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世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

GAFA またの名を『黙示録の四騎士』

2019-01-02 | グローバル企業
世界をインターネットを中心に再構成して、我々の日常に深く浸透し、心までを支配せんとしているしている世界企業であるGoogle, Apple, Facebook, Amazonの4社は、その頭文字を取ってGAFAとよばれている。発音はガーファ、またはギャッファ。全世界に浸透し、時には政府の規制や課税に反抗して、新たな独占と支配を強めている。

かれらの実態と影響力を知るためには、東洋経済新報社から出た『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』を読むのが早い。(著者は米国のMBA大学院教授のScott Galloway氏、訳者は渡会圭子氏)これらの4社をヨハネの黙示録の四騎士にたとえること自体が、GAFAに対する著者の見解を明快に物語っている。したがって、我々が日ごろ漠然と持っていた不信感や不安について適切に答え、彼らやその後継となるインターネット上の企業の持つ暗部についての認識をしっかり持たせてくれる本である。(大幅に増補された原書最新版の記述をもとに改訂翻訳が出るのを待望する)

しかし、我々はInternetのなかった時代にもはや逆戻りはできない。米国で最も若いビリオネアと言われている、SnapchatのEvan Spiegel氏が、年末のFinancial Timesとのインタビューに答えて、『実世界とインターネット上の世界は今や同一だ』と高らかに宣言している。"The real world and the internet are one and the same" そのような時代が到来したことを素直に認めざるを得ない。しかし、心までの支配を許すわけにもいかない。GAFAのBig Brother化は見過ごせない。




ソニーを襲ったハッカー攻撃のすさまじさ Cyberattack

2014-12-31 | グローバル企業
12月30日付けのThe New York Timesが、今回従業員数7,000人のSony Picturesが受けたサイバー攻撃の顛末の一部始終を詳報している。

感謝祭の数日前に起こった同社のシステムに生じた障害は当初、通常のものと軽く考えられていたが、それは、契約書・予算書を含む膨大な量の文書の流出、データセンターのデータの完全消去、75%のサーバー破壊、未公開を含む5本のフィルムの窃取という重大な事態に展開して、企業が受けたハッカー攻撃としては前代未聞のものとなった。

個人のemailなどもすべて流出したために、CEOをはじめとする経営幹部の赤裸々な個人的情報、社会的制裁対象となりうる人種差別発言、俳優への悪口などがマスコミに流出してしまったことの影響は甚大である。また、北朝鮮と推定されているハッカーの圧力に屈して、件の映画"The Interview"の公開を一時的にせよ中止したことの企業イメージの悪化は今後も尾を引く問題を残した。

ハッカーはまだ公開しないでいる文書を、これから小出しにマスコミに漏えいする作戦を取るらしい。したがってSonyの被害は拡大の可能性が高い。

cybersecurity対策は、今後の政治・軍事・社会・企業経営上の重要課題として急浮上してきたというべきであろう。ハッカー攻撃は企業の存立も揺るがしかねない現代社会の大きな脅威となった感がある。

蛇足:最近の欧米mediaでは、サイバーに関しては、2語に分けたりハイフンでつながずに、cyberattack, cybersecurityなどと、、単一の単語としての表記が主流となってきた。言及する機会が多くなり単一概念としてとらえられ始めたということである。

もう一つのCPI: Corruption Perceptions Index

2014-12-30 | グローバル企業
CPIと言えば、普通Consumer Price Indexすなわち消費者物価指数をさすが、ここで紹介するのはTransparency Internationalというベルリンに本拠を置く反腐敗運動を推進する民間団体が毎年発表するCorruption Perceptions Index(汚職認識指数)のことである。

今年のIndexは世界175の国と地域について、各国の公共部門の汚職腐敗の指数とランキングが示されている。どのような基準で、だれが採点しているのかはつまびらかにしないが、この指数はかなりの年数の実績があるので、何らかの相対比較が可能である。点数は清潔度満点が100、最低点が0で表示されている。清潔度世界最高はデンマークの92点、日本は76点で世界15位となっている。日本の企業活動の公明性や、公的な政府間援助の有効性の観点から、こうしたランキングに敏感になることは必要なことである。特に公共性の高い商談、プロジェクト参画、投資の際のリスク分析と対策には活用することが望まれる。

ちなみに、BRICsと、その高度成長と潜在的な経済力の大きさが注目されてきた4ヶ国は、すべてCPI劣等生であることに十分な注意が必要である。ブラジル(69位、43点)、インド(85位、38点)、中国(100位、36点)、ロシア(136位、27位)となっている。また近年その超低賃金と経済未開度に着目して、日本企業が殺到しているミャンマーは、156位、21点という堂々たる汚職腐敗天国であることも留意の必要がある。

今、中国では習近平国家主席の政権強化のために、エネルギー・電力・自動車産業に照準を合わせた汚職摘発運動が最高潮に達している。またブラジルではブラジル最大の国営企業ペトロブラスの巨大利権をめぐって、政権与党を巻き込んだ一大疑獄の様相を呈しているが、与党は反撃のため、長年野党が支配してきたサンパウロ州の地下鉄プロジェクトに関して海外企業を標的に摘発が進んでいることを昨日のFinancial Timesが大きく報道している。正義は政治が決定することも大事な常識である。


名門コダックの孤独:特許切り売りでも出血止まらず Burn Through Cash

2011-10-01 | グローバル企業
2011-10-01

本日のThe New York Timesは、131年の名門写真フィルムメーカー、イーストマン・コダック社の経営危機を、「コダック、倒産のうわさの中、法律顧問と契約」との見出しで報道しているが、このニュースに同社株価は、金曜日のNY市場で54%下落し、同社は格付け機関Moody’sによって、「ジャンク」まで格下げされてしまった.


アナリストの一人は、「倒産のうわさは波紋を呼んでいるが、これはそうした連鎖反応(cascading effects)の一部である。いわば滝壺に真っ逆さまに落ちている状況といえる。」と評している。

同社は、2004年以来一度しか黒字決算をしたことがないという惨憺たる経営状況にある。原因はデジカメの普及でフィルム需要が急減したことにあるが、しかしそのデジカメも携帯端末にその地位を奪われるという、急速な技術革新が今なお進行中である。

同社は、起死回生を図るべく、フィルム以外の事業の拡大を図ってきた。インクジェット・プリンター部門への進出や、保有するディジタル・プリンティング特許の売却をもくろんだが、結局赤字の垂れ流し(burn through Cash)から脱却できていない。

今回の弁護士事務所2社と契約したことは、広く破産法適用申請準備(filing for bankruptcy)だと信じられているが、同社は必死にそれを打ち消している。リストラ実行や、知的財産権の売却のためには、法的な相談をする顧問弁護士事務所が絶対必要であるから、との説明である。

一方、倒産することを知りながら、片方で特許を売却して収益源とすることは、詐欺的権利譲渡(fraudulent conveyance)であるとの批判が出始めている。もちろんそのような事態となれば、買い手は詐害行為として、賠償を求めることはできる。しかし、こうした疑義が生じた以上、買い手としては購入に二の足を踏み、購入は倒産後に改めてということになるのは必定である。
100年続いたコア・ビジネスが、競合技術の出現で市場を喪失して蒸発してしまい、成功物語が一転、転落物語となってしまう典型例として、ビジネススクールのケーススタディーに長く使われることになるだろう。

SAP、対オラクル賠償金13億ドル支払判決 A Cost of Doing Business

2010-11-27 | グローバル企業
2010年11月27日(土)

オラクルは、ドイツの業務用ソフトの大手SAPを相手取って、カルフォルニア州の裁判所に、その子会社がソフトを盗用したとして、16.5億ドルの損害賠償を求めて民事訴訟を起こしていたが、このほど13億ドルの支払いを命ずる判決を勝ち取った。

訴因は、SAPが2005年に1000万ドルで買収した子会社TomorrowNowが、違法にオラクルのソフトをダウンロードして自社ソフトに組み込んで販売していたともの。SAPは違法行為を認めつつも実害は4000万ドル以下として対抗しており、今回の賠償額に関しても過大であるとして反訴するとしている。

今回のソフトの盗用での損害賠償金である約1,000億円は、過去の類似ケースに比較しても巨額(a blockbuster)であるが、そのSAP社への経営上のインパクトについてFinancial Timesの株式論評欄The LEX columnが解説している。

まずSAP社はこの判決に対して平静を保っている。そして投資家も、株価で1%下げたのみで過剰反応を起こしていない。これはその損害賠償額がSAPの株式の市場価値(SAP’s market capitalization)の2%にしか過ぎないこと、賠償金額も今後の上級裁判で減額が予想されること、ソフト業界では訴訟事は日常茶飯事(10 a penny)で、こうした賠償はいわば、税金のようなものだ(almost a cost of doing business)という認識があるからだと論評している。

とはいえ、1000億円が巨額であることに変わりがない。SAPの今年のフリーキャッシュフローは約2,600億円、来年は3,400億円くらいと予測されており、配当金を800億円支払っても、この賠償金支払いの余裕は十分ある。

しかし今年5月に行った、Sybaseの約5,000億円の大型買収で、現在バランスシートは債務超過の厳しい状況にあるので、今後の事業投資や、買収案件への取り組みは、慎重にならざるを得ない。

今年になって共同最高経営責任者に就任し、「保守的すぎるとの評判」(an old school reputation)のSAPに新風を吹き込み再活性化させると宣言したBill McDermottとJim Snabe両氏の出鼻をくじくものだとしている。

ソロスが率いるヘッジファンド業界の現状 Absolute Returns

2010-09-14 | グローバル企業
2010年9月14日(月)

世界の金融界に非常に大きな影響を与えながらも、規制当局がその行動の規制に乗り出せないでいるのがヘッジ・ファンドである。もともとは、ほとんどが90年代に始まった、たとえば一口1億円以上という超富裕層の投資を誘致して、大きく相場を張って大きく儲ける私募債であった。それが相場を張る際にリスクを回避するために多種多様なヘッジ商品に投資したり、その種の新しい金融商品を開発してきた。その名前はそうした行動様式に由来している。

Financial Timesは先週末にこのヘッジファンドの現状を報告する記事を掲載しているのでそれに沿って実態を垣間見てみよう。

総数7000社強といわれるヘッジファンドの上位10社の創立以来に稼ぎ出した総額は、1,530億ドル(約15兆円)で、業界の創出した利益の1/3を占めている。双璧をなすGeorge SorosのQuantum Fundと、John PaulsonのPaulson & Paulson Co.の2社の利益は、Walt DisneyとMcDonald’sを合わせたそれよりも大きいという。

ちなみにQuantum Fundは1973年の創立であるがこれまでの累積の利益は320億ドル、1994年創設のPaulson & Paulsonは、264億ドルに達している。

こうしたヘッジファンドの行動様式で、通常のファンドと違うところが2点ある。

一つは集める資金の流入を厳しく制限しているところがまず第1点目。彼らは巨大になり過ぎて自らに対する自律性が失われることを極度に嫌っているのだ。したがって、新参にとってヘッジファンドの投資家になることは難しい。ファンドのファンドが組成されて、間接的なヘッジファンド投資家ができるゆえんがここにある。

もう一つは、「絶対利益原則」(“absolute returns”)である。実績面でもこの点において追随を許さないのはやはりGeorge SorosであるとFinancial Timesは評している。これは、どんな時でもファンドの評価尺度は利益を出すことであり、一部のファンドが、他ファンド平均より損失が少なかったことを持って運用成績が良いとするのとは根本的に異なる。

昨今は、ヘッジファンドと称されるものが7,000社にも達すると、有象無象の感あり、と一部は評している。そしてだんだん大手による業界指導力がなくなっているとFinancial Timesは記事を結んでいる。

BP、四半期決算で1.5兆円の損失計上 A Leaner Machine

2010-07-28 | グローバル企業
2010年7月28日(水)

メキシコ湾の海底油田からの原因流出対策に全力を挙げるオイル・メジャーBPの第2四半期の決算が発表になった。同四半期の損失額は約1.5兆円で、同時に3兆円の資産売却と、CEOのTony Hayward氏の10月1日付けでの更迭を発表した。

今回、海上プラットフォーム爆発とその後の原油流出事故の復旧、流出原油回収、環境原状回復、損害賠償、罰金のために総額322億ドル(約3兆円)の引当金が取られた。税金還付を勘定に入れると純損失見込み額は約220億ドルとなる。

しかし、Credit Swisseのアナリストは、「BPの過失が明白になれば、損失額は126億ドル増える可能性がある」との警告を発しているとThe Wall Street Journalが伝えている。

「BPは、この措置で、同社の原油生産量は日量4百万バーレルから、3.5百万バーレルに縮小した上での再出発を目指す」と同紙が伝えている。同社幹部は、「この措置で、BPは生まれ変わる。また予想損失を十分カヴァーする体力もあるし、来年には復配できる」との自信を示している。また「この資産リストラにより、より贅肉を削ぎ落した筋肉質の会社(a more finely tuned, leaner, meaner machine)になれる可能性がある」と評価するアナリストもいる。

一方、「マコンド海底油田権益の共同所有者となっているAnadarko社と三井の両者は、ともに事故はBPの過失によるものとして損失分担責任を拒否しているが、これに対して、Tony Hayward CEOはあらゆる法的手段(through all legal means available)に訴えて両者を追及すると言明した」と同紙は伝えている。


BP、CEO更迭決定  "With Honor for the Sake of BP"

2010-07-26 | グローバル企業
2010年7月26日(月)

4月21日以来、ルイジアナ州沖合の海底油田からの原油流出事故に対処に苦しんできたBP取締役会は、現在のCEOであるTony Hayward氏を更迭し、後任に現在社長職(Managing Director)にあるBob Dudley氏を充てることを決定した模様と、The Wall Street JournalやFinancial Timesが報道している。

公式発表は、ロンドン時間の月曜日にもなされる手はずとなっている。取締役会は、先週からHayward氏に辞任を打診してきたが、同氏はすでに取締役会殿交渉結果、「会社のための名誉ある辞任」(resign "with honor for the sake of BP)として受け入れを決心しているという。

WSJの記事によれば、火曜日に予定されている第2四半期決算は、Hayward氏が行い、約2カ月の引き継ぎを経て、10月1日にBob Dudley氏に交代する手はずである。

Bob Dudley氏は、BPに吸収合併されたAmoco社出身の米国人、そして今回の事故地点にも近くその影響を受けているミシシッピ州の出身である。同氏はかつて、CEOのポジションをめぐってHayward氏と争った間柄であったが、今度の人事には同氏にとっても周囲にとっても驚きをもって受け止められているという。

現CEO Hayward氏は、今度の事故の対処、米国議会での証言、その後の失言(the gaffe)や行動で世論の強い非難にさらされてきた。それと好対照に昼夜を徹して現場指揮にあたってきたBob Dudley氏の株が上がったことや、米国人を英国の企業トップに据えることで対米世論の矛先をかわすということがこの更迭人事の背景である。

火曜日発表の第2四半期決算にどれだけの損失を織り込みまた将来の損失総額見積もりを発表するかに市場は強い関心を寄せている。現在までの事故対策費用は、一日当たり約100億円とWSJは算定している。

これには、今後多数提起される損害賠償は全く考慮されていない。BPはオバマ大統領との会見の際に、2兆円の供託金勘定の設定に合意しており、この払込原資を作るため、すでに7000億円の資産売却を決めている。

SEC、ゴールドマンに500億円の罰金で決着  Intentional or not

2010-07-18 | グローバル企業
2010年7月18日(日)

SEC(米国証券委員会)は、SECは、ゴールドマンサックスに対して、投資家に販売した金融商品CDOの組成に詐欺容疑(intentionally duping)があるとして調べを進めてきたが、先週木曜日に、550億ドルの罰金を科すとの決定を行った。

しかしSECのこの決定に至るまでには、内部の激しい意見対立の経緯があったことを、The Wall Street Journalが明らかにしている。

SECの決定は最高幹部5人の投票で行われるが、結果は3対2と票が割れた。民主党系コミッショナー賛成2票、共和党系反対2票に対して、オバマ大統領の信任厚いMary Schapiro 議長の票がすべてを決した。

ゴールドマン側は、顧客に破綻が確実化している金融商品を買わせ、自らはその商品の暴落を見越して逆張りに走ったことを肯定し、破綻確実な住宅金融証券をかき集めてそれをまとめた仕組み証券を組成したことについては、意図的ではなかったと否定してきたが、今回のSECの決定ではゴールドマンの行為が意図的(intentionally)であったか否かの判断は示されなかった。ゴールドマンに求められるのは、この罰金と「誤りがあった(a mistake)」と認めることのみである。

4月の議会証言で行ったその自己弁護、「まったく違法行為(wrongdoing)はなかった」、「破綻した金融商品CDOを組成した過程でも、自らその商品の暴落を予想して空売りを行ったことも、なんら糾弾されるべき行動はなかった」、「自社の利益を守ることが株主への忠実な行為である」、「空売りは自社のポジションから来る巨大なリスク回避のための必要な手段」、との主張を共和党系コミッショナーが支持したものとみられる。

この対立を反映して、SECが採決の根拠にしたのは、詐欺容疑としてもっとも厳しい規則10b(a sweeping antifraude provision)ではなく、詐欺意図については一段弱い規則17a(the lesser charge)であったと同紙が報じている。そしてゴールドマンは、これ以上のSEC捜査によって内部事情が外部に流出して、今後予想される民事損害賠償に不利になることを恐れて妥協に踏み切ったとされている。

一方、SEC自体も、金融危機を引き起こした金融・証券会社の行動の監督責任を問われていることもあり、厳罰をもって早期決着する必要があったが、共和党への政治的配慮を優先した形である。罰金額は巷間1000億円を超すと見られていたがその半分のレベルで妥協が図られた。

オバマ大統領が悲願としてきた金融改革法が間もなく施工されて、FRBやSECの監督権限の一元化や、強化が行われる。その法案が上院を通過した同じ週に、このゴールドマンに対する罰金が、SEC76の歴史でも最大級のレベルで決着したことは象徴的である。


グーグルと中国和解、サイト継続許可  A Face-saving Solution

2010-07-11 | グローバル企業
2010年7月11日(日)

先週金曜日突然、グーグルが、「中国政府から営業許可を得た」と発表して、中国が検閲問題で妥協することはないと見ていた業界を驚かせたと、Financial Timesが伝えている。

昨年来、中国政府はグーグルのサイト運営に干渉し、「ポルノへのアクセスを許している」 との理由で、中国語サイトを閉じることを命じたことから、米中政府間での問題に発展していた

グーグルの発表は、ブログ上のわずか2行で、「インターネット・コンテント・プロバイダーの営業許可が更新されたので、ウェブ検索機能を中国のユーザーに提供を継続することになりました」との趣旨となっている。中国側は取材に応じていない。

今回の妥協策は、中国国内のユーザーからのアクセスはいったん中継サイトへつながれ、さらにもう一回クリックしてから、香港に回送されるという手順を取ることになる。

しかし、今回の妥協策は検閲問題(censorship)の根本的解決にならないことをFTが指摘している。すなわちこのサイトへのアクセスの速度が遅いこと、中国政府が問題視する海外のサイトへのアクセスはブロックされてしまうことである。

今回は、グーグルの中国撤退という事態になれば米中政府間問題となることを避けたい中国政府と、4億人のユーザーのいる中国市場から「追い出されたくない」グーグルの双方の顔をたてるもの(a face-saving solution)だとしている。

そして、米国のグローバル企業として、通信の自由を侵すアクセス自主検閲をした会社としての汚名を残したくないグーグルにとって今回の措置は、「検閲をしているのはわが社ではない。中国政府だ」といえる措置だと言えるのが最大のグーグル側の利点であると論評している。(“Google is no longer the enforcer of censorship – China is.”)

中国市場でのグーグルの参入の歴史を同紙がまとめているので引用しておく:

2000年:中国語サイトGoogle.comのサービス開始。

2006年:中国国内向けのGoogle.cnを開設したが、中国政府の許可条件として「特定サイトへのアクセス制限を自主検閲すること」を受け入れたため、内外から強い批判を受けた。中国政府は、Google. Comを閉鎖させ、Google.cnに一本化。

2009年:中国政府が、ポルノサイト閲覧可能状態を理由に、Googl.cnの海外サイトへのアクセスを一方的に制限。

2010年:グーグルは「自主検閲を中止し、中国市場から撤退」を表明して公然と中国政府と対決姿勢を鮮明にした。中国国内の検索アクセスをすべて香港に回送する処置を取って対抗したが、6月になって中国政府は、グーグルの全面的サービスを禁止する方針を表明。

GE会長,中国とオバマを非難 Harsh Words for China & Obama

2010-07-02 | グローバル企業
2010年7月2日(金)

米国産業界を代表する多国籍企業GE(General Electric)のJeffrey Immelt会長が、ローマで開催された夕食会で、「中国の外国企業への敵対的な閉鎖性とオバマ大統領の過剰規制」を、歯に衣を着せぬ激しい調子で非難したことを、Financial Timesがトップで報じている。

居並ぶイタリア財界のトップを前にして、同氏は、「GEは、中国に’植民地化’されるのを嫌っている資源豊かな他の国への投資を模索し始めている」と前置きして、「中国は我々が成功を収めるのを見たくはないのだと思う」と、ますます強まる中国政府の閉鎖的な政策を強く非難した。

さらに、「中国はGEに5,300億円の売り上げをもたらしてはいるが、ここ25年間、中国において世界で最も厳しい商売をさせられてきた。中国もインドもGEにとって重要ではあるが、われわれは次を模索し始めている。資源に恵まれた、中東、アフリカ、中南米とインドネシアがそれだ。これらの国にはいわゆる中国による経済的植民地化を嫌い、独立の気概がある」と発言。

さらに同氏は、返す刀でオバマ大統領を非難した。

「嘆かわしいのは、やっと回復し始めたばかりの米国景気に水を差すのが、金融危機後の経済立て直しと称して大統領が取っている『過剰規制』(over-regulation)政策である」と批判したうえで、「米国経済界は大統領を好きでないし、大統領は経済界のことを好きではない。産業界を擁護するドイツのメルケル首相を見よ」と、オバマ大統領の経済政策を、前提なしに全否定した。

「米国民の気分は最悪。哀れなのは輸出に励む我々だ(a pathetic exporter)。もう一度米国産業界は世界に冠たる地位に復活しなければならないが、大統領と、こうも馬が合わなければ(not in sync)どうしようもない」

FTはこの記事の最後で、「会長のコメントは文脈から切り離されて報道された。しかも正確さに欠ける。会長のオバマ大統領に関する発言は、私的な夕食会席上での、米国政府との一般的な関係に言及したものでのものであり、同大統領のみについて語ったわけではない。中国についても、同国市場がGEにとって魅力があり、重要だと発言したものだ」とのGE側のコメントを掲載している。

一方、The Wall Street Journalは、直ちに反応して、「GE、報道されている会長発言から距離を置く」(GE Distances Itself From CEO's Reported Comments)との見出しのもとに、GEの「会長がローマの会合で中国とオバマ大統領を切って捨てるような発言をしたかの報道があるが、これはGEの会社としての見解を反映するものではない」とのコメントを伝えている。

そして、WSJは「記事の正確さには自信がある」とのFT側の反論も同時に言及している。

あれほど中国重視の企業姿勢を早くから打ち出し、巨額の投資も続けているGEのトップの発言の内容としても、タイミングも不可解である。またオバマ大統領の経済諮問委員として、科学技術振興や新規投資に関して政権と蜜月の関係を保ってきた同会長のいきなりの大統領批判はいぶかしい。

この発言は確実に大きな波紋を呼ぶことは間違いない。今後出てくるかもしれないWelch前会長の発言に注目しよう。



メキシコ湾油汚染拡大、さらにBP窮地に Unknown Unknowns

2010-05-26 | グローバル企業
2010年5月26日(水)


ルイジアナ州沖66kmの洋上で4月21日に発生した1500mの深海底油田爆発事故による原油の流出は現在もまだ止まらない。

油田の探査・掘削事業者であるBPは、事故発生以来懸命に流出防止策を講じてきたが、これまでのいくつかの試みは失敗に終わっており、環境破壊や漁業の操業停止の問題が深刻になるにつれ、米国政府と関係4州から厳しくその責任を追及されている。

そんな中FinancialTimesは、その株式欄LEX COLUMNで、イラク戦争の際に当時の米国のDonald Rumsfeld国防長官はその傲慢な物言いで数々の物議をかもしたが、その有名な言葉を借りてBPの苦境を株価の面から論じている。

『アナリストというものは、「既知の知見(known knowns)と、既知の未知見(known unknowns)」を定量化することに長けているが、その能力をBPのメキシコ湾岸事故という「未知の未知見(unknown unknowns)」に適用して投資家に何かを言うとすれば、「もう危険は去ったから安心していいよ」と誤った安心感を与えるようなものだ。

それはあたかも、まだ油がいっぱい漂う海に、「もう飛び込んでも大丈夫だよ」ということに等しい』

『すでに、事故以来BP株は時価総額で5.5兆円を失ったが、これだけの株価下落の後だから、BPの株を買って失敗しても、ポートフォリオで投資する投資家に対して、奥さんや投資委員会で叱られることを耐え忍ぶだけの心の準備を提供してくれているようなものだ。

しかし高値から30%も下げたとはいえ、いまからBP株を買いに出動するのは、大向こうをうならせるようなパーフォーマンス(a slam dunk)とは言い難い』

『ほかのオイルメジャーは、事故翌日以来率にしてBPの半分くらい下げたので、業界全体の下げからみると、BPの事故の影響による時価総額の喪失は、約2,6兆円と算定できる。

一方、今後発生する事故の直接損害と損害賠償の合計試算はいろいろと出されているが、1989年のExxon Valdezの原油流出事故をベースに算定されたものでは約8兆円となる。この場合、無税化できる罰金分を差し引いて、約5兆円がネットの損失総額と見込まれる』

『しかし、この算定はBPが早い時期に原油の噴出を封じることができた場合であり、対策が奏功しない場合には損害はもっと増えることは確実である。

そして今年の米国は中間選挙の年であり、政治的な圧力から、懲罰的損害賠償(punitive damages)が膨らむ可能性も高い』

『BPの株価は事故前には業界では比較的高く評価されたレベルにあったが、景気の先行き不安が高まる中、BP株に今後プレミアムが付いていくことは考えにくい。

ラムズフェルド流に、投資家に言うとすれば、「BP事故の影響は、われわれが知らないということも知らない類のことだ」(“These are things we do not know we don’t know.”)』

BPとBPから海上油田のリグの操業を請け負った会社が被る損害が計り知れないことが今回の事故が今までとは違うところである。深海底採掘のリスクを業界が初めて経験しているといえる。



BP原油流出事故で株価急落 dilatory, obfuscatory or legalistic

2010-05-06 | グローバル企業
2010年5月6日(木)

4月20日におきたルイジアナ州沖の原油掘削リグ(the Deepwater Horizon)の火災事故から発生した原油の流出は、対策に当たっているBPが、漏洩していた3ヶ所のうち1ヶ所をふさぐことができたとしているものの、なお日量5000バーレルの割合で続いている。

そして海面の油膜が、水曜日に同州最南端の岬に到達したとUSA Todayが速報している。

オバマ米大統領は2日、メキシコ湾の原油流出事故現場を視察し、「前例のない環境災害になる恐れがある」と語って、流出の広がりに強い懸念を示したが、このように現時点で流出を完全に止めるめどは立っておらず、空前の環境汚染事故になる公算が高い。

この事故に関する損害はすべてBPに支払わせると、オバマ大統領自身が公にし、またBPも「正当な損害はすべて賠償する」と言明している。すでにBPは対策に毎日7億円を支出しており、Louisiana、Mississippi、Alabama および Floridaの各州に25億円を費用の仮払いを行っている。

この事態を受けて、BPの株価は急落しており、5月4日時点で、時価総額が事故前の水準から2.8兆円減少する事態となっている。

ある試算によると、油井一本あたりの費用を100億円、毎日の支出が10億円で180日続くとして、総額約2000億円程度、そしてこれに損害賠償を加えても3000億円程度ではないかとしている。過去の大規模原油流出事故での損失総額が2500億円レベルであることに比較しても、BPが失った時価総額はあまりに大きすぎるとFinancial Timesが論評している。

一方、BPのCEOトニー・へイワード氏は、「トヨタや、ゴールドマンの首脳が最近米国議会で、いわば袋叩きにあったようなことを避けたい」として、米国議会にも3回も足を運んで世論対策に躍起となっていると、The Wall Street Journalが伝えている。

また1989年にアラスカでタンカー事故から原油流出を起こしたExxon Mobilの当時のCEOが現地にもワシントンにも訪問するのが遅れたことで非難を浴びた轍を踏みたくないとの思惑があるとも論評している。

BPのスポークスマンは、「こんな事故を起こしたときは、dilatory(時間稼ぎをしている)、 obfuscatory(あいまいな言葉でごまかす) legalistic(法律論を持ち出す)などと見られるのは得策ではない」とコメントしている。英国式に難解な言葉を持ち出しているが、CEOの行動への説明としては語るに落ちたの感がある。

いずれにせよ、今回の事故をきっかけにして、今後の深海石油掘削の安全性を根本から見直す必要がありそうだ。ブラジルの沖合いなどで進められている深海油田開発は、事故時の対応策などを含めて計画はすべて再検証が必要である。


バッフェットのゴールドマン擁護に、聴衆無反応 Tepid Reaction

2010-05-02 | グローバル企業
2010年5月2日(日)

「資本家のウッドストック」と呼ばれるウォーレン・バッフェット率いるバークシャー・ハサウェー社の年次株主総会が4万人の参加者を集めて、恒例のごとく土曜日にネブラスカ州オマハで開催された。

注目の「オマハの預言者」の発言を、The Wall Street JournalとThe New York Timesが電子版で速報している。発言の要点は二つに集約される。

まず、同社の本年第1四半期の業績が、昨年同期が1500億円の赤字から、3600億円の黒字に反転上昇したこと。「これはとりもなおさず世界経済が2009年の破綻以来始めて(significant signs of recovery for the first time)拡大基調に転じたことを示している」と自社業績と景気回復を結びつけたことである。

そして、注目の5000億円の投資先でありSECから詐欺容疑で民事提訴されているゴールドマン・サックスへの今後の方針であるが、同社への強い支持を表明し(the highest-profile defender of Goldman Sachs)、そのCEOである Lloyd C. Blankfein氏の手腕を絶賛し、返す刀で、取引で損した投資家を「だまされるほうが悪い」といわんばかりに罵倒した。

しかし、集まった大聴衆の、この「投資の神様」のゴールドマン礼賛に対しては、同氏のほかの発言に対して示した熱狂はなく、しらけたもの(tepid)ものであったとThe Wall Street Journalが伝えている。同氏のゴールドマンへの支持と礼賛に対して、聴衆は沈黙を持って応じた(His comments on Goldman were largely met with silence.)ことは、バッフェット神話の変調である。

さらに同紙は、「これまであれほど、投資家として「倫理性」にこだわって来たバッフェット氏が、手放しでゴールドマン擁護に回ったことは、非常に大きな驚きで受け止められている」との声を伝えている。

オマハに生まれ育ち、アメリカンドリームの象徴として尊敬を集めてきた同氏は、「ウォールストリートの銀行屋の、人の懐に手を突っ込み、自分さえ良ければよいというやり方(the aggressive, self-serving tactics of Wall Street's banking elite.)を非難してきた」のにというわけである。

さらには、変化が起こっている。

バッフェット氏の長年の盟友であるCharlie Munger副会長は、今週WSJに、「ゴールドマンは社会的に望ましくない行動があった」と語っていたことを翻して、壇上で「SECの提訴には反対である」と、バッフェット氏に同調したものの、壇上での二人のやり取りでは、「私は、ゴールドマンが違法行為すれすれのところまで行っていたと思っているよ。あなたが考えているよりはね(closer to the edge of suspect behavior)」とバッフェット氏とは見解が違うことも明らかにした。

バッフェット氏は、「SECが訴因としたゴールドマンの違法行為は証明されていない」との立場を取り、メディア報道が過大に取り上げていることが問題であると批判したが、同時に従来のバッフェット氏らしからぬ、「カネ」礼賛発言も出てきた。

「われわれはSEC訴追で得したのだよ。今のゴールドマンは5000億円くらいいつでも返せるのだから。10%の利払いという契約だから、年間500億円、1秒間に15ドル儲かるという勘定になっておる。チック、タック15ドルずつじゃよ。ゴールドマンにとって、信用維持のためにわれわれが投資家として残っていることがいま最も必要なんだから、返したくても返せないという寸法だ」

今バッフェット氏は、議会に掛けられているいわゆる「オバマ金融改革法案」の中のデリバティブ規制の骨抜きのために、ロビー活動に忙しいとThe New York Timesが論評している。

もし現行法案どおりであると、デリバティブ取引のためには担保を積み増さねばならなくなるからである。「いまの見通しだと一銭たりとも(“put up a dime”)だす必要はないだろう。よしんばそうなっても、問題はないけれど」と壇上から自信を示したと記事を結んでいる。

バッフェット氏は「恩義」を大切にする人でもある。ゴールドマンは50年にわたり同氏を支えてきた。そして5000億の資金導入には10%とという破格の条件で儲けさせてくれた。これが、バッフェット氏のゴールドマンへの無条件支持という「宗旨替え」の裏にあるようだ。

ゴールドマン刑事訴追報道に同行株急落 Criminal Charges

2010-05-01 | グローバル企業
2010年5月1日(土)

「ゴールドマン・サックスに対する刑事訴追(criminal charges)を連邦検察当局が検討している」と、木曜日夜The Wall Street Journal電子版が報道したことに反応して、同行の株価は金曜日NY証券株式市場で9.4%の下げを記録した。この結果同行の株式時価総額(its market capitalization)から約8000億円が一日で消し飛んだ。

去る16日にSEC(米国証券取引委員会)が、同行を詐欺の民事事件(civil suits)として提訴したが、さらに今週議会上院小委員会でCEO以下幹部社員が召還され、金融危機の引き金を引いたとして厳しい査問を受けた。

そして今週に入って新たに62人の下院議員が法務省に対し、捜査開始を要求する書簡を送っていることもあり、連邦検察当局が捜査を開始するのは当然の帰結といえる。

先週同行が、第一四半期決算で、昨年同期比で純益が倍増したとの発表も、同行へ米国や欧州において司直の厳しい目が向けられている事態を前に、先行き不安を払拭する力はなかった。16日の株価水準からすると同社の時価総額は2週間で約20%、2兆円相当が消滅したことになる。

The New York Timesは、検察当局の捜査報道を嫌気して「Standard & Poor’s が同社株に対するアナリストの投資判断を、Hold(保持)からSell(売り)に、またBank of America Merrill LynchがBuy(買い)からNeutral(中立)に落とした」ことを報じている。

問題の金融商品CDOは、ゴールドマンが組成した住宅ローンを担保とした仕組み金融商品Abacus 2007-AC1である。その仕組み過程に問題があったとするSECの訴因については、本欄ですでに取り上げてきたが、ゴールドマンは徹底抗戦の構えである。

同行が強気なのは破綻したBear Sterns証券での類似訴訟で検察が陪審員の判定に敗れたことが自信につながっているようだとNYTは分析している。

さて、日本のゴールデンウィークのころに、「投資の神様、オマハの預言者」ウォーレン・バッフェット氏が、「投資家のウッドストック」と呼ばれるBerkshire Hathaway社の株主総会を行うが、今年もまた今週末ネブラスカ州オマハに召集している。

同社は、ゴールドマンに総額5兆円の投資を行っている。上記の株価下落は投資資産の大きな目減りとなっているなか、4万人と予想される一般株主にどう説明するかが、大きな注目点である。バッフェットの対ゴールマン投資姿勢についての説明が、ゴールドマンの将来を決定付けるといっても過言ではない。