ONE FINE DAY

「昨日のことは忘れてほしい」
「もう遅い。日記に書いた」

危険な年

2006-02-23 | 映画
アカデミー賞週間で放送された
ピーター・ウィアー監督作「危険な年」を見る。
リンダ・ハントが男性カメラマンに扮し助演女優賞をとった。
映画を見ている間、実は女性がわけあって男性のフリをしてるのだと、
思っていたが、どうやら本物の男性の役だった。
この映画のリンダ・ハント、彼女が主役といってもいい。
圧倒的存在感。
1965年のインドネシアが舞台。
民衆は圧政と貧しさにあえぎ、クーデターがいつ起こってもおかしくない、
一触即発の”危険な”時代。
そこに派遣されてきたアグレッシブなジャーナリストにメル・ギブソン。
何故か彼を気に入ってなにかと世話を焼いてくれるのがリンダ・ハント。
24年前のメル・ギブソンがほっそりしていて、
水も滴るいい男ぶりだったので、リンダ・ハントが演じたカメラマンは、
密かに彼に恋しているのかな...な~んて、
勝手に話を作るのはやめなさい!ですよね?(笑)
もちろん、そんな甘く切ない恋物語ではないんですけど、
かといってばりばり社会派かというとそうでもなく、
中途半端な印象なのがピーター・ウィアーびいきの私としては残念。
シガニー・ウィーバーも若い!
そしてでかい!!(笑)
縦も横もメル・ギブソン(細いから)とたいして変わらないじゃないか!
そんな二人の恋愛について行けなかったのが敗因か(笑)

しかし、リンダ・ハントは見応えあり!
「パーフェクト・カップル」のキャシー・ベイツを彷彿とさせる、
ピュアな正義感ゆえに、時代に翻弄されていく理不尽さが切なかった。




クラッシュ(crash)

2006-02-22 | 映画
映画「クラッシュ」に描かれる善と悪の狭間に、
普通の人間はうごめいている。
映画はあたかも普通の人々を描いているようでいて、
これは脚本家が創り出した、”まるで真実のような”虚構の世界なのだ
ということを、この映画を見て痛感した。

交響曲の指揮者か、
優秀な外科医か、
見事なシェフのように、
人間のもつ強さと弱さを取り出して自由自在に絡ませ、
ある世界(映画)を構築していく鮮やかな手際に
気持ちが悪くなるほどだった。

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そんなことより、
今日は妹とイクスピアリに「オペラ座の怪人」を見に行ったのです。
30分前にはイクスピアリに到着していたのに、
私たちの3人前で、チケットは完売。
「久しぶりの大画面だ!」と期待に膨らんでいた胸は、
プシューっと音をたててしぼんでいきました。

そこでクククと笑っているあなたとあなた!
「オペラ座」人気を侮るなかれ!(笑)

でもさ、いろんな万華鏡が見れて楽しかったね!
(万華鏡専門店にて)






キャンドル・ウィック

2006-02-21 | 手芸
これが<下手な>キャンドル・ウィックです(笑)
麻布に刺してみました。
ぶどうのつもりです。
実の部分はベルベットステッチで、
糸を輪にして何本も刺してそれを切って揃え(植木職人風)
歯ブラシで毛並みをそろえると、
まるでベルベットのような柔らかな感触になります。
葉っぱの輪郭と周りがコロニアムステッチ。点描ですね(笑)
ゆうべ遅くまで刺していたものを今朝見たら
1センチもずれていて自分で大笑いしてしまった。
それはなおしたつもりなんだけど、曲がってるね.....
あとはアウトラインステッチ。
太い糸で刺すのが難しかった。
いずれ小さなクッションになる予定です。


「素晴らしき刺繍の世界」はこちら

ポロック 二人だけのアトリエ

2006-02-20 | 映画
↑の写真は本物のジャクソン・ポロックです。

エド・ハリス渾身の「ポロック 二人だけのアトリエ」を見る。
ビデオ発売当時にレンタルで見たときは、
あの死に方があまりに身勝手で、作品そのものの感想も吹っ飛ぶほど、
ポロックその人に反感を抱いてしまった。
けれど、今回WOWOWで放送されたのを見直して、
これはすごい映画だと圧倒された。
一度見ただけでは分からない映画もあるんです。
私の場合だけかもしれないけど。

先日観た「ウォーク・ザ・ライン」同様、
この映画もポロックとパートナーのリー・クライスナー二人を描くことによって、
ポロックという希有な画家の存在を鮮やかに描き出している。
リーには今作でアカデミー賞の助演女優賞を獲得したマーシャ・ゲイ・ハーデン。
自身も画家だったリーはポロックの絵を見た瞬間にその天才を確信し、
二人で創作活動に入るのだが、次第に彼女はポロックを支え、
彼の作品を認めてもらうために尽力する影の存在になっていく。
このあたりかなりの葛藤があったと思われるが、
映画の中のリーという女性はそれを黙々とやっていく。
苦悩の末、ポアリング手法を発見したポロックはリーに伝えようと家に戻る。
映画では、そのときリーがキルト作りをしているんです。
テーブルの上いっぱいに小さく切られた布。
一瞬のシーンですが、リーの作ったキルトが見たい!!と思いました。
圧巻は、大きなキャンバスに実際に絵を描いていくエド・ハリス!!
しかもポロックの絵を、ですよ!
すごい役者は歌も歌えるし、絵だって描いちゃうんです。

音楽にしろ美術にしろ芸術家は、
常に新しい表現法、よりオリジナルな世界を希求するのは必然です。
けれど、ただ人を驚かせるだけではそれは芸術とは言えない。
ポロックが到達したのは新しいオリジナルな表現でありながら、
そこには描かずにはいられない画家の魂がこもっているのだということを、
この映画は教えてくれます。

ポロックの絵を見たことがあります。
抽象画は苦手でしたが、そんなことは飛び越して
迫ってくるものが尋常ではなかった。
ざわざわと鳥肌がたったのを覚えています。

最後にポロックの言葉を。
作品は音楽を楽しむように味わってくれればいい。
しばらくするとそれを好きになったりならなかったり。
それにしても、そんなに深刻な問題とは思えませんね。

*ヴァル・キルマーが演じたデクーニーの絵も見たい!!

美しきイタリア、私の家

2006-02-19 | 映画
WOWOWにて放送された「美しきイタリア、私の家」を見る。
HBO製作の2003年TVミニシリーズ。
主役のマギー・スミスはこれでエミー賞の主演女優賞を獲得。
上の写真、スーザン・サランドンみたいじゃございません?(笑)
でも全く違うよなあ。
マギー・スミスにはネチョネチョ粘着質なとこがなくて、
いかにも達観した英国人らしくさっぱりした風情が魅力的!
「眺めのいい部屋」なんてマギー・スミスが見たくて何度も見てるんじゃないか、わたし?
今回はイタリアに”眺めのいい”素晴らしい家を持っている恋愛小説家の役。
のんびりした映画かなあと思っていたら、突然の列車爆発。
同じコンパートメントにいた8人のうち4人が生き残り、
彼らを自分の家に招いて同じ痛みを抱えた者同士助け合っていこうと
提案する心の広い女性。
4人の一人は写真↑の少女。
両親を爆発で亡くし、言葉を失ってしまったアメリカ人の少女を中心に、
素晴らしい景色に囲まれた家で体も心も癒されていく。
そこに登場するのが、少女の叔父クリス・クーパー。
アリの研究(!)をしている大学教授。いつ見てもう、う、うまい!!(笑)
彼の登場で平穏な彼らの生活にさざ波が立ち始める....。

しかしなんといってもこの作品、マギー・スミスの独壇場です。
小説家という職業柄、人を観察しては想像の世界で遊ぶ。
特に、今はもう家族同様に愛しい少女を預けるのにふさわしい人物かどうか、
あの手この手で大学教授の人物像に迫ろうとするのですが、
これがもうおかしいやら悲しいやらお見事!に尽きます。
おすすめ!!