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波高いコペンハーゲン会議の開幕 The e-mail Flap

2009-12-08 | 環境・エネルギー・食糧
2009年12月8日

地球温暖化対策を話し合い、「京都議定書」失効後の新しい枠組みの締結を目指すCOP15がコペンハーゲンで月曜日に開幕した。

初日は、主催者の国連が、協定に向かわせるためのムードを盛り上げに腐心したが、もっとも大きな障害は、CO2排出大国の米中がどれだけの実質排出削減に応じるかに尽きる。

それとともに、温暖化問題の原因をこれまで作ってこなかった貧しい発展途上国に、対策費用を先進国がどれだけ拠出できるかも大きな議論の対象となる。

会議開催前に、米国、中国、インド、ブラジル、南アフリカなどの、これまで京都議定書の中では具体的な削減目標値をコミットしてこなかった国々が今回数値目標を出してきたことは大きな前進ではあるが、その数値は低すぎるとの批判が強い。

こうした、会議前の世界の論調に対して、総会の議長を務める主催地デンマークのConnie Hedegaard 大臣は、「地球大気の上昇を摂氏2℃以内に抑えるべし」とする科学者のコンセンサスに向かって各国が肯定的に行動することが協定達成の可能性を高めるが、われわれはまだそこまでいたっていない。また途上国への経済援助について合意できるかどうかもこの会議の課題である」と発言している。

しかし、もっと注目されるのは、ノーベル賞の受賞者、IPCC議長のパチャウリ氏の発言であった。同氏は「温暖化防止の行動を!」と訴えたが、同時に最近英国の大学のサーバーに侵入したハッカーが、「地球環境科学者たちが、事実を歪曲させてまでも問題を誇大に宣伝しようとした意図があること」を示すe-mailを暴露した騒動(the e-mail flap)を取り上げた。

同氏は、地球温暖化を示す確固たる証拠を数え上げて、「これらの数々の証拠は一致して地球温暖化傾向に関する科学的研究成果を裏付けている」と、今回指弾されている科学者の研究も含めて、異例の擁護の発言をしたことが注目される。

パチャウリ氏が、会議冒頭であえて言及しなければならないほど、地球温暖化研究のための科学者の方法論や、温暖化現象の科学的解釈について疑義をさしはさむ圧力も高まっている。それは純粋の科学的見地からの反論もあれば、政治的な意図に基づくものもある。