2009年5月31日(日)
アデランスの株主総会で、会社側取締役選任案が否決され、スティール・パートナーズ案が可決された事態を、29日の日経新聞は、「アデランス再建混迷」との大きな見出しで報道している。「株主が総会で、会社案と違う選択をした」という、資本主義の原則に従ったにすぎない事態を「混迷」と報道するのは、日経新聞の「主張」であり、「事実」と「意見」を分離しない日本のメディアの典型的な報道姿勢である。
同じ日の、Financial Timesは、日本の企業統治(corporate governance)のあり方について、同社のMichiyo Nakamoto記者の署名入りで、「企業統治のルールつくりで日本国内が割れる」との「論評記事」を掲載している。企業統治をめぐる、経団連と経産省の路線対立がもとで、日本の戦後経済の成功をさせてきた政界・財界・官僚の鉄壁の三角形(an iron triangle)の伝統にひびが入ったと報じている記事の趣旨は:
そもそも、「日本の上場企業2,634社の中で、“委員会等設置会社方式”を採用しているのは、56社に過ぎず、社外取締役が存在する会社は、1,057社に過ぎない。」
こうした状況下で、「米国商工会議所など、欧米系の株主の利益を代表する団体から、「上場企業の取締役会は、三分の一以上は、社外の独立した取締役(independent outside directors)で構成すべき」との意見具申が行われていて、それを背景に、「日本の株式市場の地位後退を懸念する経産省などが、積極的に、企業統治の変革をしようとしている。」
しかし、「“確固たる信念の人御手洗会長(the indomitable Fujio Mitarai)”に率いられる経団連は、経産省や、金融庁、東京証券取引所が進めようとしている、社外取締役の活用による上場会社の企業統治の“抜本的改善”に反対している。そして海外投資家の心配や、経産省の動きに対して、「そもそも、社外取締役の存在と企業業績は何の関係もない」というのが経団連のとっている立場である。
来月に予定されている経産省の企業統治改革案は、妥協の産物として、「社外取締役の数を過半数とすることを原則として、そうしない場合は、企業統治の方法を明示的に説明せよ」という英国型の”comply or explain”方式が採用されるだろう。
しかし、「いまの経産省の力と世論の無関心という状況では、経団連の反対を突破して、画期的な企業統治を強制することはできないだろう」との意見を紹介して記事を締めくくっている。
アデランスの株主総会で、会社側取締役選任案が否決され、スティール・パートナーズ案が可決された事態を、29日の日経新聞は、「アデランス再建混迷」との大きな見出しで報道している。「株主が総会で、会社案と違う選択をした」という、資本主義の原則に従ったにすぎない事態を「混迷」と報道するのは、日経新聞の「主張」であり、「事実」と「意見」を分離しない日本のメディアの典型的な報道姿勢である。
同じ日の、Financial Timesは、日本の企業統治(corporate governance)のあり方について、同社のMichiyo Nakamoto記者の署名入りで、「企業統治のルールつくりで日本国内が割れる」との「論評記事」を掲載している。企業統治をめぐる、経団連と経産省の路線対立がもとで、日本の戦後経済の成功をさせてきた政界・財界・官僚の鉄壁の三角形(an iron triangle)の伝統にひびが入ったと報じている記事の趣旨は:
そもそも、「日本の上場企業2,634社の中で、“委員会等設置会社方式”を採用しているのは、56社に過ぎず、社外取締役が存在する会社は、1,057社に過ぎない。」
こうした状況下で、「米国商工会議所など、欧米系の株主の利益を代表する団体から、「上場企業の取締役会は、三分の一以上は、社外の独立した取締役(independent outside directors)で構成すべき」との意見具申が行われていて、それを背景に、「日本の株式市場の地位後退を懸念する経産省などが、積極的に、企業統治の変革をしようとしている。」
しかし、「“確固たる信念の人御手洗会長(the indomitable Fujio Mitarai)”に率いられる経団連は、経産省や、金融庁、東京証券取引所が進めようとしている、社外取締役の活用による上場会社の企業統治の“抜本的改善”に反対している。そして海外投資家の心配や、経産省の動きに対して、「そもそも、社外取締役の存在と企業業績は何の関係もない」というのが経団連のとっている立場である。
来月に予定されている経産省の企業統治改革案は、妥協の産物として、「社外取締役の数を過半数とすることを原則として、そうしない場合は、企業統治の方法を明示的に説明せよ」という英国型の”comply or explain”方式が採用されるだろう。
しかし、「いまの経産省の力と世論の無関心という状況では、経団連の反対を突破して、画期的な企業統治を強制することはできないだろう」との意見を紹介して記事を締めくくっている。