ONE FINE DAY

「昨日のことは忘れてほしい」
「もう遅い。日記に書いた」

大いなる休暇

2006-02-28 | 映画
レンタルにて、カナダ映画「大いなる休暇」を見る。
げ、フランス語だよ・・・と思っていたら、
カナダはケベック州の小さな島のお話だった。ほっ。
さすがカナダ。
ニューファンドランドをこじんまりとしたような風景だった。
海っていいなあ。
ハワイの真っ青な空と海にはあまり憧れないけど、
北の、薄い色彩の海にはたまらなく心が惹かれる。
そこに暮らす人々にも。

その小さな島に暮らす人はたったの122人。
かつては盛んだった漁業も廃れ、男達は生活保護と引き替えに、
プライドまで失いかけていた。
そこに持ち上がった工場誘致のはなし。
それには島に医者がいることが条件。
そこで島を挙げての医者獲得大作戦が始まる。
根底にあるのは切ない生活苦なんだけれども、
土地柄のせいか、登場人物の一人一人がどことなくおかしく、
暖かく、優しく、見ているとほんわり優しい気持ちになってくる。
そんな映画です。
登場する役者さんたちは初めて見るひとばかりで新鮮だった。
そしてみんな魅力的だった。

イヴの三つの顔

2006-02-27 | 映画
アカデミー賞週間にて。
ジョアン・ウッドワードが主演女優賞を獲得した作品。
1950年代の作品なので、半世紀前ということ。大昔だ・・・。
多重人格の役とは、まさに役者冥利につく?
映画では3人だが、これはトゥルーストーリーで、
実際には22の人格をもっていたとか。
しかし、体はひとつでそこに22の人格とはつらいだろうな。
私なんか、たったひとつの人格でもヘトヘトですよ(笑)
いやいや笑い事じゃありませんね。
で、J・ウッドワードですが、
確かにアクターズスタジオ仕込みの優等生だけあって、
おとなしいミセス・ホワイト、奔放なイヴ、聡明なジェーンという3つの顔を、
巧みに演じ分けはているんです。
でもなんていうかなぁ~、根が真面目というか優等生というか、
よくいえば品格があるというか・・・、
誰が出てきても、ジョアン・ウッドワードはジョアン・ウッドワード。
一人の人間の中の3つの人格なのだから、それはあたりまえか?
むしろそこが狙いか?

映画では最終的に一人の人格に落ち着くわけですが、
誰が残ると思いますか?
はい、もちろん聡明なジェーンなんですね。
本当に怖いのは、精神の闇の部分を描きながら、それをも強引に、
自分たちのお望みのままにまとめていくアメリカ流映画の作り方。



蜷川宏子の本

2006-02-26 | 手芸
キルト作家・蜷川宏子さんの新しい本が出た。
「蜷川宏子のパッチワーク・キルト
~collaboration with Ninagawa Mika~」
娘である写真家の蜷川実花さんとのコラボレーション。
母娘で本を作る。なんというしあわせ!

私がキルト作りに惹かれたそもそもの発端が、
蜷川宏子さんの一冊の本だった。
「ミセス蜷川のパッチワークに夢中」という本。
ずいぶん前に図書館でみつけて、彼女の作る作品に強く惹かれた。
それがいつまでも頭のどこかに残っていて、
この年になってやっとキルト作りを始めることになった。
個性的な色遣いの魅力ももちろんだが、
私が何より惹かれたのは、キルト作りが楽しくてしかたないという声が、
作品のあちこちから聞こえてくることだった。
見ている人をしあわせにするキルト。
展示用ではなく実際に生活の中で使われるキルト。
私が作りたいのもそういうキルトだ。
キルトを学び始めて様々なことを学び、様々な情報が入ってくると、
自分の作りたいものを見失ってしまうこともある。
課題をこなしていくだけで精一杯なんてことも。
蜷川さんの本は、みるたびに私をスタートラインに戻してくれる。
楽しく作ることが一番!
自分らしさを大切に!って。



氷上の舞い

2006-02-25 | 雑記
トリノオリンピック、フィギアスケートを一気に見る。
ペア、アイスダンス、男子フリー、女子フリー、そしてエキシビションまで。
長野オリンピックで、フランスのキャンデローロに夢中になった娘が、
帰国したら一緒に見ようと、もちろん録画しながら。

まずは荒川静香さんの金メダルおめでとう!!
「クールビューティー」「まるでドガの絵のようだ」と評される、
彼女の演技は、華麗で、しなやかで、凛としていて素晴らしかった。
「自分が美しいと信じたものを心を込めて表現する」という、
彼女の言葉が印象的だった。

それと、ペアでは中国チームで「オペラ座の怪人」が使われていたし、
アイスダンスでは、リトアニアのペアが、
「ポイント・オブ・ノー・リターン」で踊っていた!!
ジェリーの歌声がトリノに響いた!
クリスティーナに哀願する切ない歌声が!
あ~、びっくりした(笑)
映画の中でも最もドラマティックな瞬間を切り取って、
氷上の舞いで見せてくれるなんてほんと、嬉しかった。
ジェリーもどこかで彼らの演技を見ていたのかなあ?
アイスダンスではフランスのアニシナ&ベーゼラ組という素晴らしいペアがいた。
女性が男性を持ち上げてしまうことで有名だったけど、
彼らの踊りはセクシーで情熱的で目を釘付けにされた。
このオリンピックでも彼らの踊りを楽しみにしていたけど、
残念ながら出場していなかった。

それにしても、あんな風に踊ることができたらどんなに素敵だろう。
フィギアを見ても、舞台で踊っているダンサーを見ても、
うらやましくてうらやましくてたまらなくなる。
生まれ変わったらダンサーになりたい!.......な~んちゃって(笑)




ミュンヘン

2006-02-24 | 映画
ミュンヘン」を姉と見る。

予告編を見たときに内容はある程度予測できたので、
映画館まで足を運ぶかどうか迷ったけれど、見てよかった。
もう一度見たいとは思わないが、それでも見てよかった。

そぼ降る雨の中、暗澹たる気持ちで帰途についた。
解決の兆しもないまま、
報復に次ぐ報復のテロが繰り返される今のこの世界で、
「繰り返されるテロのさきに平和なんてあるはずがない」という、
メッセージを投げかける意味は大きいと私は思う。

それをスピルバーグのような監督が作った。
「スピルバーグの映画なら見に行こう」と、
一人でも多くの若い人がこの映画を見て、
今この世界で起きていることに関心をもち、
疑問を抱くようになって欲しいと心の底からそう思う。
きっとスピルバーグもそれを願ってこの映画を作ったのだろう。
「シンドラーのリスト」を見たときにも感じたが、
彼の中に在る映画人としての誠実さ、真面目さ。
「宇宙戦争」を撮りながら、一方でこういう作品も撮る。
興味深い。

エリック・バナの演じたアブナーという男は、
イスラエル機密情報機関“モサド”の一員だ。
組織されたテロ集団のリーダーであり、唯一のイスラエル人。
報復のテロを遂行することに迷いはない。
ただし一般市民や標的の家族を巻き込むことには抵抗がある。
一人、また一人と殺していく過程で、次第に冷酷非情になり、
人間として壊れていく。
到底共感できるような人間ではない。
たとえ、家に帰れば普通の家庭人であるとしても。
その彼にこの映画の核心を語らせたことに若干の違和感を覚えた。
彼が語らなくとも十分にメッセージは伝わった。

役者たちがいい。
特に印象に残ったのは、フランス人親子。
政府に情報は売らないと、まるでレジスタンスのような口をきく。
一体何者なんだ?
不気味さという点では圧倒的存在感だった。