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COP15は政治決着で結論持ち越しA Meaningful Agreement?

2009-12-19 | 環境・エネルギー・食糧
2009年12月19日(土)

コペンハーゲンで開催されてきた地球温暖化ガス排出制限交渉は、2週間にわたる対立と混乱の末、金曜日の深夜ぎりぎりで政治的な文書で合意に達したが、法的拘束性のある条約とすることは、現行の京都議定書の期限である2012年末まで先送りされた模様である。

現地の金曜日午後11時時点で、米国は、「意味のある協定」(a meaningful agreement) が形成されたと発表しているが、国連とその他主要各国からは、まだ明確な形でその協定に合意したとの声明がだされていない状況である。

以上を総合するに、実質的な削減目標設定には失敗したが、総括的な政治合意という形を取りながら、実質的な詳細は来年以降に持ち越したというべきなのであろう。

オバマ大統領は、「まだ合意内容は不十分だし、これからやるべきことが多い」といながらも自ら今回の合意を「史上初」と評価し、「合意は法的拘束力がないこと」を認めながらも、これから各国が排出削減目標を設定することに期待をかける発言を行っている。

現時点でわかっている合意内容は、具体的な削減の数値目標に代えて、「地球の平均気温の上昇を産業革命以前と比較して、2℃以内に抑えること」を目標とすること、今後3年間に3兆円を途上国の援助に拠出し2020年にはその額を毎年10兆円まで増額することである。

今回最終段階に来て最も大きな障害になったのは、米中の対立であった。米国は削減目標の設定とともにその実効についての検証を、国際的に「透明性」(transparency)のある方法(subjected to a form of international monitoring,)とすべきと強く主張し、中国は、「他国を疑うような制度に断固反対する」と、内政干渉を排する態度を変えなかった。

そして今回のもっとも大きな収穫は、ブッシュ大統領が京都議定書を離脱して世界の潮流にさおをさしてきた米国が、温暖化ガス削減条約の枠組みに積極参加をコミットしたことといえる。その意味で今回オバマ大統領が現地で、温家宝首相と二度にわたり直接折衝を行うなどの努力をしたことは高く評価される。