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米国健保改革法は越年 Public Option and Abortion Funding

2009-12-23 | 米国・EU動向
2009年12月23日(水)

オバマ大統領の選挙公約であり政権の重要課題である健康保険制度の改革法案が、さまざまな駆け引きと取引の末に上院採決につながる一里塚を通過した。

共和党議員の一人が最後の最後になって賛成に回って「審議打ち切り動議」が可決され、クリスマスイブの最終投票に掛けられることとなったのである。このためオバマ大統領は、年末のハワイ休暇への出発を遅らせ、投票結果を見守ることとした。

上院で可決されても法案の成立のためには、すでに可決されている下院案との調整のために、両院の議長が取り仕切る調整会議(conference committee)に掛けられる。そこで法案は一本化され、再び両院で単純多数決の投票に掛けられることになっている。

両院の法案の見かけは似ているが、重要な争点で大きく異なっている。そのため問題は上院案と下院案の間の相違の一本化が進んだとしても、その内容が議員個人の主張とかけ離れた場合反対に回る公算が高いのである。すでにそう宣言している議員もいて、特に民主党と共和党の勢力が伯仲する上院での再投票結果は予断を許さない。

争点は、「政府管掌健康保険」(public option)の導入の可否、「堕胎を健保対象にするか否か」(abortion funding)の二つに集約されている。そして、所要費用については、上院案は8710億ドル(約87兆円)、下院案は1兆ドル(約100兆円)となっている。

NewsWeek誌電子版は、「何ヶ月もの紆余曲折があったが、本当の駆け引きはこれから始まる(Despite months of going back and forth, the real bargaining has yet to begin.)」と結んでいる。