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オバマ健保改革法案上院可決  Obama's New Hurdles in 2010

2009-12-25 | 米国・EU動向
2009年12月25日(金)

オバマ大統領が選挙公約の最大の眼目として政治生命を掛けている健康保険改革法案が、クリスマスイブに上院で可決された。

民主党が絶対多数を確保している下院ではすでに先月可決されているが、上院での審議は難渋を極めた。24日間にわたるその審議の裏側で、民主党と共和党の間のみならず、民主党議員団の間での調整作業に時間を要し、ようやく投票にこぎつけたものである。

大統領は「歴史的な評決」(a historic vote)と歓迎の意を表明して、「この法案は、1930年代の社会保障法the Social Security Actや、1960年代の医療保険制度導入Medicare以来の重要な社会政策法となる」と記者会見で語り、「この法案による健保制度を導入すれば、これから10年にわたって最大の支出削減計画となる」と賞賛した。

このあと大統領は、休暇先のハワイに一家そろって旅立った。しかし、年明けには、難航が予想される上下両院案の調整作業による一本化と、一本化された法案の両院における投票が待っている。

上院の定数100に対して、票決結果は60:39で、棄権1であった。共和党による審議妨害(filibustering)を阻止できるぎりぎりの票数が60(super majority)であるからまさに薄氷を踏む思いの結末であった。共和党は、老齢議員が欠席による棄権をしたことを除いて、全員が党議(the party- line)を守って反対に回った。一方、60票の多数を確保するために、民主党の58票に加えて、独立系議員2名を必死に説得できたことが民主党案の成立につながった。

このように、両党合意(bipartisan)の上での法案形成をあくまでも望んだ大統領の意図は実現できなかった。そして共和党議員のほとんどは、「将来の世代に莫大なツケを回すもの」として絶対阻止を表明して闘志を新たにしている。

また、60票の確保のために譲歩を繰り返した結果、下院案から、公的保険(a public option)などの点で大きく乖離してしまった上院案には反対を唱える民主党議員も多く、年明けの展開は予断を許さない。