ONE FINE DAY

「昨日のことは忘れてほしい」
「もう遅い。日記に書いた」

Factory Girl

2008-05-30 | 映画
Factory Girl見てきました。

ウォーホール全盛の1960年代ニューヨーク。
ポップアートのミューズと謳われたイーディ・セジウィックの映画。
薬物中毒で28歳という若さでこの世を去ったイーディを、
ジュード・ロウの恋人(?)シエナ・ミラーがキラキラと演じている。
キラキラってなんだい?(笑)
いや、若くて美しくてはかなげで破滅人生まっしぐらで、
やっぱりそれはキラキラと一瞬のきらめきに見えます。

でもこの映画で秀逸なのは、
なんといってもボブ・ディランを演じたヘイデン・クリステンセン!!
どうみてもボブ・ディランには見えません。
あまりにも美貌で。
ハモニカとギターぶらさげてても無理です。
目が釘付けになりました。

そしてもうひとり、アンディ・ウォーホールを演じたガイ・ピアース。
上手く言えないんだけど、あまりの空っぽさにちょっと戦慄が走ったくらい。
空っぽというか空虚というか実体がないというか地に足が着いてないというか、
ふわふわと浮いてるような感じ。
人間の重みとか人間の感情とかが全く感じられないんです。
イーディとの交際も実体がないんですね。
そんなウォーホールに振り回されて傷つきやすい少女が、
破滅に向かってまっしぐらという印象の映画です。
ガイ・ピアースが凄いのは、そんな空っぽな人間を演じつつ、
同時に非常に興味深い人間として演じていること。
家に帰ってからウォーホールについて一時間くらい考え込んでしまいました。
恐れ入りました。


だから、ボブ・ディランには見えないって!!
I'm not thereも楽しみ。
ヘイデン出てないけど。


Charlie Wilson's War

2008-05-21 | 映画
腰痛の相棒が仕事を休んで、
「映画に行こう!映画に行こう!」としつこく云うので、
仕方なく見た一本。
腰痛と風邪気味コンビで映画なんて見ている場合か?
おっしゃるとおり、家で休養していればよかった。はぁ。

年をとって映画を楽しむ感受性も失われたかと、
自分を疑いたくなるくらい、まったくピンとこない映画でした。
むしろ沸々と怒りすら沸いてくる。

まず、主役のチャーリー・ウィルソンという男。
トム・ハンクスは嫌いじゃないはずだし、
役者としての黄金期は過ぎたにしても、
芝居だってそれなりにそれなりのはずなのに、
いったい何だってこんな役を演るのかね?
アフガン侵攻のソ連軍をやっつけるためにあの手この手を使って、
アメリカ政府から大金を引き出すのに成功した下院議員。
秘密裡に大量の武器を送り、軍事訓練をゲリラにうけさせるために。
こういう人を、善意とか正義とかいう言葉で表すのは、
お願いだからやめてほしい。
人間として理解に苦しむし映画の主人公にするような魅力はない。

まあ、マイク・ニコルズもトム・ハンクスも馬鹿ではないから、
この映画が愛国的なアメリカ万歳映画だとは思いません。
彼の行動が引き金となってソ連をアフガニスタンから撤退させたのはそうなんでしょう。
ソ連をやっつけたことでばんばんざいで、
その後のアフガニスタンのことなんて知りませんとほっぽらかして、
あとは自国の利益だけを優先してイラク侵攻、湾岸戦争、
そして9.11と今も続く戦争の泥沼化。
チャーリー・ウィルソンがやったことは何だったのか?と、
観客に問いかけていると見えなくもない。

でもなんだかおかしい。
腑に落ちない。
こんなに微妙なテーマを、
たいした葛藤も屈折もなく冗談交じりで描くことへの抵抗か?

不気味といえば、ジュリア・ロバーツ。
テキサス6番目の大富豪の反共ばりばりおばさん。
まるで整形手術のやりすぎで表情がなくなったようにみえる。
悲しくなった。
(そういう役作りだとしたら見事)

そんな中、異彩をはなっていたのはP・S・ホフマン。
上手いです。
上手いですし、唯一微かに魅力を感じられる役作りもさすがです。

あのぉ、この映画に較べたらラストはともあれ「ミスト」のほうが、
映画としてはずっと面白いです。
ほんとに。
「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」は、
映画の魅力がほとんど感じられない映画でした。


The Mist

2008-05-17 | 映画
相棒と「ミスト」を観る。
スティーブン・キング苦手(怖いから)。
ホラー苦手(怖いから)。
あ~それなのにそれなのに、人間時々こういう愚かなことしてしまう。
なんだかこの映画にシャラマン監督の気配を感じてしまって。
(シャラマン映画は夏、「ハプニング」です)
霧(ミスト)のなかに何かがいる!
いましたよ、ものすごいのが。
その怪物はほとんど目をつぶっていたのであんまり見てないんですが(笑)
それは「怖い」といっても「サイン」のようなもの。
でもこの映画では決して笑えません。
パニック状態の中で人間がどんどん正気を失っていく、
その怖さがこの映画のテーマのようです。

上の写真の、子供を抱いてるお父さんが主役です。
私は見たことない役者さん(トーマス・ジェーン)でした。
私はこのお父さんくらい可哀想な人を知りません。
なんでこんなめに会わなくちゃならないのか、
彼が一体どんな罪を犯したというのか、
いくら考えても解りません。
ホラー映画見てそんなこと考えるなと云われそうですが、
あまりにも可哀想で、
こんな結末を思いつく人ってどうなの?と思わずにいられませんでした。
フランク・タラボン監督ですけどね。
なんの映画だったか、フランク・バカボンなんてふざけた祟りでしょうか?
私への祟りがお父さんにいくのはおかしいけど(笑)
正直、すごく後味の悪い映画でした。
お金払ってこんな気持ちにさせられるならもう映画なんて見ないぞ!

フランク(ペンブルトン)出てました。
な、な、なんでこんな映画で再会なんでしょうね。
これも何かの祟りか?

でまあ、二人で肩を落として帰ってきたわけです。
お口直しにウィル・スミスの「I am legend」でもと、
レンタルDVD借りてきて見たら、
これも「ミスト」に輪をかけたくらい後味の悪い、
ちっとも楽しくない映画でした。
世界にたったひとり残されたウィル・スミスのマンハッタンの家に、
凄い絵がたくさんあったのはおもしろかったけど。
ゴッホとかルソーとか。
メトから持ってきたのか?
モダンアートじゃないところが気に入った。
というか、MOMAは遠くだから行けなかったのか?
DVDレンタル屋さんに行って毎日一本づつ借りる律儀さとか。
廃墟となったブロードウェイに「RENT」の看板があったりとか。
(娘ならここで泣く)

あ~、思いっきり楽しい映画が見たい!

手作り

2008-05-09 | 手芸
お久しぶりです。
先日姉が着ていたワンピースが可愛かったので、
拝借して、分解して型紙をとり、作ってみた。
生成の綿麻で作ったのでこうしてみると割烹着にしか見えない。
むむむ。
でもこれ着ると、妙に体に馴染んで気持ちよい。
長さを調節したり、
スモッキングしたりやタックをとったり、
布を選んで作れば面白いものが出来そうな気がする。
こんなのでも買えば結構なお値段なので、
今年は姉たちの分も含めて作ってみたい。
因みに完成まで2日。
縫いしろ込みの型紙でそのまま生地を裁ち、
一切しるしは付けずに一気にミシンで縫った。
これぞ簡単洋裁。

There will be blood

2008-05-01 | 映画
ちょっとしたコンサートに行ってきた気分。
前衛的な不気味な音が不安を募り気になって仕方なかった。
エンドタイトルに流れたヴァイオリンソナタは素敵で、
最後まで席を立てなかった。
しかし映画音楽としてここまで際だつのはいかがなものか?

映画はねぇ・・・う~む。
もう一度見たいとは思わないな。
文学的かつ哲学的な映画。
心して見ないと置いてけぼりになる。

タイトルの[blood]
私はなんとなく「石油」を連想していたのだけど、
見終わった今はもっと生々しく、
主人公ダニエル(ダニエル・デイ・ルイス)の体に流れる「血液」そのもの
という気がする。
それでwill beはないだろう?
いや、この映画のダニエル・デイ・ルイスを見たら、
このタイトルも納得できると思う。

時々うつらうつらしていた私は完全な「置いてけぼり組」だが、
この音楽とこの演技とこの映像は映画館で見てよかったと思う。