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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 7月11日 田中さん(8)

2015-07-11 18:30:02 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 7月11日 田中さん(8)



 車に戻って佐藤君を問いただしたところ、2階の踊り場から階段を降りるのではなく、私の頭の真上を田中さんや見知らぬ何人かが玄関側の方へ宙を歩くように通り過ぎていき、突き当たった壁の所で消えていったとのことでした。
 佐藤君いわく“キン!”の音の正体は、彼等が壁に消える時に発する音なんじゃないかとのことです。
 すぐさま売主業者に電話したところ、田中さんは8月にこの現場からの帰りに交通事故で亡くなっていたこと、それでM宅を担当できる人員が足りなくなってしまったために、私の会社に委託したのだということを聞かされました。

 その後、私の身の周りで何かが起こったということはないのですが、売主業者にも田中さんにも申し訳ないのですが、その現場を売っていく自信はなくなりました。
 ちなみにその現場はまだ買い手がついていないので、広告媒体で埼玉県内の敷延物件を見かけた際は用心してください。
無駄に長くなった割にこうして話してみるとそんなに怖くもないのですが、あの時は本当に背筋が凍る思いをしました。
 以前から面識のあった田中さんが普通に現れて幽霊らしいことをせずに消えてしまったので、自分の中のそういう世界へのイメージとのギャップもあって何だか不思議な気持ちになります。


 後日の連絡です。

 この前話をさせてもらった不動産屋です。
先日、会社を出て駅に向かって歩いていたところ、いつも駅前にいる易者の方に呼び止められました。
 易者さんに、

「 あなたの後ろ立っているスーツ姿の中年男性が、

“ くれぐれもよろしくお願いします。”

と、頭を下げて言ってますよ。
頑張ってくださいね。」

と言われました。
 思い出したりすると引き寄せてしまったり、憑いてきてしまうと言うのは本当なのかな。
少し身震いしつつ、頑張って売りたいと思います。












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