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イラク、外国資本を入れて石油大国へ The two-day auction

2009-12-13 | グローバル政治
2009年12月13日(日)

イラクが、石油確認埋蔵量(proven oil reserves)で、サウジアラビアに注ぐ世界第2位となる公算が高まり、OPEC内にも生産割り当て(quota)に関して大きな地殻変動が起きるだろうと、Financial Timesがトップ記事で報じている。

イラク政府は、油田開発を外国企業に開放する方針の下、金曜日と土曜日に国際公開入札を実施した。その結果、イラク政府は、先にExxonMobil、Eni、BPとの油田開発契約を調印したことに続いて、金曜日にはRoyal Dutch Shellと中国のCNPCの両社と、そして土曜日にはロシアのLukoilと立て続けに契約調印を行った。

現在イラクの石油埋蔵量は、1,150億バーレルとされており、サウジの2,640億バーレル、イランの1,370億バーレルの後塵を拝して世界第3位である。しかしこのイラクの数字は、1970年代に行われた調査に基づくものであり、その後の探査技術の長足の進歩の結果を考慮すると、サウジアラビアと比肩するものになると推定されている。

今回、各社と合意に達した内容を総合すると、今後10年以内に原油生産は、現在の日量730万バーレルから、サウジを越える日量1000万バーレルに達する計画となる。しかし、目標の生産に達するにはパイプライン、輸出港の施設整備、道路建設などのインフラ整備が大前提となっている。

そして、最も大きな問題は治安回復が進むかである。日本からは今回の入札で、石油資源開発がマレーシアのPetronasと組んで、日量23万バーレルの油田開発権を獲得したが、「治安安定化までは自社社員は現地入りさせない」と発表している。イラク国内では、宗派間対立から首都バグダッドのみならず全土で爆弾テロは沈静化するどころか、激しさを増している状況下治安問題は予断を許さない。

しかも今回の入札は、「戦後」の石油利権の獲得を目指す各社の激しい競争となり、それを反映して開発報酬はダンピングとも言うべきレベルまで下がった。果たしてそれが、石油の販売から得る利益と大きな開発リスクと見合うかどうかはわからない。

さらに大きな不確定要素として残るのは、来年3月に予定される総選挙によって安定的な政府が樹立されるかどうか、またその政府が今回の外国企業との契約をそのまま継続するかどうかである。