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米国の「日本病」いよいよ重篤 Interest rates exceptionally low until mid-2013

2011-08-28 | グローバル経済
2011/08/28 (ワシントンにて)

日本はこの20年間、いかなる経済金融政策を打っても成長率は回復せず、国家財政はますます赤字を重積させ、銀行家はその赤字国債を買って、低金利預金との利ざやで経営する安易な道しかとらない。日銀は、世界どころか日本国内からもその存在を無視される。国内経済は産業空洞化、人口減少と高齢化で自ら世界の一流国から二流国への道をひた走る。

これを欧米は「日本病」と揶揄して、金融グローバリゼーションで儲けられない日本を小ばかにしてきた。しかしこの日本病は欧米にも静かに伝染していたことがはっきりしてきた。FTがJapanization(日本化)とこのところ喧伝を始めているが、バーナンキ連邦準備制度議長が、Fed金利、短期金利の低レベル誘導を2013年半ばまで続けると、公言したことは重大である。

連邦準備制度のバーナンキ議長と、欧州中銀のジャンクロード トリシェ総裁が金曜日に、連邦準備制度の年次会議を開催したワイオミング州のジャクソンホールで会談した。そこで議長は、総裁に対して「9月になれば、米国景気回復のためのありとあらゆる手段を取る用意ができている(prepared to employ its tools as appropriate to promote a stronger recovery)と伝えた。「このため9月の連邦準備制度の政策会議には十分な時間を掛けるつもり」であるとも言明した。

ただ、議長の言葉は昨年のように景気回復に掛ける強い調子に欠けるところがあり、さらに世間が注視する第三次金融緩和策、いわゆるQE3(quantative easing)の実行には触れなかった。

この議長発言に市場の反応は薄く株価も値動きが小さかったが、連邦準備制度がQE3策を取らないわけは無いとの見方はとっくに織り込み済みだからとの意見が強い。次々と発表される景気関連データは弱弱しい。第二四半期の成長率は年率1.3%から1.0%に下方修正された。また連邦政府の赤字幅に制限が加えられたことに市場が失望していると政府の政策を批判する向きも多い。

注目は9月のLabor Dayの祝日明けのオバマ大統領の施政方針演説に当てられている。バーナンキは、経済金融政策のボールをオバマ大統領にぽんと投げてよこした感があるとFTはウォールストリートの見方を報じている。

バーナンキ議長は、「経済指標は弱弱しいし、インフレは予想値を下回っている。短期金利は2013年中半まで、超低水準を底這いするだろう」との連邦準備制度の見方を繰り返しながら、それは「100%以上の確率で起こる(it is the most likely outcome rather than a certainty.)」とまで言いきったのだ。「いまの工場稼働率、失業率やインフレ動向を見るとこれから2年間はFed目標金利は現在の低水準に据え置かれるだろう」と宣言した。

比較相対において意図的ドル安政策の結果、元高となり、2兆ドルの米国国債が格付けが下げられて、しかも低利となるという未経験領域に追い込まれた中国政府の対応を観察するのは興味深いことである。