大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 4月17日 声

2015-04-17 20:14:36 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 4月17日 声


 都内の会社員Kさんに聞きました。
私の勤めている会社は、とても古いビルなのでドアの建て付けが良くないのです。
よく軋んだ音を立てるため、定期的に油が注されているけど、効果がほぼ無いと言った状態です。
だから、あまり使わない倉庫に行くと、

“ キィ~ッ!”

と嫌な音がします。
 つい先日のこと、屋上の一つ手前の階に資料を取りに行きました。
ナントカ機械室って言う、大きい機械が唸っていて、工場みたいな配管が低い位置までびっしりある、ヴーンっていう得体の知れない音がする場所です。

“ 気味悪いなぁ・・・。”

と思いながら、そこの奥に置いてある資料を取って外へ出ました。
 ドアが閉まった瞬間、声がしました。

“ キャッ!”

確かに人の声だと思いました。
それで、本当に驚いて、慌てて私は走り去りました。
 そして資料を使い終わって、それを戻しに行かなくちゃいけなくなった時、もう怖くて怖くて仕方が無かったので、後輩に、

「 重いから手伝って・・・。」

と言って、一緒に来てもらいました。
 後輩が、

「 そういや課長から聞いたんですけど、ここって昔、飛び降りが・・・。」

と、いらないことを言ったので、

「 そんなバカな~。」

と冗談っぽく流したりしながら、それでも怖くて、機械室に入った後、耳を澄ませてみました。
 しばらくして、やっぱり声がしました。

“ キャッ!”

でも、分かりました。
その音、ドアからしたんです。
古いビルで建て付けが悪いから、そういう音がしただけだったんです。
 もう本当に、自分でも呆れてしまいました。

“ ああ、くだらない・・・。”

そう思いながら資料を置いて、機械室を出ました。
 そのとき、また、音がしました。

“ キャッ!”

でも、もう怖くない。
だから後輩に、

「 この音、女の人の悲鳴っぽいよね。」

と言ったら、後輩は首を傾げて、

「 え、どの音です?」

“ そういえば、ドアが軋む音なんて、いちいち聞いてないか・・・。
どう説明しようかな・・・?”

と思っていたら音がしました。

“ キャッ!”

「 ほら、この音。」

と私が言うと、後輩は、

「 えっ、どの音ですか・・・・?」

と不審な顔をされました。
 どうやら、後輩にはその音が聞こえていないような感じです。
それで、

「 いや、何か音がしたような気がして・・・。」

と誤魔化しました。
そして、そのまま何事もなく、エレベータに乗って、事務室に戻って来ました。
 でも、よく考えると、

“ どうして音がしたのかな・・・?”

と思いました。
ドアはもうキッチリ閉まっていて、音を立てるわけ無かったんです。
 誰かがドアを開けたのでしょうか? 
人気の無い、機械室の?
それもなんか変です。
 確かに、あれは人の声だったと思います。
自分としては、

“ ちょっと妙な体験したなぁ・・・。”

と思いました。
そして、その声が聞こえたのはその日だけで、それ以降はその声を聞いたことはありません。










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