大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 4月2日 ノック

2015-04-02 19:58:14 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 4月2日 ノック



 10年くらい前の北海道です。
今はもう無いんだが、隣町に4階建てくらいのアパートというか1泊5千円程度で泊まれる貸し部屋業をやってるところがあった。
 そこは小汚いおばちゃんが経営してた。
たまにヤーさんっぽい人と激しい口論してて、なんか真っ当な感じではなかった。
ただ、当時は高校生の間では、誰にも咎められずに酒盛りのできる便利なところで、結構使ってるヤツらは多かった。
 そこで俺は高校3年の時に、学祭の打ち上げで10人くらいで泊ったことがある。
俺らは2階の1番端っこの部屋に案内された。
 その部屋は外側の壁が全部窓になっていて、その横に隣の部屋に行ける扉があった。
ただ扉は鍵が掛けられていて、入れないようにはなっていた。
当然、そこは隣の部屋だから、出入り出来ないようになっているのはあたりまえだと思っていた。
 そして30分くらいしたら、外から声がしてきた。
別クラスのヤツらが同じフロアの部屋に入ったようで、しかも隣の部屋のようだった。
それは、俺らの部屋にいた友人が、別クラスのヤツのトコに電話して分かったことだった。
 俺は隣の部屋側の壁に、

「 おーい、聞こえる?」

とか話かけたりしてたんだが、一向に返事が来ない。

“ こっちにはうっすら話し声が聞こえてるから、壁に向かっての声が聞こえないわけないよな?”

と不思議に思っていた。
 返事も来ないし諦めて壁にもたれかかったら、俺の右肩あたりの壁に向こう側から、

“ コン、コン、コン、コン・・・・。”

とノックされた。

“ なんだ聞こえてたのかァ・・。”

と思い。ノックを返した。
 だけど、また返事がない。
それで俺は、

“ なんなんだよ。”

と思いつつ、しつこくノックを続けた。
 その後、あまりにリアクションが無いので友人が隣の部屋に様子を見に行くことになった。
部屋から出て行った友人が、

「 ヤバイ!
アイツら隣の部屋じゃない!」

と慌てて戻ってきた。
 別クラスのヤツらは俺らの部屋から2つ先の部屋にいて、ノックする筈がないと言われたらしい。
それで、部屋から出て隣の部屋の扉をノックしてみた。
 部屋からの反応は無かった。
返事が無いので扉を開けようとしたら、鍵が掛かっていて開かなかった。
 不審に思って、小汚いおばちゃんに聞きに行ったら、

「 誰もいないよ。
変な噂をたてて、営業妨害するんじゃね~よ。」

と脅された。
あのとき、俺は一体誰からノックされて呼ばれたんだろう。
ノックを返してしまったのが、不安な気分だった。









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