房総閑話

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オオイヌノフグリ(瑠璃唐草、星の瞳)

2019-03-01 11:16:38 | 写真


オオイヌノフグリ。別名の方が綺麗です。瑠璃唐草、星の瞳。
オオバコ科クワガタソウ属の越年草。ヨーロッパ原産で1884年とも87年とも90年とも言われていますが、渡来してきた外来種です。




2月の初め頃から枯れ草の間から可愛い花を見ることが出来ます。



4枚の花びらは、少し大きめの花びらの向かいに少し小さめの花びらがあります。対称軸が1本の左右対称形になっています。こういう花びらの形状を左右相称といいます。どこから見ても同じ形状の花びらのつき方は放射相称といいます。



花が小さいので感じませんが、不釣合いな大きさの花びらが目をひきます。
葉や本体の大きさからみると花びらは大きすぎます。同時期に咲くハコベやミチタネツケバナなどに比べるとものすごく大きい花びらです。






花びらの中央に2本の雄しべと1本の雌しべが見られます。
オオイヌノフグリは虫媒花で自家受粉であると図鑑に書かれています。虫媒花なら他家受粉も可能ですが雄しべと雌しべの位置関係から受粉は自家受粉に因っていると考えられています。

中央に雌しべ、雌しべの両脇に雄しべがあります。


虫が蜜を吸いに花びらに止まると、虫の重さで花びらは傾きます。虫は落ちまいとして何かにしがみつきます。うまいところにうまい形に雄しべがあり、虫は雄しべにしがみつくと、真ん中にある雌しべに雄しべを引き寄せてしまうようなシチュエーションになります。その結果、雄しべの花粉が雌しべの柱頭に触れて自家受粉をします。また、虫についた花粉は他の花の柱頭に触れて他家受粉をします。

雄しべの先にヤク(花粉が出るところ)があり花粉で白くなっています。


開花したての雄しべは真っ直ぐで湾曲していません。時間と共に湾曲してヤクが真ん中にある雌しべに向いていきます。
これがオオイヌノフグリの第2の受粉方法です。
さらに湾曲してヤクは雌しべの柱頭に触れて受粉します。



ところがよく見ると、雌しべと雄しべは同一直線状にないのです。これではいくら雄しべが湾曲しても雌しべにはくっつきません。
そこで、究極の受粉方法です。
オオイヌノフグリは受粉すると花びらも雄しべも落ちてしまいます。
日がかげってきても受粉しないで花びらの落ちない花は徐々に花びらが閉じていきます。
ここでもう一度、雄しべと雌しべと花びらの位置を見てください。少し大きい花びらと少し小さい花びらを上下としたとき、雄しべは左右の花びらと直線になっています。雌しべは上下の花びらの直線上にあります。
オオイヌノフグリの受粉運動の最終動作は、花びらが閉じる動きで雄しべのヤクと雌しべの柱頭が合わさるように雄しべと雌しべが運動します。左右の花びらが雄しべを中央に、上下の花びらで雌しべが向いている方の花びらが雌しべの柱頭を中央に向かせるように動かして、ヤクにある花粉を柱頭につけさせて受粉させます。
これで受粉が完了します。それでも受粉しないときは次の日に花びらが開花して受粉するまで繰り返します。2~3日、花が開くわけです。



雄しべや雌しべが運動するのは他にも、花に触れると雄しべが雌しべに向かって運動するマツバボタン、閉花時に雄しべも雌しべもくるくる巻きながら運動するオシロイバナ、閉花時に雌しべが雄しべに向かって運動するコナギなどが知られています。
他家受粉、自家受粉に限らず種をつけることが生き延びることなんですね。

私見ですが、日本名のクワガタソウ属の由来は、雄しべと雌しべの配置が農具にある三本爪の備中鍬に似ているからではないでしょうか。雄しべの湾曲具合は昆虫のクワガタムシの顎にも似ています。オオイヌノフグリの他のクワガタソウ属も2本の雄しべと1本の雌しべが特徴的です。


(Canon IXY DIGITAL 510IS)


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