ONE FINE DAY

「昨日のことは忘れてほしい」
「もう遅い。日記に書いた」

ポロック 二人だけのアトリエ

2006-02-20 | 映画
↑の写真は本物のジャクソン・ポロックです。

エド・ハリス渾身の「ポロック 二人だけのアトリエ」を見る。
ビデオ発売当時にレンタルで見たときは、
あの死に方があまりに身勝手で、作品そのものの感想も吹っ飛ぶほど、
ポロックその人に反感を抱いてしまった。
けれど、今回WOWOWで放送されたのを見直して、
これはすごい映画だと圧倒された。
一度見ただけでは分からない映画もあるんです。
私の場合だけかもしれないけど。

先日観た「ウォーク・ザ・ライン」同様、
この映画もポロックとパートナーのリー・クライスナー二人を描くことによって、
ポロックという希有な画家の存在を鮮やかに描き出している。
リーには今作でアカデミー賞の助演女優賞を獲得したマーシャ・ゲイ・ハーデン。
自身も画家だったリーはポロックの絵を見た瞬間にその天才を確信し、
二人で創作活動に入るのだが、次第に彼女はポロックを支え、
彼の作品を認めてもらうために尽力する影の存在になっていく。
このあたりかなりの葛藤があったと思われるが、
映画の中のリーという女性はそれを黙々とやっていく。
苦悩の末、ポアリング手法を発見したポロックはリーに伝えようと家に戻る。
映画では、そのときリーがキルト作りをしているんです。
テーブルの上いっぱいに小さく切られた布。
一瞬のシーンですが、リーの作ったキルトが見たい!!と思いました。
圧巻は、大きなキャンバスに実際に絵を描いていくエド・ハリス!!
しかもポロックの絵を、ですよ!
すごい役者は歌も歌えるし、絵だって描いちゃうんです。

音楽にしろ美術にしろ芸術家は、
常に新しい表現法、よりオリジナルな世界を希求するのは必然です。
けれど、ただ人を驚かせるだけではそれは芸術とは言えない。
ポロックが到達したのは新しいオリジナルな表現でありながら、
そこには描かずにはいられない画家の魂がこもっているのだということを、
この映画は教えてくれます。

ポロックの絵を見たことがあります。
抽象画は苦手でしたが、そんなことは飛び越して
迫ってくるものが尋常ではなかった。
ざわざわと鳥肌がたったのを覚えています。

最後にポロックの言葉を。
作品は音楽を楽しむように味わってくれればいい。
しばらくするとそれを好きになったりならなかったり。
それにしても、そんなに深刻な問題とは思えませんね。

*ヴァル・キルマーが演じたデクーニーの絵も見たい!!