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コペンハーゲン会議は、決裂の危機 China: Deal Breaker?

2009-12-18 | 環境・エネルギー・食糧
2009年12月18日(金)

コペンハーゲンで7日から開催中の気候変動に関する国連の温暖化ガス排出削減交渉は、合意点をまったく見出せず膠着状態に陥っている。

現地入りしたクリントン米国国務長官は、「時間切れの事態になりつつある」と演説の中で状況に触れたが、もっとも大きな障害は水曜日に中国が、米国の「中国は排出量削減に関して透明性を高めるべきだ」との要求を拒絶したことにある。

クリントン国務長官は名指しこそしないものの中国を、「このままの拒絶を続けるならば『交渉の破壊者(deal breaker)』となる」と翻意を促した。さらに同長官は、「時間切れを前に、向こうだこっちだと争っている場合ではない(In the time we have left here, it can no longer be about us versus them.)。問題は世界に共通のものだから」と訴えた。

このような状況でオバマ大統領が現地入りするかどうかまで危ぶまれたが、CNNの報じるところによると、ホワイトハウスは、「大統領は木曜の夜には出発する」と発表したとのことである。オバマ大統領が今回目指しているのは、法的拘束力のある条約ではなく、それに至るための政治的な合意であるとホワイトハウスは言明している。オリンピック招致でコペンハーゲンに飛び、徒手で帰国した同大統領にとって、今回も手ぶらで帰ることになると政治的打撃が大きい。

米国は,途上国の説得のために、先進国全体として2020年までに約100兆円の資金を供与する案の同意した。そして、最終合意に含まれるべき重要要素として、各国個別の明確な行動計画、それを国際的合意の枠組みに組み入れる協定の成立、温暖化の影響を最も受け最もその対策が打てない最貧国への援助、信頼の置ける削減実施プロセス開示基準(standards of transparency that provide credibility to the entire process)を挙げた。

一方、英国のブラウン首相は、極めて哲学的な言葉で、会議の合意を求めている:

先進国には、「環境問題で行動することは、雇用を創造する強力なエンジンとなる」といいたい。途上国には、「最新技術を駆使すれば、二酸化炭素の大量排出がもたらす経済(high-carbon economy)の問題を回避して、高成長(high-growth economy)を実現できる」といいたい。

世界に向かっては、「歴史がわれわれにできうる最大限のことをせよと命じているときに、最小限のことでは済まされない」といいたい。"And to all nations I say: It is not enough for us to do the least we can get away with when history asks that we demand the most of ourselves."