米国議会では、1兆ドルのインフラ予算法案と、1.75兆ドルの民生支援向け歳出・歳入法案は、民主党内部の意見の分裂で、その成立が危ぶまれていたが、ペロシ下院議長の采配で、インフラ予算法案のみを切り離してまず採決に持ち込むという作戦に転じ、米国時間金曜日夜に下院で可決された。
この法案は、すでに上院で可決しているので、バイデン大統領の署名で成立することになる。バイデン大統領の公共投資計画のうち、エネルギー・環境に直接関連するものを2つ抽出すると次の通りとなる:
1."Build a national network of electric vehicle (EV) chargers"
電気自動車の充電ステーションの全米ネットワーク構築:EVの普及のために何より重要な充電ステーションのネットワーク構築の75億ドルを投じ、ステーション数を全米で50万か所に拡大する計画。
2."Upgrade our power infrastructure to deliver clean, reliable energy across the country and deploy cutting-edge energy technology to achieve a zero-emissions future"
脱炭素のために必要な再生可能エネルギーの活用のためには、送電網の更新・増強が必須であり、このために650億ドルを投じる計画)
今後10年にわたり、老朽化した社会・産業インフラを110兆円という巨額の投資で、再建(Build back)しようとする壮大な計画となる。わが国も成長とインフラ再建を同時に果たし、脱炭素に向けて力強く舵を切る政策の推進が望まれる。