含まれるセ
ラミック粒子の重量割合)]}×100

【0079】被覆層が2層構成の場合、第一被覆層の表面の少なくとも一
部が第二被覆層で被覆されていることが好ましい。第二被覆層の被覆率は、
電極の強度の観点から、第一被覆層に対する第二被覆層の被覆率が30~
95%であることが好ましい。第二被覆層の被覆率は、第一被覆層で被覆
後のサンプルのBET比表面積と第二被覆層のBET比表面積から計算に
より得ることができる。
被覆率(%)={1-[第二被覆層で被覆された電極活物質粒子のBET
比表面積/(第一被覆層で被覆された電極活物質粒子のBET比表面積×
第二被覆層で被覆された電極活物質粒子中に含まれる電極活物質粒子の重
量割合+導電性フィラーのBET比表面積×第二被覆層で被覆された電極
活物質粒子中に含まれる導電性フィラーの重量割合+任意で含まれるセラ
ミック粒子のBET比表面積×第二被覆層で被覆された電極活物質粒子中
に任意で含まれるセラミック粒子の重量割合)]}×100
【0080】
被覆層が2層構成の場合、電極活物質粒子の表面に第一被覆層が形成され
ない部分があってもよく、電極活物質粒子の表面に第二被覆層が被覆して
なる部分があってもよい。
【0081】<リチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子の製造方法>
本発明のリチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子は、被覆層を構成する
高分子化合物、導電性フィラー及び電極活物質粒子を混合することによって
製造することができる。高分子化合物、導電性フィラー及び電極活物質粒
子を混合する順番は特に限定されず、例えば、事前に混合した被覆層を構
成する高分子化合物と導電性フィラーからなる樹脂組成物を電極活物質粒
子とさらに混合してもよいし、高分子化合物、導電性フィラー及び電極活
物質粒子を同時に混合してもよいし、電極活物質粒子に高分子化合物を混
合し、さらに導電性フィラーを混合してもよい。
【0082】
本発明の被覆電極活物質粒子は、電極活物質粒子を、高分子化合物で被覆
することで得ることができ、例えば、電極活物質粒子を万能混合機に入れ
て30~800rpmで撹拌した状態で、高分子電解質組成物を含む樹脂
溶液を1~90分かけて滴下混合し、さらに導電性フィラーを混合し、撹
拌したまま50~200℃に昇温し、0.007~0.04MPaまで減
圧した後に10~900分保持し、その後、被覆電極活物質粒子に含まれ
る有機溶媒の重量割合が所定の範囲となるように有機溶媒を加えることに
より得ることができる。
【0083】電極活物質粒子と、高分子化合物及び導電性フィラーとの配
合比率は特に限定されるものではないが、重量比率で電極活物質粒子:高
分子化合物及び導電性フィラーの合計重量=1:0.001~0.1であ
ることが好ましい。
【0084】被覆層が2層構成の場合、電極活物質粒子、高分子化合物、
有機溶媒、任意で導電性フィラー及び任意でセラミック粒子を混合した第
一被覆層用被覆層組成物を脱溶剤して第一被覆電極活物質粒子を得る第1
被覆工程と、上記第一被覆電極活物質粒子、高分子化合物、有機溶媒、任
意で導電性フィラー及び任意でセラミック粒子を混合した第二被覆層用被
覆層組成物を脱溶剤する第2被覆工程とを有することが好ましい。
なお、モノマーは、第一被覆層用被覆層組成物と第二被覆層用被覆層組成
物の何れかに含まれていてもよいが、双方に含まれていることが好ましい。
第一被覆層用被覆層組成物、第二被覆層用被覆層組成物を脱溶剤する方法
は、上述した方法を用いればよい。
【0085】<リチウムイオン電池用電極>
本発明のリチウムイオン電池用電極は、本発明のリチウムイオン電池用被
覆電極活物質粒子と導電助剤とを含む非結着体からなる。ここで、非結着
体とは、リチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子と導電助剤とが結着剤
(バインダともいう)により位置を固定されていないことを意味する。す
なわち、リチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子と導電助剤は、それぞ
れ外力に応じて移動できる状態である。
【0086】本発明のリチウムイオン電池用電極は、溶剤乾燥型結着剤を
含まない。溶剤乾燥型結着剤としてはデンプン、ポリフッ化ビニリデン、
ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリド
ン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知
のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。これらの結着剤は溶剤に
溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで表面が粘着性を
示すことなく固体化して、被覆電極活物質粒子と導電助剤同士、及び、被
覆電極活物質粒子と導電助剤と集電体とを強固に固定するものである。
【0087】
本発明のリチウムイオン電池用電極は、十分な電極柔軟性を有する。
具体的には、下記に示す降伏点ストロークが0.13mm以上である。
上記降伏点ストロークが0.13mm以上であれば、リチウムイオン電池
用電極が引き伸ばされたり、歪んだりしても電気伝導性を好適に維持する
ことができる。
上記降伏点ストロークは、0.15mm以上であることが好ましく、0.
17mm以上であることがより好ましい。

【0088】本明細書において降伏点ストロークは、以下の方法により測
定し算出する。リチウムイオン電池用電極(サンプルサイズ:直径16m
mの円形)の降伏応力をISO178(プラスチック-曲げ特性の求め方)
に準拠して、オートグラフ[(株)島津製作所製]を用いて測定する。
リチウムイオン電池用電極のサンプルを支点間距離5mmの治具にセット
し、オートグラフにセットされたロードセル(定格荷重:20N)を1m
m/minの速度で電極に向かって降下させ、ロードセルが電極に触れて
から降伏点でのロードセルの降下距離(mm)を降伏点ストロークとして
算出する。
【0089】本発明のリチウムイオン電池用電極は、被覆電極活物質粒子
及び導電助剤と、電解質及び溶媒を含有する電解液とを含む電極活物質層
と、集電体とを備えていることが好ましい。
【0090】(被覆電極活物質粒子)
被覆電極活物質粒子としては、本発明のリチウムイオン電池用被覆電極活
物質粒子を用いる。電極活物質層の重量を基準として、被覆電極活物質粒
子を40~95重量%含むことが好ましく、60~90重量%で含むこと
がより好ましい。
【0091】(導電助剤)
本発明のリチウムイオン電池用電極は、上述した被覆電極活物質粒子の被
覆層中に含まれていてもよい導電性フィラーとは別に導電助剤を含んでい
る。被覆層中に含まれている導電性フィラーが被覆電極活物質粒子と一体
であるのに対し、導電助剤は被覆電極活物質粒子と別々に含まれている点
で区別できる。
【0092】導電助剤は、被覆層に含まれる導電性フィラーと同じであっ
てもよいし、異なっていてもよい。本発明のリチウムイオン電池用電極に
含まれる導電助剤としては、導電性フィラーとして例示したものと同じも
のを用いることができる。
【0093】リチウムイオン電池用電極中に含まれる導電助剤と被覆層中
に含まれる導電性フィラーの合計含有量は、特に限定されないが、電極活
物質層から電解液を除いた重量を基準として0.5~20重量%であるこ
とが好ましい。
【0094】(電解液)
電解液は、電解質及び溶媒を含有する。
【0095】電解質としては、公知の電解液に用いられている電解質が使用
でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、L
iClO及びLiN(FSO等の無機アニオンのリチウム塩、Li
N(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO
等の有機アニオンのリチウム塩が挙げられる。これらの内、電池出力
及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiN(FSOであ
る。
【0096】溶媒としては、公知の電解液に用いられている非水溶媒が使
用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カル
ボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合
物、アミド化合物、スルホン、スルホラン及びこれらの混合物を用いるこ
とができる。
【0097】ラクトン化合物としては、5員環(γ-ブチロラクトン及びγ
-バレロラクトン等)及び6員環(δ-バレロラクトン等)のラクトン化合
物等が挙げられる。
               ー 中 略 ー
【0103】これらの溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併
用してもよい。
【0104】電解液中の電解質の濃度は、1.2~5.0mol/Lであ
ることが好ましく、1.5~4.5mol/Lであることがより好ましく、
1.8~4.0mol/Lであることが更に好ましく、2.0~3.5m
ol/Lであることが特に好ましい。
このような電解液は、適当な粘性を有するので、被覆電極活物質粒子間に
液膜を形成することができ、被覆電極活物質粒子に潤滑効果(被覆電極活
物質粒子の位置調整能力)を付与することができる。
               ー 中 略 ー
【0105】(電極活物質層)
本発明のリチウムイオン電池用電極において、電極活物質層の厚みは、電
池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~
450μmであることがより好ましい。
【0106】(集電体)
集電体を構成する材料としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス
鋼、ニッケル及びこれらの合金等の金属材料、並びに、焼成炭素、導電性
高分子材料、導電性ガラス等が挙げられる。集電体の形状は特に限定され
ず、上記の材料からなるシート状の集電体、及び、上記の材料で構成され
た微粒子からなる堆積層であってもよい。集電体の厚さは、特に限定され
ないが、50~500μmであることが好ましい。
               ー 中 略 ー
【0111】<リチウムイオン電池>
本発明のリチウムイオン電池は、本発明のリチウムイオン電池用電極を備え
る。
【0112】本発明のリチウムイオン電池用電極と、対極となる電極とを
組み合わせて、セパレータと共にセル容器に収納し、電解液を注入し、セ
ル容器を密封することでリチウムイオン電池を得ることができる。また、
集電体の一方の面に上記のリチウムイオン電池用正極を形成し、もう一方
の面に負極を形成してバイポーラ(双極)型電極を作製し、バイポーラ(
双極)型電極をセパレータと積層してセル容器に収納し、電解液を注入し、
セル容器を密封することでもリチウムイオン電池を得ることができる。本発
明のリチウムイオン電池は、本発明のリチウムイオン電池用電極を正極、
負極の双方に備えることが好ましい。
【0113】セパレータとしては、ポリエチレン又はポリプロピレン製の
多孔性フィルム、多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンと
の積層フィルム、合成繊維(ポリエステル繊維及びアラミド繊維等)又は
ガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チ
タニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等の公知のリチウムイオン
電池用のセパレータが挙げられる。
【0114】なお、本明細書には以下の発明が記載されている。
〔1〕リチウムイオン電池用電極活物質粒子が有する表面の少なくとも一
部を高分子化合物と導電性フィラーと有機溶媒とを含む被覆層で被覆して
なるリチウムイオン電池用被覆電極活物質粒子であって、上記被覆層に含
まれる有機溶媒の重量割合が、上記リチウムイオン電池用被覆電極活物質
粒子の重量を基準として10~1000ppmであるリチウムイオン電池
用被覆電極活物質粒子。
〔2〕上記有機溶媒が、アセトン、トルエン、イソプロピルアルコール、
酢酸エチル、N,N-ジメチルホルムアミド及びN-メチル-2-ピロリ
ドンからなる群から選ばれる1種以上である上記〔1〕に記載のリチウム
イオン電池用被覆電極活物質粒子。
〔3〕上記〔1〕又は〔2〕に記載のリチウムイオン電池用被覆電極活物
質粒子と導電助剤とを含む非結着体からなるリチウムイオン電池用電極。
〔4〕上記〔3〕に記載のリチウムイオン電池用電極を備えるリチウムイ
オン電池。


【実施例】
【0115】次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の
主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、
特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
【0116】[電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合
溶媒(体積比率1:1)にLiN(FSOを2.0mol/Lの割
合で溶解させて電解液を作製した。
【0117】[樹脂集電体の作製]
2軸押出機にて、ポリプロピレン[商品名「サンアロマーPL500A」
、サンアロマー(株)製]70部、カーボンナノチューブ[商品名「Fl
oTube9000」、CNano社製]25部及び分散剤[商品名「ユ
ーメックス1001」、三洋化成工業(株)製]5部を200℃、200
rpmの条件で溶融混練して樹脂混合物を得た。得られた樹脂混合物を、
Tダイ押出しフィルム成形機に通して、それを延伸圧延することで、膜厚
100μmの樹脂集電体用導電性フィルムを得た。次いで、得られた樹脂
集電体用導電性フィルムを直径15mm又は16mmの円形となるように
切断し、片面にニッケル蒸着を施した後、電流取り出し用の端子(5mm
×3cm)を接続した樹脂集電体を得た。なお、直径15mmの円形の樹脂
集電体を正極用樹脂集電体として用い、直径16mmの円形の樹脂集電体
を負極用樹脂集電体として用いた。
【0118】(比較例1)
[被覆層組成物の調製]
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4
つ口フラスコにDMF150部を仕込み、75℃に昇温した。次いで、ア
クリル酸91部、メタクリル酸メチル9部及びDMF50部を配合した単
量体組成物と、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.3
部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.8部をDMF
30部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みなが
ら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を
行った。滴下終了後、75℃で反応を3時間継続した。
次いで、80℃に昇温して反応を3時間継続し、樹脂濃度30%の共重合
体溶液を得た。得られた共重合体溶液を撹拌下、アセトン中に滴下して精
製を行った。精製後、テフロン(登録商標)製のバットに移して150℃
、0.01MPaで3時間の減圧乾燥を行い、DMFおよびアセトンを留
去して高分子化合物を得た。得られた高分子化合物をハンマーで粗粉砕し
た後、乳鉢にて追加粉砕して、粉末状の高分子化合物を得た。高分子化合
物1部をDMF3部に溶解し、モノマーの含有量が高分子化合物のモル数
を基準として0.1モル%となるようにアクリル酸:メタクリル酸メチル
(重量比が91:9)を追加し、被覆層組成物を得た。
【0119】[被覆正極活物質粒子の作製]
正極活物質粒子(LiNi0.8Co0.15Al0.05粉末、体積平
均粒子径4μm)90.12部を万能混合機ハイスピードミキサーFS2
5[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状
態で、被覆層組成物12.56部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電助剤であるアセチレンブラック[デンカ(株)
製  デンカブラック(登録商標)]3.14部及びセラミック粒子(AE
ROSIL  200(二酸化ケイ素、BET比表面積200m/g、製品
名「AEROSIL  200」、日本アエロジル(株)製))2.10部を
分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維
持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したま
ま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を13時間維持して
揮発分を留去した。得られた粉体を目開き200μmの篩で分級し、比較例
1の被覆正極活物質粒子を得た。
【0120】得られた被覆正極活物質粒子に含まれる有機溶媒の重量割合
をGC測定装置([(株)島津製作所製]:ガスクロマトグラフGC-2
010)で測定し、ピーク強度の面積比から有機溶媒の重量割合をppm
オーダーで算出した。
【0121】(実施例1~5、比較例2)
その後、被覆正極活物質粒子に含まれる有機溶媒の重量割合が表1に記載
の重量割合となるように、有機溶媒(DMF)を追加し、万能混合機ハイ
スピードミキサーFS25で室温、720rpmで5分撹拌して、実施例
1~5、比較例2の被覆正極活物質粒子をそれぞれ得た。
表1

【012】[リチウムイオン電池用正極の作製]
作製した被覆正極活物質粒子98.50部と、炭素繊維[大阪ガスケミカル
(株)製  ドナカーボ・ミルド  S-243:平均繊維長500μm、平均
繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]2.06部とケッチェンブ
ラック[ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製  EC300J]
1.03部とを混合して正極スラリーを作製した。
作製した正極スラリーを、Φ15(mm)の金型上に正極活物質粒子の目
付量が50mg/cmになるように充填し、プレス機(HANDTAB
-100T15、市橋精機(株)製)で1ton/cmの圧力で打錠成
形して正極活物質層(厚さが213μm)を形成し、上記樹脂集電体の片面
に積層して実施例1~5及び比較例1、2に係るリチウムイオン電池用正
極(直径15mmの円形)を作製した。

【0124】
得られたリチウムイオン電池用正極について、電極強度(柔
軟性)の測定を下記の通り行った。
得られたリチウムイオン電池用正極(
サンプルサイズ:直径15mmの円形)の降伏応力をISO178(プラ
スチック-曲げ特性の求め方)に準拠して、オートグラフ[(株)島津製
作所製]を用いて測定し、以下の基準で電極強度を評価した。

まず、リチウムイオン電池用正極の各サンプルを支点間距離5mmの治具
にセットし、オートグラフにセットされたロードセル(定格荷重:20N
)を1mm/minの速度で電極に向かって降下させ、ロードセルが電極
に触れてから降伏点でのロードセルの降下距離(mm)を降伏点ストロー
クとして算出した。
ストロークが長ければ長いほど電極の柔軟性が高いと
言える。測定結果を表2に示す。

表2.

【0132】(実施例6~10、比較例3、4)
その後、被覆負極活物質粒子に含まれる有機溶媒の重量割合が表3に記載
の重量割合となるように、有機溶媒(DMF:トルエン=1:1)を追加
し、万能混合機ハイスピードミキサーFS25で室温、720rpmで5
分撹拌して、実施例6~10の被覆負極活物質粒子をそれぞれ得た。

【0133】
表3.

【0134】
(リチウムイオン電池用負極の作製)
作製した被覆負極活物質粒子99部と、炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)
製  ドナカーボ・ミルド  S-243:平均繊維長500μm、平均繊維径
13μm:電気伝導度200mS/cm]1部とを混合して負極スラリーを
作製した。
作製した負極スラリーを、Φ16(mm)の金型上に負極活物
質粒子の目付量が23.4mg/cmになるように充填し、プレス機(
HANDTAB-100T15、市橋精機(株)製)で1ton/cm
の圧力で打錠成形して負極活物質層(厚さが300μm)を形成し、上記樹
脂集電体の片面に積層して実施例6~10及び比較例3、4に係るリチウ
ムイオン電池用負極(直径16mmの円形)をそれぞれ作製した。

【0135】得られたリチウムイオン電池用負極について、前記リチウム
イオン電池用正極と同様にして電極強度(柔軟性)の測定を行った。測定
結果を表4に示す。

【0136】
表4.

【0137】
表4より、被覆層が所定の有機溶媒を含む被覆負極活物質粒子を用いた実
施例6~10のリチウムイオン電池用負極では、十分な電極柔軟性を有す
ることが確認された。
【0138】[リチウムイオン電池の作製]
表2又は表4に記載のリチウムイオン電池用正極とリチウムイオン電池用
負極とを、セパレータ(セルガード製#3501)を介して表5の通り組
み合わせ、電解液を注入して、リチウムイオン電池を作製した。
【0139】<内部抵抗上昇率の測定>
25℃下、充放電測定装置「HJ-SD8」[北斗電工(株)製]を用い
て以下の方法によりリチウムイオン電池の評価を行った。定電流定電圧方
式(0.1C)で4.2Vまで充電した後、10分間の休止後、定電流方
式(0.1C)で2.5Vまで放電した。定電流定電圧方式(CCCVモ
ードともいう)で0.1Cにおける放電0秒後の電圧及び電流並びに0.1
Cにおける放電10秒後の電圧及び電流を測定し、以下の式で内部抵抗を
算出した。内部抵抗が小さいほど優れた電池特性を有することを意味する。
なお、放電0秒後の電圧とは、放電したと同時に計測される電圧(放電時
電圧ともいう)である。
[内部抵抗(Ω・cm)]=[(0.1Cにおける放電0秒後の電圧)-
(0.1Cにおける放電10秒後の電圧)]÷[(0.1Cにおける放電0
秒後の電流)-(0.1Cにおける放電10秒後の電流)]×[電極の対向
面積(cm)]
内部抵抗の測定につき、20サイクルの繰り返し試験を行い、2サイクル
目の内部抵抗(初期内部抵抗)と20サイクル目の内部抵抗を比較して(
20サイクル目の内部抵抗/2サイクル目の内部抵抗)、「内部抵抗上昇
率(%)」を求めた。
【0140】<容量維持率の測定>
25℃下、充放電測定装置「HJ-SD8」[北斗電工(株)製]を用い
て以下の方法によりリチウムイオン電池につき充放電試験を行った。定電
流定電圧方式(0.1C)で4.2Vまで充電した後、10分間の休止後、
定電流方式(0.1C)で2.5Vまで放電した。
このとき放電した容量を[放電容量(mAh)]とした。20サイクルの
繰り返し試験を行い、20サイクル容量維持率(%)を求めた。
【0141】
表5.

【0142】表5より、実施例の被覆電極活物質粒子を用いて作製したリ
チウムイオン電池用電極を正極及び負極に備えるリチウムイオン電池では、
内部抵抗値の上昇を抑制することができ、容量維持率に優れることが確認
された。
【産業上の利用可能性】
【0143】本発明の被覆電極活物質粒子は、特に、定置用電源、携帯電
話、パーソナルコンピューター、ハイブリッド自動車及び電気自動車用等
に用いられるリチウムイオン電池等の電極活物質粒子として有用である。


🪄全固体電池もまだまだ改良余地ありと確信する。


    心に残る歌 『華原朋美 - 見上げてごらん夜の星を』
                  作詞永六輔、作曲いずみたく
 





● 今日の言葉:

     春が来ても、鳥たちは姿を消し鳴き声も聞こえない。
                           春だというのに自然は沈黙している。

                             レイチェル・カーソン 『沈黙の春』   
                         (因果報応の季節風)より

                                                                                      

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エネルギーと環境 108

2025年01月16日 | ネオコンバ-テック

彦根市ひこにゃんイラスト に対する画像結果
彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ。

【季語と短歌:1月16日】

       冴ゆる朝それもそうだよアルテック 

                  高山 宇 (赤鬼)




【海水有価物回収水素製造並びに炭素化合物製造事業論 9】

3.特開2025-2926 水電解装置及び水電解装置の組み立て
構造 株式会社ノーリツ
【要約】下図5のごとく、入水部と吐水部とを有するケース内に第1電極(
11)と第2電極(12)とがイオン交換膜(13)を挟んで絶縁された状態に積層配
置され、第1電極と第2電極の間に電圧を印加してケース内を流動する水
を電気分解する水電解装置において、第1電極とイオン交換膜と第2電極
は、各々が中央に開口部を有する平板形状であって、これら開口部が連通
するように積層されてケースに固定され、第1電極は、第1電極の開口部
(11a)とイオン交換膜の開口部(13a)とを一致させ、且つ第1電極の外縁部
がイオン交換膜の外縁部よりも内側となるように形成され、第2電極は、
第2電極の外縁部とイオン交換膜の外縁部とを一致させ、且つ第2電極の
開口部(12a)がイオン交換膜の開口部よりも大きく形成された。 
 
特開-水電解装置及び水電解装置の組み立て構造 図5                  
 図5. 電解
電解部の分解図        図4.図1水電解装置の外観斜視図
【符号の説明】【0042】
1    :水電解装置 2    :入水部 3    :吐水部 4    :ケース 5    :
第1ケース 6    :第2ケース 7    :抑え板 8    :パッキン
9a,9b:電力線 10  :電解部 11  :第1電極 11a:開口部
12  :第2電極 12a:開口部 13  :イオン交換膜 13a:開口
部 15  :陽極板 15a:貫通孔  15b:端子部 16  :陽極側
メッシュ電極 16a:貫通孔 17  :触媒電極 17a:貫通孔 18  
:陰極版 18a:貫通孔 18b:端子部 19  :陰極側メッシュ電
極 19a:貫通孔 20  :治具 20a:棒状部(棒状部材)
【発明を実施するための形態】
【実施例】
図1図2図3に示すように、水電解装置1は、入水部2と吐水部3を
有するケース4内に電解部10が収容され、外部から電解部10に電力を
供給するための電力線9a,9bが接続される。ケース4は、入水部2を
有する第1ケース5と、吐水部3を有する第2ケース6によって構成され
ている。入水部2と吐水部3には不図示の水管又はホースが夫々接続され
る。
-水電解装置及び水電解装置の組み立て構造 図1

図1.実施例に係る水電解装置の外観斜視図
【0017】
ケース4内では、入水部2から導入された水は、例えば矢印A1
のように電解部10の外周側に向かって広がるように流動した後、矢印A
2のように向きを変えて外周側から電解部10の中央に向かって集まるよ
うに流動し、矢印A3のように吐水部3からケース4の外に流出する。こ
のとき、ケース4内を流動する水の一部が電解部10で電気分解されるこ
とにより電解水が生成される。電解水は、例えばオゾン水、次亜塩素酸水
等であり、殺菌作用を有する。入水部2には水の流量を一定にするための
水ガバナー2aが装備され、一定の質(濃度)の電解水が生成される。
-水電解装置及び水電解装置の組み立て構造 図2
図2.図1の水電解装置を入水部側から見た平面図
-水電解装置及び水電解装置の組み立て構造 図3
図3. 図2のIII-III線断面図である。
【0018】図3図4に示すように、電解部10は、複数のビス7aで固定
される抑え板7によって、吐水部3を有する第2ケース6に固定される。
抑え板7は、第1ケース5の入水部2から導入された水を電解部10の外
周側に向かうように誘導する。電解部10が固定された第2ケース6には、
パッキン8を挟んで第1ケース5が複数のビス4aによって固定される。

【0019】次に電解部10について説明する。電解部10は、第1電極11
と第2電極12とがイオン交換膜13を挟んで絶縁された状態に積層配置
されて形成されている。以下では第1電極11が陽極且つ第2電極12が
陰極の場合について説明するが、極性を入れ替えて構成することもできる。
【0020】図4図5に示すように、第1電極11は、各々が矩形の平板状
に形成された陽極板15と陽極側メッシュ電極16と触媒電極17とを積
層して平板形状に形成されている。陽極板15は中央に矩形の貫通孔15
aを有する。陽極側メッシュ電極16は中央に矩形の貫通孔16aを有す
る。触媒電極17は中央に矩形の貫通孔17aを有する。第1電極11は、
これら貫通孔15a,16a,17aが連通して積層方向に貫通する開口
部11aを有する。
【0021】第2電極12は、各々が矩形の平板状に形成された陰極板18と
陰極側メッシュ電極19とを積層して平板形状に形成されている。陰極板
18は中央に矩形の貫通孔18aを有する。陰極側メッシュ電極19は中
央に矩形の貫通孔19aを有する。第2電極12は、これら貫通孔18a,
19aが連通して積層方向に貫通する開口部12aを有する。尚、陽極側
メッシュ電極16と陰極側メッシュ電極19は、メッシュ状に形成された
電極を複数重ねて形成されてもよい。
【0022】触媒電極17は、水の電気分解を促進させるための触媒を有する
第1電極11は触媒電極17をイオン交換膜13に接触させ、第2電極1
2は陰極側メッシュ電極19をイオン交換膜13に接触させるように積層
されている。イオン交換膜13は、例えば厚さが1mm未満の矩形の平板
形状に形成され、中央にイオン交換膜13をその厚さ方向に貫通する矩形
の開口部13aを備えている。陽極板15は電力線9aと接続するための
端子部15bを有する。陰極板18は電力線9bと接続するための端子部
18bを有する。
【0023】第2ケース6は、ケース4の内方に突出する複数の突起によって
形成された電解部10の位置決め用の位置決め部6aを有する。この第2
ケース6に第1電極11とイオン交換膜13と第2電極12とを積層配置
する際には、第2ケース6の吐水部3が、例えば作業台に設置された治具
20の上方に延びる棒状部20a(棒状部材)に嵌められる。
【0024】吐水部3の通路3aの開口形状は、第1電極11の開口部11a
及びイオン交換膜13の開口部13aと大きさ及び形状が一致するように
形成されている。棒状部20aの軸方向と直交する断面の形状は吐水部3
の開口形状に合わせた矩形状であるが、吐水部3を嵌めたときに棒状部
20aを中心に第2ケース6が回転せず安定する例えば八角形、十字形等
にすることもできる。
-水電解装置及び水電解装置の組み立て構造 図6
図6.図3の電解部の断面模式図
【0025】図4図6に示すように、吐水部3が嵌められた治具20の棒状
部20aの先端側は、第2ケース6の内側に突出する。第1電極11とイ
オン交換膜13と第2電極12は、この突出した棒状部20aに、各々の
開口部11a,13a,12aを嵌めて積層される。
【0026】このとき治具20の棒状部20aと第2ケース6の位置決め部6a
によって、第1電極11とイオン交換膜13と第2電極12は、その積層
方向と直交する方向に拘束されて位置が決まる。尚、第1電極11を構成
する陽極板15と陽極側メッシュ電極16と触媒電極17と、イオン交換
膜13と、第2電極12を構成する陰極側メッシュ電極19と陰極板18
とが、治具20の棒状部20aに順に嵌められて積層されてもよい。

【0027】積層された第1電極11とイオン交換膜13と第2電極12を積
層方向に拘束する抑え板7が第2ケース6に固定されることによって、電
解部10が第2ケース6に固定される。抑え板7は、その外縁部が位置決
め部6aに当接することにより位置決めされるが、治具20の棒状部20a
の先端部分との当接により位置決めされてもよい。電解部10が固定され
た第2ケース6は治具20から取り外され、端子部15b,18bに電力
線9a,9bが締結固定され、第1ケース5が第2ケース6に固定される。

【0028】第2ケース6を治具20から取り外したので、電解部10の第1
電極11とイオン交換膜13と第2電極12の各々の開口部11a,13
a,12aと吐水部3から棒状部20aが除去されて連通する。また、第
2ケース6の位置決め部6aはケース4の内方に突出する複数の突起によ
って形成されているので、電解部10の外周側は位置決め部6aによって
閉塞されない。
【0029】陽極側メッシュ電極16と陰極側メッシュ電極19は、例えばチ
タンやステンレス鋼を素材とする金属線によって、外部と連通する細かい
空隙を有するメッシュ状に形成されている。それ故、図3の矢印A1のよ
うに入水部2から導入されて外周側に向かった水は、矢印A2のように向
きを変えて電解部10の外周側から開口部11a,13a,12aが連通
した電解部10の中央の開口部に向かって陽極側メッシュ電極16の内部
及び陰極側メッシュ電極19の内部を流動する。
【0030】流動する水に浸漬した電解部10の第1電極11と第2電極12
の間に電圧を印加することにより、流動する水の一部が電気分解されて電
解水が生成される。そして、矢印A3のように電解部10の開口部に集め
られた電解水が吐水部3を介してケース4の外に向かって流れ出る。
【0031】図5図6に示すように、第1電極11は、陽極板15と陽極側
メッシュ電極16と触媒電極17の各々の貫通孔15a,16a,17a
が同じ大きさ及び同じ形状に形成され、積層したときにこれら貫通孔15
a,16a,17aが一致して第1電極11の開口部11aになる。また、
第1電極11は、陽極板15と陽極側メッシュ電極16と触媒電極17と
が、端子部15bを除いて同じ大きさ及び同じ形状に形成され、これらを
積層したときにこれらの外縁部が一致する。

【0032】イオン交換膜13は、その開口部13aが第1電極11の開口部
11aと同じ大きさ及び同じ形状に形成され、第1電極11とイオン交換
膜13を積層したときに開口部13aと開口部11aが一致する。また、
イオン交換膜13は第1電極11よりも大きく形成され、第1電極11と
イオン交換膜13を積層したときに第1電極11の外縁部がイオン交換膜
13の外縁部よりも内側となる。
【0033】第2電極12は、陰極板18と陰極側メッシュ電極19とが、端
子部18bを除いて同じ大きさ及び同じ形状に形成され、これらを積層し
たときに外縁部が一致する。また、陰極板18と陰極側メッシュ電極19
の各々の貫通孔18a,19aが同じ大きさ及び同じ形状に形成され、積
層したときにこれら貫通孔18a,19aが一致して第2電極12の開口
部12aになる。そして、イオン交換膜13と第2電極12を積層したと
きに、第2電極12は、イオン交換膜13の外縁部と第2電極12の外縁
部が一致し、第2電極12の開口部12aがイオン交換膜13の開口部1
3aよりも大きく形成され、開口部12aの内縁部は開口部13aの内縁
部よりも外側になる。
【0034】第1電極11とイオン交換膜13を積層する際には、治具20の
棒状部20aの外周に第1電極11とイオン交換膜13の各々の開口部11
a,13aを囲む内縁部を当接させてこれら開口部11aと開口部13a
とを一致させる。そして、イオン交換膜13と第2電極12を積層する際
には、第2ケース6の位置決め部6aにイオン交換膜13と第2電極12
の各々の外縁部を当接させてこれら外縁部を一致させる。これにより第1
電極11とイオン交換膜13と第2電極12の位置ずれの発生が防止され、
位置ずれによる第1電極11と第2電極12の短絡が防止される。

【0035】また、第1電極11の内縁部と第2電極12の内縁部との距離
、及び第1電極11の外縁部と第2電極12の外縁部との距離を、イオン
交換膜13の厚さよりも大きくして、析出物や異物による第1電極11と
第2電極12の短絡を発生し難くしている。尚、第1電極11とイオン交
換膜13と第2電極12の外縁部が一致し、且つ開口部11a~13aが
一致する電解部10の場合でも、位置ずれによる第1電極11と第2電極
12の短絡が防止される。
【0036】上記の水電解装置1及び水電解装置1の組み立て構造の作用、効
果について説明する。
水電解装置1は、各々が中央に開口部を有する平板
形状の第1電極11とイオン交換膜13と第2電極12とが、これらの開
口部11a,13a,12aが連通するように積層され、イオン交換膜13
によって第1電極11と第2電極12が絶縁された状態でケース4(第2
ケース6)に固定されている。第1電極11は、その開口部11aをイオ
ン交換膜13の開口部13aと一致させ、且つ外縁部がイオン交換膜13
の外縁部よりも内側となるように形成されている。一方、第2電極12は、
その開口部12aがイオン交換膜13の開口部13aよりも大きく、且つ
外縁部がイオン交換膜13の外縁部と一致するように形成されている。

【0037】それ故、イオン交換膜13の開口部13aを介する第1電極11
と第2電極12との距離、及びイオン交換膜13の外縁部を介する第1電
極11と第2電極12との距離を、イオン交換膜13の厚さよりも夫々大
きくすることができる。電極間の距離が大きいほど電極間の短絡が発生し
難くなるので、イオン交換膜13に対する第1電極11と第2電極12の
位置ずれによる第1電極11と第2電極12の短絡を防止し、析出物、異
物等による短絡を発生し難くすることができる。

【0038】水電解装置1は、各々が中央に開口部を有する平板形状の第1電
極11とイオン交換膜13と第2電極12とが、これらの開口部11a,
13a,12aを吐水部3に挿入した棒状部20a(棒状部材)に嵌めて
積層され、ケース4(第2ケース6)に固定されて形成される。この水電
解装置1の組み立て構造では、開口部11a,13aを囲む内縁部に当接
する棒状部20aによって、第1電極11とイオン交換膜13の積層方向
と直交する方向の位置が決まる。一方、第2電極12とイオン交換膜13
とは、これらの外縁部が当接するケース4(第2ケース6)に形成された
位置決め部6aによって、積層方向と直交する方向の位置が決まる。従っ
て、積層時にイオン交換膜13に対して第1電極11と第2電極12の位
置ずれを防ぐことができるので、位置ずれによる第1電極11と第2電極
12の短絡を防止することができる。
【0039】第1電極11は、その開口部11aがイオン交換膜13の開口部
13aと一致し、且つ外縁部がイオン交換膜13の外縁部よりも内側とな
るように形成されている。また、第2電極12は、その開口部12aがイ
オン交換膜13の開口部13aよりも大きく、且つ外縁部がイオン交換膜
13の外縁部と一致するように形成されている。これにより、イオン交換
膜13の開口部13aを介する第1電極11と第2電極12と距離、及び
イオン交換膜13の外縁部を介する第1電極11と第2電極12との距離
を、イオン交換膜13の厚さよりも夫々大きくすることができる。従って、
第1電極11と第2電極12の位置ずれによる短絡を防止し、析出物、異
物等による短絡を発生し難くすることができる。

【0040】積層した第1電極11とイオン交換膜13と第2電極12を固定
したケース4(第2ケース6)を棒状部20aから取り外すので、第1電
極11の位置ずれを防止することができる。また、棒状部20aから取り
外されたことによって、第1電極11とイオン交換膜13と第2電極12
の各々の開口部11a,13a,12aと吐水部3が連通するので、水又
は電解水の流通路にすることができる。
【0041】入水部2と吐水部3を入れ替えて、水の流動方向が上記と反対の
水電解装置1とすることもできる。断面が矩形の開口部を有する矩形の平
板形状の電解部10は、円形又は正多角形の平板形状に形成されてもよく、
断面が円形又は正多角形の開口部を有していてもよい。その他、当業者で
あれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を
付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含する
ものである。
                             この項了

□. 特開2024-173640 電気化学デバイス用電極、電気化学デバイス、アル
カリ水電解装置、および電極の製造方法  日本特殊陶業株式会社
【要約】下図1のごとく、
電気化学デバイス用電極は、金属系導電基材と、
導電基材上に設けられ、導電基材を構成する金属の酸化物を主成分とする
第1層と、第1層上に設けられ、導電性酸化物粒子の集合体として形成さ
れる第2層と、を備え、電気化学デバイス用電極の耐久性を高め、貴金属
の使用量を低減あるいは削減可能にする。

4. 特開2024-135262 電極構造体および水電解装置 株式会社SCRE
ENホールディングス 

【要約】下図3のごとく、電極構造体は、電解質膜51と、電解質膜51
のアノード側に位置する複数のアノード触媒粒子611と、電解質膜のカ
ソード側に位置する複数のカソード触媒粒子と、電解質膜51とアノード
触媒粒子611との間に位置する再結合層80とを備える。アノード触媒
粒子は、水を、水素イオン、酸素、および電子に電気分解させる。カソー
ド触媒粒子は、水素イオンおよび電子を結合させて、水素を生成する。電
解質膜51のカソード側において生成された水素が、電解質膜51を透過
してアノード側へ流れた場合、再結合層80は、透過した水素を酸素と結
合させて水に戻す。これにより、アノード側から排出される酸素に水素が
混入することを抑制できる

図3 .第1実施形態のセルにおいて、水素のクロスオーバーが発生したと
きの様子を示した図
【符号の説明】【0057】
  1   水電解装置   10    セル   20    セパレータ   21    アノード面  
22    カソード面   23    アノード溝   24    カソード溝 
30    セル
スタック   40    電源   51    電解質膜   61    アノード触媒層 
62   アノード多孔質層  71  カソード触媒層 72  カソード多孔質層
  80    再結合層 611  アノード触媒粒子
【詳細説明】
  従来、水(HO)を電気分解することにより水素(H)を製造する、
固体高分子形水電解装置が知られている。固体高分子形水電解装置は、温
効果ガスを排出しない燃料である水素を製造するものであるため、脱炭
素化に貢献できる技術として、近年特に注目されている。

固体高分子形水電解装置は、セルとセパレータとが交互に積層されたセル
スタックを有する。各セルは、電解質膜と、電解質膜の両面に形成された
触媒層とを有する。固体高分子形水電解装置の使用時には、アノード側の
触媒層とカソード側の触媒層との間に、電圧を印加するとともに、アノー
ド側の触媒層に水を供給する。これにより、アノード側の触媒層と、カソ
ード側の触媒層とにおいて、次の電気化学反応が生じる。その結果、カソ
ード側の触媒層から、水素が排出される。
  (アノード側)  2HO  →  4H  +  O  +  4e
  (カソード側)  2H  +  2e  →  H
🎈【特許文献1】 特開2022-023996号公報  
 固体高分子形水電解装置では、アノード側の触媒層において生成された水
素イオン(H)が、電解質膜を通って、カソード側の触媒層へ移動する。
このため、水素の製造効率を高めるためには、電解質膜の厚みを薄くして、
電解質膜のイオン抵抗を小さくすることが望ましいが、
電解質膜の厚みを
薄くすると、カソード側の触媒層で生成された水素の一部が、電解質膜を
透過して、アノード側へ流れる場合がある。その場合、アノード側から排
出される酸素に水素が混入する。  上記課題を解決するため、本願の第1
発明は、電解質膜と、前記電解質膜のアノード側に位置し、水を水素イオ
ン、酸素、および電子に電気分解させるための複数のアノード触媒粒子と、
前記電解質膜のカソード側に位置し、水素イオンおよび電子を結合させて
水素を生成するための複数のカソード触媒粒子と、前記電解質膜のアノー
ド側の面と前記アノード触媒粒子との間に形成された再結合層と、を備え
前記アノード触媒粒子は、酸化イリジウム、イリジウムとルテニウムの合
金、またはイリジウムと二酸化チタンの合金を含み、前記再結合層は、白
金、イリジウム、コバルト、またはルテニウムを含む。
【0010】  本願の第2発明は、第1発明の電極構造体であって、前記再
結合層の外側に積層されたアノード多孔質層をさらに有し、前記アノード
多孔質層が、前記アノード触媒粒子を担持している
【0011】本願の第3発明は、第1発明の電極構造体であって、前記再
結合層の外側に積層されたアノード触媒層と、前記アノード触媒層の外側
に積層されたアノード多孔質層と、をさらに有し、前記アノード触媒層は
複数の前記アノード触媒粒子を含む
【0012】本願
第4発明は、第3発明の電極構造体であって、前記ア
ノード多孔質層が、前記アノード触媒粒子を担持ている。  
【0013】本願の第5発明は、水電解装置であって、第1発明から第4
発明までのいずれか1発明の電極構造体を備える。  
【発明の効果】【0014】
  本願の第1発明~第5発明によれば、電解質膜のカソード側において生成
された水素が、電解質膜を透過してアノード側へ流れた場合でも、再結合
層において、透過した水素を酸素と結合させて水に戻すことができる。
これにより、アノード側から排出される酸素に水素が混入することを抑制
できる。
【0015】  特に、本願の第2発明によれば、アノード触媒粒子の層を形
成しない。このため、電解質膜のアノード側の面における塗布処理の回数
を減らすことができる
【0016】特に、本願の第4発明によれば、アノード多孔質層に触媒粒
子を担持させることで、アノード触媒層の厚みを薄くすることができる。

5. 特開2024-142829 ポリマー、電解質材料、電解質膜、触媒層付き電
解質膜、膜電極接合体、固体高分子形燃料電池及び固体高分子形水電解装
置 東ソー株式会社
【要約】下記式(1)で表される構造を有する、ポリマーで、電解質とし
て十分なプロトン伝導性を有するとともに、化学耐久性に優れるポリマー
を提供すること。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
  下記式(1)で表される構造を有する、ポリマー。
【化1】000004
[式(1)中、
  Aは、下記式(a1)で表される構成単位を示し、
  Aは、下記式(a2)で表される構成単位を示し、
  L及びLは、それぞれ独立して、単結合又は-SO-を示し、
  nは、10~100の数を示し、
  *は、結合手を示す。
  複数のAは、互いに同一であり、
  複数のAは、互いに同一であり、
  複数のLは、互いに同一でも異なっていてもよく、
  複数のLは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
【化2】
000005 
   [式(a1)中、
  IExGは、イオン交換基を示し、
  Lは、単結合又は-SO-を示し、
  xは、1~10の整数を示し、
  *は、結合手を示す。
  複数のIExGは、互いに同一でも異なっていてもよく、
  複数のLは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
【化3】

式(a2)中、
  Arは、イオン交換基を有しないアリーレン基を示し、
  Lは、単結合又は-SO-を示し、
  yは、2~20の整数を示し、
  *は、結合手を示す。
  複数のArは、互いに同一でも異なっていてもよく、
  複数のLは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項2】
  前記式(a1)で表される構成単位が、前記イオン交換基として、スルホ
ン基、アルキルスルホン基及びスルホンイミド基からなる群より選択され
る少なくとも一種を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
  前記式(a2)で表される構成単位が、前記アリーレン基として、フェニ
レン基、ナフチレン基及びフルオレン基からなる群より選択される少なく
とも一種を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
  数平均分子量が、20000~300000である、請求項1に記載の
ポリマー。
【請求項5】
  スルフィド基を有する重合体の酸化物であって、
  前記重合体が、下記式(b1)で表される化合物と下記式(b2)で表
される化合物との重合体である、ポリマー。
【化4】

[式(b1)中、
  IExGは、イオン交換基を示し、
  Lは、単結合、-S-又は-SO-を示し、
  X1b及びX2bは、それぞれ独立して、ハロゲン原子を示し、
  xは、1~10の整数を示す。
  複数のIExGは、互いに同一でも異なっていてもよく、
  複数のLは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
【化5】

[式(b2)中、
  Arは、イオン交換基を有しないアリーレン基を示し、
  Lは、単結合、-S-又は-SO-を示し、
  Z1b及びZ2bは、それぞれ独立して、チオール基、ハロゲン原子、ボ
ロン酸基、アルキルボラン基又はボロン酸エステル基を示し、
  yは、2~20の整数を示す。
  複数のArは、互いに同一でも異なっていてもよく、
  複数のLは、互いに同一でも異なっていてもよい。]
【請求項6】
  請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマーを含有する、電解質材料。
【請求項7】
  請求項1~5のいずれか一項に記載のポリマーを含有する、電解質膜。
【請求項8】
  請求項7に記載の電解質膜と、該電解質膜の一方面上又は両面上に配置
された触媒層と、を備える、触媒層付き電解質膜。
【請求項9】
  請求項7に記載の電解質膜と、該電解質膜の一方面上又は両面上に配置
された電極層と、を備える、膜電極接合体。
【請求項10】
  請求項9に記載の膜電極接合体を備える、固体高分子形燃料電池。
【請求項11】
  請求項9に記載の膜電極接合体を備える、固体高分子形水電解装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】本発明は、ポリマー、電解質材料、電解質膜、触媒層付き電
解質膜、膜電極接合体、固体高分子形燃料電池及び固体高分子形水電解装
に関する。
【背景技術】【0002】
近年、環境問題を背景にエネルギー効率の高い新エネルギー技術として燃
料電池が脚光を浴びている。なかでも電解質にポリマー(高分子)材料を
用いた固体高分子形燃料電池は、最大電流密度が高く、しかも低温で作動
することから、自動車等の移動用動力源や携帯電子機器等の小容量電源に
適しており、特に注目されている。
【0003】固体高分子形燃料電池の電解質に使用されるポリマー(電解
質ポリマー)としては、フッ素系ポリマーが知られている(例えば、特許
文献1参照。)。フッ素系ポリマーは、高いプロトン伝導度及び優れた化
学耐久性を有することから電解質用途で広く使用されているものの、コス
トが高く、環境負荷も大きいという問題がある。
【0004】このような理由から、フッ素を用いない電解質ポリマーの開
発も進められている。例えば、特許文献2には、イオン性基を含有するセ
グメント(A1)とイオン性基を含有しないセグメント(A2)をそれぞ
れ1個以上含有するブロック共重合体からなる高分子電解質膜に関する発
明が開示されている。
【発明の効果】(電解質膜の作製)
  得られたポリマー(P3)をDMSOに溶解し、ポリマー(P3)を10
質量%含む溶液を得た。得られた溶液をガラス基板上に流延塗布し、60
℃で12時間乾燥して膜(膜厚49μm)を得た。得られた膜を1Mの塩
酸に24時間浸漬して金属イオン(Na又はK)をプロトン(H
に置換した後に、純水中に浸漬して十分に洗浄し、減圧乾燥することで、
比較例1のポリマー電解質膜(プロトン置換されたポリマー(P3)から
なる電解質膜)を得た。
【0157】(評価)
  本比較例のポリマー電解質膜について実施例1と同様の手法で各種評価
(プロトン伝導度評価、化学耐久性評価、水素ガス透過性試験、及び、S
AXS測定)を行った。プロトン伝導度は、231mS/cm(80℃相
対湿度100%)であった。フェントン試験では、試験中にポリマー電解
質膜が完全に溶解し、膜形状を保持できなかったため、質量維持率及びプ
ロトン伝導度維持率はともに0%となった。水素ガス透過率は、0.15×
10-7cm・mm/(cm・s・kPa)(80℃相対湿度60%)
であった。SAXS測定によるdry状態及びwet状態での面間隔dは
それぞれ3.6nm及び5.5nmであった。
【0158】<比較例2>
(電解質膜の作製)
  ポリマー(P3)に代えて実施例1で得られたポリマー(P1)を用いた
こと以外は、比較例1と同様の手法により、比較例2のポリマー電解質膜
(プロトン置換されたポリマー(P1)からなる電解質膜)を得た。電解
質膜の膜厚は37μmとした。
【0159】(評価)
  本比較例のポリマー電解質膜について実施例1と同様の手法で各種評価(
プロトン伝導度評価、化学耐久性評価、水素ガス透過性試験、及び、SA
XS測定)を行った。プロトン伝導度は、185mS/cm(80℃相対
湿度100%)であった。フェントン試験では、試験中にポリマー電解質
膜が完全に溶解し、膜形状を保持できなかったため、質量維持率及びプロ
トン伝導度維持率はともに0%となった。水素ガス透過率は、0.14×
10-7cm・mm/(cm・s・kPa)(80℃相対湿度60%)
であった。SAXS測定によるdry状態及びwet状態での面間隔dは
それぞれ3.9nm及び5.4nmであった。
【0160】<比較例3>
  比較例3では、評価サンプルとして市販のNafionTM  NR211
を用い、実施例1と同様の手法で各種評価(プロトン伝導度評価、化学耐
久性評価、水素ガス透過性試験、及び、SAXS測定)を行った。プロト
ン伝導度は、130mS/cm(80℃相対湿度100%)であった。フ
ェントン試験での質量維持率及びプロトン伝導度維持率は100%であっ
た。水素ガス透過率は、1.03×10-7cm・mm/(cm・s・
kPa)(80℃相対湿度60%)であった。SAXS測定によるdry
状態及びwet状態での面間隔dはそれぞれ3.3nm及び5.3nmで
あった。
表1.
000037
                              以上
🪄全固体有機樹脂型電解膜及び電池(APEM
/APB)に関しては再度特集
     掲載する。水電解だけでなく海水電解も掲載したい。
 今日の言葉:
  
 春が来ても、鳥たちは姿を消し、鳴き声も聞こえない。
                           春だというのに自然は沈黙している。

                             レイチェル・カーソン 『沈黙の春』   
                         (因果報応の季節風)より

                                                                                   

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