ONE FINE DAY

「昨日のことは忘れてほしい」
「もう遅い。日記に書いた」

Walk the line

2006-02-18 | 映画
ウォーク・ザ・ライン~君につづく道」を、
とあるシネコンで初日初回に見る。

ジョニー・キャッシュとジューン・カーターの友情と愛情の物語。
タイトルが示すとおり、迷うことなく焦点がこの二人にピタッと合っているので、
見ていて分かりやすく気持ちよかった。
結婚してからの夫婦愛を描くのではなく、
結婚するまでの二人の友情がメインになっているのが清々しい。
最近伝記映画を見る機会が多く、
映画として描くのには難しいジャンルだなあと思っていたが、
この映画では一人の偉大な歌手を通じて描くべきことが明確だったことが、
映画を揺るぎない作品に成し得たのだと思う。

ホアキンが低い太い声で歌うのにはびっくり!
独特なギターの抱え方も様になっていて、
すごい役者はこんなこともやってのけるのだと感心した。
リーズ・ウィザースプーンは地に足の着いた魅力的な女性を、
自然な演技で熱演。チャーミング!!
ボブ・ディラン、そして私の大好きなブルース・スプリングスティーンの
歌の原点がジョニー・キャッシュの歌の中にあった。



フィッシュ&チップス

2006-02-17 | 雑記
キルトレッスンは「キャンドル・ウィック」
文字どおり「ロウソクの芯」を使って点描でデザインを描いていく手法。
私たちは専用の糸を使っての実習だった。
かなり太い糸なので、コロニアルノットを刺してもぽこっとふくらんで可愛らしく、
夢中になってやっていたら「そんなにムキになって刺さなくてもよろしい」
と笑われてしまった。
空腹だったせいか、レッスンの最中からフィッシュ&チップスが、
頭のなかをぐるぐる廻っていて、今夜はこれにしようと決めた。
運良くタラも安く手に入ったのでしめしめ。
しかしフィッシュ&チップスってどうやって作るんだ?
そうだ!分からないときはネットで調べるに限る!
検索した結果たくさんの作り方を知ることができた。
基本は小麦粉をビールで溶くこと。
これにベーキングパウダーを入れたり、玉子を入れたり、
微妙に違いがあるのだが、私はあるものは全て入れてみた。
これがおいしかった!!(笑)
ロンドンで食べたものとは多少(?)違ってもいいよね?
ほくほく食べながら、ロンドンの娘を想った。

グールドと枝雀

2006-02-16 | 美術
長野に帰省するためのドライブ往復10時間。
高速を使わずに下の道を行くと時間がかかる。
今回のドライブでは、
相棒のお気に入り(CD全集を持っているくらい)の桂枝雀の落語と、
私のお気に入りグレン・グールドの演奏を交互に聴きながらいった。
二人の天才の密度の濃い、豊かな、異端の、スリリングな至芸に浸りながら、
ふとこんなことを思った。
「あ~、悪魔に魂を売っちゃったんだな.....」
そのくらいのことをしなくちゃ凡人には到底到達できないような世界。
ずいぶん不謹慎な云い方で申し訳ないのでありますが、
それくらい他の追随をゆるさない天才にしか行き着けない境地。
そういう凄い演奏だし話芸だった。
天才という意味で、この二人はとても似ています。
至福のドライブでした。

戦争のはじめかた

2006-02-15 | 映画
戦争のはじめかた」(原題BUFFALO SOLDIERS)を見る。

久しぶりに見応えのある映画でした。
2001年トロント映画祭で上映されて人々を騒然とさせるも、
翌日9.11が起きて、公開が延々と延びた曰く付きの作品。
ベルリンの壁崩壊直前のドイツに駐留しているアメリカ軍の内幕もの。
シニカルでブラックで「マッシュ」的ユーモアがちりばめられているが、
時代が現在に近いぶんリアルな恐ろしさも孕んでいる。
「ここにいる兵士は2種類に分けられる。大ばかか小ばか」
まさにその通り。まともな人間はどこにもいない。
ホアキン・フェニックス、エド・ハリス(うまい!!)スコット・グレン
というそうそうたる顔ぶれ。
独特の雰囲気をもった映画で、
全てがスローモーションで行われているような....
なんともいえない不思議な感覚を覚えた。
でもそれによってひとつひとつの出来事の愚かさが際だつというか、
恐ろしさが際だつというか、見ているこちらも、
ゆっくりと頭をよこに振りながら背筋が寒くなるような感じかな。
ホアキン演じるエルウッド事務官の視点で語られていくこの映画、
「サイン」でも見せたホアキン独特の
”静かな佇まいのおかしさ”がここでも功を奏し、
痛烈な反戦映画であります。
おすすめ!!





炎の人ゴッホ

2006-02-14 | 映画
カーク・ダグラス版「炎の人ゴッホ」を見る。
1957年公開のヴィンセント・ミネリ監督作品。
この映画の公開によって、ゴッホ人気はさらに拍車がかかったときいたが....。
ゴッホが亡くなったのが1890年だから、67年後の映画化ということになる。
カーク・ダグラスは見た目もゴッホによく似ているし、
彼の魂に近づこうとしているかのような熱演を見せる。
先日も迷宮美術館で取り上げていたゴッホの弟テオの妻ヨハンナが、
兄弟の死後ゴッホの作品を守り正統な評価を受けられるよう地道な努力を重ね、
彼らの書簡集を出版してからそう経っていないのではないか?
そう考えるととても興味深い映画といえる。
ゴッホへの距離が近いゴッホの映画。
この映画では大きく採り上げられていないが、
私がゴッホを思うときにまず思いつくのが、兄弟の絆の強さ。
ゴッホが亡くなったあと、弟テオは精神のバランスを崩し、あとを追うように亡くなっている。
その兄弟の絆の強さに圧倒される。
テオはゴッホの影にかくれて印象が薄いが、
画商としても大変立派な人で、当時まだ売れていなかった印象派の画家を
ずいぶん助けてもいるらしい。
モネは彼を大変信頼していたようだ。
伝記映画というのは難しいなあとつくづく思う。
その人の生涯を誠実に忠実に描こうとすればそれだけで映画は終わってしまうし、
それがこれだけ有名な画家ならなおさらである。
でもそれは現代の私たちが見るからで、この映画が公開された当時は、
もっとずっと鮮烈な印象を観客に与えたに違いない。

ゴッホ検索をしていて素敵なサイトをみつけたので、
興味のある方は一読あれ。