世界の動きを英語で追う

世界と日本の最新のできごとを、英語のキーワードを軸にして取り上げます。

小沢民主党元代表秘書有罪判決 The Voice of Heaven

2011-09-28 | 世界から見た日本
2011-09-28


今週月曜日、小沢一郎元民主党代表の政治資金管理団体、陸山会の政治資金規正法違反事件で、元秘書3人に執行猶予つきの有罪の判決が下された。10月6日に初公判を迎える小沢氏にとって、不利な状況となった。

こうした状況をFinancial Timesは、簡潔に報道しているが、小沢氏の事務所が、公共事業の発注先を決める実質的な決定者であったこと、すなわち『天の声』(the voice of heaven)を発していたとする判決を次のように引用している。“Mr Ozawa’s office was seen as the “voice of heaven” in deciding public works contracts.”

そして、小沢氏を、民主党を選挙での勝利に導き、政略を成功させてきた『闇将軍』(shadow shogun)であったと、次のように評している。(one of Japan’s most effective political dealmakers, a “shadow shogun” who helped make the DPJ an effective electoral force.)

この二つの表現、the voice of heavenとa shadow shogunは、小沢氏の役割と影響力を表現する代名詞として今や、英語世界でも定着した感がある。









新政権の増税シフト、すでに党内反対論に直面 Opposition from within DPJ

2011-09-19 | 世界から見た日本
Financial Timesは東京発の記事で、保守的な財政政策論者(a relative fiscal conservative)である野田首相が、5年間で19兆円と見積もられている東北地方の復興ための財源に充当するため、約11.2兆円の増税案を明らかにしたことを報じている。しかし同時に、野党の激しい反発を受けるのは必定であるが、その前に、党内の反対を切り抜けられるのかと、疑問を呈している。

すでにGDPの200%に達している国家財政の赤字を、これ以上膨張させて将来の世代に負担を強いることはできないとするのが、首相と安住財務相の二人三脚で進める一時的な(temporary)増税と緊縮財政案である。

増税対象は、個人所得税と法人所得税が挙げられている。(消費税は対象から外されている。)個人所得税の4.5%増税は、年収500万円、夫婦子供二人の家計には、年間約4,300円の負担増となるとの読売新聞の試算を紹介し、累進課税を強化すれば、10年間に個人所得税の税収の増分は7兆円に上ると報じている。

法人所得税の増税は、前政権が産業空洞化防止のために昨年打ち出した減税と相打ちになって(in large part offset a planned cut to the levy)、産業の海外逃避を助長することが懸念される。

野田首相にとって党内から反対の火の手がすでに上がっていることは前途に楽観を許さない。実質的に党内権力を掌握している小沢氏とその影響下にある党員から反発が起きていることを"the biggest obstacles to the hikes could come from within the ruling party."と評している。

しかし、野田首相には、この増税案を成立させる以外の政治オプションは手にはない。『埋蔵金発掘論者』として勇名を馳せた藤井氏を党税調の会長とし、財務金融に関して未知数の安住氏を財務相とする、トロイカは、かくも紛糾の末決まった今月末までの国会審議で、中央突破を図れるか否か。今を国難と認識する政治家はほとんどいないようだ。


ユーロは最悪シナリオを驀進中 The worst of the euro crisis is yet come.

2011-09-05 | 世界から見た日本

2011-9-5

今朝のFTの見出しは、『ユーロ危機の最悪事態はまだこれから』となっている。

危機打開シナリオは、程よい景気回復(a moderately strong economic recovery)に支えられていなければならないのに、その景気見通しがお先真っ暗だとの論評である。

ギリシャの対策は、合意から6週間たたずして破たんした。大不況真最中、しかもすべての景気予測指標は全滅状態。財政再建計画は手の施しようがない“out of control”状況にある。

イタリア中央銀行は、緊縮政策(austerity program)景気後退の引き金になるとの懸念を自ら公表している。

ユーロ圏の銀行再建のための資本増強(recapitalization)戦略構想も、景気悪化の重みに自壊しつつある。資本増強必要額に関して先週IMFとユーロ金融政策当局は激論を交わしたとの報道であるが、本当に必要な資本注入必要額は、景気の現状からみて、IMF提示額ですら、現状を過少評価していると、FTはいう。

金融・財政政策を各国の主権にゆだねたまま、単一通貨で、実力のあまりに違う国々を束ねるユーロは、20年でその役目を終えようとしている。そう読めるFTの悲観論である。