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旧ソ連の敗軍の将、アフガン敗退を語る An Unwinnable War

2009-12-03 | 世界から見た日本
2009年12月3日(木)

昨日のオバマ大統領のアフガニスタン戦線への3万人増派決定に対して、米国議会内で厳しい質問にさらされはじめているが、CNNは旧ソ連軍の将軍で、国防副大臣まで務めたVictor Yermakov元司令官とのインタビューの結果を報じている。

同将軍の警告の言葉は、「戦禍の地で歴史は繰り返される。米国とその同盟軍はいよいよ’勝利なき戦い’の泥沼に苦しむことになる」(The United States and its allies become increasingly mired in an "unwinnable war.")ということに尽きている。

「ソ連は、1979年の侵攻以来9年間に15,000人の戦死者を出すという血みどろの戦いの末、10万人の将兵を無残な形で撤兵させざるを得なかった。それがソ連経済の破綻にもつながった。アフガン人を武力で屈服させようとした試みは失敗した。そしてアフガンは、‘ソ連のベトナム戦争’と化した。20年後の今日オバマ大統領は10万の米軍と、4.5万の同盟軍で同じことをしようとしている」

「われわれも、大軍を繰り出したが、決してアフガン征服が目的ではなかった。政治的安定化のために国際協力の手を差し伸べようという大義の下にやったのではある。しかし武力で民主主義を押し付けることはできない」

「アフガン人は、今日は外国人の言うことを聞くふりをする。米国民主主義は最高だと。当時でさえアフガン人は、ソ連政体は最高だといってくれたのだ。しかし、撤兵すればその背中を撃ってくるのがアフガン人だ」

「16世紀にかの地に到着したチンギス汗の末裔である当時の最高指導者Baburは言った:アフガニスタンは征服されたことはない。誰にも降伏したことはない、自由を愛する民なのだと」

「武力で拠点確保をしたとしても、米軍はソ連軍と同じ過ちを犯すであろう。そこに友好的な政権を樹立させたとしても、米軍が去れば元の木阿弥と化す。ソ連が武力制圧できた地域でさえ、支配できたのは昼間だけで、夜になればムジャヘッディンの世界だった。米軍が昼間制圧しても、夜になればタリバンの世界であるのは今も同じだ」

ではどうすればよいのかという問いに対して、元将軍は、「軍事費に使う巨額の予算をそっくり民生安定化にそそぎこめばよいのだ。アフガン経済を立て直し、産業を興し、教育制度を確立し、学校やモスクを再建させることだ。ソ連は撤兵後そのような方向に転換して、それが機能することがわかった。残念ながらそれを思い知ったのは撤兵後4年も経った時であったことだ」と結んだ。