世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

パラリンピック閉会式標語:Harmonious Cacophony

2021-09-05 | グローバル文化
本日開催の東京パラリンピック閉会式の標語は、"Harmonious Cacophony"と発表されている。cacophonyとは不協和音ないし、不快な大音響のこと。直訳すれば、「調和する不協和音」となるが、それだけでは相反する概念を合わせた自己撞着語となる。英語では、a wise foolのような明らかに、矛盾する言葉を組み合わせて、目を引こうとする語法をoxymoronという。

開催者の意図は、主義主張や、利害が相反する世界の人々も、東京で一堂に会して、美しい旋律を奏でましょうというところにあるに違いがないだろう。それならばこんなもって回った言い方をせず、普通の人が聞きなれたストレートな表現のほうが良かったかなと思ってしまう。


A Political Football (政争の具)

2021-09-04 | グローバル政治
菅首相は、昨日「自民党総裁選挙に出馬しない」と発表して、日本中を驚かせた。

横浜市長選挙で推した候補が惨敗して以後、ここ1週間のかれの動きの結果がすべて裏目に出て、進退窮まったというのが実相だろう。コロナ対策、総裁選、総選挙、党人事、内閣人事すべてが、「政争の具」になって一挙に降りかかり、かれはその重みに耐えきれず、座屈現象を起こしてしまったようだ。

政争の具は、米国ではpolitical footballという。この試合で、菅首相は、掴んだボールをもって突如一人で快走して(running with it.)一挙に挽回しようとしたが、老練な寝技政治家たちのtackleをかわせず、fumbleしてしまった。落ちたボールは二度と戻ってこなかった。