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オバマ、アフガン派兵方針明日発表 To ‘finish the job’

2009-12-01 | グローバル政治
2001年12月1日(火)

オバマ大統領は、就任時にイラク撤兵とアフガン増派方針を打ち出しながらその後、最終決定を先送りしてきた。いよいよ先送りの限度である年末を控えて、火曜日夕刻(日本時間水曜日10:00)に、公式発表することを明らかにした。大統領発表では、増派規模の決定に加えて、増派の理由付けと、撤兵時期の明示が求められている。

最終段階でここまで増派についての意思決定が遅れた理由は、まず、アフガンの大統領選挙による不正投票が白日の下にさらした同国政府内にはびこる汚職の実態である。そしてタリバン掃蕩作戦がおよそ成功することがおよびもつかないほど膠着し、同盟軍の死者が急増していることである。そして現地軍司令官の4万人以上の増派要請に対し、現地大使が反対するという異例の事態に立ち至ったことがあげられる。

火曜日の大統領演説に先立ち、日曜日夜にヒラリー国務長官、ゲイツ国防長官に加え、McChrystal現地司令官とKarl Eikenberry大使を交えた緊急ビデオ会議が招集され、大統領から方針の説明があった模様である。それを受けて米国のメディアは、増派規模を3万人と推定報道している。これが事実とすると現在アフガニスタンには、68,000人の米軍が駐留しているので、ほぼ10万人の規模となる。

これに先立ち、オバマ大統領は先週、「自分の任期中にアフガン問題を片付ける(finish the job)」 と宣言している。またオバマ大統領を側面援助するために、盟邦英国のBrown首相は、5,000人の増派を決定し、派遣軍の規模を1万人にすることを議会に説明した。

イタリアのFranco Frattini外務大臣も増派をすでに発表している。オバマ大統領は、すでに英・仏・伊・露の各国首脳に直接電話で説明、ワシントン訪問中のオーストラリアのKevin Rudd首相には直接説明を行ったことが明らかになっている。

Brown首相は議会で、英国内からテロの危険を排除するためには、アフガン・パキスタン地域のアルカイダやタリバン勢力を駆逐することが必要と力説し、「この問題が生じたところで、同盟軍とともに戦わねば、われわれの義務を果たしたことにはならない」"We should be failing in our duty if we didn't work with our allies to deal with the problem where it starts."と発言している。

歴史を紐解けば、英国は、1838-42年と1878-80年の2回にわたり、ロシアとイランの勢力拡大を阻止するためにアフガンに侵攻し、現地のゲリラ軍に完膚なきまでに敗北を喫したという因縁の場所である。1979年に侵攻したソ連軍も、米国の支援を受けたタリバンに対して悲劇的な敗北を喫し、ソ連軍の権威失墜から、ベルリンの壁崩壊に至ったことは記憶に新しい。今タリバンに、米国をはじめとする西側同盟軍が挑んで、苦汁をなめている。