ONE FINE DAY

「昨日のことは忘れてほしい」
「もう遅い。日記に書いた」

テーマは愛

2008-06-27 | 雑記
BSハイビジョン6月のテーマは「愛」。
このチャンネル毎月テーマを設けているらしい。
各国の恋人たちの一週間を追うとか(見ないけど)、
愛や恋がテーマの番組を連日これでもかと放送している。
そんな中、3夜連続のディーバ(歌姫)の恋愛劇を綴ったドキュメンタリーが放送された。再放送だけど。
マリア・カラス、ビリー・ホリデイ・そして最後がジャニス・ジョブリンだった。
これには驚いた。
ジャニスは70年代に(28歳)薬のやりすぎで亡くなっている。
この番組にはなんと当時の恋人が集まり、座談会をやるのだ。
その名も「恋人たちの座談会」
彼らはみな60代で元気だ。
そう、ジャニスは早くに逝ったが残った恋人たちはその後、
みな家庭を持ちそれなりの人生を生きてきたのだ。
彼らだけではない。
ところどころ登場する元スタッフとか、バンドのメンバーとか、
「ああ、僕も彼女と寝たけどね・・」と、フツーに語る。
30年もまえのことを鮮明に覚えている男たち。
ジャニスのドキュメンタリーというより、
強烈な個性の歌姫と関わった男たちの懺悔録。
天国の歌姫が見たら、大笑い、もしくは苦笑するしかない。
なかなか面白い番組でした(笑)

印象的だったのは、ジャニスが親友にもらしたという言葉。

「私くらいの才能の歌手はたくさんいる。
 その中で私だけがこんなにビッグになったのはたぶん、
 私が誰よりも強く愛されることを望んでいたから」

振り絞るように、
まるで泣いているように、
愛して、愛してと歌い続け、
あっという間に逝ってしまった歌姫の言葉です。

ONCE

2008-06-24 | 映画
「ONCE ダブリンの街角で」DVDにて

おお!アイルランド!ダブリン!!
憧れの国。
ただそれだけでも胸がかきむしられるよう。
行きたくても行きたくてもなかなか行けない場所。
この映画を見ながら、もし30年前にここを旅行していたら、
きっと帰ってこなかっただろうなと、ふと思った。
若いときに行くべきだったんだ。

もうひとつ、メンデルスゾーン!
楽器店のピアノで女が弾くメンデルゾーン。
何の曲だろう?無言歌集かな?
男がいう。
「君の曲?」
女は微笑んで
「メンデルゾーンの曲」
「いいね」
「そうね」
このシーンでこの映画にすとーんと落ちた。
心の琴線に触れたシーン。

出会い。
街角で歌っている男に女が声をかける。
失恋したの?
相手はどうしたの?
ちょっと無礼とも思える質問攻めに、
面食らいながらもぼそぼそと応える男。
そうか、出会いはこんな風に訪れるんだ。
どちらかが一歩踏み出せばめぐり会えるんだ。

音楽を通して次第に近づいていくふたり。
ふたりを淡々と追うカメラ。
物語なのか?ドキュメンタリーなのか?
不思議な静けさをもった雰囲気に魅了された。

ふたりが生み出す歌がもう少し私好みだったら良かったけど、
まあ、そんなことどうでもいいやと思えるくらい、
清々しい映画でした。
ラストシーン、男から贈られたピアノを弾きながら、
窓の外に想いを馳せる女が印象的でした。

*グールドもメンデルゾーンの無言歌集から5曲だけCDに残してくれました。
ブラームスの間奏曲と並んで私の大好きな大好きなCDです。

お姉様、
一緒に届けてくれた「NOWAY BACK」ご覧になりましたか?
ラッセル・クロウ×豊川悦司の「逃走遊戯」です。
ビスタサイズできれいな映像で見ることができてしあわせ。
ありがとう!


August Rush

2008-06-23 | 映画
無性に映画が見たくて。
「奇跡のシンフォニー」見ました。

予告編にちょこっと顔を出していたJ・R・メイヤーズ見たさに。
アイルランドのホアキン・フェニックス?
いや、ホアキンがアメリカのJRMか?
この二人、「笑ったのを見たことない」いう点で似ている。
え?写真のJRM笑ってるって?
これは、「微笑んでいる」(笑)

映画は彼が主役ではありません。
でも予想していたよりはずっと出番が多かったし、
何より!ロック・ミュージシャンになって実際にギター片手に歌っています!
帰りがけ、サントラを買おうと店に行ったら(生まれて初めて?)、
「売り切れで次にいつ入荷できるかもわかりません」と。
売れてるんだ!


映画は「父母を求めて三千里」の少年のお話。
この少年(フレディ・ハイモア)、
ギターを見た瞬間に弾けるようになるし、
ピアノで簡単な音階を教わったら作曲できるし、
あり得ないような音楽の天才という設定。
先日DVDで見た「なんとかのコンチェルト」のピアノの神童が、
「ゴールドベルグ」をCDで聴いただけで楽譜なしに弾いてるのにも
びっくりしたが、今日の映画の子の天才ぶりに比べたら、
ゴールドベルグの方がまだしも信憑性がある(笑)

天才少年ぶりにびっくりするばかりか、
11年間バラバラに暮らしていた親子三人が再会する、
ただそのことのみに向けて映画は強引に突き進んでいく。
稚拙なくらい強引に。

でも私はこの映画好きだ。
なんでだろう?
JRMが歌ってるというだけではないな。
3人が再会するニューヨークの街のざわめき。
家なき子たちを集めて街で音楽をさせてピンはねしている、
ハモニカ吹きのR・ウィリアムズ。
その子供たちのねぐらは廃墟になった劇場だったり。
(ロンドンの「オペラ座の怪人」の劇場みたい)
NYフィル、ジュリアード音楽院、
セントラルパークの野外演奏会・・・
そして、奏でられる音楽の魅力!
街で歌う黒人少年の歌、
教会のゴスペル。
ジョナサンのロック・・・・。

キーワードはいくつもあるが、
一番大きな理由は作り手の(女性監督)愛情が
素直に伝わってくることかな。
おすすめです

なおちゃん、ロンドンでCD買ってきてください。
プリーズ




JUNO

2008-06-19 | 映画
今年のアカデミー賞で最優秀脚本賞をとった映画ってどんな?
という興味で見に行きました。
結論から言うと、この脚本が「フィクサー」に勝るなんてとても思えないし、
比較することすら私には出来ません。
まあ、アカデミー賞なんて、
なんのあてにもならないとわかりきっていることですが。

16歳の高校生が妊娠。
そこで巻き起こる騒動をあっけらかんと描いた映画。
あまりにもあっけらかんでぽか~んとするしかありません。
ただ、主役のJUNOという女の子が、
あまりにも毅然として堂々としていてあっけらかんとしていて、
スーパーヒーローにも勝る強烈な個性で、
かなりのインパクトだったのは確かに。
あんなに堂々としていられたら、
親も友達も学校も何も云うことができない。
恐れ入りましたとひれ伏すしかない。
そういう意味では、映画でしかあり得ない、
スーパーヒーロー物と基本的には同じ。
それを16歳の女子高生にした点がちょっとユニークで、
面白くて受けたのかも。
「ハートに響く、人間ドラマの傑作」なんて宣伝してるけど、
そういう映画ではないと私は思います。
自分の娘がこんなだったら、私は震えます(笑)
お気に入りのジェニファー・ガーナーだけが、
妙にリアリティがあってちょっと切なかった。

The Illusionist

2008-06-16 | 映画
姉夫婦がナイトショーで見たという「幻影師アイゼンハイム」見ました。

エドワード・ノートンが見たかったからまあいいんですけどね。
実はこの映画、予告編を見たときに結末が解ってしまいました。
手品師が主役で、映画全体がマジックのような仕掛けをもつ作品の、
アッと驚く結末が解っていたら、
ハッキリ言って映画なんて見なくていいんですよね。
でもまあ、姉が面白かったと云っていたし、
E・ノートン久しぶりだし、ポイントたまったし。
ノートンはアメリカのダニエル・デイ・ルイスみたいになってきて、
変な言い方だけど、芝居が重いっていうか重厚というか。
でもそう思ったのも最初だけでした。
ストーリーがどうしようもなくアメリカ映画で、
たとえ19世紀末のハプスブルグ王朝末期を描いているにしても、
それはどうしようもなくアメリカ映画で、
それが多くの人に受け入れやすい要素でもあるんでしょうが。

私がひねくれた性格なのはわかっています。
多くの人が感動したという映画もピンとこないことがままあるし、
自分でも素直じゃないなと思います。
しかしこの結末っていいんでしょうか?

ここからネタバレです。

皇太子の婚約者(ノートンの恋人)が殺されたようにみせかけておいて、
実はそれは幻影師(ノートン)が仕組んだトリックだったというのは、
見る前からわかってたからそれはいいんです。
この格差愛のカップルにしてみればそうするしか一緒になる方法はないのなら、
それはむしろ小気味良い結末でしょう。
しかしこの映画それでは終わらないんです。
そのうち幻影師も姿を消して、二人は人里離れた場所で、
幸せに暮らしましたとさ・・・で終われば、はははで終わったんです。

この幻影師は彼女が殺された(実は生きている)後も、
舞台に立ち、苦悩に満ちて舞台に彼女の幻影を呼び出し、
一体誰に殺されたのだ?と真相を語らせようとするのです。
実際は死んでいないのだから殺した犯人はいないのですよ。
それを、皇太子の犯行であると誰もが思うように画策するのです。
実際に皇太子は追いつめられて自殺します。
皇太子が人間的に問題だらけだとしても、
(映画で見る限りそれほどひどい人間には見えなかった)
これって赦されることなんでしょうか?

捜査していた警部(P・ジアマッティ)が最後に全てを看破して、
ほくそ笑むんですが、わたしとしては、笑ってる場合か?と問いたいですね。

単なる純愛映画と思ったら、
そこに逆説的な悪意があったという、
ある意味斬新な映画といえるのでしょうか?
E・ノートンだし。ただの純愛映画じゃ物足らないって?
だからこういう結末にしましたというのが、
いかにもアメリカ映画だと私は思うのです。
アメリカ映画の限界だと。