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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 4月8日 なれなれしいヤツ

2015-04-08 18:50:35 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 4月8日 なれなれしいヤツ



 高校生の頃、学校にやたらとなれなれしい用務員のおやじがいた。
当時、まだたばこにうるさくなかったので、校舎の日陰でセブンスターのボックスを吸いながら休憩するのがよく目についた。

「 メンソールを吸うと勃たなくなる。」

がおやじの持論だった。

「 おやじがたばこ咥えながらニタニタ笑ってみてる。」

ルーズソックスがはやり、スカートの丈が短くなりだしたころ、女子どもはそんなことを言っておやじを気味悪がっていた。

「 見られたくなければスカートを伸ばせ。
もしくは化粧を止めろ、その化粧を・・・。」

我々高校生は、変におやじに同情しながら人生について語り合っていた。


 異変があったのは夏休みが終わる頃、バレー部の女子の一人の着替えが無くなったのだ。
結構な騒ぎになり、全体朝礼で、

「 自分から名乗り出てきたら怒らない、心当たりがあるものは先生に言いなさい。」

と、体育の教師が言っていた。


 おやじがクビになったと聞いたのは、それからしばらくのことだった。
用務員室で女子のブルマーだか、スカートだかが見つかったらしい。
おやじは最後まで罪を認めなかったそうだ。


 学年が変わり、

“ そろそろ進学について考えなきゃな~。”

とか思っている頃、おやじが自殺したと噂で聞いた。
自宅で首をくくって、潔白を訴える遺書があったらしい。

“ 女の服の一つで人生が変わるんだな・・・。”

進路のことを考えていた自分は、感慨深げに友人たちと噂していた。


 数学の教師が首を絞められた死体で発見されたのは、それからすぐのことだった。
部屋からは用務員室で見つかった以外の着替え、盗撮らしいビデオテープ、写真などが見つかったらしい。
 それから、嫌煙者だった数学の教師の部屋にはセブンスターのボックスの吸い殻があったとのことだった。

「 おやじも、くわえたばこで化けて出ることないよな・・・。」

友人のもらした一言に俺は、

「 それはちょっと違うんじゃ・・・・。」

と思った。










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