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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 7月22日 旅館(5)

2015-07-22 20:13:58 | B,日々の恐怖


   日々の恐怖 7月22日 旅館(5) 


 誰かに恨まれるようなことはないか、旅の途中変なことはなかったか、など私たちは話し合いましたが思い当たる節はありませんでした。
女将さんに相談することも考えましたが、あまり失礼なこともできません。
自分で言うのも何ですが、私たち3人は皆比較的穏やかな性格でした。。
 たぶん一番怖い思いをしたのは私だと思いますが、悪いことをしていなければ何も恐れることはない、という信念がありましたので、二人にそう言い聞かせて、とにかく一晩頑張ろうということになりました。
この時、私は幽霊というかそういうものの存在を少し信じるようになっていました。
 ちなみにテレビはありましたが、離れのためか室内アンテナで映りが悪く見られません。
何か人工的なものがないと怖かったので、これも雑音がひどかったですが、ラジオをかけっぱなしにしていました。
 気がつくと外は雨になっていました。
窓を打つ雨の音、時折聞こえるヒューという風の音。
普段はなんのことはない音ですが、こういう時は結構恐怖なもので、誰かが窓を叩いているような、そんな錯覚に陥りそうでした。
 11時を過ぎ、私たちは電気を消してみな布団に入り、話すともなく話をしていました。
そのうち村田が会話に入ってこなくなりました。
多分寝入ったのでしょう。
 私もいつの間にか睡魔に襲われて、うとうとしだしていた時、突然金縛りにあってしまいました。
それまで金縛りは幾度となく経験がありましたが、この時は格別に恐怖でした。
なぜなら初めて幻聴を聞いたのです。

「 ぎゃぁーーー、ぎゃぁーーー、ぎゃぁーーー、ぎゃぁーーー。」

 体が動かず息もできない状態で恐ろしい女の声だけが繰り返されていました。
うまく表現できませんが、キャーではなく肉体を切り裂かれたときに出すような悲鳴でした。
 金縛りは不思議なもので、その時は夢ではないと思っているのですが、ふと目が覚めるのです。
心臓はバクバク状態で、とにかく早く上体を起こさないと再び金縛りに入るのは過去の経験でわかっていましたので、頑張って体を起こしました。
 肩で息をしていたと思いますが、田中が異変に気がついてくれて電気をつけ私を気遣ってくれました。
私はまだ、金縛りがもたらした幻聴であって幽霊がどうのとかは断定はできないと思っていましたので、必要以上に怖がらすようなことはしませんでした。









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