2008-12 No.023
昨年末の米国タイム誌の表紙を飾ったプーチン「首相」は、ツァーの称号を同誌から奉られましたが、一年でその帝王の座が揺らいでいます。プーチンの権力構造は、そのKGBで鍛えられた権謀術策と、内外の「敵」をねじ伏せる「力の行使」、世界に冠たるガス供給会社にのし上がったガスプロム(Gazprom)が産み出す莫大な「ドル収入」にありました。
しかしその「力の行使」による旧衛星諸国への軍事介入、ガス供給停止を武器にした「恫喝外交」、石油・ガス資源権益からの「外国資本の追い出し」を強行してきた付けが回ってきたのです。とくにShellやBPを敵に回したあからさまな「攘夷」政策は、外資のロシア離れ、それに伴う株式市場と通貨ルーブルの同時暴落を招きました。そしてそれに拍車をかけたのが、原油価格の急降下です。
プーチン首相は、何が何でも自分は「ルーブル切り下げ首相」として歴史に名を残したくないと、ルーブル防衛に血道をあげています。ルーブル防衛のために注入した資金は11月までの3ヶ月で、875億ドル、今なお週当たり60ないし100億ドルの外貨が流出中です。原油価格が147ドルをつけたころの外貨準備は、6000億ドルありましたが、もし40ドル台が続くと、来年末には2000億ドルに収縮すると予測されています。
しかしもっと大きな問題は、国内の社会不安が急速に増大していることです。11月だけでも40万人の失業が発生し、「反プーチン」の公然たる抗議運動が各地で多発しています。
状況は、「Putin is put in rouble trouble.」ということであります。
(FT 12/29/08)
昨年末の米国タイム誌の表紙を飾ったプーチン「首相」は、ツァーの称号を同誌から奉られましたが、一年でその帝王の座が揺らいでいます。プーチンの権力構造は、そのKGBで鍛えられた権謀術策と、内外の「敵」をねじ伏せる「力の行使」、世界に冠たるガス供給会社にのし上がったガスプロム(Gazprom)が産み出す莫大な「ドル収入」にありました。
しかしその「力の行使」による旧衛星諸国への軍事介入、ガス供給停止を武器にした「恫喝外交」、石油・ガス資源権益からの「外国資本の追い出し」を強行してきた付けが回ってきたのです。とくにShellやBPを敵に回したあからさまな「攘夷」政策は、外資のロシア離れ、それに伴う株式市場と通貨ルーブルの同時暴落を招きました。そしてそれに拍車をかけたのが、原油価格の急降下です。
プーチン首相は、何が何でも自分は「ルーブル切り下げ首相」として歴史に名を残したくないと、ルーブル防衛に血道をあげています。ルーブル防衛のために注入した資金は11月までの3ヶ月で、875億ドル、今なお週当たり60ないし100億ドルの外貨が流出中です。原油価格が147ドルをつけたころの外貨準備は、6000億ドルありましたが、もし40ドル台が続くと、来年末には2000億ドルに収縮すると予測されています。
しかしもっと大きな問題は、国内の社会不安が急速に増大していることです。11月だけでも40万人の失業が発生し、「反プーチン」の公然たる抗議運動が各地で多発しています。
状況は、「Putin is put in rouble trouble.」ということであります。
(FT 12/29/08)