ONE FINE DAY

「昨日のことは忘れてほしい」
「もう遅い。日記に書いた」

HEREAFTER

2007-02-28 | 雑記
2005年に発売された(?)「グレン・グールド~時の向こう側へ」
未公開映像を交えグールドの生涯と作品を振り返る、
ブルーノ・モンサンジョンによるフィルム。

見ました。
そして、驚きました。
世界にはすごいグールド・ファンがいることに。

まずはイタリアからトロントまでグールド巡礼にやってきたご婦人。
「Glenn gould Studio」(トロントにあるグールドを記念したホール)の前にあるベンチには
グールドの彫像(銅像?)がオーバーコートにマフラーに
手袋に帽子というお馴染みのスタイルで足を組んで座っている。
1992年に私もこのホールの前でちゃっかり写真を撮ってもらったのだが、
その時にはまだベンチはなかった。
イタリアからやってきたご婦人はグールドの横に腰掛けて
彼に向かって話しかける。
「人と話すときに目を合わせないのね」とか、
「結婚は?」とか。
夢を見た話とか。
自分がいかにしてグールドにめぐりあったかなどなど。
そしてバラの花束を抱えてお墓参り。
まるで15年前の自分の姿を見ているようだった(笑)
私もベンチに腰掛けて話しかけるくらいのことはきっとしただろう。
あの頃は私もよくグールドの夢をみた。
今でも鮮明に覚えているのは、シムコー湖畔の別荘の窓の下にうずくまり、
グールドの弾くピアノ演奏を独りじっと聴いている夢。
甘くて、切ない夢だった。

次は、脳溢血で2度倒れて生きる意欲を失いかけていたある日、
ラジオから流れてきたグールド演奏の「平均律」を聴いて、
生きる希望を見いだし、今ではネットを通じて世界中の人に
「Do Glenn Gould」(グールドしよう?)と呼びかけているご婦人。
グールドは自殺したなどという間違った情報を正す運動?

そして、次はまだ若い女性。
ピアノの前に腰掛けてのインタビューなので音楽家かもしれない。
この女性はなんとグールドが作曲した弦楽四重奏のテーマになる4つの音を
自分の腰に刺青していた!

また「グールドと会話する」ことに取り憑かれた青年も登場する。
グールドのインタビュー・フィルムに自分の質問などを編集して入れて、
あたかも会話しているような作品を作っているのだ。

その他にもグールドの演奏を聴いて、
「お母さんがいつも云っている”来世”を信じることができた」と語った少年のはなしもあった。

グールド本人の未公開録音風景やインタビュー、
またはイメージとしての映像、
モンサンジョンのコメントなどもあり、
とても興味深いドキュメンタリーだった。

彼が亡くなって今年で25年。
今日の朝日新聞の夕刊にグールドを敬愛しているピアニストが、
日本で「ゴールドベルグ変奏曲」の演奏会を開くという記事が載っていた。


アカデミー賞

2007-02-26 | 映画
みいちゃん、レオ様、残念!
今終わったばかりなのでホヤホヤの感想。
結果はこちら

*主演男優賞を獲得したフォレスト・ウィテガーの「キング・オブ・スコットランド」はウガンダの独裁者アミン大統領を描いた作品だったのね。スコットランドの王様って誰?と気になっていたんだけど・・・スコットランド出身の青年医師から見たアミンということらしい。で、その青年医師を演じているのが「ウィンブルドン」でP・ベタニーの弟を演じていたジェームズ・マカヴォイ君。ジェリーの弟みたいだなあと思っていたら、やっぱりスコットランドはグラスゴー出身の役者さんだった。グラスゴーに行けばジェリーみたいな男性たくさんいるのか?!(いるわけない!)授賞式会場に姿を見せていたジェームズ君がフォレストの受賞を喜んでいたのが印象的でした。

*しょっぱなに登場したダニエル・クレイグの存在感!

*クライブ・オーウェン登場にひとりほくそ笑む。わたし的には今回の授賞式で一番盛り上がった瞬間。ケイト・ブランシェットと背の高さが同じだった。すごく大きい人かと思ってた。そうでもないらしい。

*ジャック・ブラックとウィル・ファレルとなんとか・ワイリー(「シカゴ」の人)3人のパフォーマンス良かった。

*ビヨンセの熱唱に泣き笑い→わたしです(笑)

*グィネスってほんとうにかわいい!

*マイケル・マンが編集した「映画が描いたアメリカ」う~む。

*ゴア元副大統領はドキュメンタリー映画に関わっていたのね。

あとは・・・書くことありません。
「インファナル・アフェア」を日本映画と平気で紹介するような国では、
あんな映画に作品賞・監督賞・脚色賞をあげちゃうんですね。とほほ。

ぼくを葬る

2007-02-25 | 映画
レンタルにて。
フランス映画「ぼくを葬る」を観る。

唖然。
同時に胸が痛い。
31歳の写真家がガンで余命3ヶ月と宣告されて、
どう死と向き合っていくかを描いた映画。
祖母(ジャンヌ・モロー)以外の家族(両親・姉)には
何も云わずにこの主人公は死んでいく。
何も知らせずに。
死を宣告されてからたった一度だけ家族に会いに行くが、
不仲な姉とけんかをして母親を悲しませただけ。
その日の帰りに送ってもらった父に、
「浮気ばかりしていたのに何故母と別れなかったのか?」と問い、
「(ゲイである息子が)こわいか?」と問いかける。
しかし自分の病気は告げない。
姉から「けんかばかりしているのが悲しい」と手紙をもらうと、
シングルで子育てをする姉を遠くから見守りながら電話をかけたりはする。
しかし病気のことは一切云わない。
”死期が近い”ことで”自分に似ている”祖母にだけは、
不安・恐怖・悲しさを吐露するのだが。
家族との関わりはここまでというように、
彼は一人で「ぼくを葬る」

映画は、死を目前にした男の”家族との絆”を描きたいのではないらしい。
自分から別れを告げたはずの恋人への執着をのぞかせたり、
いかにもフランス映画ならではの強引であり得ないような状況を作り、
彼の子供を残そうとしたりはする。

この人達に人を愛することが分かっているのだろうか?
私はこの映画を見ながらそんな思いに駆られた。
それとも私が分かっていないのだろうか?
そんな不安にも駆られた。
ただ、こんな形で取り残される母親がいるのだと思うと、
そのことが無性に悲しかった。





グールド漬け

2007-02-21 | 雑記
グレンはよちよち歩きの頃から、すでに世界を見る目が違っていた

上の写真についていた解説です。
これ書いたひと、かなり面白いひとですね。
私ではありませんよ(笑)
むちむちのあんよが可愛い!
この頃は頭が重いからこんな格好になっちゃうんだい!
でも笑える。かなり笑った。

なにはともあれ、娘に頼まれたグールドのCD&DVD作りを一日やっている。
合間合間につい聞き込んでしまったり、魅入ってしまったり。
私の手元にあるグールドのものを全て送りたいが、それは難しい。
枚数が多すぎるので、とりあえずこんなもんでかんべんな。
これはなかなか難しい作業だ。 
演奏が聞こえてきたら座り込んで聴き入ってしまうもの。
でも娘がグールドを聞きた~いといってくれる日がきたこと、
無上の喜びの母なのです。

もう夜中の3時なので寝るね。
また明日がんばろう。
さて今日は何を聴きながら寝ようかな

Dreamgirrls

2007-02-19 | 映画
姉妹3人で「ドリームガールズ」観賞。
MOVIX400席シアターでシネスコだった!
でも、でも、初日夕方の回でお客さん20人くらいだった。

ミュージカル好きとしては、これだけ聞かせていただければ本望です。
どの歌曲ひとつとっても素晴らしく、
モータウンサウンズの大洪水に身を委ねた気分。
私にはあまり懐かしいという感覚はないんだけど。
エディ・マーフィが実際に歌っているかどうか話題になったけど(3人で)
私は歌ってないと思う。上手すぎるもの。
娘ときたら「実際に歌っていないのにあれだけ役になりきれるのはすごい!」と大絶賛。
加えて「実際歌っていても、う=むというひともいるわけだし・・・」
誰のことだ?!!!(笑)
 
そしてエフィのあの熱唱!
恐れ入りました!とひれ伏したくなりました。
洪水のように名曲が続く中でも際だって素晴らしいのは、
歌なのか、歌唱力なのか?演技力なのか?全てがそろって
まれに見るこういう名シーンが生まれるのでしょう。

この映画を見てつくづく思ったこと、
ビヨンセはエフィにはなれない
美しすぎて。
たとえエフィがこの映画のおいしいところを全てさらっていく役だと分かっていても彼女には出来ない。
その発想の逆転が新鮮だった。
ビヨンセの演じた少女がもと野心ぎらぎらで
自らエフィを追い出すくらいの強烈なキャラだったら
もう少しビヨンセもめだっていたかもしれないけど、
おとなしいまともな美しいお姉さんの影はうすかった。

アカデミー賞ではこの作品から歌曲賞が3曲ノミネートされているらしく、
それだけはにわかに楽しみになってきた。
作品賞だって私なら「ディパーテッド」より絶対こっち押すけどね。