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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 7月4日 田中さん(4)

2015-07-04 18:42:19 | B,日々の恐怖



   日々の恐怖 7月4日 田中さん(4)



 そこで営業の一人が質問してきました。

「 重要事項説明書(契約前に顧客に説明しなければならない物件の説明書)に入れなくていいの?」

 M宅の場合は、そこで居住者が自殺したという事実は告知事項として載せなければならないのですが、幽霊やそれに類するものは科学的な根拠がなければ載せる必要はないと判例が出ています。
 状況的には、誰が行っても必ずその音はどこからか聞こえてくるので告知した方がいい。しかし根拠もないのに載せたら載せたでそれは問題ということで、結果として私も直接行って確かめてみるべきという話になりました。

 それで、先日、自称霊能力ありという営業の佐藤君(仮名)と私とで、件のM宅の内見に出かけました。
佐藤君は皆の話を聞いてすっかり怯えていましたが、営業なんだし見ておかなきゃダメだろうと責められて、渋々同行といった感じでした。
 私はと言えば、この分譲地については、私自身が事前調査を行って法務局の古地図等を閲覧しても過去に墓場や刑場等だったという利用形態も見当たらなかったので、

“ 皆大袈裟だなぁ・・・。”

としか思っていませんでした。
 佐藤君の車に乗せて貰って現地に到着するなり、佐藤君は、

「 うわっ!マジで空気重いっすよ!
ホントにヤバイっすよ、ここ!」

と連呼していましたが、それには構わず広告掲載用の写真を撮っておこうと早速外観チェックに取り掛かりました。
 奥まった所に本地のある敷地形態だけあり、各方位に建つ建物に取り囲まれていて、他の区画に比べると日当たりは良好とは言えない場所なので、

“ これなら確かに、不気味な雰囲気と言われても仕方ないなぁ・・・。”

と思いました。
 続いて、玄関脇の雨樋に吊るしてあるキーボックスから鍵を取り出そうとしたところ、玄関扉が開いていることに気付きました。

“ 誰かが鍵を閉め忘れたか、それとも先客がいるのか?”

そんなことを考えながら、

「 ごめんください。」

と玄関扉を開けてみました。










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