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バーナンキ議長「2009年の時の人」に Ben Bernanke is a nerd

2009-12-17 | グローバル経済
2009年12月17日(木)

Timeは、今年の時の人に、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB: Federal Reserve Board)議長のBen Bernanke氏を選んで、その表紙を飾った。選定の理由について、その電子版の見出しで、「今年最大の話題は、FRBの運営を託されたこの温和な紳士が対策をうたなければもっと悪化したであろう景気のことである」と説明している。

同氏の人となりについての描写が続く。「彼にはあたりを睥睨する威圧感はない。人を引き込む話術もない。「私に注目して」型の自己顕示欲も、「私の言うことを聞け」型のカリスマ性もない。議論の中身には党派性や主義に凝り固まったところがなく、データと最新の学説に依拠した論理性に貫かれている。

わからないことに遭遇したときでも、強弁したり知ったかぶりしたりすることはない。もともとプロフェッサーだけあって、プロフェッショナルな人であるのもうなずけることである。

別の言葉で言えば、ワシントン政界の典型である権力志向ではない。ディナー・パーティを渡り歩く御仁でもない。家で夫人と夕食を食べ、皿洗いをし、ごみを出してから、クロスワードか読書に興じる毎日である。」

そして、かれの人物評は、「Because Ben Bernanke is a nerd.(ベン・バーナンキは、オタク人間なのだ)」という極め付きの言葉で締めくくられている。

同議長は、プリンストン大学の経済学の教授で、1930年代の米国の「大恐慌」の著名な研究者である。恐慌を引き起こしたのは、景気の後退局面で、金融の引き締めに走るという失政にあったとする信念を持つ。

今回米国政府の対策が極めて迅速に巨額の救済資金を、金融界、実業界、消費者ローンの借り手の救済に注入し、前例のないゼロ金利政策をとったのも、同議長の長年の信念と理論に基づくものである。

はげ頭と白いひげと疲れた眼をした男(A bald man with a gray beard and tired eyes)の戦いに、まだまだ終わりは遠い。